【解説・採点基準付き】2024年鹿児島大医学部・数学の解答・解説
2024年の鹿児島大学医学部・数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2024年鹿児島大学医学部数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は鹿児島大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は確率・2次不等式・指数関数と対数関数の問題です。
テーマは「小問集合(4個のさいころでちょうど3個の目が同じになる確率/絶対値を含む2次不等式/累乗根と対数の大小比較)」。
問題


問題文をテキストで読む
次の各問いに答えよ。
(1) 4個のさいころを同時に投げるとき、ちょうど3個のさいころの出る目が同じになる確率を求めよ。
(2) 次の不等式を解け。
$$|x^2+6x-1|\leqq7-x$$
(3) 次の数の大小関係を調べ、小さい順に並べよ。ただし、 $3.1<\pi<3.2$ を用いてよい。
$$\dfrac{1}{2},\quad\log_{11}\pi,\quad\sqrt[4]{\dfrac{1}{8}}$$
解答の方針
【(1)の方針】
4個のさいころは区別して考え、全体は $6^4$ 通り。「ちょうど3個が同じ目」は 「3個そろう目」「残り1個の目」「残り1個がどのさいころか」の3つを決めれば1通りに決まる。残り1個の目は、3個そろう目と違う目にしないと4個とも同じ目の場合が入ってしまう。
- 3個そろう目の数を決める(6通り)。
- 残り1個の目を、そろう目以外から決める(5通り)。
- 残り1個がどのさいころかを決める(4通り)。
- 3つをかけた場合の数を $6^4$ で割る。
【(2)の方針】
絶対値の中身 $x^2+6x-1$ の符号で場合分けすると、境目が $x=-3\pm\sqrt{10}$ になり、あとで $-8$ や $1$ との大小を比べる手間が増える。 $|A|\leqq B\iff-B\leqq A\leqq B$ を使えば、場合分けなしで2つの2次不等式の連立に直せる( $B<0$ のときはどちらの側も成り立たないので、同値のまま扱える)。グラフで見ると、 $y=|x^2+6x-1|$ が直線 $y=7-x$ 以下になる $x$ の範囲を求める問題。


- 不等式を $-(7-x)\leqq x^2+6x-1\leqq7-x$ と同値変形する。
- 右側の $x^2+6x-1\leqq7-x$ を整理して因数分解し、解を求める。
- 左側の $x-7\leqq x^2+6x-1$ を整理して因数分解し、解を求める。
- 2つの解の共通部分を数直線上で求める。
【(3)の方針】
$\sqrt[4]{\dfrac18}$ は指数、 $\log_{11}\pi$ は対数で、そのままでは比べられない。そこで 真ん中にありそうな $\dfrac12$ を基準にして、残りの2つをそれぞれ $\dfrac12$ と比べる。 $\sqrt[4]{\dfrac18}=2^{-\frac34}$、 $\dfrac12=2^{-1}$ と底を2にそろえれば指数の大小で比べられる。また $\dfrac12=\log_{11}\sqrt{11}$ と底を11にそろえれば、 $\pi$ と $\sqrt{11}$ の大小、すなわち $\pi^2$ と $11$ の大小に帰着できる。ここで与えられた $\pi<3.2$ を使う。
- $\sqrt[4]{\dfrac18}=2^{-\frac34}$、 $\dfrac12=2^{-1}$ と表し、底 $2>1$ から $\sqrt[4]{\dfrac18}>\dfrac12$ を示す。
- $\dfrac12=\log_{11}\sqrt{11}$ と表す。
- $\pi<3.2$ から $\pi^2<10.24<11$、よって $\pi<\sqrt{11}$ を示し、底 $11>1$ から $\log_{11}\pi<\dfrac12$ を示す。
- 1と3から小さい順に並べる。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 12点
4個のさいころを区別すると、目の出方は全部で $6^4=1296$ 通り。
ちょうど3個のさいころの出る目が同じになるのは、3個そろう目を $a$、残り1個の目を $b$( $b\neq a$)とすると
・$a$ の決め方は6通り
・$b$ の決め方は $a$ 以外の5通り
・目が $b$ になるさいころの決め方は4通り
なので、その場合の数は
$$6\cdot5\cdot4=120\ \text{通り}$$
よって求める確率は
$$\dfrac{120}{1296}=\dfrac{5}{54}$$
答 $\dfrac{5}{54}$
別解(反復試行の確率)
3個そろう目を1つ決めると(たとえば1の目)、4個のうちちょうど3個が1の目になる確率は ${}_4\mathrm{C}_3\left(\dfrac16\right)^3\cdot\dfrac56=\dfrac{20}{1296}$。そろう目は6通りあり、これらは同時には起こらないので、求める確率は $6\cdot\dfrac{20}{1296}=\dfrac{5}{54}$。
(2) 配点 16点
$|A|\leqq B\iff-B\leqq A\leqq B$ より、与えられた不等式は
$$-(7-x)\leqq x^2+6x-1\leqq7-x$$
と同値である( $7-x<0$ のときは、もとの不等式も変形した後の連立不等式も成り立たない)。
右側の不等式は
$$x^2+6x-1\leqq7-x\iff x^2+7x-8\leqq0\iff(x+8)(x-1)\leqq0\iff-8\leqq x\leqq1\quad\cdots\cdots①$$
左側の不等式は
$$x-7\leqq x^2+6x-1\iff x^2+5x+6\geqq0\iff(x+3)(x+2)\geqq0\iff x\leqq-3,\ -2\leqq x\quad\cdots\cdots②$$
①と②の共通部分を求めて
答 $-8\leqq x\leqq-3,\quad-2\leqq x\leqq1$
(グラフで確かめると、 $y=|x^2+6x-1|$ と直線 $y=7-x$ は $x=-8,\,-3,\,-2,\,1$ で交わり、この4点の間で曲線が直線以下になるのは $-8\leqq x\leqq-3$ と $-2\leqq x\leqq1$ の部分である。 $x=-3$ では曲線の山の頂点 $(-3,\,10)$ を直線がちょうど通る)
別解(絶対値の中身の符号で場合分けする)
$x^2+6x-1=0$ の解は $x=-3\pm\sqrt{10}$。
・$x\leqq-3-\sqrt{10}$、 $-3+\sqrt{10}\leqq x$ のとき 不等式は $x^2+6x-1\leqq7-x$ で、①より $-8\leqq x\leqq1$。 $3<\sqrt{10}<4$ より $-8<-3-\sqrt{10}$、 $-3+\sqrt{10}<1$ なので、この場合の解は $-8\leqq x\leqq-3-\sqrt{10}$、 $-3+\sqrt{10}\leqq x\leqq1$
・$-3-\sqrt{10}<x<-3+\sqrt{10}$ のとき 不等式は $-(x^2+6x-1)\leqq7-x$ で、②より $x\leqq-3$、 $-2\leqq x$。この場合の解は $-3-\sqrt{10}<x\leqq-3$、 $-2\leqq x<-3+\sqrt{10}$
2つを合わせて $-8\leqq x\leqq-3$、 $-2\leqq x\leqq1$。教科書どおりの解き方だが、 $\sqrt{10}$ と整数の大小を比べる手間がかかるので、本解のほうが速い。
(3) 配点 12点
$$\sqrt[4]{\dfrac18}=\left(2^{-3}\right)^{\frac14}=2^{-\frac34},\qquad\dfrac12=2^{-1}$$
底2は1より大きく、 $-\dfrac34>-1$ なので
$$\sqrt[4]{\dfrac18}>\dfrac12$$
また $\dfrac12=\log_{11}11^{\frac12}=\log_{11}\sqrt{11}$。 $\pi<3.2$ より
$$\pi^2<3.2^2=10.24<11$$
$\pi>0$ なので $\pi<\sqrt{11}$。底11は1より大きいので
$$\log_{11}\pi<\log_{11}\sqrt{11}=\dfrac12$$
以上より
$$\log_{11}\pi<\dfrac12<\sqrt[4]{\dfrac18}$$
答 $\log_{11}\pi,\ \dfrac12,\ \sqrt[4]{\dfrac18}$(小さい順)
出題意図
(1) 場合の数は「何を決めれば1通りに決まるか」を順に選んで数えるという基本が理解できているか。「ちょうど3個」なので、4個とも同じ目になる場合を数えないように条件を正確に読むことができるか。
(2) 絶対値を含む不等式 $|A|\leqq B$ は $-B\leqq A\leqq B$ と同値という基本が理解できているか。2つの2次不等式の解を数直線上で正しく組み合わせることができるか。
(3) 底をそろえるという基本が押さえられているか。 $\sqrt[4]{\dfrac18}$ と $\dfrac12$ は底を2に、 $\log_{11}\pi$ と $\dfrac12$ は底を11にそろえて比べる。
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 15分 |
医学科の受験生なら満点が前提の小問集合。
ここで1点でも落とすと、ほかの受験生との差を取り返すのは難しい。
とくに (2) は $|A|\leqq B\iff-B\leqq A\leqq B$ を使えるかどうかで、かかる時間とミスの起こりやすさがまったく違う。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で残り1個の目を「そろう目以外の5通り」と決められるか:残り1個の目を6通りにすると4個とも同じ目の場合が入り、「ちょうど3個」の条件に反する。また、違う目のさいころがどれかの4通りをかけ忘れると $\dfrac{30}{1296}$ になってしまう。「何を決めれば1通りに決まるか」を順に書き出せば防げる。
- (3) で底をそろえて評価するという発想に行き着けるか:この小問で一番差がつく。3つをいきなり比べようとすると方針が立たない。 $\dfrac12$ を $2^{-1}$ と $\log_{11}\sqrt{11}$ の2通りに書きかえ、底をそろえれば、あとは $\pi^2<11$ を示すだけ。
2024年鹿児島大学医学部数学
第2問 解答・解説
第2問は三角関数・微分法(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「$x=\sin\theta-\cos\theta$ のおきかえで3次関数に直して求める最大・最小」。
問題


