【解説・採点基準付き】2025年鹿児島大医学部・数学の解答・解説
2025年の鹿児島大学医学部・数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2025年鹿児島大学医学部数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は鹿児島大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は三角関数・式と証明・集合と命題の問題です。
テーマは「小問集合(2倍角の公式を使う三角不等式/相加平均と相乗平均の関係による最小値/必要条件・十分条件と恒等式)」。
問題


問題文をテキストで読む
次の各問いに答えよ。
(1) $0\leqq\theta<2\pi$ のとき、不等式 $\cos2\theta>\sin\theta$ を解け。
(2) $x$、 $y$、 $z$ を正の実数とする。
$$\left(\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}\right)(x+y+z)$$
のとりうる値の最小値を求めよ。また、最小値をとるときの $x$、 $y$、 $z$ の条件を求めよ。
(3) 次の[(ア)]、[(イ)]に当てはまるものを、下の選択肢(あ)〜(え)のうちから一つずつ選び、その理由を説明せよ。ただし、選択肢については、同じものを繰り返し選んでもよい。
・実数 $a$、 $b$ について、「 $a+b=2$ かつ $a-b=0$ 」であることは、「 $(a-1)(b-1)=0$ 」であるための[(ア)]。
・実数 $a$、 $b$、 $c$ について、「 $ax^2+bx+c=0$ を満たす実数 $x$ が存在する」ことは、「 $ax^2+bx+c=0$ が $x$ についての恒等式である」ための[(イ)]。
(あ)必要条件であるが十分条件ではない
(い)十分条件であるが必要条件ではない
(う)必要十分条件である
(え)必要条件でも十分条件でもない
解答の方針
【(1)の方針】
左辺は $2\theta$ の $\cos$、右辺は $\theta$ の $\sin$ で、角も関数の種類も違う。 $\cos2\theta=1-2\sin^2\theta$ を使えば、すべて $\sin\theta$ で表せて $\sin\theta$ の2次不等式になる。2倍角の公式は3通りあるが、右辺が $\sin\theta$ なので $\sin$ だけの形を選ぶ。 $\sin\theta$ の範囲が求まったら、単位円の $y$ 座標として $\theta$ を読む。 $\sin\theta>-1$ の条件は $\theta=\dfrac32\pi$ の1点だけを除くことに注意する。


- $\cos2\theta=1-2\sin^2\theta$ を代入し、整理して $(2\sin\theta-1)(\sin\theta+1)<0$ と因数分解する。
- $-1<\sin\theta<\dfrac12$ を求める。
- 単位円で $0\leqq\theta<2\pi$ のうち $\sin\theta<\dfrac12$ となる範囲を読み、そこから $\sin\theta=-1$ となる $\theta=\dfrac32\pi$ を除く。
【(2)の方針】
展開すると $\dfrac{x}{y}$ と $\dfrac{y}{x}$ のように積が1になる2数の和が3組現れる。積が一定の2数の和には相加平均と相乗平均の関係が使え、それぞれ2以上と分かる。最小値を答えるには「 $\geqq9$ 」だけでは足りず、 3つの等号が同時に成り立つ $x$、 $y$、 $z$ が存在することまで確かめる必要がある。また、(2つの数の和)×(逆数の和) の形なので、コーシー・シュワルツの不等式に都合のよい値を代入すれば一発で終わる(模範解答の別解)。
- 展開して $3+\left(\dfrac{x}{y}+\dfrac{y}{x}\right)+\left(\dfrac{y}{z}+\dfrac{z}{y}\right)+\left(\dfrac{z}{x}+\dfrac{x}{z}\right)$ と表す。
- 3組それぞれに相加平均と相乗平均の関係を使い、与式 $\geqq3+2+2+2=9$ を示す。
- 3つの等号が同時に成り立つ条件 $x=y=z$ を求め、このとき与式が9になることを確かめて、最小値9と答える。
【(3)の方針】
「 $p$ は $q$ であるための〜」は、 $p\Rightarrow q$ が真なら十分条件、 $q\Rightarrow p$ が真なら必要条件。条件を満たすものの集合で考えると、小さい集合(含まれる側)が十分条件、大きい集合(含む側)が必要条件になる。偽を示すには反例を1つ挙げればよい。(ア)は $ab$ 平面にグラフを書けば、点 $(1,\,1)$ が2直線 $a=1$、 $b=1$ に含まれることが一目で分かり、一発で終わる。(イ)は両方の向きを1つずつ調べる。(イ)の「 $x$ についての恒等式」は「すべての実数 $x$ で成り立つ」ことで、係数がすべて0( $a=b=c=0$ )と同じ。
- (ア):「 $a+b=2$ かつ $a-b=0$ 」は点 $(1,\,1)$、 $(a-1)(b-1)=0$ は2直線 $a=1$、 $b=1$。 $ab$ 平面にグラフを書いて、点が2直線に含まれる(逆は含まれない)ことを読み、逆の反例に $a=1$、 $b=3$ を挙げる。
- (イ):恒等式 $\iff a=b=c=0$ とし、このときすべての実数 $x$ が方程式を満たすので、満たす実数 $x$ は存在することを確かめる。逆は $a=1$、 $b=0$、 $c=-1$ を反例にする。
- 矢印の向きと選択肢の文の主語(「〜ことは」の側)を照らし合わせて、(ア)(イ)の選択肢を選ぶ。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 14点
$\cos2\theta=1-2\sin^2\theta$ なので、不等式は
$$1-2\sin^2\theta>\sin\theta$$
$$2\sin^2\theta+\sin\theta-1<0$$
$$(2\sin\theta-1)(\sin\theta+1)<0$$
$\sin\theta+1\geqq0$ であり、 $\sin\theta+1=0$ のとき左辺は0になり不等式を満たさない。よって $\sin\theta+1>0$ で、両辺を $\sin\theta+1$ で割って $2\sin\theta-1<0$。したがって
$$-1<\sin\theta<\dfrac12$$
$0\leqq\theta<2\pi$ で $\sin\theta<\dfrac12$ となるのは
$$0\leqq\theta<\dfrac{\pi}{6},\qquad\dfrac56\pi<\theta<2\pi$$
このうち $\sin\theta=-1$ となるのは $\theta=\dfrac32\pi$ だけなので、これを除く(下の図の太線の弧。白丸の点は含まない)。
答 $0\leqq\theta<\dfrac{\pi}{6}$、 $\dfrac56\pi<\theta<\dfrac32\pi$、 $\dfrac32\pi<\theta<2\pi$
(2) 配点 12点
展開すると
$$\left(\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}\right)(x+y+z)=3+\left(\dfrac{x}{y}+\dfrac{y}{x}\right)+\left(\dfrac{y}{z}+\dfrac{z}{y}\right)+\left(\dfrac{z}{x}+\dfrac{x}{z}\right)$$
$x$、 $y$、 $z$ は正なので、 $\dfrac{x}{y}>0$、 $\dfrac{y}{x}>0$。相加平均と相乗平均の関係より
$$\dfrac{x}{y}+\dfrac{y}{x}\geqq2\sqrt{\dfrac{x}{y}\cdot\dfrac{y}{x}}=2$$
等号は $\dfrac{x}{y}=\dfrac{y}{x}$、すなわち $x=y$ のときに成り立つ。同様に
$$\dfrac{y}{z}+\dfrac{z}{y}\geqq2\quad(\text{等号は }y=z\text{ のとき}),\qquad\dfrac{z}{x}+\dfrac{x}{z}\geqq2\quad(\text{等号は }z=x\text{ のとき})$$
よって
$$\left(\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}\right)(x+y+z)\geqq3+2+2+2=9$$
3つの等号は $x=y=z$ のとき同時に成り立ち、実際に $x=y=z=t$( $t>0$ )のとき
$$\dfrac{3}{t}\cdot3t=9$$
となるので、9は実際にとる値である。
答 最小値 9、最小値をとるときの条件は $x=y=z$
別解(コーシー・シュワルツの不等式)
コーシー・シュワルツの不等式 $(p_1^2+p_2^2+p_3^2)(q_1^2+q_2^2+q_3^2)\geqq(p_1q_1+p_2q_2+p_3q_3)^2$ に、 $p_1=\dfrac{1}{\sqrt{x}}$、 $p_2=\dfrac{1}{\sqrt{y}}$、 $p_3=\dfrac{1}{\sqrt{z}}$、 $q_1=\sqrt{x}$、 $q_2=\sqrt{y}$、 $q_3=\sqrt{z}$ を代入すると
$$\left(\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}\right)(x+y+z)\geqq(1+1+1)^2=9$$
等号は $p_1:p_2:p_3=q_1:q_2:q_3$、すなわち $\dfrac{1}{x}:\dfrac{1}{y}:\dfrac{1}{z}=1:1:1$ のとき、つまり $x=y=z$ のときに成り立つ。かっこを展開しなくてよいので、本解より短い。
(3) 配点 14点
(ア)
$p$:「 $a+b=2$ かつ $a-b=0$ 」、 $q$:「 $(a-1)(b-1)=0$ 」とする。
$p$ を解くと $a=b=1$。このとき $(a-1)(b-1)=0\cdot0=0$ なので、 $p\Rightarrow q$ は真。
$q$ は「 $a=1$ または $b=1$ 」と同じで、これを満たす点 $(a,\,b)$ は $ab$ 平面の2直線 $a=1$、 $b=1$ の上の点全体。 $p$ を満たす点は $(1,\,1)$ だけで、2直線に含まれる。
たとえば $a=1$、 $b=3$ は $(a-1)(b-1)=0$ を満たすが、 $a+b=4\neq2$ なので $p$ を満たさない。よって $q\Rightarrow p$ は偽。
したがって $p$ は $q$ であるための十分条件であるが必要条件ではない。
答 (ア)(い)十分条件であるが必要条件ではない
(イ)
$p$:「 $ax^2+bx+c=0$ を満たす実数 $x$ が存在する」、 $q$:「 $ax^2+bx+c=0$ が $x$ についての恒等式である」とする。
$q$ は「すべての実数 $x$ について $ax^2+bx+c=0$ が成り立つ」ことで、 $a=b=c=0$ と同値である。このとき、たとえば $x=0$ が $ax^2+bx+c=0$ を満たすので、満たす実数 $x$ は存在する。よって $q\Rightarrow p$ は真。
逆に、 $a=1$、 $b=0$、 $c=-1$ のとき、方程式 $x^2-1=0$ は実数 $x=1$ で成り立つので $p$ を満たす。しかし $x=0$ では左辺が $-1\neq0$ となり成り立たないので、恒等式ではない。よって $p\Rightarrow q$ は偽。
したがって $p$ は $q$ であるための必要条件であるが十分条件ではない。
答 (イ)(あ)必要条件であるが十分条件ではない
出題意図
(1) 2倍角の公式で角と関数の種類をそろえ、 $\sin\theta$ の2次不等式に帰着できるか。端の値と、 $\sin\theta=-1$ となる1点を除く所まで正確に処理できるか。
(2) 展開して逆数どうしの和の組を作り、相加平均と相乗平均の関係で下から評価できるか。等号が実際に成り立つことを確かめて、はじめて最小値と言えることを理解できているか。
(3) 「 $p$ は $q$ であるための〜」を、 $p\Rightarrow q$ と $q\Rightarrow p$ の真偽で判定できるか。偽であることを反例で、真であることを式で説明できるか。(イ)では「恒等式」の意味を $a=b=c=0$ と正しく捉えることができるか。
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 15分 |
医学科の受験生なら満点が前提の小問集合。
3問とも解き方に迷う所はなく、差がつくのは $\dfrac32\pi$ の除外や等号成立の確認といった細部だけ。
ここで1点でも落とすと、ほかの受験生との差を取り返すのは難しい。
最初に解いて完答する。
3問とも教科書の例題レベルなので、(1) は $\theta=\dfrac32\pi$ を除いたか、(2) は等号成立を書いたか、(3) は反例と真であることの説明の両方を書いたかを確かめ、検算してから第2問へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で $\sin\theta+1>0$ を確認し、 $\theta=\dfrac32\pi$ を除くという発想に行き着けるか:2次不等式 $(2\sin\theta-1)(\sin\theta+1)<0$ をそのまま「 $\sin\theta<\dfrac12$ 」と読むと、答えが $\dfrac56\pi<\theta<2\pi$ のままになり失点する。簡単な小問ほど、こうした1点の除き忘れで点を落とす。また $\theta=0$ は $\cos0=1>0=\sin0$ で不等式を満たすので含める。
- (2) で等号成立を確かめるという発想に行き着けるか:「 $\geqq9$ 」を示しただけでは、9が実際にとる値かどうかは分からない。 $x=y=z$ で実際に9になることを書いて、はじめて最小値9と言える。
- (3)(イ)で条件を集合の包含関係で捉えるという発想に行き着けるか:真なのは「恒等式 $\Rightarrow$ 実数解が存在する」の向き。問題文の「〜ことは」の側が $p$ (実数解が存在する)なので、答えは「必要条件」になる。感覚で選ぶと(い)と逆にしてしまう。集合で考え、小さいほう(恒等式)が十分、大きいほう(実数解が存在する)が必要と確認すれば迷わない。
2025年鹿児島大学医学部数学
第2問 解答・解説
第2問は指数関数と対数関数・微分法(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「底の異なる対数方程式と、真数条件つきの解の個数(定数分離)」。
問題


