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【解説・採点基準付き】2024年佐賀大医学部・数学の解答・解説

2024年の佐賀大学医学部・数学の、
解答・解説【完全版】です。

方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。

このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。

目次

2024年佐賀大学医学部数学
第1問 解答・解説

この記事の配点・採点基準は佐賀大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は平面ベクトルの問題です。
テーマは「三角形の辺(直線)の上の点を結んだ2直線の交点の位置と、その長さ」。

問題

2024年佐賀大学医学部数学 第1問 問題
2024年佐賀大学医学部数学 第1問 問題
問題文をテキストで読む

平面上に $\mathrm{OA}=4$、 $\mathrm{OB}=\sqrt2$ を満たす $\triangle\mathrm{OAB}$ がある。頂点 $\mathrm{B}$ から直線 $\mathrm{OA}$ に下ろした垂線を $\mathrm{BC}$ とする。また、頂点 $\mathrm{O}$ から直線 $\mathrm{AB}$ に下ろした垂線を $\mathrm{OD}$ とする。このとき、点 $\mathrm{C}$ は辺 $\mathrm{OA}$ を $1:3$ に内分しているとする。 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec{a}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec{b}$ とおくとき、次の問に答えよ。

(1) 内積 $\vec{a}\cdot\vec{b}$ を求めよ。

(2) 実数 $s$、 $t$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{OD}}=s\vec{a}+t\vec{b}$ の形に表すとき、 $s$ と $t$ の値を求めよ。さらに、 $|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|$ の値を求めよ。

(3) 直線 $\mathrm{BC}$ と直線 $\mathrm{OD}$ の交点を $\mathrm{P}$ とするとき、 $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|$ の値を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

ベクトルの問題で「垂直」「垂線」が出たら、内積0を使う。 $\mathrm{BC}\perp\mathrm{OA}$ なので $\overrightarrow{\mathrm{CB}}\cdot\vec{a}=0$。 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ は内分の比から $\vec{a}$ で表せるので、この式に $\vec{a}\cdot\vec{b}$ が現れる。

2024年佐賀大学医学部数学 第1問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第1問 解答の方針の図
  1. $\mathrm{C}$ は辺 $\mathrm{OA}$ を $1:3$ に内分するので $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\dfrac14\vec{a}$。
  2. $\overrightarrow{\mathrm{CB}}=\vec{b}-\dfrac14\vec{a}$ と表し、 $\overrightarrow{\mathrm{CB}}\cdot\vec{a}=0$ を展開する。
  3. $|\vec{a}|^2=16$ を代入して $\vec{a}\cdot\vec{b}$ を求める。

【(2)の方針】

着眼点

$\mathrm{D}$ には2つの条件がある。「直線 $\mathrm{AB}$ 上にある」は、直線上の点は係数の和が1で書けることから $s+t=1$。「 $\mathrm{OD}\perp\mathrm{AB}$」は内積0で $\overrightarrow{\mathrm{OD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0$。この2式を連立すれば $s$、 $t$ が決まる。 $\vec{a}$、 $\vec{b}$ で表すと決めたので、必要な情報は $|\vec{a}|$、 $|\vec{b}|$ と (1) の $\vec{a}\cdot\vec{b}$ の3つだけ。

$t=\dfrac65>1$ となり、 $\mathrm{D}$ は辺 $\mathrm{AB}$ 上ではなく $\mathrm{B}$ の側の延長上にある( $\angle\mathrm{OBA}$ が鈍角)。図を正確に書いておけば、この位置で驚かない。

ベクトルの大きさは、2乗して展開すれば大きさと内積で計算できる。

  1. $\mathrm{D}$ は直線 $\mathrm{AB}$ 上なので $s+t=1$。
  2. $\overrightarrow{\mathrm{OD}}\cdot(\vec{b}-\vec{a})=0$ を展開し、(1) の内積と $|\vec{a}|^2=16$、 $|\vec{b}|^2=2$ を代入して $s$、 $t$ の式にする。
  3. 2式を連立して $s$、 $t$ を求める。
  4. $|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|^2=|s\vec{a}+t\vec{b}|^2$ を展開して $|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|$ を求める。

【(3)の方針】

着眼点

2直線の交点は、それぞれの直線上の点として2通りに表し、係数比較するのが典型の流れ。 $\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{OD}$ 上なので、(2) で求めた $\overrightarrow{\mathrm{OD}}$ を使って $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\overrightarrow{\mathrm{OD}}$。 $\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{BC}$ 上なので、係数の和が1で $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\ell\overrightarrow{\mathrm{OB}}+(1-\ell)\overrightarrow{\mathrm{OC}}$。 $\vec{a}$、 $\vec{b}$ は $\vec{0}$ でなく平行でもない(1次独立)ので、2通りの表し方の $\vec{a}$ の係数どうし、 $\vec{b}$ の係数どうしが等しい。 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ が $\overrightarrow{\mathrm{OD}}$ の何倍かが分かれば、長さは (2) の $|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|$ からすぐに求まる。

なお、 $\mathrm{P}$ は2本の垂線の交点なので $\triangle\mathrm{OAB}$ の垂心で、 $\mathrm{A}$ から直線 $\mathrm{OB}$ に下ろした垂線も $\mathrm{P}$ を通る(検算に使える)

2024年佐賀大学医学部数学 第1問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第1問 解答の方針の図
  1. $\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{OD}$ 上なので $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\overrightarrow{\mathrm{OD}}$( $k$ は実数)と表す。
  2. $\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{BC}$ 上なので $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\ell\overrightarrow{\mathrm{OB}}+(1-\ell)\overrightarrow{\mathrm{OC}}$( $\ell$ は実数)と表し、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\dfrac14\vec{a}$ を代入する。
  3. $\vec{a}$、 $\vec{b}$ は1次独立なので係数を比べ、 $k$、 $\ell$ を求める。
  4. $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|=k|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|$ を計算する。

解答

2024年佐賀大学医学部数学 第1問 解答・解説
2024年佐賀大学医学部数学 第1問 解答・解説
2024年佐賀大学医学部数学 第1問 解答・解説(続き)
2024年佐賀大学医学部数学 第1問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

(1) 配点 4点

$\mathrm{C}$ は辺 $\mathrm{OA}$ を $1:3$ に内分するので $\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\dfrac14\vec{a}$、 $\overrightarrow{\mathrm{CB}}=\vec{b}-\dfrac14\vec{a}$。

$\mathrm{BC}\perp\mathrm{OA}$ より $\overrightarrow{\mathrm{CB}}\cdot\vec{a}=0$ なので

$$\left(\vec{b}-\dfrac14\vec{a}\right)\cdot\vec{a}=0\iff\vec{a}\cdot\vec{b}=\dfrac14|\vec{a}|^2=\dfrac14\cdot16$$

答 $\vec{a}\cdot\vec{b}=4$

(1) の別解(正射影の長さを使う)

内積は、一方のベクトルの大きさと、もう一方のベクトルをその向きに正射影した長さの積で表せる(なす角が鋭角のとき)。 $\mathrm{C}$ は $\mathrm{B}$ から直線 $\mathrm{OA}$ に下ろした垂線の足で辺 $\mathrm{OA}$ 上にあるので、 $\vec{b}$ を $\vec{a}$ の向きに正射影した長さは $\mathrm{OC}=1$。よって $\vec{a}\cdot\vec{b}=\mathrm{OA}\times\mathrm{OC}=4\times1=4$。

中原のコメント

垂線の足が分かっているときは、内積を「一方の大きさ×正射影の長さ」として求めると速い。

(2) 配点 8点

$\mathrm{D}$ は直線 $\mathrm{AB}$ 上にあるので

$$s+t=1\quad\cdots\text{①}$$

$\mathrm{OD}\perp\mathrm{AB}$ より $\overrightarrow{\mathrm{OD}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0$。 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}=\vec{b}-\vec{a}$ なので

$$(s\vec{a}+t\vec{b})\cdot(\vec{b}-\vec{a})=s\,\vec{a}\cdot\vec{b}-s|\vec{a}|^2+t|\vec{b}|^2-t\,\vec{a}\cdot\vec{b}=0$$