問題文をテキストで読む
次の関数を考える。
$$y=4\sin^3\theta-4\cos^3\theta+3\sqrt2\sin\theta\cos\theta\quad(0\leqq\theta<2\pi)$$
また、 $x=\sin\theta-\cos\theta$ とする。
(1) $x$ のとりうる値の範囲を求めよ。
(2) $y$ を $x$ の関数で表せ。
(3) $y$ の最大値と最小値を求めよ。また、そのときの $\theta$ の値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\sin\theta$ と $\cos\theta$ の1次式なので、合成すれば $\sin$ 1つの式になる。 $x=\sqrt2\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)$ で、 $0\leqq\theta<2\pi$ のとき $\theta-\dfrac{\pi}{4}$ は1周分の範囲を動くので、 $\sin$ は $-1$ から $1$ まですべての値をとる。


- $x=\sqrt2\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)$ と合成する。
- $-\dfrac{\pi}{4}\leqq\theta-\dfrac{\pi}{4}<\dfrac{7}{4}\pi$ から $-1\leqq\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)\leqq1$ を求め、 $x$ の範囲を答える。
【(2)の方針】
$\sin^3\theta-\cos^3\theta$ は $\sin\theta$ と $\cos\theta$ を入れかえると符号だけが変わる式(交代式)なので、 $a^3-b^3=(a-b)(a^2+ab+b^2)$ で因数分解すると $\sin\theta-\cos\theta=x$ がくくり出せる。残りは $\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ と $\sin\theta\cos\theta$ になる。 $\sin\theta\cos\theta$ は $x^2=1-2\sin\theta\cos\theta$ から $x$ で表せる。
- $x^2=1-2\sin\theta\cos\theta$ から $\sin\theta\cos\theta=\dfrac{1-x^2}{2}$ を求める。
- $\sin^3\theta-\cos^3\theta=(\sin\theta-\cos\theta)(1+\sin\theta\cos\theta)$ と因数分解し、 $x$ で表す。
- $y=4(\sin^3\theta-\cos^3\theta)+3\sqrt2\sin\theta\cos\theta$ に代入して整理する。
【(3)の方針】
(2) で $y$ は $x$ の3次関数になったので、(1) で求めた範囲 $-\sqrt2\leqq x\leqq\sqrt2$ の中で増減表を書けばよい。最大・最小の候補は極値と区間の両端。最後に $\theta$ を求めるときは、 $x=\sqrt2\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)$ に戻して三角方程式を解く。1つの $x$ に対して $\theta$ は2つあることが多い(下の図で、横線とグラフの交点が2つ)ので、すべて求める。


- (2) の式を微分し、 $y’=-3(2x-\sqrt2)(x+\sqrt2)$ と因数分解する。
- $-\sqrt2\leqq x\leqq\sqrt2$ で増減表を書き、極大値 $x=\dfrac{\sqrt2}{2}$ の値と、両端 $x=-\sqrt2$、 $x=\sqrt2$ の値を比べて最大値・最小値を求める。
- 最大のとき $\sqrt2\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)=\dfrac{\sqrt2}{2}$、最小のとき $\sqrt2\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)=-\sqrt2$ を、 $-\dfrac{\pi}{4}\leqq\theta-\dfrac{\pi}{4}<\dfrac{7}{4}\pi$ の範囲で解いて $\theta$ を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 8点
$$x=\sin\theta-\cos\theta=\sqrt2\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)$$
$0\leqq\theta<2\pi$ より $-\dfrac{\pi}{4}\leqq\theta-\dfrac{\pi}{4}<\dfrac{7}{4}\pi$ なので、 $-1\leqq\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)\leqq1$( $\theta=\dfrac{3}{4}\pi$ で $1$、 $\theta=\dfrac{7}{4}\pi$ で $-1$ をとる)。
答 $-\sqrt2\leqq x\leqq\sqrt2$
(2) 配点 14点
$x^2=\sin^2\theta-2\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta=1-2\sin\theta\cos\theta$ なので
$$\sin\theta\cos\theta=\dfrac{1-x^2}{2}$$
また
$$\sin^3\theta-\cos^3\theta=(\sin\theta-\cos\theta)(\sin^2\theta+\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta)=x\left(1+\dfrac{1-x^2}{2}\right)=\dfrac{x(3-x^2)}{2}$$
よって
$$y=4\cdot\dfrac{x(3-x^2)}{2}+3\sqrt2\cdot\dfrac{1-x^2}{2}=2x(3-x^2)+\dfrac{3\sqrt2}{2}(1-x^2)$$
答 $y=-2x^3-\dfrac{3\sqrt2}{2}x^2+6x+\dfrac{3\sqrt2}{2}$
(3) 配点 18点
$f(x)=-2x^3-\dfrac{3\sqrt2}{2}x^2+6x+\dfrac{3\sqrt2}{2}$ $\left(-\sqrt2\leqq x\leqq\sqrt2\right)$ とおくと
$$f'(x)=-6x^2-3\sqrt2x+6=-3(2x^2+\sqrt2x-2)=-3(2x-\sqrt2)(x+\sqrt2)$$
$$f\left(\dfrac{\sqrt2}{2}\right)=-\dfrac{\sqrt2}{2}-\dfrac{3\sqrt2}{4}+3\sqrt2+\dfrac{3\sqrt2}{2}=\dfrac{13\sqrt2}{4}$$
$$f(-\sqrt2)=4\sqrt2-3\sqrt2-6\sqrt2+\dfrac{3\sqrt2}{2}=-\dfrac{7\sqrt2}{2},\qquad f(\sqrt2)=-4\sqrt2-3\sqrt2+6\sqrt2+\dfrac{3\sqrt2}{2}=\dfrac{\sqrt2}{2}$$
増減は次のようになる。
| $x$ | $-\sqrt2$ | $\cdots$ | $\dfrac{\sqrt2}{2}$ | $\cdots$ | $\sqrt2$ |
|—|—|—|—|—|—|
| $f'(x)$ | $0$ | $+$ | $0$ | $-$ | |
| $f(x)$ | $-\dfrac{7\sqrt2}{2}$ | $\nearrow$ | $\dfrac{13\sqrt2}{4}$ | $\searrow$ | $\dfrac{\sqrt2}{2}$ |
よって $y$ は $x=\dfrac{\sqrt2}{2}$ のとき最大値 $\dfrac{13\sqrt2}{4}$ をとる。最小値は両端の値 $-\dfrac{7\sqrt2}{2}$ と $\dfrac{\sqrt2}{2}$ を比べて、 $x=-\sqrt2$ のとき $-\dfrac{7\sqrt2}{2}$。
次に $\theta$ を求める。 $x=\sqrt2\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)$、 $-\dfrac{\pi}{4}\leqq\theta-\dfrac{\pi}{4}<\dfrac{7}{4}\pi$ である。
・最大のとき $\sqrt2\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)=\dfrac{\sqrt2}{2}$ より $\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)=\dfrac12$。よって $\theta-\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\pi}{6},\ \dfrac{5}{6}\pi$、すなわち $\theta=\dfrac{5}{12}\pi,\ \dfrac{13}{12}\pi$
・最小のとき $\sqrt2\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)=-\sqrt2$ より $\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)=-1$。よって $\theta-\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{3}{2}\pi$、すなわち $\theta=\dfrac{7}{4}\pi$
答 $\theta=\dfrac{5}{12}\pi,\ \dfrac{13}{12}\pi$ のとき最大値 $\dfrac{13\sqrt2}{4}$、 $\theta=\dfrac{7}{4}\pi$ のとき最小値 $-\dfrac{7\sqrt2}{2}$
出題意図
(1) $\sin\theta-\cos\theta$ を合成して1つの三角関数にまとめ、角の範囲に注意して値の範囲を求められるか
(2) $\sin\theta$、 $\cos\theta$ の対称式・交代式は $\sin\theta-\cos\theta$ と $\sin\theta\cos\theta$ で表せるという基本が理解できているか
(3) おきかえた後の変数の範囲の中で3次関数の最大・最小を求め、さらに求めた $x$ の値から $\theta$ に戻せるか
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 20分 |
$\sin\theta-\cos\theta$ のおきかえによる最大・最小の典型問題。
おきかえの文字も範囲も (1)(2) で与えられているので、入試問題としては簡単。
問題集に出てきたら良問、という位置づけの問題で、ここは満点で通過したい。
差がつく所・失点しやすい所
- $\sin^3\theta-\cos^3\theta$ を $a^3-b^3=(a-b)(a^2+ab+b^2)$ で因数分解するという発想に行き着けるか:ここに気づけば (2) はすぐに終わる。気づかないと $\sin^3\theta$ と $\cos^3\theta$ を別々に扱おうとして方針が立たない。ただし鹿大医の受験生ならほぼ全員が気づくので、点差はつきにくい。
- (3) で区間の端を最小値の候補に入れられるか:極小値がない( $x=-\sqrt2$ は区間の左端)ので、「極値だけを比べる」と最小値を見落とす。増減表を区間の両端まで書けば防げる。
- 最大のときの $\theta$ を2つとも答えられるか:$\sin\left(\theta-\dfrac{\pi}{4}\right)=\dfrac12$ の解は2つある。 $\theta-\dfrac{\pi}{4}$ の範囲を $-\dfrac{\pi}{4}$ から $\dfrac{7}{4}\pi$ までと正しくずらしておかないと、解を落としたり、範囲外の解を答えたりする。
- おきかえた文字の範囲(定義域)を求めて使えるか:文字をおいたら必ず範囲を求める。範囲を求めずにすべての実数で考えると、最大・最小がずれる。この問題では (1) で範囲を求めさせているので、それを (3) で使えるかどうか。
- 計算ミス:$\sqrt2$ を含む3次式の値の計算で符号を間違えやすい。 $f(-\sqrt2)$ は $(-\sqrt2)^3=-2\sqrt2$ に注意する。完答が前提の問題なので、ここでの1つのミスがそのまま差になる。
2024年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択1) 解答・解説
第3問(選択1)は数列・2次関数/2次方程式の問題です。
テーマは「2次方程式の解で決まる数列と、3項間の漸化式」。
問題