問題文をテキストで読む
次の各問いに答えよ。
(1) 次の方程式を解け。
$$3\log_8(3x+7)=2\log_2(x+1)$$
(2) $x$ に関する方程式
$$\log_8(3x+a-2)=\log_2(x-2)$$
が異なる実数解をちょうど2つもつとき、実数 $a$ の値の範囲を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
底が8と2で、8は2の3乗。 $\log_8X=\dfrac{\log_2X}{\log_28}=\dfrac{\log_2X}{3}$ なので、左辺の係数3がちょうど消えて、両辺が底2の対数になる。対数方程式は、変形の前に真数条件を書いておく。変形のあとは2次方程式になるので、最後に真数条件で解を選ぶ。
- 真数条件 $3x+7>0$、 $x+1>0$ から $x>-1$ とする。
- 底の変換公式で左辺を $\log_2(3x+7)$ に直し、右辺を $\log_2(x+1)^2$ にまとめて、 $3x+7=(x+1)^2$ にする。
- 2次方程式を解き、 $x>-1$ をみたすものを答える。
【(2)の方針】
(1) と同じく底を2にそろえると、 $\log_2(3x+a-2)=3\log_2(x-2)$ から $3x+a-2=(x-2)^3$ になる。ただし真数条件 $x>2$ がつく。 $x>2$ なら右辺の $(x-2)^3$ は正なので、もう一方の真数条件 $3x+a-2>0$ は自動的にみたされる。
この3次方程式は $a$ について1次なので、$a$ を分離すれば「曲線と直線 $y=a$ の共有点の個数」の問題になる。 $x-2$ がまとまって現れるので、 $t=x-2$ とおくと $a=t^3-3t-4$ となり、見慣れた3次関数になる。 $x$ と $t$ は1対1に対応するので、解の個数は変わらない。
大事なのは $t>0$ の部分の共有点だけを数えること。真数条件を忘れて $t\leqq0$ の共有点まで数えると、個数を取り違える。


- 真数条件 $3x+a-2>0$、 $x-2>0$ を書く。
- 底を2にそろえて $3x+a-2=(x-2)^3$ にし、 $x>2$ のもとでもう一方の真数条件が自動的にみたされることを確かめて、元の方程式を「 $3x+a-2=(x-2)^3$ かつ $x>2$」と同値に直す。
- $t=x-2$( $t>0$)とおいて $a=t^3-3t-4$ と $a$ を分離し、 $x$ と $t$ が1対1に対応することから、求める条件を「 $t>0$ で曲線 $y=t^3-3t-4$ と直線 $y=a$ の共有点がちょうど2個」と言いかえる。
- $h(t)=t^3-3t-4$ の $t>0$ での増減を調べ、端の値 $h(0)=-4$( $t=0$ は含まない)と極小値 $h(1)=-6$ を求めてグラフを書く。
- 直線 $y=a$ を上下に動かして、共有点がちょうど2個になる $a$ の範囲を読む。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 14点
真数条件より $3x+7>0$ かつ $x+1>0$、すなわち $x>-1$。
$\log_8(3x+7)=\dfrac{\log_2(3x+7)}{\log_28}=\dfrac{\log_2(3x+7)}{3}$ なので、左辺は $\log_2(3x+7)$。右辺は $2\log_2(x+1)=\log_2(x+1)^2$ なので、方程式は
$$\log_2(3x+7)=\log_2(x+1)^2\iff3x+7=(x+1)^2$$
整理して $x^2-x-6=0$、 $(x-3)(x+2)=0$ より $x=3,\ -2$。 $x>-1$ より $x=-2$ は不適。
答 $x=3$
(2) 配点 26点
真数条件は $3x+a-2>0$ かつ $x-2>0$。
$\log_8(3x+a-2)=\dfrac{\log_2(3x+a-2)}{3}$ なので、方程式は
$$\log_2(3x+a-2)=3\log_2(x-2)=\log_2(x-2)^3\iff3x+a-2=(x-2)^3$$
$x>2$ のとき $(x-2)^3>0$ なので、 $3x+a-2=(x-2)^3$ をみたせば $3x+a-2>0$ も成り立つ。よって元の方程式は
$$3x+a-2=(x-2)^3\quad\text{かつ}\quad x>2$$
と同値である。
$t=x-2$ とおくと、 $x>2\iff t>0$ で、 $3x+a-2=3(t+2)+a-2=3t+a+4$ なので
$$t^3=3t+a+4\iff a=t^3-3t-4\quad(t>0)$$
$x$ と $t$ は1対1に対応するので、求める条件は「 $t>0$ の範囲で、曲線 $y=t^3-3t-4$ と直線 $y=a$ の共有点がちょうど2個」である。
$h(t)=t^3-3t-4$ とおくと $h'(t)=3t^2-3=3(t+1)(t-1)$。 $t>0$ での増減は次のようになる。
| $t$ | $(0)$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ |
|—|—|—|—|—|
| $h'(t)$ | | $-$ | $0$ | $+$ |
| $h(t)$ | $(-4)$ | $\searrow$ | $-6$ | $\nearrow$ |
また $t\to\infty$ のとき $h(t)\to\infty$。 $t=0$ は範囲に含まれないので、点 $(0,-4)$ はグラフに含まれない(白丸)。
グラフより、直線 $y=a$ との共有点の個数は
・$a<-6$ のとき 0個
・$a=-6$ のとき 1個( $t=1$。接する)
・$-6<a<-4$ のとき 2個
・$a\geqq-4$ のとき 1個( $a=-4$ のときは $t=0$ が除かれ、 $t=\sqrt3$ の1個だけ)
よって、ちょうど2個になるのは $-6<a<-4$ のときである。
答 $-6<a<-4$
(2) の別解( $a$ を分離せずに、3次関数の極値の符号で考える)
$g(t)=t^3-3t-4-a$ とおくと、求める条件は「 $g(t)=0$ が $t>0$ に異なる実数解をちょうど2つもつ」こと。 $g'(t)=3(t+1)(t-1)$ より、 $g(t)$ は $0<t\leqq1$ で減少し、 $t\geqq1$ で増加して、 $t\to\infty$ で $g(t)\to\infty$。
したがって、 $t>0$ で $t$ 軸と2回交わるのは、$t$ の範囲の左端の値 $g(0)$ が正で、極小値 $g(1)$ が負のときに限る。
$$g(0)=-4-a>0,\qquad g(1)=-6-a<0$$
これより $-6<a<-4$。
( $g(0)\leqq0$ なら $0<t\leqq1$ で $g(t)<0$ となり、解は $t>1$ の1個以下。 $g(1)\geqq0$ なら解は $t=1$ の1個以下)
答 $-6<a<-4$
(本解の定数分離の方が、端の $t=0$ の扱いをグラフの白丸で確かめられるので安全。別解は、左端の値と極小値の2つの不等式を立てるだけなので短く書ける)
出題意図
(1) 底をそろえて真数どうしの方程式に直し、真数条件で解を選べるか。教科書の例題レベルの対数方程式。
(2) 対数方程式の解の個数を、真数条件のついた3次方程式の解の個数に言いかえられるか。そのうえで、定数 $a$ を分離して、曲線と直線 $y=a$ の共有点の個数として数えるという基本が理解できているか。
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 15分 |
対数方程式と定数分離という、数Ⅱの基本問題を組み合わせただけの問題。
医学科を目指すなら満点が前提で、(1) を落とすようなら合格は厳しい。
差がつくのは、真数条件 $t>0$ を最後のグラフまで持ちこめるかどうかだけ。
(1) は真数条件を書いてから底をそろえるだけなので、必ず取る。
(2) も「真数条件 → 底をそろえる → $t=x-2$ とおいて $a$ を分離 → $t>0$ のグラフ」の順に進めれば完答できる。
端の $a=-4$、 $a=-6$ を含めるかどうかは、グラフの白丸・黒丸で確かめてから答える。
計算自体は単純なので、確実に計算し、検算してから次の問題へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- 真数条件 $x>2$ を共有点の数え方まで持ちこむという発想に行き着けるか: $-6<a<-4$ のとき、3次方程式 $t^3-3t-4=a$ は $t\leqq0$ にも解を1つもつ(着眼点の図の左の白丸)。真数条件を忘れると「解が3つ」と数えてしまい、答えがまったく違うものになる。
- 端の点 $t=0$ の扱い: $h(0)=-4$ は $t=0$( $x=2$)での値で、範囲に含まれない。 $a=-4$ のとき共有点は $t=\sqrt3$ の1個だけなので、 $a=-4$ を含めると誤り。グラフに白丸を書いて確かめる。
- $a=-6$ の扱い:極小値 $-6$ では直線が曲線に接して、共有点は $t=1$ の1個だけ。 $a=-6$ を2個の側に入れると失点する。
- $a$ を分離するという発想に行き着けるか:3次方程式のまま $a$ を含んだ $g(t)$ で考えると、別解のように左端の値と極小値の符号を両方見る必要がある。 $a$ を分離すれば、動くのは直線 $y=a$ だけになり、共有点の個数がグラフから読める。
2025年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択1) 解答・解説
第3問(選択1)は数列の問題です。
テーマは「係数に $3^{n-1}$ を含む連立漸化式(誘導つき)」。
問題