$|\vec{a}|^2=16$、 $|\vec{b}|^2=2$、 $\vec{a}\cdot\vec{b}=4$ を代入して

$$4s-16s+2t-4t=0\iff t=-6s\quad\cdots\text{②}$$

①、②より $-5s=1$。

答 $s=-\dfrac15$、 $t=\dfrac65$

( $t=\dfrac65>1$ なので、 $\mathrm{D}$ は辺 $\mathrm{AB}$ の $\mathrm{B}$ の側の延長上にある。実際 $\overrightarrow{\mathrm{BA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{BO}}=|\vec{b}|^2-\vec{a}\cdot\vec{b}=-2<0$ で、 $\angle\mathrm{OBA}$ は鈍角)

次に、大きさを2乗して展開すると

$$|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|^2=\dfrac{1}{25}|-\vec{a}+6\vec{b}|^2=\dfrac{1}{25}\left(|\vec{a}|^2-12\vec{a}\cdot\vec{b}+36|\vec{b}|^2\right)=\dfrac{1}{25}(16-48+72)=\dfrac{8}{5}$$

答 $|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|=\sqrt{\dfrac85}=\dfrac{2\sqrt{10}}{5}$

(2) の別解(正射影ベクトルを使う)

$\overrightarrow{\mathrm{AD}}$ は $\overrightarrow{\mathrm{AO}}$ を $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ の向きに正射影したベクトルである。一般に、点 $\mathrm{X}$ から直線 $\mathrm{AY}$ に下ろした垂線の足を $\mathrm{H}$ とすると、 $\overrightarrow{\mathrm{AH}}=\dfrac{\overrightarrow{\mathrm{AX}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AY}}}{|\overrightarrow{\mathrm{AY}}|^2}\overrightarrow{\mathrm{AY}}$(内積= $\mathrm{AY}$ の大きさ×正射影の長さ から導ける。答案ではこの導出も書く)。

$$|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2=|\vec{b}-\vec{a}|^2=2-8+16=10,\qquad\overrightarrow{\mathrm{AO}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=-\vec{a}\cdot(\vec{b}-\vec{a})=16-4=12$$

なので $\overrightarrow{\mathrm{AD}}=\dfrac{12}{10}\overrightarrow{\mathrm{AB}}=\dfrac65\overrightarrow{\mathrm{AB}}$。よって

$$\overrightarrow{\mathrm{OD}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{AD}}=\vec{a}+\dfrac65(\vec{b}-\vec{a})=-\dfrac15\vec{a}+\dfrac65\vec{b}$$

( $|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|$ は、三平方の定理で $\mathrm{OD}^2=\mathrm{OA}^2-\mathrm{AD}^2=16-\left(\dfrac65\right)^2\cdot10=\dfrac85$ としても求められる。また $\triangle\mathrm{OAB}=\dfrac12\cdot\mathrm{OA}\cdot\mathrm{BC}=\dfrac12\cdot4\cdot1=2$( $\mathrm{BC}=\sqrt{2-1}=1$)と $\triangle\mathrm{OAB}=\dfrac12\cdot\mathrm{AB}\cdot\mathrm{OD}$ から $\mathrm{OD}=\dfrac{4}{\sqrt{10}}$ と求めて検算できる)

中原のコメント

垂線の足の位置ベクトルは、内積を使った正射影ベクトルの式で求めると速い。ただし答案では、その式を導く過程も書く。

(3) 配点 8点

$\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{OD}$ 上にあるので、実数 $k$ を用いて

$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\overrightarrow{\mathrm{OD}}=-\dfrac k5\vec{a}+\dfrac{6k}{5}\vec{b}\quad\cdots\text{③}$$

また $\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{BC}$ 上にあるので、実数 $\ell$ を用いて

$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\ell\overrightarrow{\mathrm{OB}}+(1-\ell)\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\dfrac{1-\ell}{4}\vec{a}+\ell\vec{b}\quad\cdots\text{④}$$

$\vec{a}$、 $\vec{b}$ は $\vec{0}$ でなく平行でもない(1次独立)ので、③、④の係数を比べて

$$-\dfrac k5=\dfrac{1-\ell}{4},\qquad\dfrac{6k}{5}=\ell$$

2つめを1つめに代入すると $-\dfrac{4k}{5}=1-\dfrac{6k}{5}$ より $\dfrac{2k}{5}=1$、 $k=\dfrac52$( $\ell=3$)。

よって $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac52\overrightarrow{\mathrm{OD}}=-\dfrac12\vec{a}+3\vec{b}$ で、(2) より

$$|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|=\dfrac52|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|=\dfrac52\cdot\dfrac{2\sqrt{10}}{5}=\sqrt{10}$$

答 $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|=\sqrt{10}$

(検算: $\overrightarrow{\mathrm{AP}}=-\dfrac32\vec{a}+3\vec{b}$ で $\overrightarrow{\mathrm{AP}}\cdot\vec{b}=-\dfrac32\cdot4+3\cdot2=0$。 $\mathrm{A}$ から直線 $\mathrm{OB}$ に下ろした垂線も $\mathrm{P}$ を通るので、 $\mathrm{P}$ は確かに $\triangle\mathrm{OAB}$ の垂心)

(3) の別解(内積0で変数を1つにする)

$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\overrightarrow{\mathrm{OD}}$ とおく。直線 $\mathrm{BC}$ は $\mathrm{C}$ を通り $\mathrm{OA}$ に垂直な直線なので、「 $\mathrm{P}$ が直線 $\mathrm{BC}$ 上」は $\overrightarrow{\mathrm{CP}}\cdot\vec{a}=0$、すなわち $\overrightarrow{\mathrm{OP}}\cdot\vec{a}=\overrightarrow{\mathrm{OC}}\cdot\vec{a}$ と言いかえられる。

$$\overrightarrow{\mathrm{OD}}\cdot\vec{a}=-\dfrac{16}{5}+\dfrac{24}{5}=\dfrac85,\qquad\overrightarrow{\mathrm{OC}}\cdot\vec{a}=\dfrac14|\vec{a}|^2=4$$

なので $\dfrac85k=4$、 $k=\dfrac52$。置く文字が1つで済む。

別解(座標を置く)

$\mathrm{O}(0,\,0)$、 $\mathrm{A}(4,\,0)$ とすると $\mathrm{C}(1,\,0)$。 $\mathrm{BC}=\sqrt{\mathrm{OB}^2-\mathrm{OC}^2}=1$ なので $\mathrm{B}(1,\,1)$ としてよい( $\mathrm{B}(1,\,-1)$ でも $x$ 軸について対称なので同じ)。

(1) $\vec{a}\cdot\vec{b}=4\cdot1+0\cdot1=4$。

(2) 直線 $\mathrm{AB}$ は $x+3y=4$ で、その法線ベクトルは $(1,\,3)$。 $\mathrm{D}$ は直線 $y=3x$ と直線 $x+3y=4$ の交点で $\mathrm{D}\left(\dfrac25,\,\dfrac65\right)$。 $s(4,\,0)+t(1,\,1)=\left(\dfrac25,\,\dfrac65\right)$ より $t=\dfrac65$、 $s=-\dfrac15$。 $|\overrightarrow{\mathrm{OD}}|=\dfrac{\sqrt{4+36}}{5}=\dfrac{2\sqrt{10}}{5}$。

(3) 直線 $\mathrm{BC}$ は $x=1$、直線 $\mathrm{OD}$ は $y=3x$ なので $\mathrm{P}(1,\,3)$。 $|\overrightarrow{\mathrm{OP}}|=\sqrt{1+9}=\sqrt{10}$。