問題文をテキストで読む
$c\geqq3$ である実数 $c$ に対して、 $x$ の2次方程式
$$x^2-2(c+1)x+c^2-2c+9=0\quad\cdots\cdots①$$
を考える。
(1) 2次方程式①は、 $c$ より大きい実数解と $c$ より小さい実数解をもつことを示せ。
(1)の結果を用いて、次のように数列 $\{a_n\}$ を定める。 $a_1=3$ とする。 $c=a_1$ のときの方程式①の実数解のうち、 $a_1$ より大きい方を $a_2$ とおく。次に $a_2>3$ が成り立つことに注意して、 $c=a_2$ のときの方程式①の実数解のうち、 $a_2$ より大きい方を $a_3$ とおく。これを繰り返す。すなわち、 $3=a_1<a_2<\cdots<a_{n-1}<a_n$ が成り立ち、2次方程式
$$x^2-2(a_n+1)x+a_n^2-2a_n+9=0\quad\cdots\cdots②$$
の実数解のうち、大きい方が $a_{n+1}$ である。
(2) $n\geqq2$ とする。2次方程式②の実数解のうち、小さい方は $a_{n-1}$ であることを示せ。
(3) 数列 $\{a_n\}$ が次の漸化式を満たすことを示せ。
$$a_{n+1}=2a_n-a_{n-1}+2\quad(n=2,\ 3,\ \cdots)$$
(4) 数列 $\{b_n\}$ を
$$b_n=a_{n+1}-a_n\quad(n=1,\ 2,\ \cdots)$$
と定めるとき、数列 $\{b_n\}$ と数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
①の左辺を $f(x)$ とおくと、 $y=f(x)$ は下に凸の放物線。「 $c$ より大きい解と小さい解を1つずつもつ」⟺「 $f(c)<0$」(解の配置の基本)。判別式で実数解をもつことを示し、2つの解を $c$ と比べるより、 $f(c)$ の符号を1つ調べる方が速い。


- ①の左辺を $f(x)$ とおき、 $f(c)=9-4c$ を求める。
- $c\geqq3$ から $f(c)<0$ を示す。
- $y=f(x)$ は下に凸の放物線で $f(c)<0$ なので、 $x$ 軸と $x<c$、 $x>c$ の部分で1回ずつ交わると結論する。
【(2)の方針】
「小さい方の解は $a_{n-1}$」を示すには、②に $x=a_{n-1}$ を代入して0になることを確かめればよい。使える条件は「 $a_n$ は $c=a_{n-1}$ のときの方程式の解」という1つだけで、これを式にすると
$$a_n^2-2(a_{n-1}+1)a_n+a_{n-1}^2-2a_{n-1}+9=0$$
展開すると $a_n^2+a_{n-1}^2-2a_na_{n-1}-2a_n-2a_{n-1}+9=0$ となり、 $a_n$ と $a_{n-1}$ を入れかえても変わらない式になっている。だから $x=a_{n-1}$ を②に代入した式も同じ形になり、0になる。解であることが示せたら、(1) の「 $a_n$ より小さい解はちょうど1つ」と $a_{n-1}<a_n$ から、小さい方の解だと決まる。
- $a_n$ が $c=a_{n-1}$ のときの方程式①の解であることから、 $a_n^2+a_{n-1}^2-2a_na_{n-1}-2a_n-2a_{n-1}+9=0$ を導く。
- ②の左辺に $x=a_{n-1}$ を代入して展開し、手順1の式と同じ式になることから0になることを示す。
- $a_n\geqq3$ なので (1) より②は $a_n$ より小さい解をちょうど1つもつ。 $a_{n-1}<a_n$ なので、 $a_{n-1}$ がその小さい方の解であると結論する。
【(3)の方針】
(2) で②の2つの解が $a_{n-1}$ と $a_{n+1}$ だと分かった。2つの解が分かったら解と係数の関係。解の和が $2(a_n+1)$ なので、そのまま漸化式になる。
- ②の2つの解が $a_{n-1}$、 $a_{n+1}$ であることから、解と係数の関係で $a_{n-1}+a_{n+1}=2(a_n+1)$ を求める。
- $a_{n+1}$ について解いて、与えられた漸化式と一致することを示す。
【(4)の方針】
(3) の漸化式は $a_{n+1}-a_n=(a_n-a_{n-1})+2$ と書きかえられる。つまり階差数列 $b_n$ が公差2の等差数列。初項 $b_1=a_2-a_1$ は、 $c=3$ のときの①を実際に解けば求まる。
- $c=3$ のときの①を解いて $a_2=6$、 $b_1=3$ を求める。
- (3) の漸化式から $b_{n+1}=b_n+2$ を示し、 $b_n$ を求める。
- $n\geqq2$ のとき $a_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}b_k$ で $a_n$ を求め、 $n=1$ でも成り立つことを確かめる。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 8点
①の左辺を $f(x)$ とおくと
$$f(c)=c^2-2(c+1)c+c^2-2c+9=9-4c$$
$c\geqq3$ より $f(c)=9-4c\leqq-3<0$。
$y=f(x)$ は下に凸の放物線で、 $f(c)<0$ なので、 $x$ 軸と $x<c$ の部分、 $x>c$ の部分でそれぞれ1回ずつ交わる。よって①は、 $c$ より大きい実数解と $c$ より小さい実数解をもつ。(終)
(2) 配点 12点
$n\geqq2$ とする。 $a_n$ は $c=a_{n-1}$ のときの方程式①の解なので
$$a_n^2-2(a_{n-1}+1)a_n+a_{n-1}^2-2a_{n-1}+9=0$$
展開すると
$$a_n^2+a_{n-1}^2-2a_na_{n-1}-2a_n-2a_{n-1}+9=0\quad\cdots\cdots③$$
②の左辺に $x=a_{n-1}$ を代入すると
$$a_{n-1}^2-2(a_n+1)a_{n-1}+a_n^2-2a_n+9=a_n^2+a_{n-1}^2-2a_na_{n-1}-2a_n-2a_{n-1}+9$$
で、③よりこれは0である。よって $a_{n-1}$ は②の解である。
$a_n\geqq3$ なので、(1) より②は $a_n$ より小さい実数解と $a_n$ より大きい実数解を1つずつもつ。 $a_{n-1}<a_n$ なので、 $a_{n-1}$ は $a_n$ より小さい方の解、すなわち②の実数解のうち小さい方である。(終)
(例: $n=2$ のとき、②は $x^2-14x+33=0$ で、解は $x=3,\ 11$。小さい方が $a_1=3$、大きい方が $a_3=11$ になっている)
(3) 配点 8点
$n\geqq2$ のとき、(2) より②の2つの解は $a_{n-1}$ と $a_{n+1}$ である。
解と係数の関係より
$$a_{n-1}+a_{n+1}=2(a_n+1)$$
よって $a_{n+1}=2a_n-a_{n-1}+2\quad(n=2,\ 3,\ \cdots)$。(終)
(4) 配点 12点
$c=a_1=3$ のとき、①は $x^2-8x+12=0$、すなわち $(x-2)(x-6)=0$。大きい方の解なので $a_2=6$。よって $b_1=a_2-a_1=3$。
(3) の漸化式で $n$ を $n+1$ にすると、 $n\geqq1$ で $a_{n+2}=2a_{n+1}-a_n+2$。これを変形すると
$$a_{n+2}-a_{n+1}=(a_{n+1}-a_n)+2$$
すなわち $b_{n+1}=b_n+2\quad(n=1,\ 2,\ \cdots)$。数列 $\{b_n\}$ は初項3、公差2の等差数列なので
$$b_n=3+2(n-1)=2n+1$$
$n\geqq2$ のとき
$$a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k=3+\sum_{k=1}^{n-1}(2k+1)=3+(n-1)n+(n-1)=n^2+2$$
これは $n=1$ のときも $a_1=3$ をみたす。
答 $b_n=2n+1,\quad a_n=n^2+2$
(4) の別解(解を直接求めて $\sqrt{a_n-2}$ に注目する)
①の解は、判別式 $\dfrac{D}{4}=(c+1)^2-(c^2-2c+9)=4c-8$ より $x=c+1\pm2\sqrt{c-2}$。大きい方が $a_{n+1}$ なので
$$a_{n+1}=a_n+1+2\sqrt{a_n-2}\iff a_{n+1}-2=\left(\sqrt{a_n-2}+1\right)^2$$
$a_n\geqq3$ より $\sqrt{a_n-2}>0$ なので、 $\sqrt{a_{n+1}-2}=\sqrt{a_n-2}+1$。数列 $\left\{\sqrt{a_n-2}\right\}$ は初項 $\sqrt{a_1-2}=1$、公差1の等差数列なので $\sqrt{a_n-2}=n$、すなわち $a_n=n^2+2$。 $b_n=(n+1)^2+2-(n^2+2)=2n+1$。
((2)(3) を使わずに求められる。本番で (2) の示し方が浮かばなかったときも、(4) はこの方法で答えにたどり着ける。ただし問題は (3) の漸化式を使う流れを想定しているので、本解で書くのが自然)
出題意図
(1) 「 $c$ をはさんで2つの実数解をもつ」を、 $f(c)<0$ という解の配置の条件に言いかえられるか
(2) 「 $a_{n-1}$ が②の解である」ことを、 $a_n$ が1つ前の方程式の解であるという条件式を使って確かめられるか。その条件式が $a_n$ と $a_{n-1}$ について対称な形であることを捉えることができるか。
(3) 2つの解が分かれば、解と係数の関係で解の和から漸化式が導けることに気づけるか
(4) $a_{n+1}-2a_n+a_{n-1}=2$ 型の3項間漸化式を、階差数列 $b_n$ の漸化式に直して一般項を求めるという基本が理解できているか
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 |
設定を読み解くのが面倒な問題で、とくに (2) の設定が読みにくい。
やっていること自体は難しくないが、選択問題としては基本的に選ばない。
選んだとしても、鹿児島大学医学部の問題は誘導が丁寧で、(3) が解けなくても (4) は解けるので、大きなダメージにはならない。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で「②に $x=a_{n-1}$ を代入して確かめる」という発想に行き着けるか:②の解を解の公式で求めようとすると $\sqrt{a_n-2}$ が現れて、そこから $a_{n-1}$ と結びつけられずに方針が立たない受験生が多いと思われる。「 $a_n$ が1つ前の方程式の解」という条件式を書き、それが $a_n$ と $a_{n-1}$ について対称な式だと気づけば、代入するだけで示せる。この問題で大きく差がつくのはここだけ。
- (2) の「小さい方」の論証の抜け: $a_{n-1}$ が解であることを示しただけで終えると減点。(1) と $a_{n-1}<a_n$ を使って「小さい方」まで言い切る。
- (2) が示せなくても (3)(4) は解ける:(3) は (2) の結果を認めれば解と係数の関係ですぐに示せる。(4) は (3) の漸化式から計算するだけ。(2) で止まったまま (3)(4) を解かずに次の問題へ進むと、大きく失点する。
- (4) の $b_1$: $a_2$ を実際に求めないと $b_1$ が決まらない。 $c=3$ のとき①の解は2と6で、大きい方の6が $a_2$。
2024年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択2) 解答・解説
第3問(選択2)は空間ベクトルの問題です。
テーマは「空間の2直線のなす角、2直線が交わるかどうか、2直線の両方と直交する直線(共通垂線)」。
問題


