【解説・採点基準付き】2023年鹿児島大医学部・数学の解答・解説
2023年の鹿児島大学医学部・数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2023年鹿児島大学医学部数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は鹿児島大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は図形と計量・数と式・確率の問題です。
テーマは「小問集合(直角三角形の内接円の面積/ $\sqrt5+\sqrt7$ を解にもつ有理数係数の4次の整式/さいころ3回の目の和が7以上である確率)」。
問題


問題文をテキストで読む
次の各問いに答えよ。
(1) 3辺の長さがそれぞれ2、4、 $2\sqrt5$ である三角形に内接する円の面積を求めよ。
(2) $\theta=\sqrt5+\sqrt7$ とする。有理数を係数とする4次の整式 $f(x)$ のうち、 $f(\theta)=0$ を満たし4次の項の係数が1となるものを1つ答えよ。
(3) 1個のサイコロを3回投げるとき、出る目の和が7以上である確率を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
3辺 2、4、 $2\sqrt5$ は $2^2+4^2=20=\left(2\sqrt5\right)^2$ を満たすので、長さ $2\sqrt5$ の辺を斜辺とする直角三角形。直角三角形と分かれば面積はすぐに求まるので、内心と3つの頂点を結んで三角形を3つに分け、面積の式 $S=\dfrac12r(a+b+c)$ で $r$ を求める。どんな三角形でも使える、内接円の半径を求めるときのいつもの形。直角三角形なら、直角の頂点にできる正方形を使って接線の長さから求めることもできる(模範解答の別解)。


- $2^2+4^2=\left(2\sqrt5\right)^2$ から、三平方の定理の逆により直角三角形であることを示し、面積 $S=4$ を求める。
- $S=\dfrac12r(a+b+c)$ から $r=\dfrac{4}{3+\sqrt5}=3-\sqrt5$ を求める。
- 内接円の面積 $\pi r^2$ を計算する。
【(2)の方針】
$\theta=\sqrt5+\sqrt7$ には根号が2種類あるので、 根号を1つずつ消す。 $\theta^2$ を計算すると $\sqrt5$ と $\sqrt7$ の積の $\sqrt{35}$ だけが残る。そこで $\sqrt{35}$ だけを片方に集めてもう一度2乗すれば、根号がすべて消えて $\theta$ の4次の等式になる。2回2乗するので4次になり、問題の「4次の整式」と合う。等式を変形して求めるので、 $f(\theta)=0$ は求め方そのものから成り立つ。
- $\theta^2=12+2\sqrt{35}$ を求める。
- $\theta^2-12=2\sqrt{35}$ と $\sqrt{35}$ だけを右辺に移項する。
- 両辺を2乗して $\theta^4-24\theta^2+4=0$ を求める。
- $f(x)=x^4-24x^2+4$ とすれば、有理数係数で4次の項の係数が1、 $f(\theta)=0$ を満たすので、これを答える。
【(3)の方針】
目の和は3から18まであり、「7以上」の場合をそのまま数えると多い。 余事象「和が6以下」は場合が少ないので、こちらを数えて1から引く。目を $a$、 $b$、 $c$ とすると、「 $a+b+c\leqq6$ 」は、7までの残り $d=7-(a+b+c)$ を加えて $a+b+c+d=7$ (すべて正の整数)という和の形に直せば、重複組合せ(○と仕切り)で一度に数えられる。このとき $a$、 $b$、 $c$ は4以下になるので、目が6以下という条件も自動的に満たす。1回目と2回目の目ごとに3回目の目の個数を表にして数えてもよい(模範解答の別解)。
- 目の出方は全部で $6^3=216$ 通り。
- 余事象「和が6以下」を考え、 $d=7-(a+b+c)$ とおいて、 $a+b+c+d=7$ を満たす正の整数の組の個数に言いかえる。
- 7個の○の間の6か所から仕切りを入れる3か所を選んで、 ${}_6\mathrm{C}_3=20$ 通りを求める。