(計算は短い。ただし (2) で $s$、 $t$ を求めるときに $\vec{a}$、 $\vec{b}$ の成分に戻す必要があり、答案ではどの向きに座標を置いたかを最初に書く)

出題意図

(1) 「垂直」を内積0に直して、内積を求めることができるか

(2) 「 $\mathrm{D}$ は直線 $\mathrm{AB}$ 上」を係数の和が1、「 $\mathrm{OD}\perp\mathrm{AB}$」を内積0に直し、連立して $s$、 $t$ を求めることができるか。ベクトルの大きさを2乗して展開して求めることができるか。

(3) 2直線の交点を、それぞれの直線上の点として2通りに表し、1次独立を使って係数比較できるか

講評

難易度やや簡単
目標得点20点
目標時間20分

ベクトルの超基本の問題。
三角形の辺の上の点を結んだ直線の交点の位置を求める超典型問題で、垂直は内積0、直線上の点は係数の和が1、交点は2通りに表して係数比較、という王道の流れがそのまま問われた。
ここは20分で満点を取りたい。

差がつく所・失点しやすい所

  • (3) で、交点を2つの直線上の点として2通りに表し、1次独立で係数比較するという典型の流れに乗れるか:(2) の $\overrightarrow{\mathrm{OD}}$ を使えば、あとは連立方程式を解くだけ。
  • (2) で $t=\dfrac65>1$ となり $\mathrm{D}$ が辺 $\mathrm{AB}$ の外に出る。図を正確に書いていないと、答えを疑って時間を失いやすい。
  • 係数比較の前に「 $\vec{a}$、 $\vec{b}$ は1次独立」を書き落としやすい

2024年佐賀大学医学部数学
第2問 解答・解説

第2問は場合の数の問題です。
テーマは「さいころの目で座標平面上を動く点が、指定した点・範囲に到達する目の出方の数」。

問題

2024年佐賀大学医学部数学 第2問 問題
2024年佐賀大学医学部数学 第2問 問題
問題文をテキストで読む

座標平面上で、点 $\mathrm{P}$ は原点 $(0,\,0)$ を出発点とし、1個のさいころを投げて出た目によって次の通りに動くものとする。

・出た目が奇数のとき、 $x$ 軸の正の向きに1だけ動く

・出た目が2または4のとき、 $x$ 軸の負の向きに1だけ動く

・出た目が6のとき、 $y$ 軸の正の向きに1だけ動く

$n$ を2以上の自然数とするとき、次の問に答えよ。

(1) さいころを $n$ 回投げるとき、点 $\mathrm{P}$ の座標が $(1,\,n-1)$ となる場合は何通りあるか。

(2) さいころを $n$ 回投げるとき、点 $\mathrm{P}$ の座標が $(0,\,n-2)$ となる場合は何通りあるか。

(3) さいころを $n$ 回投げるとき、点 $\mathrm{P}$ の $x$ 座標が0以上、かつ $y$ 座標が $n-2$ 以上となる場合は何通りあるか。

解答の方針

【全体の方針】

着眼点

まず一般化する。奇数の目が出る回数を $a$ 回、2または4の目が出る回数を $b$ 回、6の目が出る回数を $c$ 回とおくと、 $a+b+c=n$ で、点 $\mathrm{P}$ の $x$ 座標は $a-b$、 $y$ 座標は $c$ になる。点 $\mathrm{P}$ の位置は各動きの回数だけで決まり、出る順番にはよらない。そこで各小問は、到達点の条件と $a+b+c=n$ の連立から $(a,\,b,\,c)$ の組を求め、そのあとで順番を数える。

順番を数えるときは、起こる回数の組を順番を考えずに先に決め、最後に順番を決めるのが基本である。各動きを並べる順番は、最短経路の問題で→と↑を並べかえるのと同じく、同じものを含む順列になる。同じものを含む順列は、それぞれを置く場所を考えると数えやすい。最後に、奇数の目は1、3、5の3通り、2か4の目は2通りあるので、目の出方の数をかける。

  1. $a+b+c=n$、 $x$ 座標 $a-b$、 $y$ 座標 $c$ と表す。
  2. 到達点の条件との連立から $(a,\,b,\,c)$ の組を求める。
  3. 奇数・2か4を置く回を選び、残りは6で自動で決まるとして並べ方を数える。
  4. 奇数の回1回につき3通り、2か4の回1回につき2通りをかける。

【(1)の方針】

着眼点

$y$ 座標は $c$ なので、 $c=n-1$ が決まる。6以外の目は1回だけで、その1回で $x$ 座標が1になるので奇数の目。連立から $(a,\,b,\,c)=(1,\,0,\,n-1)$ と決まれば、あとは奇数を置く場所を数えるだけ。

  1. $c=n-1$、 $a+b=1$、 $a-b=1$ から $a=1$、 $b=0$ を求める。
  2. 奇数を置く場所 $n$ 通りに、奇数の目の3通りをかける。

【(2)の方針】

着眼点

$\mathrm{P}$ は $y$ 軸の負の向きには動かないので、 $y$ 座標が $n-2$ なら6の目は $n-2$ 回、 $c=n-2$ が確定する。残りの2回の組み合わせを考えればよく、その2回で $x$ 座標が0に戻るので、奇数1回と2か4が1回( $(a,\,b,\,c)=(1,\,1,\,n-2)$)。奇数を置く場所を決め、次に2か4を置く場所を決めれば、残りは6で自動で決まる。

2024年佐賀大学医学部数学 第2問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第2問 解答の方針の図
  1. $c=n-2$、 $a+b=2$、 $a-b=0$ から $a=1$、 $b=1$ を求める。
  2. 奇数を置く場所 $n$ 通り、2か4を置く場所 $n-1$ 通りを求める。
  3. 目の出方 $3\times2$ 通りをかける。

【(3)の方針】

着眼点

$y$ 座標は6の目の回数 $c$ で、 $c\leqq n$ なので、 $y\geqq n-2$ は $y$ 座標が $n$、 $n-1$、 $n-2$ の3つの場合だけ。この3つで場合分けすれば、数え漏れがない。各場合で連立から $(a,\,b,\,c)$ の組を求める。6以外の目は0回、1回、2回のどれかで、到達点は図の6点に限られる。このうち $x$ 座標が0以上の4点を数えればよく、 $(1,\,n-1)$ と $(0,\,n-2)$ は (1)(2) でもう求めてある。(3) は (1)(2) をそのまま使える作りになっている。

2024年佐賀大学医学部数学 第2問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第2問 解答の方針の図
  1. $c=n$、 $n-1$、 $n-2$ で場合分けし、それぞれ $x\geqq0$ となる $(a,\,b)$ を決める( $c=n-1$ では $(a,\,b)=(1,\,0)$、 $c=n-2$ では $(2,\,0)$、 $(1,\,1)$)。
  2. $c=n$ は1通り、 $c=n-1$ は (1) の $3n$ 通り、 $(a,\,b)=(1,\,1)$ は (2) の $6n(n-1)$ 通りを使う。
  3. $(a,\,b)=(2,\,0)$ は奇数を置く2か所 ${}_n\mathrm{C}_2$ 通りに $3^2$ をかける。
  4. すべて足して整理する。