問題文をテキストで読む
座標空間において、点 $\mathrm{A}(2,\,0,\,4)$、点 $\mathrm{B}(3,\,-2,\,5)$ を通る直線を $l$、点 $\mathrm{C}(3,\,2,\,2)$、点 $\mathrm{D}(4,\,3,\,0)$ を通る直線を $m$ とする。
(1) 2つのベクトル $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ のなす角を、 $0^\circ$ と $180^\circ$ の間の範囲で答えよ。
(2) 直線 $l$、 $m$ が交わるか交わらないか調べよ。
(3) 直線 $l$、 $m$ の両方と交わり、両方と直交する直線を $n$ とする。 $n$ と $l$ の交点、および $n$ と $m$ の交点を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
なす角は内積の定義 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}=\left|\overrightarrow{\mathrm{AB}}\right|\left|\overrightarrow{\mathrm{CD}}\right|\cos\theta$ から $\cos\theta$ を求めて決める。成分が分かっているので、内積も大きさも成分の計算で求められる。
- $\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(1,\,-2,\,1)$、 $\overrightarrow{\mathrm{CD}}=(1,\,1,\,-2)$ を求める。
- 内積 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ と、大きさ $\left|\overrightarrow{\mathrm{AB}}\right|$、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{CD}}\right|$ を求める。
- $\cos\theta=\dfrac{\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}}{\left|\overrightarrow{\mathrm{AB}}\right|\left|\overrightarrow{\mathrm{CD}}\right|}$ から $\theta$ を求める。
【(2)の方針】
2直線が交わる $\iff$ $l$ 上の点と $m$ 上の点で一致するものがある。 $l$ 上の点を $s$、 $m$ 上の点を $t$ という別の文字で表し、成分を比べる。文字は $s$、 $t$ の2つ、式は $x$、 $y$、 $z$ 成分の3つなので、2つの式から $s$、 $t$ を決め、残りの1つの式をみたすかを確かめる。みたさなければ交わらない。(1) から $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ は平行でないので、 $l$ と $m$ は平行でもない(ねじれの位置になる)。
- $l$ 上の点を $(2+s,\,-2s,\,4+s)$、 $m$ 上の点を $(3+t,\,2+t,\,2-2t)$ と表す( $s$、 $t$ は実数)。
- $x$ 成分と $y$ 成分が等しいという2つの式から $s=-\dfrac13$、 $t=-\dfrac43$ を求める。
- この $s$、 $t$ で $z$ 成分が一致しないことを確かめ、交わらないと結論する。
【(3)の方針】
$n$ は $l$、 $m$ の両方と直交するので、 $n$ の方向ベクトル $\vec{v}$ は $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ の両方と内積0。この2式から $\vec{v}=(1,\,1,\,1)$ がすぐに決まる。交点 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{Q}$ を (2) と同じく $s$、 $t$ で表し、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=k\vec{v}$ とおけば、あとは連立1次方程式を解くだけ。 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ はどちらも $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ に垂直なので、 $n$ の向きから見ると $l$ と $m$ は $\mathrm{P}$ と $\mathrm{Q}$ が重なる点で交わって見え、そのなす角は (1) の $120^\circ$ になる。


(直線 $n$ の向きから見た図。 $l$、 $m$ は交わらないが、この向きから見ると $\mathrm{P}$ と $\mathrm{Q}$ が重なり、交わって見える)
- $n$ の方向ベクトルを $\vec{v}=(a,\,b,\,c)$ とし、 $\vec{v}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=0$、 $\vec{v}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}=0$ から $\vec{v}=(1,\,1,\,1)$ を求める。
- $\mathrm{P}(2+s,\,-2s,\,4+s)$、 $\mathrm{Q}(3+t,\,2+t,\,2-2t)$ とおき、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=k\vec{v}$ を成分で書く。
- 3つの式から $s$、 $t$、 $k$ を求め、 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{Q}$ の座標を求める。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$$\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(3-2,\,-2-0,\,5-4)=(1,\,-2,\,1),\qquad\overrightarrow{\mathrm{CD}}=(4-3,\,3-2,\,0-2)=(1,\,1,\,-2)$$
$$\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}=1\cdot1+(-2)\cdot1+1\cdot(-2)=-3,\qquad\left|\overrightarrow{\mathrm{AB}}\right|=\left|\overrightarrow{\mathrm{CD}}\right|=\sqrt{1+4+1}=\sqrt6$$
なす角を $\theta$( $0^\circ\leqq\theta\leqq180^\circ$)とすると
$$\cos\theta=\dfrac{-3}{\sqrt6\cdot\sqrt6}=-\dfrac12$$
答 $120^\circ$
(2) 配点 12点
直線 $l$ 上の点は、実数 $s$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{OA}}+s\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(2+s,\,-2s,\,4+s)$、直線 $m$ 上の点は、実数 $t$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{OC}}+t\overrightarrow{\mathrm{CD}}=(3+t,\,2+t,\,2-2t)$ と表せる。
$l$ と $m$ が交わるとすると、ある $s$、 $t$ で
$$2+s=3+t\quad\cdots\cdots①,\qquad-2s=2+t\quad\cdots\cdots②,\qquad4+s=2-2t\quad\cdots\cdots③$$
がすべて成り立つ。①より $s=t+1$。これを②に代入すると $-2t-2=2+t$ なので $t=-\dfrac43$、 $s=-\dfrac13$。
このとき③の左辺は $4-\dfrac13=\dfrac{11}{3}$、右辺は $2+\dfrac83=\dfrac{14}{3}$ で、③は成り立たない。よって①②③をすべてみたす $s$、 $t$ は存在しない。
答 直線 $l$、 $m$ は交わらない
((1) より $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ は平行でないので、 $l$ と $m$ は平行でもない。 $l$ と $m$ はねじれの位置にある)
(3) 配点 18点
$n$ の方向ベクトルを $\vec{v}=(a,\,b,\,c)$ とする。 $n$ は $l$、 $m$ の両方と直交するので
$$\vec{v}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=a-2b+c=0,\qquad\vec{v}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}=a+b-2c=0$$
2つの式を引くと $-3b+3c=0$ なので $b=c$、さらに $a=b$。よって $\vec{v}=(1,\,1,\,1)$ としてよい。
$n$ と $l$ の交点を $\mathrm{P}$、 $n$ と $m$ の交点を $\mathrm{Q}$ とすると、(2) と同じく実数 $s$、 $t$ を用いて $\mathrm{P}(2+s,\,-2s,\,4+s)$、 $\mathrm{Q}(3+t,\,2+t,\,2-2t)$ と表せる。(2) より $\mathrm{P}\neq\mathrm{Q}$ で、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=k\vec{v}$( $k$ は実数)とおけるので
$$1+t-s=k,\qquad2+t+2s=k,\qquad-2-2t-s=k$$
1つめの式と3つめの式の差から $3+3t=0$ なので $t=-1$。すると1つめの式は $-s=k$、2つめの式は $1+2s=k$ なので $s=-\dfrac13$、 $k=\dfrac13$。
よって
$$\mathrm{P}\left(\dfrac53,\,\dfrac23,\,\dfrac{11}{3}\right),\qquad\mathrm{Q}(2,\,1,\,4)$$
答 $n$ と $l$ の交点 $\left(\dfrac53,\,\dfrac23,\,\dfrac{11}{3}\right)$、 $n$ と $m$ の交点 $(2,\,1,\,4)$
( $m$ は $l$ の奥を通っていて、 $l$ と $m$ は交わらない。 $\mathrm{PQ}$ が $l$、 $m$ の両方に垂直な線分で、その長さ $\dfrac{\sqrt3}{3}$ が $l$ と $m$ の距離になる)
別解( $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ と2本の方向ベクトルの内積を0にする)
$\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=(1+t-s,\ 2+t+2s,\ -2-2t-s)$ について、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AB}}=-6s-3t-5=0$、 $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{CD}}=3s+6t+7=0$。この連立方程式を解いて $s=-\dfrac13$、 $t=-1$ となり、同じ $\mathrm{P}$、 $\mathrm{Q}$ が求められる。
出題意図
(1) 2つのベクトルのなす角は、内積と大きさから $\cos\theta$ を求めて決めるという基本が理解できているか
(2) 直線上の点を1つの文字(媒介変数)で表し、2直線の共有点を連立方程式の解の有無として調べることができるか。文字2つに式3つなので、2つの式で文字を決めて残りの1つの式で確かめる、という処理を捉えることができるか。
(3) 直線 $n$ と $l$、 $m$ の交点を $l$、 $m$ 上の点として文字でおき、「直交する」を方向ベクトルとの内積が0という式に直せるか
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 |
パッと見は一番簡単そうに見えるが、(2) の「交わらない」の処理で差がつく。
(2) は最悪落としてもよいので、(1)(3) で30点を取る。
選択問題としては選択3(確率)のほうが解きやすい。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で「交わらない」をどう処理するか:この問題で一番差がつく所。同じ文字 $t$ で表すと「同じ時刻に同じ場所にいるか」を調べることになり、交わるかどうかの判定にならない。教科書でも注意される、空間の2直線で最も多い誤り。
- (2) で3つの式すべてを確かめられるか:2つの式から $s$、 $t$ を求めたところで「解があるので交わる」としてしまう失点が多いと思われる。文字が2つで式が3つなので、残りの1つで確かめるまでが答案。
- (3) で先に $n$ の方向ベクトルを求めるという発想に行き着けるか:方向ベクトルが $(1,\,1,\,1)$ ときれいに決まるので、あとは連立1次方程式を解くだけ。計算は軽いので、答えの $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}$ が $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{CD}}$ の両方と内積0になるかを代入して確かめれば、計算ミスはすぐに見つかる。
2024年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択3) 解答・解説
第3問(選択3)は確率・確率分布と期待値の問題です。
テーマは「$-1$、 $0$、 $1$ のカードから2枚取り出すときの確率と、積 $XY$ の期待値が正になる条件」。
問題