問題文をテキストで読む
初項を $a_1=1$、 $b_1=3$ とし、次の条件によって定められる数列 $\{a_n\}$、 $\{b_n\}$ を考える。
$$a_{n+1}=(1-2\cdot3^{n-1})a_n+3^{n-1}b_n\qquad(n=1,\,2,\,3,\,\cdots)$$
$$b_{n+1}=-4\cdot3^{n-1}a_n+(2\cdot3^{n-1}+1)b_n\qquad(n=1,\,2,\,3,\,\cdots)$$
(1) 数列 $\{c_n\}$ を $c_n=-2a_n+b_n$ で定める。このとき、 $c_{n+1}=c_n\ (n=1,\,2,\,3,\,\cdots)$ が成り立つことを示せ。
(2) $d_n=a_{n+1}-a_n$ とおくとき、数列 $\{d_n\}$ の一般項を求めよ。
(3) 数列 $\{a_n\}$、 $\{b_n\}$ の一般項を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
示すのは $c_{n+1}=c_n$ なので、 $c_{n+1}=-2a_{n+1}+b_{n+1}$ に与えられた2つの漸化式を代入して、 $a_n$ と $b_n$ だけの式にすればよい。係数の $3^{n-1}$ は見た目を複雑にしているだけで、$a_n$ の係数どうし、 $b_n$ の係数どうしでまとめれば $3^{n-1}$ の項は打ち消し合う。
- $c_{n+1}=-2a_{n+1}+b_{n+1}$ に、与えられた2つの漸化式を代入する。
- $a_n$ の係数と $b_n$ の係数をそれぞれまとめ、 $-2a_n+b_n$ になることを確かめる。
- $-2a_n+b_n=c_n$ なので $c_{n+1}=c_n$ と結論する。
【(2)の方針】
$c_{n+1}=c_n$ は「 $\{c_n\}$ は一定の数列」ということ。初項は $c_1=-2\cdot1+3=1$ なので、すべての $n$ で $c_n=1$。
次に $d_n=a_{n+1}-a_n$ を $a_{n+1}$ の漸化式から計算すると
$$a_{n+1}-a_n=-2\cdot3^{n-1}a_n+3^{n-1}b_n=3^{n-1}(-2a_n+b_n)$$
となり、 $a_{n+1}-a_n$ の中にちょうど $c_n$ が現れる。(1) で $c_n=-2a_n+b_n$ という組み合わせを考えさせたのは、このためである。 $c_n=1$ を入れれば $d_n$ は $n$ だけの式になる。
- (1) より $c_n=c_1$ で、 $c_1=-2a_1+b_1=1$ から、すべての $n$ で $c_n=1$ を求める。
- $a_{n+1}$ の漸化式の両辺から $a_n$ を引き、 $d_n=a_{n+1}-a_n=3^{n-1}(-2a_n+b_n)=3^{n-1}c_n$ と表す。
- $c_n=1$ を代入して $d_n$ を求める。
【(3)の方針】
$\{d_n\}$ は $\{a_n\}$ の階差数列なので、 $n\geqq2$ で $a_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}d_k$。 $d_k=3^{k-1}$ なので、和は等比数列の和になる。階差数列の公式は $n\geqq2$ で使うものなので、 $n=1$ で成り立つかを最後に確かめる。 $b_n$ は、(2) で求めた $c_n=1$、つまり $b_n=2a_n+1$ から $a_n$ を使って表せば、もう1度和を計算しなくてよい。


- $n\geqq2$ で $a_n=1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}3^{k-1}$ を等比数列の和の公式で計算する。
- 求めた式が $n=1$ でも $a_1=1$ をみたすことを確かめる。
- $c_n=1$ より $b_n=2a_n+1$ なので、手順1の $a_n$ を代入して $b_n$ を求める。
- $a_2=2$、 $b_2=5$ を漸化式から求め、一般項の $n=2$ の値と一致することを確かめる。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$$\begin{aligned}c_{n+1}&=-2a_{n+1}+b_{n+1}\\&=-2\left\{(1-2\cdot3^{n-1})a_n+3^{n-1}b_n\right\}+\left\{-4\cdot3^{n-1}a_n+(2\cdot3^{n-1}+1)b_n\right\}\end{aligned}$$
$a_n$ の係数と $b_n$ の係数をそれぞれまとめると
$$\begin{aligned}c_{n+1}&=(-2+4\cdot3^{n-1}-4\cdot3^{n-1})a_n+(-2\cdot3^{n-1}+2\cdot3^{n-1}+1)b_n\\&=-2a_n+b_n=c_n\end{aligned}$$
よって $c_{n+1}=c_n\ (n=1,\,2,\,3,\,\cdots)$ が成り立つ。(終)
(1) の別解(差をとる)
与えられた2つの漸化式の両辺から、それぞれ $a_n$、 $b_n$ を引くと
$$a_{n+1}-a_n=3^{n-1}(-2a_n+b_n),\qquad b_{n+1}-b_n=2\cdot3^{n-1}(-2a_n+b_n)$$
よって $b_{n+1}-b_n=2(a_{n+1}-a_n)$ なので
$$c_{n+1}-c_n=-2(a_{n+1}-a_n)+(b_{n+1}-b_n)=0$$
すなわち $c_{n+1}=c_n$。(終)
( $a_n$、 $b_n$ の増え方がどちらも $-2a_n+b_n$ に比例していることが分かり、(2) の計算もこの式からすぐに求まる。本解と同じ計算量なので、どちらで書いてもよい)
(2) 配点 14点
(1) より $c_n=c_{n-1}=\cdots=c_1$ で、 $c_1=-2a_1+b_1=-2+3=1$ なので、すべての自然数 $n$ で
$$c_n=-2a_n+b_n=1$$
$a_{n+1}$ の漸化式の両辺から $a_n$ を引くと
$$d_n=a_{n+1}-a_n=-2\cdot3^{n-1}a_n+3^{n-1}b_n=3^{n-1}(-2a_n+b_n)=3^{n-1}c_n$$
$c_n=1$ なので
答 $d_n=3^{n-1}$
(2) の別解( $b_n$ を消去する)
$c_n=1$ より $b_n=2a_n+1$。これを $a_{n+1}$ の漸化式に代入すると
$$a_{n+1}=(1-2\cdot3^{n-1})a_n+3^{n-1}(2a_n+1)=a_n+3^{n-1}$$
よって $d_n=a_{n+1}-a_n=3^{n-1}$。
(連立漸化式で一方の数列を消去する基本の解き方。本解は $a_{n+1}-a_n$ をそのまま計算するので、代入と展開の手間が少ない)
(3) 配点 16点
(2) より、数列 $\{d_n\}$ は数列 $\{a_n\}$ の階差数列である。 $n\geqq2$ のとき
$$a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}d_k=1+\sum_{k=1}^{n-1}3^{k-1}=1+\dfrac{3^{n-1}-1}{3-1}=\dfrac{3^{n-1}+1}{2}$$
$n=1$ のとき $\dfrac{3^0+1}{2}=1=a_1$ なので、この式は $n=1$ でも成り立つ。
(2) より $-2a_n+b_n=1$、すなわち $b_n=2a_n+1$ なので
$$b_n=2\cdot\dfrac{3^{n-1}+1}{2}+1=3^{n-1}+2$$
答 $a_n=\dfrac{3^{n-1}+1}{2}$、 $b_n=3^{n-1}+2$
(検算:漸化式で $n=1$ とすると $a_2=(1-2)\cdot1+1\cdot3=2$、 $b_2=-4\cdot1+3\cdot3=5$。一般項でも $a_2=\dfrac{3+1}{2}=2$、 $b_2=3+2=5$ で一致する。最初の5項は下の図のとおりで、 $a_n$ の差が1、3、9、27と3倍ずつ増え、 $c_n$ はずっと1である)
出題意図
(1) 係数に $3^{n-1}$ を含む漸化式でも、定義どおりに代入して $a_n$、 $b_n$ の係数を整理できるか
(2) (1) の $c_{n+1}=c_n$ から「 $c_n$ はずっと初項 $c_1=1$ のまま」と読みかえ、それを使って $a_{n+1}-a_n$ を $n$ だけの式で表せるか
(3) 階差数列から一般項を求めるという基本が理解できているか
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 20分 |
係数の $3^{n-1}$ で複雑に見えるが、中身は「一定の数列」と「階差数列」だけの教科書レベルの問題。
3題の選択問題の中で最も計算量が少なく、医学科を目指すなら満点が前提。
ここで失点すると合格は厳しい。
(1) は代入して係数をまとめるだけなので必ず取る。
(2) は $c_1=1$ を計算し、 $a_{n+1}-a_n$ をそのまま計算して $c_n$ を見つける。
(1) の計算がうまくいかなくても、(1) の結果を認めれば (2)(3) は解けるので必ず解く。
(3) は階差数列の公式と $b_n=2a_n+1$ で終わる。
計算自体は単純なので、確実に計算し、 $a_2=2$、 $b_2=5$、 $a_3=5$、 $b_3=11$ を漸化式から求めて検算してから次の問題へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で「 $c_n$ が一定」を「 $c_n=1$」まで具体的な値にするという発想に行き着けるか:(1) で $c_{n+1}=c_n$ を示しただけで終わり、初項 $c_1=1$ を計算しないと、 $d_n$ が $n$ だけの式にならない。 $c_1=-2a_1+b_1$ を計算するだけで解決する。
- (2) で $a_{n+1}-a_n$ をそのまま計算するという発想に行き着けるか:行き着けば、代入も展開もほとんど要らない。別解の $b_n$ の消去でも答えにたどり着くので、ここで大きく失点することはない。
- (3) の和の項数:階差数列の和は $k=1$ から $n-1$ まで。項数を $n$ 個と数えると $a_n=\dfrac{3^n+1}{2}$ となり、 $a_1=2$ で初項と合わない。 $n=1$ の確認を書けば、このミスにも気づける。
- (3) の $n=1$ の確認の書き忘れ:階差数列の公式は $n\geqq2$ で使うもの。 $n=1$ で成り立つことの確認がないと減点される。
2025年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択2) 解答・解説
第3問(選択2)は空間ベクトルの問題です。
テーマは「定点 $\mathrm{F}$ と球面上の点を結ぶ直線と平面 $\alpha$ の交点、平面 $\alpha$ 上の点の軌跡」。
問題


問題文をテキストで読む
座標空間において、点 $(0,\,0,\,1)$ を中心とする半径1の球 $\mathrm{S}$ と、点 $(0,\,0,\,2)$ を通り $z$ 軸に垂直な平面 $\alpha$ と、点 $\mathrm{F}(0,\,1,\,0)$ がある。
(1) 点 $\mathrm{A}$ を球 $\mathrm{S}$ 上の点とする。直線 $\mathrm{FA}$ と平面 $\alpha$ との交点を $\mathrm{A’}$ とする。 $\mathrm{A}$ の $z$ 座標が $k$ であるとき、 $\overrightarrow{\mathrm{FA’}}=\dfrac{2}{k}\overrightarrow{\mathrm{FA}}$ となることを示せ。ただし、 $k\neq0$ とする。
(2) 球 $\mathrm{S}$ 上に2点 $\mathrm{B}\left(-\dfrac{1}{3},\,\dfrac{2}{3},\,\dfrac{1}{3}\right)$ と $\mathrm{C}(1,\,0,\,1)$ をとる。直線 $\mathrm{FB}$ と平面 $\alpha$ との交点を $\mathrm{B’}$、直線 $\mathrm{FC}$ と平面 $\alpha$ との交点を $\mathrm{C’}$ とする。 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ の座標を求めよ。
(3) 2点 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ を(2)で定めた点とする。点 $\mathrm{P}$ は平面 $\alpha$ 上を動き、 $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}$ が垂直になるとき、点 $\mathrm{P}$ の軌跡を求めよ。ただし、 $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}\neq\vec{0}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}\neq\vec{0}$ とする。
解答の方針
【(1)の方針】
$\mathrm{A’}$ は直線 $\mathrm{FA}$ 上の点なので、実数 $t$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{FA’}}=t\overrightarrow{\mathrm{FA}}$ と表せる。平面 $\alpha$ は $z=2$ なので、 $\mathrm{A’}$ についての条件は「 $z$ 座標が2」の1つだけ。 $\mathrm{F}$ の $z$ 座標は0なので、 $\overrightarrow{\mathrm{FA}}$ の $z$ 成分は $k$、 $\overrightarrow{\mathrm{FA’}}$ の $z$ 成分は2になり、 $t$ は高さの比 $\dfrac{2}{k}$ になる(下の図)。 $x$ 成分・ $y$ 成分も、球 $\mathrm{S}$ の方程式も使わない。