解答

2024年佐賀大学医学部数学 第2問 解答・解説
2024年佐賀大学医学部数学 第2問 解答・解説
解答をテキストで読む

ここで「何通り」は、さいころの目の出方の数を数える(1、3、5 の目はどれも $x$ 軸の正の向きに1動くが、目の出方としては別のものである)。

$n$ 回のうち、奇数の目が出る回数を $a$、2または4の目が出る回数を $b$、6の目が出る回数を $c$ とすると

$$a+b+c=n$$

で、 $n$ 回投げたあとの点 $\mathrm{P}$ の座標は $(a-b,\,c)$ である。

(1) 配点 5点

$\mathrm{P}$ の座標が $(1,\,n-1)$ のとき、 $c=n-1$ より $a+b=1$、 $a-b=1$ なので

$$a=1,\quad b=0,\quad c=n-1$$

$n$ 回のうち奇数の目を置く場所が $n$ 通りで、残りの $n-1$ 回は6の目で自動で決まる。奇数の目は1、3、5の3通りなので

$$n\times3=3n$$

答 $3n$ 通り

(2) 配点 6点

$\mathrm{P}$ は $y$ 軸の負の向きには動かないので、 $y$ 座標が $n-2$ のとき6の目はちょうど $n-2$ 回で、 $c=n-2$。残りの2回について、 $a+b=2$、 $x$ 座標の条件 $a-b=0$ より

$$a=1,\quad b=1,\quad c=n-2$$

奇数の目を置く場所が $n$ 通り、2か4の目を置く場所が残りの $n-1$ 通りで、残りの $n-2$ 回は6の目で自動で決まる。

奇数の目は3通り、2か4の目は2通りなので

$$n(n-1)\times3\times2=6n(n-1)$$

答 $6n(n-1)$ 通り

中原のコメント

同じものを含む順列は、同じものを置く場所を選んで数えるのがおすすめです。このやり方は汎用性が高く、確率の難しい問題でもそのまま使えます。

(3) 配点 9点

$y$ 座標は $c$ で、 $c\leqq n$ なので、 $y$ 座標が $n-2$ 以上になるのは、 $y$ 座標が $n$、 $n-1$、 $n-2$( $c=n,\ n-1,\ n-2$)のときである。この3つで場合分けし、それぞれ $a+b+c=n$ と $x$ 座標 $a-b\geqq0$ から $(a,\,b,\,c)$ の組を求める。

・$c=n$ のとき  $a=b=0$ で、到達点は $(0,\,n)$。 $n$ 回すべて6の目なので1通り

・$c=n-1$ のとき  $a+b=1$。 $a-b\geqq0$ より $(a,\,b)=(1,\,0)$ で、到達点は $(1,\,n-1)$( $(a,\,b)=(0,\,1)$ は $x$ 座標が $-1$ で不適)。(1) より $3n$ 通り

・$c=n-2$ のとき  $a+b=2$。 $a-b\geqq0$ より $(a,\,b)=(2,\,0)$、 $(1,\,1)$( $(a,\,b)=(0,\,2)$ は $x$ 座標が $-2$ で不適)

・$(a,\,b)=(2,\,0)$:到達点は $(2,\,n-2)$。奇数の目を置く2か所の選び方が ${}_n\mathrm{C}_2$ 通りで、残りは6の目。奇数の目はそれぞれ3通りなので ${}_n\mathrm{C}_2\times3^2=\dfrac{9n(n-1)}{2}$ 通り

・$(a,\,b)=(1,\,1)$:到達点は $(0,\,n-2)$。(2) より $6n(n-1)$ 通り

これらは同時に起こらないので、求める場合の数は

$$1+3n+\dfrac{9n(n-1)}{2}+6n(n-1)=1+3n+\dfrac{21n(n-1)}{2}=\dfrac{21n^2-15n+2}{2}$$

答 $\dfrac{21n^2-15n+2}{2}$ 通り

( $n=2$ のとき28通り。2回投げる36通りのうち、 $x$ 座標が負になる「2回とも2か4」の4通りと「2か4と6が1回ずつ」の4通りを除いた $36-8=28$ 通りと一致する)

中原のコメント

場合の数は、数え漏れがないように、何で場合分けするかを先に決めてから数えます。この問題なら $y$ 座標(6の目の回数)で3つに分けます。

(3) の別解(余事象:まず $y$ 座標の条件だけで数え、 $x$ 座標が負の場合を引く)

6以外の目が0回、1回、2回の場合は、6以外の目(5通り)を置く場所を考えて

$$1+n\times5+{}_n\mathrm{C}_2\times5^2$$

このうち $x$ 座標が負になるのは、6以外の1回が2か4の場合( $n\times2$ 通り)と、6以外の2回がどちらも2か4の場合( ${}_n\mathrm{C}_2\times2^2$ 通り)なので

$$1+5n+25\,{}_n\mathrm{C}_2-2n-4\,{}_n\mathrm{C}_2=1+3n+21\,{}_n\mathrm{C}_2=\dfrac{21n^2-15n+2}{2}$$

(除く点が2つだけなので、本解の直接数える方法と手間はほぼ同じ。検算に使える)

出題意図

全体:「何通り」をさいころの目の出方の数として数えられるか。同じ「 $x$ 軸の正の向きに1」でも、1、3、5の目は別の出方なので、動き方の数に目の数をかける必要があることに気づけるか。

(1)(2) 到達点の座標から、各動きを何回ずつ行うかを決め、そのあとで何回目にどの目が出るかを数えることができるか

(3) 条件を満たす到達点を $y$ 座標で漏れなく場合分けし、(1)(2) の結果を使って数えることができるか

講評

難易度標準
目標得点20点
目標時間25分

コマンド法で解く最短経路の問題と同じ、王道の処理。
各動きの回数を文字でおいて組を求め、置く場所を考えて並べ方を数え、最後に目の数をかけるだけ。
数え漏れで減点される可能性があるので標準としたが、基本的にはやや簡単に近い問題なので、確実に完答したい。
数学が特に難しい佐賀大学医学部で、ライバルも取ってくるこの問題を落とすと、合格はかなり厳しくなる。
確実に満点を取ってほしい。

差がつく所・失点しやすい所

  • (3) を解くときに、(1)(2) の誘導に乗れるか:(3) の到達点4つのうち2つは (1)(2) で求めた点。「 $y\geqq n-2$ は6以外の目が2回以下」と言いかえれば、(1)(2) の結果を足すだけで終わる。
  • 「何通り」は目の出方で、奇数は3通り・2か4は2通りかかるという発想に行き着けるか:動き方だけを数えて $n$、 $n(n-1)$ と答える誤りが一番多いと思われる。
  • (3) で $x$ 座標が負になる $(-1,\,n-1)$、 $(-2,\,n-2)$ を除き忘れる。図に到達点を並べてから数えると防げる。

2024年佐賀大学医学部数学
第3問 解答・解説

第3問は微分法・積分法(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「曲線 $y=e^{\sqrt{x}}$ の凹凸と変曲点・原点を通る接線・曲線と接線と $y$ 軸で囲まれた図形の面積」。

問題

2024年佐賀大学医学部数学 第3問 問題
2024年佐賀大学医学部数学 第3問 問題
問題文をテキストで読む

$k$ を定数とする。曲線 $y=e^{\sqrt{x}}$ と直線 $y=kx$ が1点 $\mathrm{P}$ で接しているとき、次の問に答えよ。

(1) 曲線 $y=e^{\sqrt{x}}$ の凹凸、変曲点を調べ、その概形をかけ。

(2) 定数 $k$ の値と点 $\mathrm{P}$ の座標を求めよ。

(3) 曲線 $y=e^{\sqrt{x}}$ と直線 $y=kx$ および $y$ 軸で囲まれた図形の面積を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

「グラフをかけ」が主題の問題なので、増減だけでなく凹凸まで調べる。定義域は $x\geqq0$ で、偶関数・奇関数でもなく、漸近線もない。 $y’=\dfrac{e^{\sqrt{x}}}{2\sqrt{x}}$ は $x>0$ で正なので、グラフは単調に増加する。 $y”=\dfrac{e^{\sqrt{x}}(\sqrt{x}-1)}{4x\sqrt{x}}$ は、 $\dfrac{e^{\sqrt{x}}}{4x\sqrt{x}}$ が正の因子なので、符号変化が依存する部分 $\sqrt{x}-1$ だけを見ればよい。これは曲線 $y=\sqrt{x}$ と直線 $y=1$ の上下で決まり、 $x=1$ を境に負から正に変わる。また、 $x=0$ では微分できないので、端 $x\to+0$ での $y’$ の極限を調べる。 $y’\to\infty$ なので、グラフは点 $(0,\,1)$ で $y$ 軸に接するように出発する。