問題文をテキストで読む
袋の中に $-1$、 $0$、 $1$ が書かれたカードがそれぞれ1枚、1枚、 $m$ 枚ずつ入っている。ただし、 $m$ は自然数である。この袋の中から無作為に2枚同時に取り出す。取り出されたカードに書かれた数字をそれぞれ $X$、 $Y$ とする。ただし、 $X\leqq Y$ とする。
(1) $m=2$ のとき、確率 $P(X\geqq0)$ を求めよ。
(2) $m=9$ のとき、確率 $P(Y=1)$ を求めよ。
(3) $XY$ の期待値 $E(XY)$ が正となるような $m$ のうち、最小のものを求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
数字が同じでもカードは別の物なので、4枚のカードをすべて区別して数える。このとき2枚の取り出し方 ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りはどれも同様に確からしい。 $X$ は小さい方の数字なので、 $X\geqq0$ ⇔ $-1$ のカードを取り出さないと言いかえられる。
- カード4枚( $-1$ が1枚、 $0$ が1枚、 $1$ が2枚)をすべて区別し、2枚の取り出し方 ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りが同様に確からしいとする。
- $X\geqq0$ は「 $-1$ 以外の3枚から2枚を取り出す」ことなので、 ${}_3\mathrm{C}_2=3$ 通り。
- $\dfrac{3}{6}$ を約分して答える。
【(2)の方針】
$Y$ は大きい方の数字なので、 $Y=1$ ⇔ $1$ のカードを少なくとも1枚取り出す。「少なくとも1枚」は場合が多いので、余事象「 $1$ のカードを1枚も取り出さない」を数える。これは「 $-1$ と $0$ を取り出す」の1通りしかない。
- カード11枚をすべて区別し、2枚の取り出し方 ${}_{11}\mathrm{C}_2=55$ 通りが同様に確からしいとする。
- 余事象「 $-1$ と $0$ を取り出す」は1通りなので、その確率は $\dfrac{1}{55}$。
- 1から引いて答える。
【(3)の方針】
取り出した2枚の数字の組は「 $-1$ と $0$」「 $-1$ と $1$」「 $0$ と $1$」「 $1$ と $1$」の4種類しかなく、 $XY$ はそれぞれ $0$、 $-1$、 $0$、 $1$。 $XY=0$ の組は期待値に効かないので、期待値の符号は「 $XY=1$ の組の数( ${}_m\mathrm{C}_2$ 通り)」と「 $XY=-1$ の組の数( $m$ 通り)」の大小だけで決まる。 $m$ が大きくなると $1$ と $1$ の組が急に増えるので、ある $m$ から先で期待値が正になると見当がつく。


- カード $m+2$ 枚をすべて区別し、2枚の取り出し方 ${}_{m+2}\mathrm{C}_2=\dfrac{(m+2)(m+1)}{2}$ 通りが同様に確からしいとする。
- 4種類の組の場合の数と $XY$ の値を表にまとめる(合計が ${}_{m+2}\mathrm{C}_2$ になることを確かめる)。
- $E(XY)=\dfrac{1\cdot{}_m\mathrm{C}_2+(-1)\cdot m}{{}_{m+2}\mathrm{C}_2}=\dfrac{m(m-3)}{(m+1)(m+2)}$ と表す。
- 分母は正なので、 $E(XY)>0$ ⇔ $m(m-3)>0$ ⇔ $m>3$。これをみたす最小の自然数 $m$ を答える。
解答


解答をテキストで読む
数字が同じカードも1枚ずつ区別して考える。袋の中のカードは全部で $m+2$ 枚で、2枚の取り出し方 ${}_{m+2}\mathrm{C}_2$ 通りはどれも同様に確からしい。 $X$ は取り出した2枚の小さい方の数字、 $Y$ は大きい方の数字である。
(1) 配点 10点
$m=2$ のとき、カードは4枚で、2枚の取り出し方は ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通り。
$X\geqq0$ となるのは、 $-1$ のカードを取り出さないときである。
これは $-1$ 以外の3枚( $0$ が1枚、 $1$ が2枚)から2枚を取り出す場合で、 ${}_3\mathrm{C}_2=3$ 通り。
よって
$$P(X\geqq0)=\dfrac{3}{6}$$
答 $\dfrac{1}{2}$
(2) 配点 12点
$m=9$ のとき、カードは11枚で、2枚の取り出し方は ${}_{11}\mathrm{C}_2=55$ 通り。
$Y=1$ となるのは、 $1$ のカードを少なくとも1枚取り出すときである。その余事象は「 $1$ のカードを1枚も取り出さない」、すなわち「 $-1$ と $0$ を1枚ずつ取り出す」ことで、これは1通り。
よって
$$P(Y=1)=1-\dfrac{1}{55}$$
答 $\dfrac{54}{55}$
(3) 配点 18点
取り出した2枚の数字の組で分けると、次の4種類になる。
| 組( $X$、 $Y$) | $(-1,\ 0)$ | $(-1,\ 1)$ | $(0,\ 1)$ | $(1,\ 1)$ |
|—|—|—|—|—|
| 取り出し方 | $1$ | $m$ | $m$ | ${}_m\mathrm{C}_2=\dfrac{m(m-1)}{2}$ |
| $XY$ | $0$ | $-1$ | $0$ | $1$ |
(合計は $1+2m+\dfrac{m(m-1)}{2}=\dfrac{m^2+3m+2}{2}=\dfrac{(m+2)(m+1)}{2}={}_{m+2}\mathrm{C}_2$ で、もれも重なりもない。 $m=1$ のときも ${}_1\mathrm{C}_2=0$ として成り立つ)
よって
$$E(XY)=\dfrac{1\cdot\dfrac{m(m-1)}{2}+(-1)\cdot m}{\dfrac{(m+2)(m+1)}{2}}=\dfrac{m(m-1)-2m}{(m+2)(m+1)}=\dfrac{m(m-3)}{(m+1)(m+2)}$$
$m$ は自然数なので分母 $(m+1)(m+2)$ と $m$ は正。よって
$$E(XY)>0\iff m-3>0\iff m>3$$
$m=3$ のときは $E(XY)=0$ で、正にならない。
答 $m=4$
出題意図
(1)(2) 条件をどれだけ言いかえられるか。「 $X\geqq0$」は「 $-1$ が出ない」、「 $Y=1$」は「 $1$ が少なくとも1枚出る」と言いかえる。そのうえで、同じ数字のカードも1枚ずつ区別して、2枚の取り出し方 ${}_{m+2}\mathrm{C}_2$ 通りが同様に確からしいとして数えられるか。「 $X\geqq0$」「 $Y=1$」を、取り出したカードの中身の条件に言いかえられるか。
(3) 「期待値が正」がどういう状況かを言いかえ、 $XY$ の値ごとに取り出し方を整理し、期待値を $m$ の式で表して $m$ の不等式に帰着できるか
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 20分 |
パッと見は選択2(ベクトル)が簡単そうに見えるが、一番解きやすいのはこの確率。
条件を言いかえるだけで解ける。
確実に合格点をもぎ取るなら、どれを選ぶかを時間をかけて吟味し、この問題を選べるかどうかがまず大事。
差がつく所・失点しやすい所
- 同じ数字のカードも区別して数えるという発想に行き着けるか:数字の組 $(X,Y)$ の4種類をどれも同様に確からしいとすると、(2) は $\dfrac{3}{4}$ のような誤答になる。(1) は $m=2$ なので偶然 $\dfrac{1}{2}$ と答えが合うが、考え方が誤っているので (3) で必ず崩れる。
- $XY=0$ の組を期待値の計算から外せるか:4種類すべての確率を求めなくても、 $XY=\pm1$ の2種類だけで期待値が決まる。これに気づけば計算量はかなり減る。
- $m=3$ の扱い:$m(m-3)\geqq0$ と不等号を取り違えると $m=3$ と答えてしまう。 $m=3$ のとき $E(XY)=0$ で「正」にならないことを確かめられるかで大きく差がつく。
2024年鹿児島大学医学部数学
第4問 解答・解説
第4問は図形と方程式・積分法(数学Ⅱ)・微分法(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「横向きの放物線に原点から引いた接線、接点で接する円と放物線の共有点の個数、囲まれた部分の面積」。
問題


問題文をテキストで読む
座標平面上で、放物線 $C$ が次の方程式で与えられている。
$$C:\quad4x-4y^2-3=0$$
原点 $\mathrm{O}$ から放物線 $C$ に引いた接線で、傾きが正のものを $l$ とする。また、直線 $l$ と放物線 $C$ との共有点を $\mathrm{A}$ とする。
(1) 直線 $l$ の方程式、および $\mathrm{A}$ の座標を求めよ。
(2) 直線 $l$ と点 $\mathrm{A}$ で接する円で、放物線 $C$ との共有点が2個であるものを求めよ。
(3) 放物線 $C$、直線 $l$ および $x$ 軸で囲まれた部分の面積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$C$ は $x=y^2+\dfrac34$ と書けるので、頂点 $\left(\dfrac34,\ 0\right)$ で右に開いた放物線。 $x$ が $y$ の関数になっているので、接点を $(t^2+\dfrac34,\ t)$ とおき、 $\dfrac{dx}{dy}=2y$ を使って接線を $x=(\ \ )y+(\ \ )$ の形で表す。これが原点を通る条件から $t$ を求める。原点からは $C$ に2本の接線が引け、上下対称なので傾きが正の方を選ぶ。