- $1-\dfrac{20}{216}$ を計算する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 13点
$2^2+4^2=20=\left(2\sqrt5\right)^2$ なので、三平方の定理の逆より、この三角形は長さ $2\sqrt5$ の辺を斜辺とする直角三角形である。頂点を下の図のように $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{C}$( $\angle\mathrm{C}=90^\circ$、 $\mathrm{BC}=2$、 $\mathrm{CA}=4$、 $\mathrm{AB}=2\sqrt5$ )とすると、面積は
$$S=\dfrac12\cdot\mathrm{BC}\cdot\mathrm{CA}=\dfrac12\cdot2\cdot4=4$$
内接円の中心を $\mathrm{I}$、半径を $r$ とする。 $\triangle\mathrm{ABC}=\triangle\mathrm{IBC}+\triangle\mathrm{ICA}+\triangle\mathrm{IAB}$ で、3つの三角形の高さはどれも $r$ なので
$$S=\dfrac12r\left(\mathrm{BC}+\mathrm{CA}+\mathrm{AB}\right)=\dfrac12r\left(6+2\sqrt5\right)=\left(3+\sqrt5\right)r$$
よって
$$r=\dfrac{4}{3+\sqrt5}=\dfrac{4\left(3-\sqrt5\right)}{\left(3+\sqrt5\right)\left(3-\sqrt5\right)}=3-\sqrt5$$
したがって、内接円の面積は
$$\pi r^2=\pi\left(3-\sqrt5\right)^2=\left(14-6\sqrt5\right)\pi$$
答 $\left(14-6\sqrt5\right)\pi$
(1) の別解(接線の長さを使う)
$\mathrm{C}$、 $\mathrm{I}$ と2つの接点でできる四角形は1辺 $r$ の正方形なので、 $\mathrm{C}$ からの接線の長さは $r$。 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{A}$ からの接線の長さはそれぞれ $2-r$、 $4-r$ で、その和が斜辺なので $(2-r)+(4-r)=2\sqrt5$、よって $r=3-\sqrt5$。直角三角形のときだけ使える方法で、有理化が要らない。
(2) 配点 13点
$$\theta^2=\left(\sqrt5+\sqrt7\right)^2=5+2\sqrt{35}+7=12+2\sqrt{35}$$
よって $\theta^2-12=2\sqrt{35}$。両辺を2乗して
$$\left(\theta^2-12\right)^2=140$$
$$\theta^4-24\theta^2+144=140$$
$$\theta^4-24\theta^2+4=0$$
したがって $f(x)=x^4-24x^2+4$ とすると、 $f(x)$ は有理数を係数とする4次の整式で、4次の項の係数は1であり、 $f(\theta)=0$ を満たす。
答 $f(x)=x^4-24x^2+4$
参考(答えは1つしかない)
問題は「1つ答えよ」だが、実はこの条件を満たす $f(x)$ は $x^4-24x^2+4$ だけである。 $f(x)=x^4-24x^2+4$ は、 $\pm\sqrt5\pm\sqrt7$ の4つを解にもち
$$x^4-24x^2+4=\left(x-\sqrt5-\sqrt7\right)\left(x-\sqrt5+\sqrt7\right)\left(x+\sqrt5-\sqrt7\right)\left(x+\sqrt5+\sqrt7\right)$$
と因数分解できる。答案でこれを示す必要はない。
(3) 配点 14点
3回の目の出方は全部で $6^3=216$ 通りで、これらは同様に確からしい。
出る目の和が7以上である事象の余事象は「和が6以下」である。
1回目、2回目、3回目の目をそれぞれ $a$、 $b$、 $c$ とし、 $d=7-(a+b+c)$ とおく。 $a+b+c\leqq6$ は $d\geqq1$ と同じなので、和が6以下の目の出方は
$$a+b+c+d=7\qquad(a,\,b,\,c,\,d\text{ は正の整数})$$