2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答の方針の図

中原のコメント グラフの概形を求めること自体が問題の主題なら、凹凸(第2次導関数の符号)まで調べる。別の問題を解く途中でグラフを使うだけなら、基本的に凹凸までは調べなくてよい。

  1. 定義域 $x\geqq0$ を確認し、 $x>0$ で $y’=\dfrac{e^{\sqrt{x}}}{2\sqrt{x}}>0$ を求める。
  2. $y”=\dfrac{e^{\sqrt{x}}(\sqrt{x}-1)}{4x\sqrt{x}}$ を求め、正の因子 $\dfrac{e^{\sqrt{x}}}{4x\sqrt{x}}$ を外して、 $\sqrt{x}-1$ の符号から $0<x<1$ で上に凸、 $x>1$ で下に凸であることを示す。
  3. $x=1$ の前後で凹凸が変わるので、変曲点 $(1,\,e)$ を求める。
  4. $\displaystyle\lim_{x\to+0}y’=\infty$、 $\displaystyle\lim_{x\to\infty}y=\infty$ を調べ、増減と凹凸の表にまとめて概形を書く。

【(2)の方針】

着眼点

接線は接点スタート。直線 $y=kx$ を曲線の式と連立すると $e^{\sqrt{x}}=kx$ となり、指数と多項式が混ざった方程式なので解けない。そこで接点の $x$ 座標を $t$ とおいて接線の式を作り、それが原点を通る条件から $t$ を決める。 $x=0$ では微分できず、点 $(0,\,1)$ での接線は $y$ 軸( $x=0$ )なので、直線 $y=kx$ にはならない。よって $t>0$ で考えればよい。

2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答の方針の図

中原のコメント 接線は必ず接点から考える。接点を $(t,\,f(t))$ とおいて接線の式を作り、接線が通る点の座標を代入して $t$ を決める。この順番は常に徹底する。

  1. 接点を $(t,\,e^{\sqrt{t}})\ (t>0)$ とおき、接線の式 $y=\dfrac{e^{\sqrt{t}}}{2\sqrt{t}}(x-t)+e^{\sqrt{t}}$ を求める。
  2. 原点を通る条件から $e^{\sqrt{t}}\left(1-\dfrac{\sqrt{t}}{2}\right)=0$ を導き、 $e^{\sqrt{t}}>0$ より $t=4$ を求める。
  3. 接線の傾き $k=\dfrac{e^2}{4}$ と、 $\mathrm{P}(4,\,e^2)$ を求める。

【(3)の方針】

着眼点

面積は、まずグラフを書いて上下関係を調べ、その図をそのまま $\displaystyle\int\{(\text{上})-(\text{下})\}\,dx$ の式に移す。(2) で求めた直線と接点 $\mathrm{P}$ をグラフに書き込むと、囲まれた図形は $0\leqq x\leqq4$ で曲線が上、直線が下の部分になる。上下関係は (1) の凹凸で分かるので、改めて差を微分して調べる必要はない。 $x\geqq1$ では下に凸なので、曲線は接線 $y=kx$ より上にある。 $0\leqq x\leqq1$ では上に凸なので、曲線は2点 $(0,\,1)$、 $(1,\,e)$ を結ぶ線分より上にあり、その線分は両端で直線 $y=kx$ より上にある。この部分は、曲線の下の部分から三角形 $\mathrm{OHP}$ ( $\mathrm{H}(4,\,0)$ )を引けば求まるので、直線の積分は三角形の面積で済む。残る $\displaystyle\int_0^4e^{\sqrt{x}}\,dx$ は、そのままでは積分できない。 $\sqrt{x}$ が邪魔なのでまとめて $t=\sqrt{x}$ と置換すると $\displaystyle\int_0^2 2te^t\,dt$ になる。2種類以上の関数の積は部分積分で、指数・三角・多項式・対数の順に、左にある関数ほど積分し、右にある関数ほど微分する。よって $e^t$ を積分する方向で部分積分する。

2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答の方針の図

中原のコメント 積分の解き方が見えないときは、邪魔な部分(根号や分母など)をまとめて1つの文字に置換するとよい。置換すれば、たいていの積分は計算できる形になる。

  1. (1) の凹凸から、 $0\leqq x\leqq4$ で曲線が直線 $y=\dfrac{e^2}{4}x$ より上にある(触れるのは $\mathrm{P}$ だけ)ことを確認する。
  2. 面積を $S=\displaystyle\int_0^4e^{\sqrt{x}}\,dx-\triangle\mathrm{OHP}$ と表し、 $\triangle\mathrm{OHP}=\dfrac12\cdot4\cdot e^2=2e^2$ を求める。
  3. $\displaystyle\int_0^4e^{\sqrt{x}}\,dx$ を先に計算しておく。 $t=\sqrt{x}$ とおいて積分区間を $0\to2$ にずらし、 $dx=2t\,dt$ として $\displaystyle\int_0^2 2te^t\,dt$ に直す。
  4. $e^t$ を積分する方向で部分積分し、 $\displaystyle\int_0^2 2te^t\,dt=2e^2+2$ を求める。
  5. $S=(2e^2+2)-2e^2$ を計算する。

解答

2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答・解説
2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答・解説
2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答・解説(続き)
2024年佐賀大学医学部数学 第3問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

(1) 配点 8点

$f(x)=e^{\sqrt{x}}$ とおく。定義域は $x\geqq0$ で、 $x>0$ のとき

$$f'(x)=e^{\sqrt{x}}\cdot\dfrac{1}{2\sqrt{x}}=\dfrac{e^{\sqrt{x}}}{2\sqrt{x}}>0$$

よって $f(x)$ は $x\geqq0$ で単調に増加する。

$f'(x)=\dfrac12\,e^{\sqrt{x}}\,x^{-\frac12}$ と見て積の微分をすると

$$f”(x)=\dfrac12\left(e^{\sqrt{x}}\cdot\dfrac{1}{2\sqrt{x}}\cdot x^{-\frac12}-\dfrac12\,e^{\sqrt{x}}\,x^{-\frac32}\right)=\dfrac{e^{\sqrt{x}}}{4}\left(\dfrac1x-\dfrac{1}{x\sqrt{x}}\right)=\dfrac{e^{\sqrt{x}}(\sqrt{x}-1)}{4x\sqrt{x}}$$

$x>0$ のとき $\dfrac{e^{\sqrt{x}}}{4x\sqrt{x}}>0$ なので、 $f”(x)$ の符号は $\sqrt{x}-1$ の符号と一致する。下の図で、曲線 $y=\sqrt{x}$ が直線 $y=1$ より下にあるか上にあるかを見ると、 $0<x<1$ で $f”(x)<0$、 $x>1$ で $f”(x)>0$ である。

よって曲線は $0<x<1$ で上に凸、 $x>1$ で下に凸であり、 $x=1$ の前後で凹凸が変わる。 $f(1)=e$ より、変曲点は $(1,\,e)$。

また

$$\lim_{x\to+0}f'(x)=\lim_{x\to+0}\dfrac{e^{\sqrt{x}}}{2\sqrt{x}}=\infty,\qquad \lim_{x\to\infty}f(x)=\infty$$