(図は $\mathrm{A}$ が平面 $x=0$ 上にある場合。 $\mathrm{F}$ の高さは0、 $\mathrm{A}$ の高さは $k$、 $\mathrm{A’}$ の高さは2)
- $\overrightarrow{\mathrm{FA’}}=t\overrightarrow{\mathrm{FA}}$( $t$ は実数)とおく。
- $\mathrm{F}$ の $z$ 座標が0、 $\mathrm{A}$ の $z$ 座標が $k$、 $\mathrm{A’}$ の $z$ 座標が2であることから、 $z$ 成分を比べて $tk=2$ を導く。
- $k\neq0$ で割って $t=\dfrac{2}{k}$ とし、 $\overrightarrow{\mathrm{FA’}}=\dfrac{2}{k}\overrightarrow{\mathrm{FA}}$ を示す。
【(2)の方針】
(1) の式は球 $\mathrm{S}$ 上のどの点でも使えるので、 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{C}$ の $z$ 座標を $k$ に入れれば $\overrightarrow{\mathrm{FB’}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{FC’}}$ が求まる。 $\mathrm{B}$ の $z$ 座標は $\dfrac13$ なので6倍、 $\mathrm{C}$ の $z$ 座標は1なので2倍。


- $\overrightarrow{\mathrm{FB}}$ を成分で表し、(1) の式で $k=\dfrac13$ として $\overrightarrow{\mathrm{FB’}}=6\overrightarrow{\mathrm{FB}}$ を求める。
- $\overrightarrow{\mathrm{OB’}}=\overrightarrow{\mathrm{OF}}+\overrightarrow{\mathrm{FB’}}$ から $\mathrm{B’}$ の座標を求める。
- 同じように (1) の式で $k=1$ として $\overrightarrow{\mathrm{FC’}}=2\overrightarrow{\mathrm{FC}}$ を求め、 $\mathrm{C’}$ の座標を求める。
- 求めた2点の $z$ 座標が2であることを確かめる。
【(3)の方針】
$\mathrm{P}$、 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ はすべて平面 $\alpha$ 上にあるので、ベクトルの $z$ 成分は0になり、平面 $\alpha$ の上での平面の問題になる。「 $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}$ が垂直」は $\angle\mathrm{B’PC’}=90^\circ$ のことなので、直径に対する円周角が直角であることから、 $\mathrm{B’C’}$ を直径とする円になると見当がつく。式では、垂直を内積が0の式に直して確かめる。 $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}\neq\vec{0}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}\neq\vec{0}$ という条件から、 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ の2点は除く。
- $\mathrm{P}(x,\,y,\,2)$ とおき、 $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}$ を成分で表す。
- $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PC’}}=0$ を計算し、 $x^2+(y+1)^2=4$ に整理する。
- 平面 $\alpha$ 上の、中心 $(0,\,-1,\,2)$、半径2の円であることを読み取る。
- $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}\neq\vec{0}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}\neq\vec{0}$ から $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ の2点を除いて答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$\mathrm{A’}$ は直線 $\mathrm{FA}$ 上の点なので、実数 $t$ を用いて
$$\overrightarrow{\mathrm{FA’}}=t\overrightarrow{\mathrm{FA}}$$
と表せる。
$\mathrm{F}$ の $z$ 座標は0、 $\mathrm{A}$ の $z$ 座標は $k$ なので、 $\overrightarrow{\mathrm{FA}}$ の $z$ 成分は $k$。 $\mathrm{A’}$ は平面 $\alpha:z=2$ 上の点なので、 $\overrightarrow{\mathrm{FA’}}$ の $z$ 成分は2。両辺の $z$ 成分を比べて
$$2=tk$$
$k\neq0$ より $t=\dfrac{2}{k}$。よって
$$\overrightarrow{\mathrm{FA’}}=\dfrac{2}{k}\overrightarrow{\mathrm{FA}}$$
(終)
( $k\neq0$ のとき $\overrightarrow{\mathrm{FA}}$ の $z$ 成分は0でないので、直線 $\mathrm{FA}$ は平面 $\alpha$ と平行でなく、交点 $\mathrm{A’}$ はただ1つある。球 $\mathrm{S}$ 上で $z$ 座標が0の点は原点 $\mathrm{O}$ だけで、直線 $\mathrm{FO}$ は $xy$ 平面上にあるので平面 $\alpha$ と交わらない。これが $k\neq0$ の条件の意味)
(2) 配点 12点
$$\overrightarrow{\mathrm{FB}}=\left(-\dfrac13,\,\dfrac23-1,\,\dfrac13\right)=\left(-\dfrac13,\,-\dfrac13,\,\dfrac13\right)$$
$\mathrm{B}$ の $z$ 座標は $\dfrac13$ なので、(1) より
$$\overrightarrow{\mathrm{FB’}}=\dfrac{2}{\ \dfrac13\ }\overrightarrow{\mathrm{FB}}=6\overrightarrow{\mathrm{FB}}=(-2,\,-2,\,2)$$
$$\overrightarrow{\mathrm{OB’}}=\overrightarrow{\mathrm{OF}}+\overrightarrow{\mathrm{FB’}}=(0,\,1,\,0)+(-2,\,-2,\,2)=(-2,\,-1,\,2)$$
答 $\mathrm{B’}(-2,\,-1,\,2)$
$$\overrightarrow{\mathrm{FC}}=(1,\,-1,\,1)$$
$\mathrm{C}$ の $z$ 座標は1なので、(1) より
$$\overrightarrow{\mathrm{FC’}}=\dfrac21\overrightarrow{\mathrm{FC}}=2\overrightarrow{\mathrm{FC}}=(2,\,-2,\,2)$$
$$\overrightarrow{\mathrm{OC’}}=(0,\,1,\,0)+(2,\,-2,\,2)=(2,\,-1,\,2)$$
答 $\mathrm{C’}(2,\,-1,\,2)$
(どちらも $z$ 座標が2なので、平面 $\alpha$ 上にある)
( $\mathrm{F}$ は球 $\mathrm{S}$ の外の点。直線 $\mathrm{FB}$、 $\mathrm{FC}$ の破線の部分は球の内部を通る所)
(3) 配点 18点
$\mathrm{P}$ は平面 $\alpha$ 上の点なので $\mathrm{P}(x,\,y,\,2)$ とおける。(2) より
$$\overrightarrow{\mathrm{PB’}}=(-2-x,\,-1-y,\,0),\qquad\overrightarrow{\mathrm{PC’}}=(2-x,\,-1-y,\,0)$$
$\overrightarrow{\mathrm{PB’}}\neq\vec{0}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}\neq\vec{0}$ のもとで、 $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}$ が垂直であることは $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PC’}}=0$ と同じなので
$$(-2-x)(2-x)+(-1-y)^2+0\cdot0=0$$
$$x^2-4+(y+1)^2=0$$
$$x^2+(y+1)^2=4$$
これは、平面 $\alpha$ 上で点 $(0,\,-1,\,2)$ を中心とする半径2の円を表す。中心 $(0,\,-1,\,2)$ は線分 $\mathrm{B’C’}$ の中点で、 $\mathrm{B’C’}=4$ なので、この円は $\mathrm{B’C’}$ を直径とする円である。
ただし、 $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}\neq\vec{0}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}\neq\vec{0}$ より、 $\mathrm{P}$ は $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ と一致しない。 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ はこの円の上の点なので、この2点を除く。
答 平面 $\alpha$ 上の、点 $(0,\,-1,\,2)$ を中心とする半径2の円。ただし、2点 $\mathrm{B’}(-2,\,-1,\,2)$、 $\mathrm{C’}(2,\,-1,\,2)$ を除く
(式で書くと $x^2+(y+1)^2=4$、 $z=2$。ただし $(x,\,y)\neq(-2,\,-1),\,(2,\,-1)$)
(平面 $\alpha$ を上から見た図。座標は平面 $\alpha$ 上の $x$ 座標・ $y$ 座標)
別解(円周角) $\mathrm{P}$、 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ はすべて平面 $\alpha$ 上にある。 $\mathrm{P}\neq\mathrm{B’}$、 $\mathrm{P}\neq\mathrm{C’}$ のとき、 $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}$ が垂直であることは $\angle\mathrm{B’PC’}=90^\circ$ と同じ。直径に対する円周角は直角で、逆に $\angle\mathrm{B’PC’}=90^\circ$ となる点 $\mathrm{P}$ は $\mathrm{B’C’}$ を直径とする円の上にある。よって $\mathrm{P}$ の軌跡は、平面 $\alpha$ 上で $\mathrm{B’C’}$ を直径とする円から $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ を除いたもの。中心は $\mathrm{B’C’}$ の中点 $(0,\,-1,\,2)$、半径は $\dfrac{\mathrm{B’C’}}{2}=\dfrac42=2$。(計算はこちらの方が短い。ただし「逆に」の部分まで書かないと、円の上の点がすべて条件をみたすことが言えていないので減点される)
出題意図
(1) 直線上の点を $\overrightarrow{\mathrm{FA’}}=t\overrightarrow{\mathrm{FA}}$ と実数倍で表し、「平面 $\alpha$ 上にある」という条件を $z$ 座標が2という条件に直せるか
(2) (1) で示した式を使って、交点の座標を正確に求められるか
(3) 「2つのベクトルが垂直」を内積が0の式に直し、軌跡が $\mathrm{B’C’}$ を直径とする円になることを捉えることができるか
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 20分 |
球が出てきて難しい空間図形に見えるが、中身は「直線上の点は実数倍で表す」と「垂直は内積が0」の2つだけ。
医学科を目指すなら完答が前提。
落とすとすれば除外点と「平面 $\alpha$ 上」の書き忘れなので、答えを書いたら問題文のただし書きをもう一度読む。
(1) は $\overrightarrow{\mathrm{FA’}}=t\overrightarrow{\mathrm{FA}}$ とおいて $z$ 成分を比べるだけ。
(1) が示せなくても、答えの式が問題文にあるので (2) は必ず解く。
(3) は $\mathrm{B’C’}$ を直径とする円になると見当をつけてから内積で確かめ、「平面 $\alpha$ 上」と「 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ を除く」を答えに書く。
計算自体は単純なので、確実に計算し、検算してから次の問題へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で $z$ 座標だけを比べればよいという発想に行き着けるか:球 $\mathrm{S}$ の方程式や $\mathrm{A}$ の $x$ 座標・ $y$ 座標を文字でおいて計算を始めると、式が増えて方針が立たなくなる。「平面 $\alpha$ 上にある」は「 $z$ 座標が2」のことだと気づけば、すぐに示せる。
- (3) の除外点: $\overrightarrow{\mathrm{PB’}}\neq\vec{0}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC’}}\neq\vec{0}$ は問題文にはっきり書いてある。 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ を除き忘れると減点される。
- (3) の「平面 $\alpha$ 上の」:空間の問題なので、 $x^2+(y+1)^2=4$ だけでは空間内の円柱を表してしまう。 $z=2$ も必ず書く。
- (2) の計算:分数のある $\mathrm{B}$ で $\overrightarrow{\mathrm{FB}}$ の $y$ 成分( $\dfrac23-1=-\dfrac13$)を間違えると、(3) まで全部崩れる。 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ の $z$ 座標が2になるかで検算する。
2025年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択3) 解答・解説
第3問(選択3)は確率の問題です。
テーマは「先攻・後攻で勝つ確率が入れかわる3勝先取の試合」。
問題