を満たす組 $(a,\,b,\,c,\,d)$ の個数に等しい。この組では $a$、 $b$、 $c$ はどれも $7-3=4$ 以下なので、目が6以下という条件は自動的に満たされる。
7個の○を並べ、○の間の6か所から仕切りを入れる3か所を選べば1つの組に対応するので
$${}_6\mathrm{C}_3=20\ \text{通り}$$
したがって、求める確率は
$$1-\dfrac{20}{216}=1-\dfrac{5}{54}=\dfrac{49}{54}$$
答 $\dfrac{49}{54}$
(3) の別解(表で和が6以下を数える)
$a+b+c\leqq6$ となるのは $c\leqq6-a-b$ のときで、 $c\geqq1$ なので $a+b\leqq5$ が必要。 $a$、 $b$ を決めると $c$ は $1,\,2,\,\cdots,\,6-a-b$ の $6-a-b$ 通り(下の表のマスに書いた数)。
・$a+b=2$( $(a,\,b)$ は1通り): $c$ は4通り
・$a+b=3$(2通り): $c$ は3通り
・$a+b=4$(3通り): $c$ は2通り
・$a+b=5$(4通り): $c$ は1通り
よって和が6以下の目の出方は
$$1\cdot4+2\cdot3+3\cdot2+4\cdot1=20\ \text{通り}$$
重複組合せに慣れていなくても、表にすれば数えもれなく求められる。
出題意図
(1) 内接円の半径 $r$ を、三角形の面積 $S=\dfrac12r(a+b+c)$ と結びつけて求めるという基本が理解できているか。3辺の長さから直角三角形であることに気づけるか。
(2) 根号を含む数を解にもつ有理数係数の整式は、根号を移項して2乗することをくり返して根号を消せば作れるという基本が理解できているか
(3) 「和が7以上」のように場合が多いものは、余事象「和が6以下」を数えて1から引くという基本が理解できているか
講評
| 難易度 | 簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 15分 |
鹿児島大学医学部の第1問は、全範囲から典型問題が出る小問集合。
まんべんなく演習しておけば確実に満点が取れる。
(2) のような問題で完答できるかどうかは分かれるが、問題集をたくさん解いていれば必ずどこかで出会う形なので、標準的な問題を1問でも多く解いておくこと。
第1問だけは、過去問を20年分でも30年分でも解いて、確実に満点を取れるレベルまで仕上げておきたい。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で3辺の長さから直角三角形であることに気づくという発想に行き着けるか:直角三角形と分かれば面積がすぐに求まり、 $S=\dfrac12r(a+b+c)$ で $r$ が決まる。気づかずに余弦定理から $\cos$、 $\sin$、面積と順に計算しても答えは求まるが、時間がかかり計算ミスも増える。内接円の半径を求めたあとに $2\pi r$(円周)を答えてしまうなど、最後の「面積」の読み落としにも注意する。
- (2) で根号を1つずつ消すという発想に行き着けるか:根号を2つ残したまま $\theta$ を2乗・3乗して係数を比べようとすると計算が面倒になり、時間を失う。 $\theta^2$ に $\sqrt{35}$ 1つしか残らないことに気づけば、あとは移項して2乗するだけ。
- (3) で余事象を使うという発想に行き着けるか:和が7以上を直接数えると、和が7から18までの12通りを数えることになり、数えもれ・数え過ぎが起こりやすい。和が6以下は20通りしかなく、重複組合せならすぐに、表でも数えもれなく求められる。最後に約分を忘れない。
2023年鹿児島大学医学部数学
第2問 解答・解説
第2問は図形と方程式・2次関数の問題です。
テーマは「2点からの距離の比が $3:2$ の点の軌跡(アポロニウスの円)と、放物線との共有点がちょうど2個になる $k$ の範囲」。
問題


問題文をテキストで読む
座標平面上の2点 $\mathrm{A}(0,\,0)$、 $\mathrm{B}(0,\,5k)$ および放物線
$$C:\quad y=\dfrac{1}{3}x^2+\dfrac{3}{4}$$
を考える。ただし、 $k$ は正の定数とする。