より、曲線は点 $(0,\,1)$ で $y$ 軸に接するように出発し、限りなく増加する。増減と凹凸は次のようになる。

| $x$ | $0$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ | $(\infty)$ |

|—|—|—|—|—|—|

| $f'(x)$ | | $+$ | $+$ | $+$ | |

| $f”(x)$ | | $-$ | $0$ | $+$ | |

| $f(x)$ | $1$ | 上に凸で増加 | $e$ | 下に凸で増加 | $(\infty)$ |

答 $0<x<1$ で上に凸、 $x>1$ で下に凸。変曲点は $(1,\,e)$。概形は下の図

(2) 配点 5点

$x=0$ では $f(x)$ は微分できず、点 $(0,\,1)$ で曲線に接する直線は $y$ 軸なので、直線 $y=kx$ にはならない。よって接点を $(t,\,e^{\sqrt{t}})\ (t>0)$ とおく。この点での接線は

$$y=\dfrac{e^{\sqrt{t}}}{2\sqrt{t}}(x-t)+e^{\sqrt{t}}$$

これが原点を通るので

$$0=-\dfrac{\sqrt{t}}{2}\,e^{\sqrt{t}}+e^{\sqrt{t}}=e^{\sqrt{t}}\left(1-\dfrac{\sqrt{t}}{2}\right)$$

$e^{\sqrt{t}}>0$ より $\sqrt{t}=2$、すなわち $t=4$。

このとき $k=f'(4)=\dfrac{e^2}{2\cdot2}=\dfrac{e^2}{4}$、接点は $(4,\,e^2)$。

答 $k=\dfrac{e^2}{4}$、 $\mathrm{P}(4,\,e^2)$

(3) 配点 7点

上下関係 (1) より、曲線は $x\geqq1$ で下に凸なので、この範囲では接線 $y=\dfrac{e^2}{4}x$ より上にある(触れるのは接点 $\mathrm{P}$ だけ)。また $0\leqq x\leqq1$ では上に凸なので、曲線は2点 $(0,\,1)$、 $(1,\,e)$ を結ぶ線分より上にある。この線分は、 $x=0$ で $1>0$、 $x=1$ で $e>\dfrac{e^2}{4}$ ( $e<4$ より)と、両端で直線 $y=\dfrac{e^2}{4}x$ より上にあるので、線分全体が直線より上にある。よって $0\leqq x\leqq4$ で曲線は直線より上にある。

立式  $\mathrm{H}(4,\,0)$ とする。求める図形は、曲線の下の $0\leqq x\leqq4$ の部分から三角形 $\mathrm{OHP}$ を除いた部分(下の図の色の部分)なので

$$S=\int_0^4e^{\sqrt{x}}\,dx-\triangle\mathrm{OHP},\qquad \triangle\mathrm{OHP}=\dfrac12\cdot4\cdot e^2=2e^2$$

$\displaystyle\int_0^4e^{\sqrt{x}}\,dx$ を先に計算する  $t=\sqrt{x}$ とおくと $x=t^2$、 $dx=2t\,dt$ で、 $x$ が $0\to4$ のとき $t$ は $0\to2$。よって

$$\int_0^4e^{\sqrt{x}}\,dx=\int_0^2 2te^t\,dt$$

$e^t=(e^t)’$ を積分する方向で部分積分すると

$$\int_0^2 2te^t\,dt=\Big[2te^t\Big]_0^2-\int_0^2 2e^t\,dt=4e^2-2(e^2-1)=2e^2+2$$

(原始関数 $2(t-1)e^t$ を微分すると $2e^t+2(t-1)e^t=2te^t$ に戻る)

したがって

$$S=(2e^2+2)-2e^2=2$$

答 $2$

(3) の別解( $y$ 方向に積分する)

$y\geqq1$ で $y=e^{\sqrt{x}}$ を $x$ について解くと $x=(\log y)^2$。求める図形は、直線 $x=\dfrac{4}{e^2}y$ と $y$ 軸の間( $0\leqq y\leqq e^2$ )から、曲線 $x=(\log y)^2$ と $y$ 軸の間( $1\leqq y\leqq e^2$ )を除いた部分なので

$$S=\int_0^{e^2}\dfrac{4}{e^2}y\,dy-\int_1^{e^2}(\log y)^2\,dy=2e^2-\Big[y(\log y)^2-2y\log y+2y\Big]_1^{e^2}=2e^2-(2e^2-2)=2$$

( $(\log y)^2$ は1を付け加えて部分積分を2回する。 $x$ 方向の本解の方が計算が短いので本解にした)

出題意図

(1) 第2次導関数から正の因子を外し、符号変化を調べて凹凸と変曲点を求めるという微分の基本ができるか。 $x\to+0$ で $y’\to\infty$ になる端の様子まで調べて概形をかけるか。

(2) 原点を通る直線が曲線に接する条件を、接点の $x$ 座標を文字でおいて接線の式から求めることができるか

(3) グラフから面積を式に正しく落とし、根号を含む関数 $e^{\sqrt{x}}$ を置換と部分積分で積分できるか

講評

難易度標準
目標得点13点
目標時間20分((1)(2) で15分。残りの時間で (3) に取り組む)

「グラフの概形 → 接線 → 面積」という、数学Ⅲの微分・積分の王道の流れの問題。
(1) は第2次導関数の符号を正の因子を外して調べるだけ、(2) は接点を文字でおいて接線を作るいつもの流れ。
(3) の $\displaystyle\int_0^4e^{\sqrt{x}}\,dx$ は、複雑な形を $t$ とおいて置換するという自然な発想で求めることは難しくないが、本番では時間が追いつかない可能性もある。
ここは点数を落としてもよく、目標は (2) までを確実に完答すること。

差がつく所・失点しやすい所

  • (3) で (2) の接点を図に書き込み、三角形を引いたうえで $\sqrt{x}$ をまとめて置換するという発想に行き着けるか:置換すれば $2te^t$ の部分積分だけになる。
  • (1) の $f”(x)$ の計算ミス:根号を含む関数の第2次導関数は計算が重い。 $x^{-\frac12}$ の積として微分し、正の因子をくくり出す。
  • (1) で $x\to+0$ の様子を調べずに概形を書く: $f'(x)\to\infty$ より、点 $(0,\,1)$ で $y$ 軸に接するように書く。

2024年佐賀大学医学部数学
第4問 解答・解説

第4問は複素数平面の問題です。
テーマは「2つの円の交点と、その2点を通る直線が原点を通ること・方べきの定理」。

問題

2024年佐賀大学医学部数学 第4問 問題
2024年佐賀大学医学部数学 第4問 問題
問題文をテキストで読む

複素数平面上に $|\alpha|=2$ を満たす点 $\mathrm{A}(\alpha)$ がある。方程式

$$|z-1|=\sqrt2\qquad\cdots\cdots\text{①}$$

$$|z-\alpha|=\sqrt5\qquad\cdots\cdots\text{②}$$

について、次の問に答えよ。

(1) 複素数平面上で方程式①を満たす点 $z$ の全体が表す図形を描け。また、方程式①および②を満たす複素数 $z$ の個数が2個であることを示せ。

(2) 方程式①および②を満たす複素数 $z$ について

$$\overline{z}(\alpha-1)+z(\overline{\alpha}-1)=0$$

が成り立つことを示せ。

(3) 方程式①および②を満たす異なる2つの複素数を $\beta$、 $\gamma$ とする。2点 $\mathrm{B}(\beta)$、 $\mathrm{C}(\gamma)$ と原点 $\mathrm{O}$ が一直線上にあることを示せ。また、 $|\beta|=b$ とおくとき、 $|\gamma|$ を $b$ を用いて表せ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

$|z-1|$ は、 $z$ と $1$ との距離を表す。よって①は点 $1$ からの距離が $\sqrt2$ の点の集まりで、点 $1$ を中心とする半径 $\sqrt2$ の円。同じように②は点 $\mathrm{A}(\alpha)$ を中心とする半径 $\sqrt5$ の円で、①②を両方満たす $z$ は2つの円の交点になる。図を書けば、円であることはすぐに分かる。

中原のコメント 複素数平面の問題は、式を変形して押し切るのではなく、まず式が図形として何を表しているか(絶対値なら2点の距離)を読み、図を書いて考えることが大事です。