問題文をテキストで読む
$\mathrm{A}$ と $\mathrm{B}$ があるゲームを繰り返し行い、先に3回勝った方を優勝とする。第1ゲームでは $\mathrm{A}$ が先攻とし、それ以降は先攻と後攻を交互に入れかえてゲームを行う。各ゲームでは引き分けはなく、必ず勝敗がつくとする。各ゲームで $\mathrm{A}$ が $\mathrm{B}$ に勝つ確率は、 $\mathrm{A}$ が先攻のとき $\dfrac{2}{3}$、後攻のとき $\dfrac{1}{2}$ とする。
(1) 第3ゲームで優勝が決まる確率を求めよ。
(2) 第5ゲームで優勝が決まる確率を求めよ。
(3) $\mathrm{B}$ が優勝する確率を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
第3ゲームで優勝が決まるのは、$\mathrm{A}$ の3連勝か $\mathrm{B}$ の3連勝のどちらか。第1・第3ゲームは $\mathrm{A}$ が先攻、第2ゲームは $\mathrm{A}$ が後攻なので、3つのゲームで勝つ確率がそろっていないことに注意する。
- 第 $k$ ゲームで $\mathrm{A}$ が勝つ確率は、 $k$ が奇数なら $\dfrac{2}{3}$、 $k$ が偶数なら $\dfrac{1}{2}$ と整理する( $\mathrm{B}$ が勝つ確率は $\dfrac{1}{3}$、 $\dfrac{1}{2}$)。
- $\mathrm{A}$ の3連勝の確率と、 $\mathrm{B}$ の3連勝の確率をそれぞれ求める。
- 2つは同時に起こらないので足す。
【(2)の方針】
どちらかが3勝した時点で試合は終わる。第4ゲームまでで2勝2敗なら、第5ゲームの勝者が必ず3勝目をあげるので、第5ゲームで決まる ⇔ 第4ゲームまでで2勝2敗。
2勝2敗になる勝ち方は ${}_4\mathrm{C}_2=6$ 通りあるが、奇数番目と偶数番目で勝つ確率が違うので、「 ${}_4\mathrm{C}_2\left(\dfrac{2}{3}\right)^2\left(\dfrac{1}{3}\right)^2$」のように反復試行の公式をそのまま使うことはできない。そこで、奇数番目(第1・第3ゲーム)で $\mathrm{A}$ が何勝したかで分ける。奇数番目と偶数番目の中では勝つ確率がそろっているので、それぞれの中では反復試行として数えられる。
状況は、 $\mathrm{A}$ の勝ち数を横、 $\mathrm{B}$ の勝ち数を縦にとった図で見ると分かりやすい(模範解答の図)
- 第4ゲームまでで2勝2敗になる場合が、第5ゲームで優勝が決まる場合と一致することを確かめる。
- 奇数番目で $\mathrm{A}$ が $i$ 勝、偶数番目で $\mathrm{A}$ が $2-i$ 勝( $i=0,1,2$)の3つの場合に分け、それぞれの確率を求める。
- 3つを足す。
【(3)の方針】
$\mathrm{B}$ の優勝は、第3・第4・第5ゲームのどれで決まるかで分ける。どの場合も最後のゲームは $\mathrm{B}$ が勝つ。第3ゲームで決まる場合は (1) の $\mathrm{B}$ の3連勝、第5ゲームで決まる場合は (2) の2勝2敗のあと第5ゲームで $\mathrm{B}$ が勝つ場合なので、新しく数えるのは第4ゲームで決まる場合だけ。
第4ゲームは $\mathrm{A}$ が後攻( $\mathrm{B}$ が勝つ確率 $\dfrac{1}{2}$)、第5ゲームは $\mathrm{A}$ が先攻( $\mathrm{B}$ が勝つ確率 $\dfrac{1}{3}$)
- 第3ゲームで決まる場合: $\mathrm{B}$ の3連勝の確率((1) で求めたもの)。
- 第4ゲームで決まる場合:第1〜第3ゲームで $\mathrm{B}$ が2勝1敗( $\mathrm{A}$ がどのゲームで勝つかの3通り)になり、第4ゲームで $\mathrm{B}$ が勝つ確率を求める。
- 第5ゲームで決まる場合:(2) の2勝2敗の確率に、第5ゲームで $\mathrm{B}$ が勝つ確率をかける。
- 3つを足す。
解答


解答をテキストで読む
第 $k$ ゲームで $\mathrm{A}$ が先攻になるのは $k$ が奇数のとき、 $\mathrm{A}$ が後攻になるのは $k$ が偶数のときである。よって、各ゲームで勝つ確率は次のようになる。
| | 第1ゲーム | 第2ゲーム | 第3ゲーム | 第4ゲーム | 第5ゲーム |
|—|—|—|—|—|—|
| $\mathrm{A}$ の立場 | 先攻 | 後攻 | 先攻 | 後攻 | 先攻 |
| $\mathrm{A}$ が勝つ確率 | $\dfrac{2}{3}$ | $\dfrac{1}{2}$ | $\dfrac{2}{3}$ | $\dfrac{1}{2}$ | $\dfrac{2}{3}$ |
| $\mathrm{B}$ が勝つ確率 | $\dfrac{1}{3}$ | $\dfrac{1}{2}$ | $\dfrac{1}{3}$ | $\dfrac{1}{2}$ | $\dfrac{1}{3}$ |
$\mathrm{A}$ の勝ち数を横、 $\mathrm{B}$ の勝ち数を縦にとり、1ゲームごとに右( $\mathrm{A}$ が勝つ)か上( $\mathrm{B}$ が勝つ)に1つ進むと考えると、試合の進み方は次の図のようになる。どちらかが3勝した点(■)で試合は終わる。また、5ゲームで勝ち数の合計は5になるので、優勝は第3・第4・第5ゲームのどれかで必ず決まる。
(1) 配点 10点
第3ゲームで優勝が決まるのは、 $\mathrm{A}$ の3連勝か $\mathrm{B}$ の3連勝のときである。
$\mathrm{A}$ の3連勝の確率は
$$\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{2}{3}=\dfrac{2}{9}$$
$\mathrm{B}$ の3連勝の確率は
$$\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{1}{3}=\dfrac{1}{18}$$
2つは同時に起こらないので、求める確率は
$$\dfrac{2}{9}+\dfrac{1}{18}=\dfrac{5}{18}$$
答 $\dfrac{5}{18}$
(2) 配点 14点
第4ゲームまでにどちらかが3勝していれば、第5ゲームは行われない。第4ゲームまでで2勝2敗なら、第5ゲームの勝者が3勝目をあげて優勝が決まる。よって、第5ゲームで優勝が決まるのは、第4ゲームまでで $\mathrm{A}$ と $\mathrm{B}$ が2勝2敗のとき(図の点 $(2,2)$ を通るとき)である。
第1・第3ゲームで $\mathrm{A}$ が勝つ回数を $i$ とすると、第2・第4ゲームで $\mathrm{A}$ が勝つ回数は $2-i$ である。
・$i=0$ のとき 第1・第3ゲームは $\mathrm{B}$ が勝ち、第2・第4ゲームは $\mathrm{A}$ が勝つので $\left(\dfrac{1}{3}\right)^2\cdot\left(\dfrac{1}{2}\right)^2=\dfrac{1}{36}$
・$i=1$ のとき 第1・第3ゲームのどちらで $\mathrm{A}$ が勝つかが2通り、第2・第4ゲームのどちらで $\mathrm{A}$ が勝つかが2通りなので ${}_2\mathrm{C}_1\cdot\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{1}{3}\times{}_2\mathrm{C}_1\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{1}{2}=\dfrac{4}{9}\cdot\dfrac{1}{2}=\dfrac{8}{36}$
・$i=2$ のとき 第1・第3ゲームは $\mathrm{A}$ が勝ち、第2・第4ゲームは $\mathrm{B}$ が勝つので $\left(\dfrac{2}{3}\right)^2\cdot\left(\dfrac{1}{2}\right)^2=\dfrac{4}{36}$
これらは同時に起こらないので、求める確率は
$$\dfrac{1}{36}+\dfrac{8}{36}+\dfrac{4}{36}=\dfrac{13}{36}$$
答 $\dfrac{13}{36}$
(3) 配点 16点
$\mathrm{B}$ が優勝する場合を、優勝が決まるゲームで分ける。どの場合も、最後のゲームは $\mathrm{B}$ が勝つ(図の太線)。
第3ゲームで決まる場合 $\mathrm{B}$ の3連勝なので、(1) より $\dfrac{1}{18}$
第4ゲームで決まる場合 第1〜第3ゲームで $\mathrm{B}$ が2勝1敗になり、第4ゲームで $\mathrm{B}$ が勝つ。第1〜第3ゲームのうち $\mathrm{A}$ が勝つゲームで分けると
・第1ゲームだけ $\mathrm{A}$ が勝つ $\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{1}{3}=\dfrac{2}{18}$
・第2ゲームだけ $\mathrm{A}$ が勝つ $\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{1}{3}=\dfrac{1}{18}$
・第3ゲームだけ $\mathrm{A}$ が勝つ $\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{2}{3}=\dfrac{2}{18}$
合計は $\dfrac{5}{18}$。第4ゲームで $\mathrm{B}$ が勝つ確率 $\dfrac{1}{2}$ をかけて
$$\dfrac{5}{18}\cdot\dfrac{1}{2}=\dfrac{5}{36}$$
第5ゲームで決まる場合 第4ゲームまでで2勝2敗になり((2) より $\dfrac{13}{36}$)、第5ゲームで $\mathrm{B}$ が勝つ(確率 $\dfrac{1}{3}$)ので
$$\dfrac{13}{36}\cdot\dfrac{1}{3}=\dfrac{13}{108}$$
これらは同時に起こらないので、求める確率は
$$\dfrac{1}{18}+\dfrac{5}{36}+\dfrac{13}{108}=\dfrac{6+15+13}{108}=\dfrac{34}{108}$$
答 $\dfrac{17}{54}$
(検算: $\mathrm{A}$ が優勝する場合も同じように数えると、第3ゲームで $\dfrac{2}{9}$、第4ゲームで $\dfrac{2}{9}$、第5ゲームで $\dfrac{13}{36}\cdot\dfrac{2}{3}=\dfrac{13}{54}$ となり、合計 $\dfrac{37}{54}$。 $\dfrac{17}{54}+\dfrac{37}{54}=1$ なので、数え漏れも重なりもない。また、第4ゲームで決まる確率は $\dfrac{5}{36}+\dfrac{2}{9}=\dfrac{13}{36}$ で、 $\dfrac{5}{18}+\dfrac{13}{36}+\dfrac{13}{36}=1$ も確かめられる)
別解((3):5ゲームすべて行うと考える)
優勝が決まったあとも、第5ゲームまで続けて行うと考える。先に3勝した人は5ゲームで3勝以上し、相手の勝ち数は $5-3=2$ 以下になる。逆に、5ゲームで3勝以上した人が先に3勝している。したがって、「 $\mathrm{B}$ が優勝する」は「5ゲームで $\mathrm{B}$ が3勝以上する」と同じことである。優勝が決まったあとのゲームは、勝敗のすべての場合の確率を足すと1になるので、続けて行うと考えても求める確率は変わらない。
奇数番目の3ゲーム( $\mathrm{B}$ が勝つ確率 $\dfrac{1}{3}$)で $\mathrm{B}$ が勝つ回数を $X$、偶数番目の2ゲーム( $\mathrm{B}$ が勝つ確率 $\dfrac{1}{2}$)で $\mathrm{B}$ が勝つ回数を $Y$ とすると、それぞれ反復試行なので
$$P(X=1)=\dfrac{12}{27},\quad P(X=2)=\dfrac{6}{27},\quad P(X=3)=\dfrac{1}{27},\qquad P(Y=1)=\dfrac{1}{2},\quad P(Y=2)=\dfrac{1}{4}$$
$X+Y\geqq3$ となるのは「 $X=1$ かつ $Y=2$」「 $X=2$ かつ $Y\geqq1$」「 $X=3$」のときなので
$$\dfrac{12}{27}\cdot\dfrac{1}{4}+\dfrac{6}{27}\cdot\dfrac{3}{4}+\dfrac{1}{27}=\dfrac{12+18+4}{108}=\dfrac{17}{54}$$
出題意図
(1) ゲームごとに勝つ確率が変わる状況を、正しく式にできるか。先攻・後攻が交互に入れかわることを「奇数番目のゲームは $\mathrm{A}$ が先攻、偶数番目のゲームは $\mathrm{A}$ が後攻」と整理できるか。
(2) 「第5ゲームで優勝が決まる」を「第4ゲームまでで2勝2敗」と言いかえられるか
(3) 優勝が決まるゲームで場合を分け、最後のゲームは優勝する人が勝つという条件を落とさずに数え上げられるか
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 20分 |
計算量は少なく、医学科の受験生なら満点が前提の問題。
ただし、ゲームごとに勝つ確率が入れかわるので、表を書かずに解くと取り違えが起きやすい。
「最後のゲームは優勝する人が勝つ」は優勝決定戦の確率の基本で、これが書けないなら合格は厳しい。
最初に各ゲームで勝つ確率の表を書いてから解き始める。
(1) は3連勝の2通りを足すだけ。
(2) は「第4ゲームまでで2勝2敗」と言いかえ、奇数番目で $\mathrm{A}$ が何勝したかで3つに分ける。
(3) は (1)(2) の結果を使えば、新しく数えるのは第4ゲームで決まる場合だけ。
最後に $\mathrm{A}$ が優勝する確率も求め、合計が1になることを確かめてから次の問題へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- ゲームごとの確率の取り違え:「 $\mathrm{A}$ が先攻のとき $\dfrac{2}{3}$」を全ゲームに使う、第5ゲームを後攻と取り違える、などのミスが起きやすい。最初に「奇数番目は $\dfrac{2}{3}$、偶数番目は $\dfrac{1}{2}$」と表にしておけば防げる。
- (2) で奇数番目と偶数番目を分けるという発想に行き着けるか: ${}_4\mathrm{C}_2$ をそのまま使うと、勝つ確率が違うゲームを同じに扱ってしまう。確率がそろっている範囲ごとに分けて数えられるかで大きく差がつく。
- 最後のゲームの条件:(3) の第4ゲームで決まる場合を「第1〜第4ゲームで $\mathrm{B}$ が3勝1敗」と数えると、第3ゲームまでに $\mathrm{B}$ が3連勝して試合が終わっている場合まで含めてしまう。最後のゲームは優勝する人が勝つ、という発想に行き着けるか。
- 検算:(3) は $\mathrm{A}$ が優勝する確率も求めて、合計が1になるかを確かめれば、数え漏れに気づける。
2025年鹿児島大学医学部数学
第4問 解答・解説
第4問は複素数平面・微分法(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「複素数の商が実数になる条件、2直線が垂直に交わる条件、商の虚部の最大・最小」。
問題