- 接点を $(t^2+\dfrac34,\ t)$ とおき、接線 $x=2ty-t^2+\dfrac34$ を求める。
- 原点を通る条件 $-t^2+\dfrac34=0$ から $t=\pm\dfrac{\sqrt3}{2}$ を求める。
- 傾きが正になる $t=\dfrac{\sqrt3}{2}$ を選び、 $l$ の方程式と接点 $\mathrm{A}$ を求める。
【(2)の方針】
直線 $l$ と点 $\mathrm{A}$ で接する円の中心は、$\mathrm{A}$ を通り $l$ に垂直な直線上にある。中心の $x$ 座標を $a$ とおけば、中心と半径が $a$ だけで表せる。放物線 $C$ も $\mathrm{A}$ で $l$ に接しているので、円と $C$ は $\mathrm{A}$ で接する。そのため、 $x=y^2+\dfrac34$ を円の方程式に代入した $y$ の4次方程式は $y=\dfrac{\sqrt3}{2}$ を重解にもち、 $\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2$ で割り切れる。残りは $y$ の2次方程式になる。 $C$ 上の点は $y$ 座標で1つに決まるので、共有点の個数は4次方程式の異なる実数解の個数。残りの2次方程式について「実数解をもたない」「 $y=\dfrac{\sqrt3}{2}$ 以外の重解」「 $y=\dfrac{\sqrt3}{2}$ ともう1つの解」「 $y=\dfrac{\sqrt3}{2}$ 以外の異なる2解」を見分ければ、個数が2個になる場合が漏れなく求まる。


上下対称な位置で $C$ に接する小さい円 $(x-2)^2+y^2=1$ はすぐに見つかるが、$\mathrm{A}$ で3重に接し、もう1点で交わる大きい円もある。図を見て1つに決めつけず、式で数え上げる。
- $\mathrm{A}$ を通り $l$ に垂直な直線 $y=-\sqrt3x+2\sqrt3$ 上に中心 $(a,\ \sqrt3(2-a))$ をとり、半径が $|2a-3|$( $a\neq\dfrac32$)であることを求める。
- 円の方程式に $x=y^2+\dfrac34$ を代入し、4次方程式を $(y^2-\sqrt3y+\dfrac34)(y^2+\sqrt3y+\dfrac{19}{4}-2a)=0$ と因数分解する。
- 共有点の個数は異なる実数解の個数であることを確認し、 $g(y)=y^2+\sqrt3y+\dfrac{19}{4}-2a$ の判別式 $D=8a-16$ と $g\left(\dfrac{\sqrt3}{2}\right)=7-2a$ で場合を分けて、個数が2個になる $a$ を求める。
- $a=2$、 $a=\dfrac72$ のときの円の方程式を答える。
【(3)の方針】
囲まれた部分は、 $0\leqq y\leqq\dfrac{\sqrt3}{2}$ の各 $y$ で、左端が直線 $l$( $x=\sqrt3y$)、右端が放物線 $C$( $x=y^2+\dfrac34$)。横に切ると左右の境界が1種類ずつなので、 $y$ 方向に積分すれば1本の式で済む。 $x$ 方向に積分すると $x=\dfrac34$ で下側の境界が $x$ 軸から放物線に変わり、2つに分けて $\sqrt{x-\dfrac34}$ を積分することになる。さらに、 $C$ と $l$ は $y=\dfrac{\sqrt3}{2}$ で接しているので、(右端)$-$(左端)は $\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2$ になる。


- $0\leqq y\leqq\dfrac{\sqrt3}{2}$ で $y^2+\dfrac34-\sqrt3y=\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2\geqq0$ を確かめる。
- $\displaystyle\int_0^{\frac{\sqrt3}{2}}\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2dy$ を計算する。
解答






解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$C$ の方程式は $x=y^2+\dfrac34$ と書ける。 $C$ 上の点 $(t^2+\dfrac34,\ t)$ における接線は、 $\dfrac{dx}{dy}=2y$ より
$$x-\left(t^2+\dfrac34\right)=2t(y-t)\quad\text{すなわち}\quad x=2ty-t^2+\dfrac34$$
これが原点を通る条件は $0=-t^2+\dfrac34$ なので $t=\pm\dfrac{\sqrt3}{2}$。
$t=\dfrac{\sqrt3}{2}$ のとき接線は $x=\sqrt3y$、すなわち $y=\dfrac{1}{\sqrt3}x$ で傾きは正。 $t=-\dfrac{\sqrt3}{2}$ のとき $y=-\dfrac{1}{\sqrt3}x$ で傾きは負。よって $l$ は $t=\dfrac{\sqrt3}{2}$ の接線で、接点は $\left(\dfrac34+\dfrac34,\ \dfrac{\sqrt3}{2}\right)$。
答 $l:\ y=\dfrac{1}{\sqrt3}x$、 $\mathrm{A}\left(\dfrac32,\ \dfrac{\sqrt3}{2}\right)$
(1) の別解(重解条件)
$C$ は $x=\dfrac34$ より左に点をもたないので、 $y$ 軸( $x=0$)は接線でない。 $l$ を $y=mx$( $m>0$)とおくと、 $x=\dfrac{y}{m}$ を $C$ に代入して $4y^2-\dfrac{4}{m}y+3=0$。これが重解をもつ条件は $\dfrac{4}{m^2}-12=0$ なので $m=\dfrac{1}{\sqrt3}$。重解は $y=\dfrac{1}{2m}=\dfrac{\sqrt3}{2}$、 $x=\sqrt3y=\dfrac32$。
( $C$ 上の点は $y$ 座標で1つに決まるので、 $y$ の2次方程式で重解条件を使ってよい。 $x$ で代入すると $x$ の2次方程式になり、同じ答えになる)
(2) 配点 20点
$l$ の傾きは $\dfrac{1}{\sqrt3}$ なので、 $\mathrm{A}$ を通り $l$ に垂直な直線は
$$y-\dfrac{\sqrt3}{2}=-\sqrt3\left(x-\dfrac32\right)\quad\text{すなわち}\quad y=-\sqrt3x+2\sqrt3$$
$l$ と $\mathrm{A}$ で接する円の中心はこの直線上にあるので、中心を $(a,\ \sqrt3(2-a))$ とおく。半径は中心と $\mathrm{A}$ の距離で
$$r^2=\left(a-\dfrac32\right)^2+\left(\sqrt3(2-a)-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2=\left(a-\dfrac32\right)^2+3\left(a-\dfrac32\right)^2=(2a-3)^2$$
( $a=\dfrac32$ だと半径が0になるので $a\neq\dfrac32$)。円の方程式は
$$(x-a)^2+\left(y-\sqrt3(2-a)\right)^2=(2a-3)^2$$
$C$ 上の点は $(y^2+\dfrac34,\ y)$ と表せて、 $y$ の値が異なれば別の点になる。よって、共有点の個数は、円の方程式に $x=y^2+\dfrac34$ を代入した $y$ の方程式の異なる実数解の個数である。代入して整理すると
$$y^4+\left(\dfrac52-2a\right)y^2-2\sqrt3(2-a)y+\dfrac{57}{16}-\dfrac32a=0$$
円と $C$ はどちらも $\mathrm{A}$ で $l$ に接するので、左辺は $\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2=y^2-\sqrt3y+\dfrac34$ で割り切れて
$$\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2\left(y^2+\sqrt3y+\dfrac{19}{4}-2a\right)=0$$
(展開すると、代入して整理した4次方程式の左辺と一致する)
$g(y)=y^2+\sqrt3y+\dfrac{19}{4}-2a$ とおく。 $g(y)=0$ の判別式は $D=3-4\left(\dfrac{19}{4}-2a\right)=8a-16$、また $g\left(\dfrac{\sqrt3}{2}\right)=\dfrac34+\dfrac32+\dfrac{19}{4}-2a=7-2a$。
・$D<0$( $a<2$)のとき $g(y)=0$ は実数解をもたず、共有点は $\mathrm{A}$ だけの1個
・$D=0$( $a=2$)のとき $g(y)=\left(y+\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2$ で、重解 $y=-\dfrac{\sqrt3}{2}$ は $\dfrac{\sqrt3}{2}$ と異なる。共有点は $\mathrm{A}$ と $\mathrm{P}\left(\dfrac32,\ -\dfrac{\sqrt3}{2}\right)$ の2個
・$D>0$( $a>2$)のとき $g(y)=0$ は異なる2つの実数解をもつ。そのうち1つが $\dfrac{\sqrt3}{2}$ になるのは $7-2a=0$、すなわち $a=\dfrac72$ のときで、このとき $g(y)=y^2+\sqrt3y-\dfrac94=\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)\left(y+\dfrac{3\sqrt3}{2}\right)$。共有点は $\mathrm{A}$ と $\mathrm{Q}\left(\dfrac{15}{2},\ -\dfrac{3\sqrt3}{2}\right)$ の2個。 $a>2$、 $a\neq\dfrac72$ のときは $\dfrac{\sqrt3}{2}$ と異なる2つの解をもち、共有点は3個
よって共有点が2個になるのは $a=2$、 $\dfrac72$ のとき。 $a=2$ のとき中心 $(2,\ 0)$、半径1。 $a=\dfrac72$ のとき中心 $\left(\dfrac72,\ -\dfrac{3\sqrt3}{2}\right)$、半径4。
答 $(x-2)^2+y^2=1$、 $\left(x-\dfrac72\right)^2+\left(y+\dfrac{3\sqrt3}{2}\right)^2=16$
(注)半径4の円は、点 $\mathrm{A}$ で $C$ と3重に接している(4次方程式で $y=\dfrac{\sqrt3}{2}$ が3重解)。 $\mathrm{A}$ の近くで $C$ に最もよく沿う円で、数学Ⅲの「曲率円」にあたる。高校の範囲で知っている必要はないが、「接する円は1つ」と決めつけると落とすのはこの円である
(3) 配点 10点
$0\leqq y\leqq\dfrac{\sqrt3}{2}$ の各 $y$ で、囲まれた部分は直線 $l$( $x=\sqrt3y$)から放物線 $C$( $x=y^2+\dfrac34$)まで。
$$\left(y^2+\dfrac34\right)-\sqrt3y=\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2\geqq0$$
なので、放物線が右側にある。
求める面積を $S$ とすると
$$S=\int_0^{\frac{\sqrt3}{2}}\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2dy=\left[\dfrac13\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^3\right]_0^{\frac{\sqrt3}{2}}=0-\dfrac13\left(-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^3=\dfrac13\cdot\dfrac{3\sqrt3}{8}$$
答 $\dfrac{\sqrt3}{8}$
(3) の別解( $x$ 方向に積分)
3点 $\mathrm{O}$、 $\left(\dfrac32,\ 0\right)$、 $\mathrm{A}$ を頂点とする三角形の面積 $\dfrac12\cdot\dfrac32\cdot\dfrac{\sqrt3}{2}=\dfrac{3\sqrt3}{8}$ から、放物線 $C$ の上半分( $y=\sqrt{x-\dfrac34}$)と $x$ 軸・直線 $x=\dfrac32$ で囲まれた部分の面積
$$\int_{\frac34}^{\frac32}\sqrt{x-\dfrac34}\,dx=\left[\dfrac23\left(x-\dfrac34\right)^{\frac32}\right]_{\frac34}^{\frac32}=\dfrac23\left(\dfrac34\right)^{\frac32}=\dfrac{\sqrt3}{4}$$
を引いて $\dfrac{3\sqrt3}{8}-\dfrac{\sqrt3}{4}=\dfrac{\sqrt3}{8}$。(本解の方が計算が短い)
出題意図
(1) 接線の問題は接点を文字でおくという基本を、横向きの放物線 $x=y^2+\dfrac34$ でも使えるか
(2) 「点 $\mathrm{A}$ で接する」という条件から円と放物線の方程式を連立した4次方程式が $\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2$ を因数にもつことに気づき、共有点の個数を異なる実数解の個数として場合を漏らさず数えられるか
(3) 横向きの放物線が境界にある図形の面積を、$y$ 方向に積分して1本の式で求められるか
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 25点 |
| 目標時間 | 35分 |
他の大学では2次曲線の問題はあまり出ないが、鹿児島大学は楕円などの2次曲線の問題が出やすい(2026年度第3問も楕円)。
2次曲線もしっかり対策しておくこと。
(1) は $\dfrac{dy}{dx}$ の基本的な処理、 (2) は連立方程式を図と合わせて解けるかが勝負で、満点を取り切るのは難しい。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で「点 $\mathrm{A}$ で接する」ことから4次方程式を $\left(y-\dfrac{\sqrt3}{2}\right)^2$ でくくるという発想に行き着けるか:中心を1文字でおいても、4次方程式のままでは解の個数を調べられない。接点の $y$ 座標が重解になることに気づけば、残りは2次方程式だけになる。
- (2) で円を1つだけ答えて終わる:図を書くと上下対称な小さい円 $(x-2)^2+y^2=1$ がすぐに見つかり、そこで止める受験生が多いと思われる。もう1つの円は「 $g(y)=0$ が $y=\dfrac{\sqrt3}{2}$ を解にもつ」場合で、共有点の個数を「異なる実数解の個数」として場合を漏らさず数えたかどうかで大きく差がつく。
- (2) で「共有点の個数=解の個数」の根拠を書かない:横向きの放物線では $y$ を決めると点が1つに決まる。 $x$ で代入すると1つの $x$ に2つの点が対応することがあるので、 $y$ で代入する理由まで書いておくと減点されない。
- (3) で $x$ 方向に積分して計算が面倒になる:横向きの放物線は $y$ 方向に積分する、という判断ができるか。
2024年鹿児島大学医学部数学
第5問 解答・解説
第5問は式と証明・複素数と方程式・複素数平面の問題です。
テーマは「$x^{6n}+x^{3n}-2$ を $x^2+x+1$、 $x^2-x+1$ で割った余りと、1の3乗根・極形式」。
問題