2つの円の交点の個数は、半径と中心間の距離の大小で決まる。一般に、半径 $r_1$、 $r_2$ の2円が2点で交わる条件は「半径の差<中心間の距離<半径の和」、すなわち $|r_1-r_2|<d<r_1+r_2$ である。点 $1$ を $\mathrm{P}$ とすると、中心間の距離は $\mathrm{PA}=|\alpha-1|$ で、 $|\alpha|=2$ から三角不等式で範囲が決まる。

2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答の方針の図
  1. ①を「点 $1$ との距離が $\sqrt2$ 」と読み、点 $1$ を中心とする半径 $\sqrt2$ の円を図示する。
  2. ②を点 $\alpha$ を中心とする半径 $\sqrt5$ の円と読み、①②を満たす $z$ の個数を2つの円の交点の個数に言いかえる。
  3. 三角不等式 $|\alpha|-1\leqq|\alpha-1|\leqq|\alpha|+1$ から、中心間の距離の範囲 $1\leqq|\alpha-1|\leqq3$ を求める。
  4. 2円が2点で交わる条件「半径の差<中心間の距離<半径の和」を書き、 $\sqrt5-\sqrt2<1$ と $3<\sqrt5+\sqrt2$ を2乗して確かめる。

【(2)の方針】

着眼点

示す式には $\overline{z}$ と $\overline{\alpha}$ が出てくる。絶対値の式を共役を含む式に直すには、両辺を2乗して、絶対値の2乗を共役の積にする( $|w|^2=w\overline{w}$ )。①②を2乗して展開すると、どちらにも $z\overline{z}$ が出てくるので、辺々引けば消える。

中原のコメント 複素数の絶対値の2乗は、その複素数と共役複素数の積に分けられます( $|w|^2=w\overline{w}$ )。絶対値の式を扱うときに非常によく使う変形です。

  1. ①の両辺を2乗し、 $(z-1)(\overline{z}-1)=2$ として展開する。
  2. ②の両辺を2乗し、 $(z-\alpha)(\overline{z}-\overline{\alpha})=5$ として展開し、 $\alpha\overline{\alpha}=|\alpha|^2=4$ を使う。
  3. 2つの式を辺々引いて $z\overline{z}$ を消し、示す式にする。

【(3)の方針】

着眼点

(2) の式の2つの項は、互いに共役になっている( $\overline{z(\overline{\alpha}-1)}=\overline{z}(\alpha-1)$ )。そこで $w=z(\overline{\alpha}-1)$ とおくと、(2) の式は $w+\overline{w}=0$ 、つまり $\overline{w}=-w$ 。複素数 $w$ が $\overline{w}=-w$ を満たすのは、 $w$ が純虚数か $0$ のとき(純虚数条件)。よって $\beta(\overline{\alpha}-1)$ と $\gamma(\overline{\alpha}-1)$ はどちらも純虚数で、その比をとれば $\gamma$ が $\beta$ の実数倍になり、一直線が示せる。

2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答の方針の図

次に $|\gamma|$ 。 $\mathrm{O}$、 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{C}$ が一直線上にあるので、 $|\beta||\gamma|=\mathrm{OB}\cdot\mathrm{OC}$ は、点 $\mathrm{O}$ を通る円①の弦 $\mathrm{BC}$ についての方べきの定理の形。円①は $i$ と $-i$ を通る( $|i-1|=|-i-1|=\sqrt2$ )ので、 $\mathrm{O}$ を通るもう1本の弦として虚軸上の弦をとれば、長さはどちらも1とすぐに分かる。 $\alpha$ がどこにあっても、 $|\gamma|$ は円①と原点だけで決まる。

2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答の方針の図
2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答の方針の図
  1. $z=0$ は①を満たさないので $\beta\neq0$、 $\gamma\neq0$ 、また $|\alpha|=2$ より $\overline{\alpha}-1\neq0$ を確かめる。
  2. $w=z(\overline{\alpha}-1)$ とおき、(2) の式を $w+\overline{w}=0$ と見て、 $w$ が純虚数であることを示す。
  3. $\beta(\overline{\alpha}-1)=si$、 $\gamma(\overline{\alpha}-1)=ti$( $s$、 $t$ は0でない実数)とおき、 $\gamma=\dfrac{t}{s}\beta$ から一直線を結論する。
  4. 円①が $\mathrm{D}(i)$、 $\mathrm{E}(-i)$ を通ることを確かめ、原点 $\mathrm{O}$ を通る2本の弦 $\mathrm{BC}$、 $\mathrm{DE}$ に方べきの定理を使って $\mathrm{OB}\cdot\mathrm{OC}=\mathrm{OD}\cdot\mathrm{OE}=1$ を求める。
  5. $\mathrm{OB}=b$ から $|\gamma|$ を求める。

解答

2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答・解説
2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答・解説
2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答・解説(続き)
2024年佐賀大学医学部数学 第4問 解答・解説(続き)
解答をテキストで読む

(1) 配点 6点

①は、点 $z$ と点 $1$ との距離が $\sqrt2$ であることを表す。よって①を満たす点 $z$ の全体は、点 $1$ を中心とする半径 $\sqrt2$ の円である(虚軸と $\pm i$ 、実軸と $1\pm\sqrt2$ で交わる)。

②は、点 $\alpha$ を中心とする半径 $\sqrt5$ の円を表す。①および②を満たす $z$ の個数は、この2つの円の交点の個数である。

$\mathrm{P}(1)$ とすると、2つの円の中心間の距離は $\mathrm{PA}=|\alpha-1|$ で、 $|\alpha|=2$ と三角不等式より

$$|\alpha|-1\leqq|\alpha-1|\leqq|\alpha|+1\qquad\text{すなわち}\qquad1\leqq|\alpha-1|\leqq3$$

半径 $\sqrt2$ と $\sqrt5$ の2つの円が2点で交わる条件は、半径の差<中心間の距離<半径の和、すなわち

$$\sqrt5-\sqrt2<|\alpha-1|<\sqrt5+\sqrt2$$

である。ここで

$$(1+\sqrt2)^2=3+2\sqrt2>3+2=5\qquad\text{より}\qquad\sqrt5-\sqrt2<1$$

$$(\sqrt5+\sqrt2)^2=7+2\sqrt{10}>7+2\cdot3=13>9\qquad\text{より}\qquad3<\sqrt5+\sqrt2$$

なので

$$\sqrt5-\sqrt2<1\leqq|\alpha-1|\leqq3<\sqrt5+\sqrt2$$

が成り立ち、2つの円は異なる2点で交わる。よって、①および②を満たす $z$ の個数は2個である。(証明終)

別解((1) の中心間の距離:極形式で置く)

$\alpha=2(\cos\theta+i\sin\theta)$ とおくと

$$|\alpha-1|^2=(2\cos\theta-1)^2+(2\sin\theta)^2=5-4\cos\theta$$

で、 $-1\leqq\cos\theta\leqq1$ より $1\leqq|\alpha-1|^2\leqq9$ 、すなわち $1\leqq|\alpha-1|\leqq3$ 。あとは本解と同じ。

(2) 配点 5点

①の両辺を2乗すると $|z-1|^2=2$ 、すなわち $(z-1)(\overline{z}-1)=2$ なので

$$z\overline{z}-z-\overline{z}+1=2\qquad\text{より}\qquad z\overline{z}-z-\overline{z}=1\qquad\cdots\cdots\text{③}$$

②の両辺を2乗すると $(z-\alpha)(\overline{z}-\overline{\alpha})=5$ で、 $\alpha\overline{\alpha}=|\alpha|^2=4$ なので

$$z\overline{z}-\overline{\alpha}z-\alpha\overline{z}+4=5\qquad\text{より}\qquad z\overline{z}-\overline{\alpha}z-\alpha\overline{z}=1\qquad\cdots\cdots\text{④}$$

④−③より

$$-\overline{\alpha}z-\alpha\overline{z}+z+\overline{z}=0\qquad\text{すなわち}\qquad\overline{z}(\alpha-1)+z(\overline{\alpha}-1)=0$$