問題文をテキストで読む
3つの複素数 $\alpha=4+3i$、 $\beta=x+i$、 $\gamma=8i$ および複素数平面上の対応する点 $\mathrm{A}(\alpha)$、 $\mathrm{B}(\beta)$、 $\mathrm{C}(\gamma)$ を考える。ただし、 $x$ は実数で、 $i$ は虚数単位とする。
(1) $\dfrac{\alpha}{\beta}$ が実数となるような $x$ の値を求めよ。
(2) 直線 $\mathrm{AB}$ と直線 $\mathrm{AC}$ が垂直に交わるような $x$ の値を求めよ。
(3) $x$ が実数全体を動くとき、 $\dfrac{\alpha}{\beta}$ の虚部の最大値および最小値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\dfrac{\alpha}{\beta}$ が実数 ⇔ $\alpha$ と $\beta$ の偏角が等しいか $\pi$ だけずれる ⇔ 3点 $\mathrm{O}$、 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ が一直線上にある。点 $\mathrm{B}$ は虚部が1の直線の上を動くので、その直線と直線 $\mathrm{OA}$ の交点を求めれば一瞬で終わる。


- 直線 $\mathrm{OA}$ を座標平面の式 $y=\dfrac34x$ で表す。
- 点 $\mathrm{B}(x,\,1)$ がこの直線上にある条件から $x$ を求める。
【(2)の方針】
複素数平面の問題だが、座標平面のベクトルに直して内積が0とするのが一番早い。 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(x-4,\,-2)$、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(-4,\,5)$ はどちらも零ベクトルでないので、垂直 ⇔ 内積が0。複素数のまま解くなら、 $\dfrac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}$ が純虚数(実部が0で、虚部が0でない)という条件で処理する(模範解答の別解)。


- $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ を成分で表す。
- $\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}}=0$ から $x$ を求める。
【(3)の方針】
分母 $\beta=x+i$ の共役複素数 $x-i$ を分母・分子にかけて分母を実数にすると、虚部は $f(x)=\dfrac{3x-4}{x^2+1}$。あとはこの分数関数の最大値・最小値の問題。分母 $x^2+1$ は0にならないので、微分して増減を調べればよい。ただし定義域が実数全体なので、$x\to\pm\infty$ の極限まで調べないと、極値が最大値・最小値だと言えない。 $f(x)$ は分子が1次、分母が2次なので $x\to\pm\infty$ で0に近づく。
複素数平面で見ると、 $x$ が実数全体を動くとき、点 $\dfrac{\alpha}{\beta}$ は中心 $\dfrac32-2i$、半径 $\dfrac52$ の円の上を動く(原点だけは除く。模範解答の別解2)。虚部の最大・最小は円の一番上の点と一番下の点で、答えの見当がつく。


- 分母・分子に $x-i$ をかけて $\dfrac{\alpha}{\beta}=\dfrac{(4x+3)+(3x-4)i}{x^2+1}$ とし、虚部を $f(x)=\dfrac{3x-4}{x^2+1}$ とおく。
- 商の微分で $f'(x)=-\dfrac{(3x+1)(x-3)}{(x^2+1)^2}$ と因数分解する。
- $f'(x)=0$ となる $x=-\dfrac13$、 $3$ の前後の符号から増減表を書き、極値 $f\left(-\dfrac13\right)$、 $f(3)$ を求める。
- $\displaystyle\lim_{x\to\pm\infty}f(x)=0$ を確かめ、増減表から最大値・最小値を答える。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$\alpha\neq0$、 $\beta\neq0$ なので、 $\dfrac{\alpha}{\beta}$ が実数 ⇔ $\alpha$ と $\beta$ の偏角が等しいか $\pi$ だけずれる ⇔ 3点 $\mathrm{O}$、 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ が一直線上にある。
座標平面で、直線 $\mathrm{OA}$ は $y=\dfrac34x$。点 $\mathrm{B}(x,\,1)$ がこの直線上にあるので
$$1=\dfrac34x$$
答 $x=\dfrac43$
(このとき $\beta=\dfrac43+i$、 $\alpha=3\beta$ で、 $\dfrac{\alpha}{\beta}=3$)
(1) の別解(分母の実数化)
分母・分子に $\overline{\beta}=x-i$ をかけると
$$\dfrac{\alpha}{\beta}=\dfrac{(4+3i)(x-i)}{(x+i)(x-i)}=\dfrac{(4x+3)+(3x-4)i}{x^2+1}$$
$x^2+1>0$ なので、実数となる条件は虚部の分子が0、すなわち $3x-4=0$ より $x=\dfrac43$。(この計算は (3) でそのまま使う)
(2) 配点 12点
座標平面で
$$\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(x-4,\ -2),\qquad\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(-4,\ 5)$$
どちらも零ベクトルでない( $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ の $y$ 成分は $-2$)ので、直線 $\mathrm{AB}$ と直線 $\mathrm{AC}$ が垂直に交わる ⇔ $\overrightarrow{\mathrm{AB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{AC}}=0$。
$$-4(x-4)+(-2)\cdot5=0\iff-4x+6=0$$
答 $x=\dfrac32$
(2) の別解(純虚数の条件)
$\gamma-\alpha=-4+5i$、 $\beta-\alpha=(x-4)-2i\neq0$。分母・分子に $(x-4)+2i$ をかけると
$$\dfrac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=\dfrac{(-4+5i)\{(x-4)+2i\}}{(x-4)^2+4}=\dfrac{(-4x+6)+(5x-28)i}{(x-4)^2+4}$$
垂直 ⇔ これが純虚数 ⇔ $-4x+6=0$ かつ $5x-28\neq0$。よって $x=\dfrac32$(このとき $5x-28=-\dfrac{41}{2}\neq0$)。
(このとき $\dfrac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}=-2i$ で、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ を $-\dfrac{\pi}{2}$ 回転して2倍すると $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ になる。実部の分子 $-4x+6$ は本解の内積と同じ式)
(3) 配点 18点
分母・分子に $\overline{\beta}=x-i$ をかけると
$$\dfrac{\alpha}{\beta}=\dfrac{(4+3i)(x-i)}{(x+i)(x-i)}=\dfrac{(4x+3)+(3x-4)i}{x^2+1}$$
$x$ は実数なので、虚部は
$$f(x)=\dfrac{3x-4}{x^2+1}$$
$$f'(x)=\dfrac{3(x^2+1)-(3x-4)\cdot2x}{(x^2+1)^2}=\dfrac{-3x^2+8x+3}{(x^2+1)^2}=-\dfrac{(3x+1)(x-3)}{(x^2+1)^2}$$
$(x^2+1)^2>0$ なので、 $f'(x)$ の符号は $-(3x+1)(x-3)$ の符号と同じ。
$$f\left(-\dfrac13\right)=\dfrac{-1-4}{\dfrac19+1}=-\dfrac92,\qquad f(3)=\dfrac{9-4}{9+1}=\dfrac12$$
また、分母・分子を $x^2$ で割ると
$$\lim_{x\to\pm\infty}f(x)=\lim_{x\to\pm\infty}\dfrac{\dfrac3x-\dfrac{4}{x^2}}{1+\dfrac{1}{x^2}}=0$$
よって増減表は次のようになる。
| $x$ | $(-\infty)$ | $\cdots$ | $-\dfrac13$ | $\cdots$ | $3$ | $\cdots$ | $(\infty)$ |
|—|—|—|—|—|—|—|—|
| $f'(x)$ | | $-$ | $0$ | $+$ | $0$ | $-$ | |
| $f(x)$ | $(0)$ | $\searrow$ | $-\dfrac92$ | $\nearrow$ | $\dfrac12$ | $\searrow$ | $(0)$ |
増減表と、 $x\to\pm\infty$ で $f(x)\to0$ であることから、 $-\dfrac92\leqq f(x)\leqq\dfrac12$ で、両端の値は実際にとる。
答 最大値 $\dfrac12$( $x=3$ のとき)、最小値 $-\dfrac92$( $x=-\dfrac13$ のとき)
(3) の別解1(判別式)
$k=\dfrac{3x-4}{x^2+1}$ とおくと、 $kx^2-3x+k+4=0$。 $k$ がとりうる値は、この $x$ の方程式が実数解をもつような $k$ の値である。
・$k=0$ のとき、 $-3x+4=0$ より $x=\dfrac43$ で実数解をもつ。
・$k\neq0$ のとき、 $x$ の2次方程式なので、判別式 $D\geqq0$ が条件。
$$D=9-4k(k+4)\geqq0\iff4k^2+16k-9\leqq0\iff(2k-1)(2k+9)\leqq0\iff-\dfrac92\leqq k\leqq\dfrac12$$
$k=0$ もこの範囲に入るので、 $k$ のとりうる値の範囲は $-\dfrac92\leqq k\leqq\dfrac12$。よって最大値 $\dfrac12$、最小値 $-\dfrac92$。
( $k=\dfrac12$ のとき $x=3$、 $k=-\dfrac92$ のとき $x=-\dfrac13$ で、どちらも重解)
(3) の別解2( $\dfrac{\alpha}{\beta}$ の軌跡を求める)
$w=\dfrac{\alpha}{\beta}$ とおく。 $\beta\neq0$ なので $w\neq0$ で、 $\beta=\dfrac{\alpha}{w}$。 $w=u+vi$( $u$、 $v$ は実数)とおくと
$$\dfrac{\alpha}{w}=\dfrac{(4+3i)(u-vi)}{u^2+v^2}=\dfrac{(4u+3v)+(3u-4v)i}{u^2+v^2}$$
$\beta$ は「虚部が1の複素数」全体を動くので、その条件は $\dfrac{3u-4v}{u^2+v^2}=1$。整理すると
$$u^2+v^2-3u+4v=0\iff\left(u-\dfrac32\right)^2+(v+2)^2=\dfrac{25}{4}$$
よって点 $w$ は、中心 $\dfrac32-2i$、半径 $\dfrac52$ の円から原点 $\mathrm{O}$ を除いたものの上を動く。虚部 $v$ の最大は円の一番上の点 $\dfrac32+\dfrac12i$、最小は一番下の点 $\dfrac32-\dfrac92i$ で、どちらも原点ではない。よって最大値 $\dfrac12$、最小値 $-\dfrac92$。
(円が実軸と交わる点 $3$ は、(1) の $\dfrac{\alpha}{\beta}=3$ にあたる)
出題意図
(1) $\dfrac{\alpha}{\beta}$ が実数 ⇔ 3点 $\mathrm{O}$、 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ が一直線上という、複素数の商の図形的な意味が理解できているか
(2) 2直線が垂直に交わる条件を、ベクトルの内積(または $\dfrac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}$ が純虚数)で式にできるか
(3) 分母の実数化で虚部を $x$ の分数関数として表し、増減と $x\to\pm\infty$ の極限から最大値・最小値を求められるか
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 30点 |
| 目標時間 | 20分 |
複素数平面の問題の形をしているが、中身は複素数の商の図形的な意味・内積・分数関数の微分という基本の組み合わせ。
医学科を目指すなら (1)(2) は絶対に落とせず、(3) まで含めて30点以上は確保したい。
図を書けば (1)(2)(3) の答えはすべて目で確かめられる。
(1) は3点が一直線上、(2) は内積で、どちらも一瞬で終わるので必ず取る。
(3) は分母を実数化して虚部を微分し、増減表を書き、 $x\to\pm\infty$ の極限まで書いてから答える。
計算自体は単純なので、確実に計算し、検算してから次の問題へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で $\dfrac{\alpha}{\beta}$ が実数 ⇔ 3点が一直線上という発想に行き着けるか:図形の意味が分かれば一瞬で終わる。分母を実数化しても解けるが、時間の差がつく。
- (2) で座標平面のベクトルに直すという発想に行き着けるか:内積を使えば短い計算で終わる。純虚数の条件で解くときは、虚部が0でない確認まで書けるかで減点の有無が分かれる。
- (3) で $x\to\pm\infty$ の極限まで調べるという発想に行き着けるか:極大値・極小値をそのまま最大値・最小値と答えると論証不足で減点される。定義域が実数全体のときは、両端の極限が極値の範囲に収まることを示して初めて最大・最小と言える。
- (3) の別解で $k=0$ の場合を分ける:判別式で解くときは、 $k=0$ で2次方程式にならない場合を必ず別に考える。
- この問題は全体として計算が軽く、大きく差がつく所は少ない。医学科の受験生なら、失点は計算ミスと論証の書き落としだけにしたい。
2025年鹿児島大学医学部数学
第5問 解答・解説
第5問は微分法・積分法・極限(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「指数関数の分数式の曲線の接線、接線と曲線の上下、接線・漸近線と曲線で囲まれた部分の面積とその極限」。
問題