問題文をテキストで読む
$n$ を自然数とし、次の整式を考える。
$$f(x)=x^{6n}+x^{3n}-2,$$
$$g(x)=x^2+x+1,\qquad h(x)=x^2-x+1$$
(1) 方程式 $g(x)=0$ の解は $x^3-1=0$ を満たし、方程式 $h(x)=0$ の解は $x^3+1=0$ を満たすことを示せ。
ここで、 $f(x)$ を2次式で割ると、商が $(6n-2)$ 次式、余りが1次以下の整式になることに注意すると
$$f(x)=g(x)q(x)+r(x),\quad q(x)\text{は}(6n-2)\text{次式},\quad r(x)\text{は1次以下の整式}$$
と書ける。
(2) $r(x)=0$、つまり $f(x)$ は $g(x)$ で割り切れることを示せ。
(3) $f(x)$ が $h(x)$ で割り切れるならば、 $n$ は偶数であることを示せ。
(4) $n=1$ のとき、方程式 $f(x)=0$ のすべての虚数解を極形式で答えよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$x^3-1$ は $x^2+x+1$ を因数にもち、 $x^3+1$ は $x^2-x+1$ を因数にもつ。$g(x)=0$ の解を $\alpha$ とすると、 $\alpha^3-1=(\alpha-1)g(\alpha)$ の右辺が0になる。解の値を具体的に求める必要はない。
- $g(x)=0$ の解を $\alpha$ とし、 $\alpha^3-1=(\alpha-1)(\alpha^2+\alpha+1)=(\alpha-1)g(\alpha)=0$ を示す。
- $h(x)=0$ の解を $\beta$ とし、 $\beta^3+1=(\beta+1)(\beta^2-\beta+1)=(\beta+1)h(\beta)=0$ を示す。
【(2)の方針】
$f(x)$ は $6n$ 次と次数が高く、実際に割り算はできない。ところが $f(x)$ は $x^{3n}$ の2次式なので、 $X=x^{3n}$ とおけば $(x^{3n}-1)(x^{3n}+2)$ と因数分解できる。 $x^{3n}-1=(x^3)^n-1$ は $x^3-1$ で割り切れ、(1) から $x^3-1=(x-1)g(x)$ なので、 $g(x)$ で割り切れることがすぐに分かる。割り算の等式に $g(x)=0$ の解を代入する解き方もある(模範解答の別解)。
- $X=x^{3n}$ とおいて $f(x)=(x^{3n}-1)(x^{3n}+2)$ と因数分解する。
- $x^{3n}-1=(x^3)^n-1$ が $x^3-1$ で割り切れることを示す。
- $x^3-1=(x-1)g(x)$ から、 $f(x)$ が $g(x)$ で割り切れる、すなわち $r(x)=0$ と結論する。
【(3)の方針】
(2) の別解と同じく、 $h(x)=0$ の解 $\beta$ を代入する。割り切れるなら $f(x)=h(x)Q(x)$ と書けるので $f(\beta)=0$。(1) の $\beta^3=-1$ から $\beta^{6n}=(\beta^3)^{2n}=1$、 $\beta^{3n}=(\beta^3)^n=(-1)^n$ となり、 $f(\beta)=(-1)^n-1$。 $(-1)^n=1$ となるのは $n$ が偶数のときだけ。
- $f(x)$ が $h(x)$ で割り切れるとき、 $f(x)=h(x)Q(x)$ と表し、 $h(x)=0$ の解 $\beta$ を代入して $f(\beta)=0$ とする。
- (1) の $\beta^3=-1$ を使い、 $f(\beta)=(-1)^{2n}+(-1)^n-2=(-1)^n-1$ と表す。
- $(-1)^n-1=0$ から $(-1)^n=1$ とし、 $n$ が偶数であると結論する。
【(4)の方針】
$n=1$ のとき $f(x)=x^6+x^3-2$ は $x^3$ の2次式なので、 $(x^3-1)(x^3+2)$ と因数分解できる。 $x^3=1$ の虚数解は $g(x)=0$ の解そのもの( $x^3-1=(x-1)g(x)$)。 $x^3=-2$ は $x=r(\cos\theta+i\sin\theta)$ とおいてド・モアブルの定理で絶対値と偏角を比べる。6つの解は、複素数平面上で偏角が $\dfrac{\pi}{3}$ ずつずれて、半径1の円と半径 $\sqrt[3]{2}$ の円の上に交互に並ぶ。