(証明終)

(3) 配点 9点

$z=0$ は $|0-1|=1\neq\sqrt2$ より①を満たさないので、 $\beta\neq0$、 $\gamma\neq0$ である。また $|\alpha|=2$ より $\alpha\neq1$ 、すなわち $\overline{\alpha}-1\neq0$ である。

$w=z(\overline{\alpha}-1)$ とおくと $\overline{w}=\overline{z}(\alpha-1)$ なので、(2) の式は

$$w+\overline{w}=0\qquad\text{すなわち}\qquad\overline{w}=-w$$

となる。 $z\neq0$、 $\overline{\alpha}-1\neq0$ より $w\neq0$ なので、 $w$ は純虚数である。

よって、0でない実数 $s$、 $t$ を用いて

$$\beta(\overline{\alpha}-1)=si,\qquad\gamma(\overline{\alpha}-1)=ti$$

と表せる。2式から $\overline{\alpha}-1=\dfrac{si}{\beta}=\dfrac{ti}{\gamma}$ なので

$$\gamma=\dfrac{t}{s}\beta$$

$\dfrac{t}{s}$ は実数なので、 $\overrightarrow{\mathrm{OC}}$ は $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$ の実数倍であり、 $\mathrm{O}$、 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{C}$ は一直線上にある。(証明終)

(この直線は、原点を通り、2つの円の中心を結ぶ直線 $\mathrm{PA}$ に垂直な直線である)

次に $|\gamma|$ を求める。 $|i-1|=|-i-1|=\sqrt2$ より、円①は $\mathrm{D}(i)$、 $\mathrm{E}(-i)$ を通る。 $\mathrm{O}$ は弦 $\mathrm{DE}$ の上(中点)にあるので、円①の内部にあり、直線 $\mathrm{BC}$ も $\mathrm{O}$ を通る円①の弦である。

原点 $\mathrm{O}$ で交わる2本の弦 $\mathrm{BC}$、 $\mathrm{DE}$ に方べきの定理を使うと

$$\mathrm{OB}\cdot\mathrm{OC}=\mathrm{OD}\cdot\mathrm{OE}=1\cdot1=1$$

$\mathrm{OB}=|\beta|=b$、 $\mathrm{OC}=|\gamma|$ なので $b|\gamma|=1$ 。

答 $|\gamma|=\dfrac{1}{b}$

別解1((3) の一直線:成分で置く)

$z=x+yi$、 $\alpha=p+qi$( $x$、 $y$、 $p$、 $q$ は実数)とおくと、 $z(\overline{\alpha}-1)=\{(p-1)x+qy\}+\{(p-1)y-qx\}i$ で、(2) の式はその実部の2倍が0ということなので

$$(p-1)x+qy=0$$

$\alpha\neq1$ より $(p-1,\ q)\neq(0,\ 0)$ なので、これは原点を通る直線を表す。 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{C}$ はともにこの直線上にあるので、 $\mathrm{O}$、 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{C}$ は一直線上にある。

別解2((3) の $|\gamma|$ :一直線を式にして③に代入する)

一直線上にあることから、 $\gamma=k\beta$( $k$ は実数)と表せる。 $\beta\neq\gamma$ より $k\neq1$ である。③に $z=\beta$ を代入すると $b^2-(\beta+\overline{\beta})=1$ 、すなわち $\beta+\overline{\beta}=b^2-1$ 。③に $z=k\beta$ を代入すると $k^2b^2-k(\beta+\overline{\beta})=1$ なので

$$k^2b^2-k(b^2-1)-1=0\qquad\text{すなわち}\qquad(k-1)(kb^2+1)=0$$

$k\neq1$ より $k=-\dfrac{1}{b^2}$ 。よって $|\gamma|=|k|b=\dfrac{1}{b}$ 。

出題意図

(1) 絶対値の式を距離と読み、①②がそれぞれ円を表すと捉えたうえで、2円が2点で交わることを中心間の距離から示すことができるか

(2) 共役を含む式を示すために、①②を2乗して共役の積で展開し、辺々引くことができるか

(3) (2) の式から交点 $z$ に $\overline{\alpha}-1$ をかけたものが純虚数になると捉え、一直線を示すことができるか。さらに、原点を通る2本の弦に方べきの定理を使うことに気づけるか。

講評

難易度やや難
目標得点6点
目標時間15分((1)(2) まで。(3) に時間をかけすぎない)

(1) は絶対値を距離と読むだけの基本で、図を書けばすぐに分かる。
(2) は、共役が出てくるなら絶対値を2乗する、という複素数平面の基本の処理。
(3) は、(2) の式を純虚数条件として読み、さらに方べきの定理に結びつける必要があり、佐賀大医の受験生でもおそらく解けない。
(3) は解けなくてよい。
目標は (1) の6点だが、本音を言えば (2) までは取りたい。

差がつく所・失点しやすい所

  • (2) で、共役が出てくる式を示すために、絶対値を2乗するという発想に行き着けるか:ここまで取れるかで差がつく。
  • (3) を解くときに (2) の誘導に乗れるか:(2) の式を $w+\overline{w}=0$ と見て純虚数条件にできるか。 $|\gamma|$ は、円①が $\pm i$ を通ることに気づき、方べきの定理に結びつけられるか。佐賀大医の受験生でも解けなくてよい。
  • (1) の個数の証明:図を見て「交わる」で終わると点にならない。2円が2点で交わる条件を一般の形で書き、両側の不等式を確かめる。

2024年佐賀大学医学部・数学の
講評とまとめ

4問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度目標点
第1問やや簡単20点
第2問標準20点
第3問標準13点
第4問やや難6点
合計59点

この年は第4問が解きにくかったため、やや難しめのセットになった。
第1問・第2問を満点で取り、第3問は (2) まで、第4問は (1) を確実に取れば、目標の60点弱に届く。

解く流れ

  • 第1問 → 第2問 → 第3問 → 第4問
  • 目標時間:第1問 20分・第2問 25分・第3問 20分・第4問 15分((1)(2) まで)。合計80分。
  • 第1問・第2問を満点で仕上げ、第3問は (2) まで確実に取る。第4問は (1) を取ってから (2) に進む。残った時間で第3問(3) の積分に戻る。
  • 見直しでは、第2問に $n=2$ を代入して28通りになるか、第3問(3) の原始関数を微分して戻るか、などの具体的な値で検算する。

2024年佐賀大学医学部・数学に
関するよくある質問

2024年の佐賀大学医学部・数学について、よく聞かれる質問にお答えします。

2024年の佐賀大学医学部・数学は難しかった?

2024年の佐賀大学医学部・数学は、全体として「やや難」の年でした。
第1問はベクトルの超典型問題、第2問・第3問は王道の処理ですが、第4問が解きにくく、やや難しめのセットになりました。

2024年の佐賀大学医学部・数学は何点取れば合格できる?

目標点は59点です(80点満点)。

2024年の佐賀大学医学部・数学はどこで差がつく?

特に差がついたのは、次の3つです。

  • 第2問:場合の数を数え漏れなく完答できるか。
  • 第3問:(3) の積分を最後まで答えられるか。
  • 第4問:(1) の6点を確実に取り、(2) まで進めるか。
2024年の佐賀大学医学部・数学は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:平面ベクトル
  • 第2問:場合の数
  • 第3問:微分法・積分法(数学Ⅲ)
  • 第4問:複素数平面

佐賀大学医学部の数学の過去問を年度別に見る

この記事を書いた人

ラ・サール高校から九州大学医学部医学科へ現役合格。医師国家資格所持するも、多くの受験生を難関大学に合格させるべく教育業界を選択。この度、自分の理想とする教育を生徒に少しでも提供するべく、個人で塾の開校に至る。
現役合格を目指し、熱い想いで指導に携わる。

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