問題文をテキストで読む
$e$ を自然対数の底とし、
$$f(x)=\dfrac{e^x-2e^{-2x}}{e^x+e^{-2x}}$$
とおく。座標平面上の曲線 $y=f(x)$ を $C$ とし、 $C$ 上の点 $\left(0,\,-\dfrac{1}{2}\right)$ における接線を $l$ とする。また、 $l$ と直線 $y=1$ との交点を $(a,\,1)$ とする。
(1) 接線 $l$ の方程式と、 $a$ の値を求めよ。
(2) (1)で求めた接線 $l$ の方程式を $y=g(x)$ とおく。 $x>0$ のとき、 $f(x)<g(x)$ であることを示せ。
(3) 曲線 $C$、接線 $l$ および直線 $x=a$ で囲まれた部分の面積 $S_1$ を求めよ。
(4) 実数 $r$ は $r>a$ を満たすとする。曲線 $C$、直線 $y=1$、 $x=a$ および $x=r$ で囲まれた部分の面積を $S_2$ とする。(3)で定めた $S_1$ を用いて $S(r)=S_1+S_2$ と定めるとき、 $S(r)$ を求めよ。さらに、 $\displaystyle\lim_{r\to\infty}S(r)$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$f(x)$ は分母・分子に $e^{-2x}$ がまざっていて、このまま商の微分をすると計算が重い。分母・分子に $e^{2x}$ をかけると $f(x)=\dfrac{e^{3x}-2}{e^{3x}+1}$。さらに分子を分母で割って $f(x)=1-\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ と「定数+分数」の形にすると、分子が定数になるので微分が簡単になる。この形は (3)(4) の積分でもそのまま使える。
- 分母・分子に $e^{2x}$ をかけ、 $f(x)=1-\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ と表す。
- $f'(x)=\dfrac{9e^{3x}}{(e^{3x}+1)^2}$ を求め、 $f'(0)=\dfrac{9}{4}$ から接線 $l$ の方程式を求める。
- $l$ の方程式に $y=1$ を代入して $a$ を求める。
【(2)の方針】
不等式の証明は、差の関数 $h(x)=g(x)-f(x)$ をつくり、$h(0)=0$ と $x>0$ での $h'(x)>0$ を示せばよい。 $h'(x)=\dfrac{9}{4}-f'(x)$ を通分すると、分子は $(e^{3x}+1)^2-4e^{3x}=(e^{3x}-1)^2$ となり、正であることがすぐに分かる。
この形になる理由はグラフで見える。 $f'(x)=\dfrac{9e^{3x}}{(e^{3x}+1)^2}$ は分母・分子を $e^{3x}$ で割ると $\dfrac{9}{e^{3x}+2+e^{-3x}}$ となり、 $x=0$ で最大値 $\dfrac{9}{4}$ をとる。つまり点 $\left(0,\,-\dfrac{1}{2}\right)$ は傾きが最も大きい点(変曲点)で、接線 $l$ はここで曲線 $C$ を横切る。 $x>0$ では $C$ が $l$ の下、 $x<0$ では $C$ が $l$ の上にある(下の図の色をつけた部分)。 $h'(x)$ の分子が $(e^{3x}-1)^2$ と2乗の形になるのは、このためである。


- $h(x)=g(x)-f(x)=\dfrac{9}{4}x-\dfrac{3}{2}+\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ とおき、 $h(0)=0$ を確かめる。
- $h'(x)=\dfrac{9}{4}-\dfrac{9e^{3x}}{(e^{3x}+1)^2}$ を通分し、 $h'(x)=\dfrac{9(e^{3x}-1)^2}{4(e^{3x}+1)^2}$ と表す。
- $x>0$ で $h'(x)>0$ なので $h(x)$ は $x\geqq0$ で増加し、 $h(x)>h(0)=0$ と結論する。
【(3)の方針】
面積は「上の関数 $-$ 下の関数」を積分する。(2) から $0<x\leqq a$ では接線 $l$ が上、曲線 $C$ が下なので、 $S_1=\displaystyle\int_0^a\{g(x)-f(x)\}\,dx$。 $x<0$ では $C$ が $l$ の上にあるので、 $C$ と $l$ の共有点は接点だけで、囲まれた部分は $0\leqq x\leqq a$ の範囲に限られる。
積分で問題になるのは $\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ の不定積分。分母・分子に $e^{-3x}$ をかけて $\dfrac{3e^{-3x}}{1+e^{-3x}}$ にすると、分子が分母 $1+e^{-3x}$ の導関数 $-3e^{-3x}$ の $-1$ 倍になる( $\dfrac{u’}{u}$ 型で $\log$ になる)。 $t=e^{3x}$ と置換して部分分数分解しても求まるが、こちらの方が計算が短い。