- $f(x)=(x^3-1)(x^3+2)$ と因数分解する。
- $x^3=1$ のうち虚数解は $x^2+x+1=0$ の解 $x=\dfrac{-1\pm\sqrt3\,i}{2}$。これを極形式で表す(偏角 $\dfrac{2}{3}\pi$、 $\dfrac{4}{3}\pi$)。
- $x^3=-2$ は $x=r(\cos\theta+i\sin\theta)$( $r>0$、 $0\leqq\theta<2\pi$)とおき、 $r^3(\cos3\theta+i\sin3\theta)=2(\cos\pi+i\sin\pi)$ から $r=\sqrt[3]{2}$、 $3\theta=\pi+2k\pi$ を求める。
- $\theta=\dfrac{\pi}{3}$、 $\pi$、 $\dfrac{5}{3}\pi$ のうち、 $\theta=\pi$ は実数解 $-\sqrt[3]{2}$ なので除き、残り2つを答える。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 8点
$g(x)=0$ の解を $\alpha$ とすると $g(\alpha)=\alpha^2+\alpha+1=0$ なので
$$\alpha^3-1=(\alpha-1)(\alpha^2+\alpha+1)=(\alpha-1)g(\alpha)=0$$
よって $\alpha$ は $x^3-1=0$ をみたす。
$h(x)=0$ の解を $\beta$ とすると $h(\beta)=\beta^2-\beta+1=0$ なので
$$\beta^3+1=(\beta+1)(\beta^2-\beta+1)=(\beta+1)h(\beta)=0$$
よって $\beta$ は $x^3+1=0$ をみたす。(終)
(2) 配点 12点
$X=x^{3n}$ とおくと $f(x)=X^2+X-2=(X-1)(X+2)$ なので
$$f(x)=(x^{3n}-1)(x^{3n}+2)$$
$$x^{3n}-1=(x^3)^n-1=(x^3-1)\left\{(x^3)^{n-1}+(x^3)^{n-2}+\cdots+1\right\}$$
より、 $x^{3n}-1$ は $x^3-1$ で割り切れる。
$x^3-1=(x-1)(x^2+x+1)=(x-1)g(x)$ なので、 $x^{3n}-1$ は $g(x)$ で割り切れ、 $f(x)$ も $g(x)$ で割り切れる。よって $r(x)=0$ である。(終)
(2) の別解(割り算の等式に解を代入する)
$g(x)=0$ の判別式は $-3<0$ なので、異なる2つの虚数解 $\alpha$、 $\overline{\alpha}$ をもつ。(1) より $\alpha^3=1$ なので $f(\alpha)=(\alpha^3)^{2n}+(\alpha^3)^n-2=0$、同様に $f(\overline{\alpha})=0$。 $f(x)=g(x)q(x)+r(x)$ に代入すると $r(\alpha)=r(\overline{\alpha})=0$。 $r(x)=ax+b$ とおくと $a\alpha+b=0$、 $a\overline{\alpha}+b=0$ で、辺々引いて $a(\alpha-\overline{\alpha})=0$。 $\alpha\neq\overline{\alpha}$ より $a=0$、続けて $b=0$。よって $r(x)=0$。(問題文の誘導どおりの解き方で、(3) も同じ手順で解ける)
(3) 配点 8点
$f(x)$ が $h(x)$ で割り切れるとき、 $f(x)=h(x)Q(x)$( $Q(x)$ は整式)と表せる。 $h(x)=0$ の解の1つを $\beta$ とすると $h(\beta)=0$ なので、 $f(\beta)=0$。
(1) より $\beta^3=-1$ なので
$$f(\beta)=(\beta^3)^{2n}+(\beta^3)^n-2=(-1)^{2n}+(-1)^n-2=(-1)^n-1$$
$f(\beta)=0$ より $(-1)^n=1$。 $n$ が奇数なら $(-1)^n=-1$ となるので、 $n$ は偶数である。(終)
(注)逆に $n$ が偶数なら、(2) の別解と同じく $h(x)=0$ の2つの解で余りが0になるので、 $f(x)$ は $h(x)$ で割り切れる。問題は「ならば」の向きだけを問うているので書かなくてよい。
(4) 配点 12点
$n=1$ のとき
$$f(x)=x^6+x^3-2=(x^3-1)(x^3+2)$$
$x^3-1=0$ のとき $x^3-1=(x-1)(x^2+x+1)$ より、虚数解は $x^2+x+1=0$ の解
$$x=\dfrac{-1\pm\sqrt3\,i}{2}=\cos\dfrac{2}{3}\pi+i\sin\dfrac{2}{3}\pi,\quad\cos\dfrac{4}{3}\pi+i\sin\dfrac{4}{3}\pi$$
$x^3+2=0$ のとき $x=r(\cos\theta+i\sin\theta)$( $r>0$、 $0\leqq\theta<2\pi$)とおくと、ド・モアブルの定理より
$$r^3(\cos3\theta+i\sin3\theta)=2(\cos\pi+i\sin\pi)$$
絶対値と偏角を比べて $r^3=2$、 $3\theta=\pi+2k\pi$( $k$ は整数)。 $r=\sqrt[3]{2}$、 $0\leqq3\theta<6\pi$ より $k=0,\ 1,\ 2$ で
$$\theta=\dfrac{\pi}{3},\quad\pi,\quad\dfrac{5}{3}\pi$$
$\theta=\pi$ のときは $x=-\sqrt[3]{2}$ で実数解なので除く。
以上より、虚数解は次の4つ(下の図の $z_1$、 $z_2$、 $z_3$、 $z_4$)。
答 $\cos\dfrac{2}{3}\pi+i\sin\dfrac{2}{3}\pi$、 $\cos\dfrac{4}{3}\pi+i\sin\dfrac{4}{3}\pi$、 $\sqrt[3]{2}\left(\cos\dfrac{\pi}{3}+i\sin\dfrac{\pi}{3}\right)$、 $\sqrt[3]{2}\left(\cos\dfrac{5}{3}\pi+i\sin\dfrac{5}{3}\pi\right)$
(注1)偏角を $-\pi<\theta\leqq\pi$ の範囲でとって $\cos\left(-\dfrac{2}{3}\pi\right)+i\sin\left(-\dfrac{2}{3}\pi\right)$ などと答えても正解。
(注2) $x^3+2=0$ の虚数解は、(1) の $h(x)=0$ の解 $\beta$( $\beta^3=-1$)を $\sqrt[3]{2}$ 倍したもの( $(\sqrt[3]{2}\beta)^3=2\beta^3=-2$)。 $\beta=\dfrac{1\pm\sqrt3\,i}{2}$ なので $x=\dfrac{\sqrt[3]{2}(1\pm\sqrt3\,i)}{2}$ と求めてから極形式にしてもよい。
出題意図
(1) $x^3-1=(x-1)(x^2+x+1)$、 $x^3+1=(x+1)(x^2-x+1)$ という因数分解の公式を、方程式の解の性質として読みかえられるか
(2) 次数の高い整式の割り算は、割る式の解を割り算の等式に代入して余りを決めるという基本が理解できているか
(3) 割る式の解を代入する考え方を $h(x)$ に当てはめ、 $(-1)^n$ の値で $n$ の偶奇を判定できるか
(4) $x^3=1$、 $x^3=-2$ の解を、複素数平面上の位置(偏角)から極形式で正しく表せるか
講評
| 難易度 | やや難 |
| 目標得点 | 20点 |
| 目標時間 | 30分 |
この単元は苦手な受験生が多く、かなり差がついた問題。
(1) を (2)(3)(4) に言いかえられるか、 $x^3$ をかたまりとして見られるかが勝負。
(1) の誘導があるのでまだ解けるが、なければかなり難しい。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) の $x^3=1$、 $x^3=-1$ を (2)(3)(4) に使えるか: $x^2+x+1$、 $x^2-x+1$ から $x^3=1$、 $x^3=-1$ をすぐに思い出せるかで大きく差がつく。(1) がなければかなり難しい問題。
- (2) で $x^{3n}$ をかたまりと見て因数分解するという発想に行き着けるか:実際に割り算をしようとすると $6n$ 次の式で進めない。因数分解に気づかなくても、割り算の等式に $g(x)=0$ の解を代入すれば解ける(別解)。その場合は、 $r(x)$ が異なる2つの値で0になることまで書いて減点を防ぐ。
- (3) で $\beta^{3n}=(-1)^n$ を正しく扱えるか:$\beta^{6n}$ と $\beta^{3n}$ をどちらも1としてしまうと、 $n$ の偶奇の話にならない。
- (4) で実数解を除き忘れる:問われているのは「虚数解」。 $x^3=-2$ の3つの解のうち $\theta=\pi$ の $-\sqrt[3]{2}$ は実数解なので除く。また $x^3=1$ の解 $x=1$ も答えに入れない。
2024年鹿児島大学医学部・数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 目標点 |
|---|---|---|
| 第1問 | やや簡単 | 40点 |
| 第2問 | やや簡単 | 40点 |
| 第3問(選択1) | 標準 | 30点 |
| 第3問(選択2) | 標準 | 30点 |
| 第3問(選択3) | やや簡単 | 40点 |
| 第4問 | 標準 | 25点 |
| 第5問 | やや難 | 20点 |
| 合計 | 165点 |
確実に合格点をもぎ取るには、選択問題でどれを選ぶかが一番むずかしい年。
パッと見は選択2(ベクトル)が簡単そうに見えるが、一番解きやすいのは選択3(確率)。
どれを選ぶかを時間をかけて吟味し、選択3を選べるかどうかがまず大事。
そのためにも、第1問・第2問のような典型問題はすぐに解いて、選択問題を選ぶ時間を作りたい。
第5問は (1) の誘導がなければかなり難しく、差がついた問題。
(1) の8点を確実に取り、誘導に乗って20点に食らいつく。
解く流れ
- 第1問 → 第2問 → 第3問(選択) → 第4問 → 第5問
- 目標時間:第1問 15分・第2問 20分・第3問(選択3)20分・第4問 35分・第5問 30分。合計120分で、試験時間いっぱい。
- 第5問はやや難なので最後に回し、(1) の8点を確実に取ってから誘導に乗る。
- 第4問は (1)(3) を先に取り、(2) は残りの時間で場合分けを書き切る。(3) は (1) だけで解けるので、(2) より先に解いてよい。
選択問題はどれを選ぶべきか
- 選び方:3題の難易度を比べ、発想がいらず一番解きやすいものを選ぶ。
- おすすめは選択3(確率)。パッと見は選択2(ベクトル)が簡単そうに見えるが、一番解きやすいのは確率。選択3だけがやや簡単で、選択1・選択2は標準。
- 理由1:計算量が3題の中で最も少ない。カードを区別して ${}_{m+2}\mathrm{C}_2$ 通りで数えれば、(3) も $XY=\pm1$ の2種類の組だけで期待値が決まる。
- 理由2:答えを自分で確かめやすい。(3) は $m=3$ と $m=4$ を代入して $E(XY)=0$、 $E(XY)>0$ になることを確かめられる。
- 選択2(空間ベクトル)は標準。(2) の「交わらない」の処理で差がつく。
- 選択1(数列)は標準。設定、とくに (2) を読み解くのが面倒で、基本的には選ばない。
2024年鹿児島大学医学部・数学に
関するよくある質問
2024年の鹿児島大学医学部・数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2024年の鹿児島大学医学部・数学は難しかった?
-
2024年の鹿児島大学医学部・数学は、全体として「標準」の年でした。
誘導が丁寧で、ほとんどが教科書から標準問題集の例題レベルですが、選択問題の選び方と第5問で差がつきました。 - 2024年の鹿児島大学医学部・数学は何点取れば合格できる?
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目標点は165点です(200点満点)。
- 2024年の鹿児島大学医学部・数学はどこで差がつく?
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特に差がついたのは、次の3つです。
- 選択問題:パッと見は簡単そうな選択2(ベクトル)ではなく、一番解きやすい選択3(確率)を選べるか。
- 第5問:(1) の結果を (2)(3)(4) に使えるか。
- 第4問(2):図で見える小さい円で終わらず、2つ目の円(半径4)までたどり着けるか。
- 2024年の鹿児島大学医学部・数学は何が出題された?
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大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:確率・2次不等式・指数関数と対数関数
- 第2問:三角関数・微分法(数学Ⅱ)
- 第3問(選択1):数列・2次関数/2次方程式
- 第3問(選択2):空間ベクトル
- 第3問(選択3):確率・確率分布と期待値
- 第4問:図形と方程式・積分法(数学Ⅱ)・微分法(数学Ⅲ)
- 第5問:式と証明・複素数と方程式・複素数平面