- (2) と同じ計算で $x<0$ のとき $h(x)<0$ を確かめ、囲まれた部分が $0\leqq x\leqq a$ の範囲にあることを確かめる。
- $S_1=\displaystyle\int_0^{\frac{2}{3}}\left(\dfrac{9}{4}x-\dfrac{3}{2}+\dfrac{3}{e^{3x}+1}\right)dx$ と表す。
- $\displaystyle\int\dfrac{3}{e^{3x}+1}\,dx=\int\dfrac{3e^{-3x}}{1+e^{-3x}}\,dx=-\log(1+e^{-3x})+C_0$ を使って計算する。
【(4)の方針】
$f(x)=1-\dfrac{3}{e^{3x}+1}<1$ なので、曲線 $C$ は常に直線 $y=1$ の下にある。よって $S_2=\displaystyle\int_a^r\{1-f(x)\}\,dx=\int_a^r\dfrac{3}{e^{3x}+1}\,dx$ で、(3) と同じ不定積分が使える。
極限の計算では、まず「不定形を直接解消する」「はさみうちの原理」「導関数の定義」のどれを使うかを考える。 $-\log(1+e^{-3x})$ の形で計算しておけば、 $S(r)$ に残るのは $\log(1+e^{-3r})$ だけで、これは不定形ではない( $e^{-3r}\to0$ を代入するだけ)。一方、 $t=e^{3x}$ の置換で不定積分を $3x-\log(e^{3x}+1)$ と求めた場合は、 $S(r)$ に $3r-\log(e^{3r}+1)$ が残り、 $\infty-\infty$ の不定形になる。このときは $3r=\log e^{3r}$ として $\log$ を1つにまとめ、 $-\log(1+e^{-3r})$ に直して不定形を直接解消する。
- $C$ が直線 $y=1$ の下にあることを確かめ、 $S_2=\displaystyle\int_{\frac{2}{3}}^r\dfrac{3}{e^{3x}+1}\,dx$ を (3) の不定積分で計算する。
- $S(r)=S_1+S_2$ を整理する( $\log(1+e^{-2})$ が打ち消し合う)。
- $r\to\infty$ のとき $e^{-3r}\to0$ なので、 $\log(1+e^{-3r})\to0$ から極限を求める。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 8点
分母・分子に $e^{2x}$ をかけると
$$f(x)=\dfrac{e^{3x}-2}{e^{3x}+1}=1-\dfrac{3}{e^{3x}+1}$$
よって
$$f'(x)=\dfrac{3\cdot3e^{3x}}{(e^{3x}+1)^2}=\dfrac{9e^{3x}}{(e^{3x}+1)^2}$$
$f'(0)=\dfrac{9}{4}$ なので、接線 $l$ は $y=\dfrac{9}{4}x-\dfrac{1}{2}$。
$y=1$ を代入すると $1=\dfrac{9}{4}a-\dfrac{1}{2}$ より $a=\dfrac{2}{3}$。
答 $l:\ y=\dfrac{9}{4}x-\dfrac{1}{2}$、 $a=\dfrac{2}{3}$
(2) 配点 10点
$g(x)=\dfrac{9}{4}x-\dfrac{1}{2}$ である。
$$h(x)=g(x)-f(x)=\dfrac{9}{4}x-\dfrac{3}{2}+\dfrac{3}{e^{3x}+1}$$
とおくと、 $h(0)=-\dfrac{3}{2}+\dfrac{3}{2}=0$。
$$h'(x)=\dfrac{9}{4}-\dfrac{9e^{3x}}{(e^{3x}+1)^2}=\dfrac{9\{(e^{3x}+1)^2-4e^{3x}\}}{4(e^{3x}+1)^2}=\dfrac{9(e^{3x}-1)^2}{4(e^{3x}+1)^2}$$
$x>0$ のとき $e^{3x}>1$ なので $h'(x)>0$。よって $h(x)$ は $x\geqq0$ で増加し、 $x>0$ のとき $h(x)>h(0)=0$。すなわち $f(x)<g(x)$ である。(終)
(点 $\left(0,\,-\dfrac{1}{2}\right)$ は曲線 $C$ の変曲点で、接線 $l$ はここで $C$ を横切る。 $x>0$ では $C$ が $l$ の下にある)
(3) 配点 12点
$x<0$ のときも $e^{3x}\neq1$ より $h'(x)>0$ なので、 $x<0$ で $h(x)<h(0)=0$。よって曲線 $C$ と接線 $l$ の共有点は点 $\left(0,\,-\dfrac{1}{2}\right)$ だけであり、(2) より $0<x\leqq\dfrac{2}{3}$ では $l$ が $C$ の上にある。したがって、曲線 $C$、接線 $l$、直線 $x=\dfrac{2}{3}$ で囲まれた部分は $0\leqq x\leqq\dfrac{2}{3}$ の範囲にあり
$$S_1=\int_0^{\frac{2}{3}}h(x)\,dx=\int_0^{\frac{2}{3}}\left(\dfrac{9}{4}x-\dfrac{3}{2}+\dfrac{3}{e^{3x}+1}\right)dx$$
分母・分子に $e^{-3x}$ をかけると、分子は分母 $1+e^{-3x}$ の導関数 $-3e^{-3x}$ の $-1$ 倍なので
$$\int\dfrac{3}{e^{3x}+1}\,dx=\int\dfrac{3e^{-3x}}{1+e^{-3x}}\,dx=-\log(1+e^{-3x})+C_0\quad(C_0\ \text{は積分定数})$$
よって
$$\begin{aligned}S_1&=\left[\dfrac{9}{8}x^2-\dfrac{3}{2}x-\log(1+e^{-3x})\right]_0^{\frac{2}{3}}\\&=\dfrac{1}{2}-1-\log(1+e^{-2})+\log2\\&=\log\dfrac{2}{1+e^{-2}}-\dfrac{1}{2}=\log\dfrac{2e^2}{e^2+1}-\dfrac{1}{2}\end{aligned}$$
答 $S_1=\log\dfrac{2e^2}{e^2+1}-\dfrac{1}{2}$
(3) の別解(三角形を引く)
直線 $y=1$ と曲線 $C$ の間の $0\leqq x\leqq\dfrac{2}{3}$ の部分から、直線 $y=1$、接線 $l$、 $y$ 軸で囲まれた三角形(底辺 $\dfrac{2}{3}$、高さ $\dfrac{3}{2}$、面積 $\dfrac{1}{2}$)を除くと $S_1$ の部分になる。 $1-f(x)=\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ なので
$$S_1=\int_0^{\frac{2}{3}}\dfrac{3}{e^{3x}+1}\,dx-\dfrac{1}{2}=\Bigl[-\log(1+e^{-3x})\Bigr]_0^{\frac{2}{3}}-\dfrac{1}{2}=\log2-\log(1+e^{-2})-\dfrac{1}{2}$$
となり、同じ答えになる。積分するのが $\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ だけになるので、計算が短い。
(4) 配点 10点
$f(x)=1-\dfrac{3}{e^{3x}+1}<1$ なので、曲線 $C$ は常に直線 $y=1$ の下にある。よって (3) の不定積分を使って
$$S_2=\int_{\frac{2}{3}}^r\{1-f(x)\}\,dx=\int_{\frac{2}{3}}^r\dfrac{3}{e^{3x}+1}\,dx=\Bigl[-\log(1+e^{-3x})\Bigr]_{\frac{2}{3}}^r=\log(1+e^{-2})-\log(1+e^{-3r})$$
$$S(r)=S_1+S_2=\left\{\log2-\log(1+e^{-2})-\dfrac{1}{2}\right\}+\left\{\log(1+e^{-2})-\log(1+e^{-3r})\right\}=\log2-\dfrac{1}{2}-\log(1+e^{-3r})$$
答 $S(r)=\log2-\dfrac{1}{2}-\log(1+e^{-3r})$
$r\to\infty$ のとき $e^{-3r}\to0$ なので $\log(1+e^{-3r})\to\log1=0$。
答 $\displaystyle\lim_{r\to\infty}S(r)=\log2-\dfrac{1}{2}$
(4) の別解(三角形を引く)
$S_1$ の部分と $S_2$ の部分を合わせた図形は、直線 $y=1$ と曲線 $C$ の間の $0\leqq x\leqq r$ の部分から、(3) の別解の三角形(面積 $\dfrac{1}{2}$)を除いたものである(下の図)。よって
$$S(r)=\int_0^r\dfrac{3}{e^{3x}+1}\,dx-\dfrac{1}{2}=\Bigl[-\log(1+e^{-3x})\Bigr]_0^r-\dfrac{1}{2}=\log2-\log(1+e^{-3r})-\dfrac{1}{2}$$
$r\to\infty$ で、直線 $y=1$ と曲線 $C$ の間の $x\geqq0$ の部分の面積は $\log2$ に近づき、極限は $\log2-\dfrac{1}{2}$ になる。 $S_1$ を求めなくても $S(r)$ が求まるので、本番での検算にも使える。
出題意図
(1) 指数関数の分数式を、分母・分子に同じものをかけて「定数+分数」の形に直せるか
(2) 「 $f(x)<g(x)$ を示せ」を差の関数の増減に帰着できるか。接点が曲線の変曲点になっていることを捉えることができるか。
(3) 面積の問題で、曲線と接線の上下を (2) の結果から判断し、定積分で表せるか。 $\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ の不定積分を求めることができるか。
(4) 求めた $S(r)$ の極限を、不定形かどうかを見極めたうえで正しく計算できるか
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 20点 |
| 目標時間 | 25分 |
2025年のセットで最も計算量が多く、合否を分ける問題。
とはいえ、やることは「変形して微分」「差の関数の増減」「上下を確かめて積分」という数Ⅲの微積分の典型問題の流れそのもの。
$1-\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ への変形と $\dfrac{u’}{u}$ 型の積分がすぐに浮かばないなら、鹿大医の合格は厳しい。
(1)(2) はやや簡単。
最初に $f(x)=1-\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ と変形してから微分すれば、簡単に解ける。
(3)(4) は標準。
(2) が示せなくても、 $x>0$ で $f(x)<g(x)$ を認めれば (3) の面積の式は立てられるので、(1)(2) を確実に取ったうえで、(3)(4) も部分点を取りにいく。
$\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ の不定積分が求まれば、あとは計算だけ。
最後に「直線 $y=1$ と曲線 $C$ の間の面積から三角形 $\dfrac{1}{2}$ を引く」別解で $S(r)$ を検算してから次へ進む。
差がつく所・失点しやすい所
- $f(x)=1-\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ に変形するという発想に行き着けるか:変形せずに商の微分を使うと、(1) の微分も (2) の通分も重くなり、(3)(4) の積分では方針が立たない。分母・分子に $e^{2x}$ をかけて「定数+分数」にできるかで大きく差がつく。
- $\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ を分母・分子に $e^{-3x}$ をかけて $\dfrac{u’}{u}$ 型にするという発想に行き着けるか:ここで方針が立たないと (3)(4) がまとめて解けない。思いつかなければ $t=e^{3x}$ と置換して部分分数分解する、という代わりの方法を持っておく。
- (2) の通分: $h'(x)$ の分子 $(e^{3x}+1)^2-4e^{3x}$ を $(e^{3x}-1)^2$ にまとめられるか。展開したまま正を示そうとすると時間がかかる。
- (3) で囲まれた部分の範囲の説明が抜ける:(2) は $x>0$ のことしか言っていないので、接点以外に共有点がないこと( $x<0$ でも $h(x)\neq0$)を確かめないと、面積の範囲の根拠が不十分になる。
- (4) の極限で不定形を見落とす:置換で $3r-\log(e^{3r}+1)$ の形が残ったとき、 $\infty-\infty$ のまま「0」としてしまうミス。 $\log$ を1つにまとめて不定形を直接解消する。
2025年鹿児島大学医学部・数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 目標点 |
|---|---|---|
| 第1問 | やや簡単 | 40点 |
| 第2問 | やや簡単 | 40点 |
| 第3問(選択1) | やや簡単 | 40点 |
| 第3問(選択2) | 標準 | 40点 |
| 第3問(選択3) | 標準 | 40点 |
| 第4問 | やや簡単 | 30点 |
| 第5問 | 標準 | 20点 |
| 合計 | 170点 |
全体的に難易度はやや簡単。
合格のコツは、第3問で問題の選択にミスらないこと。
いずれも解きやすくはあるが、選択1は特に完答しやすいので、なるべく選択1を選ぶようにしたい。
第5問で落とした時のために、第1問から第4問は確実に完答すること。
解く流れ
- 第1問 → 第2問 → 第3問(選択) → 第4問 → 第5問
- 目標時間:第1問 15分・第2問 15分・第3問(選択1)20分・第4問 20分・第5問 25分。合計95分で、試験時間120分のうち25分を見直しに使える。
- 問題の順番に解いていけばよく、作戦を変える必要はない。第5問は計算量が多いので最後に回す。
- 第3問の選択は、問題を開いたら3題すべてに1分ずつ目を通してから決める(下の「選択問題はどれを選ぶべきか」を参照)。
選択問題はどれを選ぶべきか
- 選び方:3題の難易度を比べ、発想がいらず一番解きやすいものを選ぶ。
- おすすめは選択1(数列)。3題の中で唯一のやや簡単で、残りの2題は標準。
- 理由1:誘導が一番丁寧。(1) は代入して整理するだけ、(2) は $a_{n+1}-a_n$ を計算すると (1) の $c_n$ が現れるので、(1) の結果を入れるだけ、(3) は階差数列の公式を使うだけで、方針に迷う所がない。
- 理由2:答えの検算がすぐにできる。 $n=1,2$ を一般項に代入し、漸化式から計算した値と一致するかを確かめれば、計算ミスに気づける。
- 選択2(空間ベクトル)は標準。(1) は $z$ 座標を比べるだけだが、(3) で軌跡が円になると見抜き、 $\mathrm{B’}$、 $\mathrm{C’}$ を除く、平面 $\alpha$ 上の円と書く、など減点されやすい所がある。
- 選択3(確率)も標準。ゲームごとにAが勝つ確率( $\dfrac23$ と $\dfrac12$)が入れかわるので、取り違えによる計算ミスが起きやすい。確率が得意でも選択1を選んだほうが安全。
2025年鹿児島大学医学部・数学に
関するよくある質問
2025年の鹿児島大学医学部・数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2025年の鹿児島大学医学部・数学は難しかった?
-
2025年の鹿児島大学医学部・数学は、全体として「やや簡単」な年でした。
5題とも誘導が丁寧で、教科書から標準問題集の例題レベルです。
選択問題で選択1を選べば、標準の問題は第5問の1題だけでした。 - 2025年の鹿児島大学医学部・数学は何点取れば合格できる?
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目標点は170点です(200点満点)。
- 2025年の鹿児島大学医学部・数学はどこで差がつく?
-
特に差がついたのは、次の3つです。
- 第5問:$f(x)=1-\dfrac{3}{e^{3x}+1}$ と変形して、面積の積分まで正確に計算できるか。
- 選択問題:3題の中で唯一やや簡単な選択1を選べるか。
- 全問を通して計算ミスをしないこと:第1問〜第4問は医学科の受験生なら完答が前提なので、細かい所の失点が合否を分ける。
- 2025年の鹿児島大学医学部・数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:三角関数・式と証明・集合と命題
- 第2問:指数関数と対数関数・微分法(数学Ⅱ)
- 第3問(選択1):数列
- 第3問(選択2):空間ベクトル
- 第3問(選択3):確率
- 第4問:複素数平面・微分法(数学Ⅲ)
- 第5問:微分法・積分法・極限(数学Ⅲ)