(1) 点 $\mathrm{P}$ が $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ からの距離の比が $3:2$ の点をすべて動くとき、 $\mathrm{P}$ の軌跡を求めよ。
(2) (1)の軌跡と放物線 $C$ の共有点の個数がちょうど2になるような $k$ の値の範囲を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\mathrm{PA}:\mathrm{PB}=3:2$ は $2\mathrm{PA}=3\mathrm{PB}$。距離は根号を含むので、両辺とも0以上であることを使って2乗し、座標の式にする。 $x^2$、 $y^2$ の係数がそろうので円になる(アポロニウスの円)。答えの円は、線分 $\mathrm{AB}$ を $3:2$ に内分する点 $(0,\,3k)$ と外分する点 $(0,\,15k)$ を直径の両端にもつ。検算に使える。


- $\mathrm{P}(x,\,y)$ とおき、 $2\mathrm{PA}=3\mathrm{PB}$ の両辺を2乗して $4(x^2+y^2)=9\{x^2+(y-5k)^2\}$ とする。
- 整理して $x^2+(y-9k)^2=36k^2$ と変形し、中心と半径を答える。
【(2)の方針】
円も放物線も $y$ 軸について対称で、 $x$ は $x^2$ の形でしか現れない。そこで $C$ から $x^2=3y-\dfrac94$ として円の方程式に代入し、 $x^2$ を消去して $y$ の2次方程式にする。ただし $x^2\geqq0$ なので、使えるのは $y\geqq\dfrac34$ の解だけ。しかも、 $y>\dfrac34$ の解1つには $x=\pm\sqrt{3y-\dfrac94}$ の2点が対応し、 $y=\dfrac34$ の解には頂点の1点だけが対応する。 $y<\dfrac34$ の解には点が対応しない。ここを取り違えると、判別式だけで「異なる2つの実数解」と答える誤りになる。


したがって「共有点がちょうど2個」は、$y>\dfrac34$ の解がちょうど1つで、 $y=\dfrac34$ は解でないことと同じ。2次方程式なので、これは
- 異なる2つの実数解が $\dfrac34$ の両側にある( $y=\dfrac34$ での値が負)
- $y>\dfrac34$ に重解をもつ(円と $C$ が左右対称な2点で接する)
の2通りしかない。2次方程式の解の配置の典型問題として処理できる。 $k$ を大きくしていくと、円は $(0,\,3k)$ から $(0,\,15k)$ までの範囲に広がりながら上へ動くので、共有点の個数は次の図のように変わる。


- $x^2=3y-\dfrac94$ を (1) の円の方程式に代入して、 $f(y)=y^2+(3-18k)y+45k^2-\dfrac94=0$ とする。
- 共有点の個数は「 $y>\dfrac34$ の異なる解の個数の2倍」と「 $y=\dfrac34$ が解なら1」の和であることを確かめ、ちょうど2個になるのは「 $f\left(\dfrac34\right)<0$」または「重解が $y>\dfrac34$ にある」ときに限ることを示す。
- $f\left(\dfrac34\right)=\dfrac{9}{16}(20k-1)(4k-1)<0$ を解いて $\dfrac{1}{20}<k<\dfrac14$ を求める。
- 判別式 $D=18(2k-1)(4k-1)=0$ から $k=\dfrac14,\ \dfrac12$ を求め、重解 $y=\dfrac{18k-3}{2}$ が $\dfrac34$ より大きい $k=\dfrac12$ だけを残す。
- 3と4を合わせて答える。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 12点
$\mathrm{P}(x,\,y)$ とおく。 $\mathrm{PA}:\mathrm{PB}=3:2$ より $2\mathrm{PA}=3\mathrm{PB}$。両辺は0以上なので、2乗した $4\mathrm{PA}^2=9\mathrm{PB}^2$ と同値で
$$4(x^2+y^2)=9\{x^2+(y-5k)^2\}$$
整理すると $5x^2+5y^2-90ky+225k^2=0$、すなわち $x^2+y^2-18ky+45k^2=0$。よって
$$x^2+(y-9k)^2=36k^2$$
これは中心 $(0,\,9k)$、半径 $6k$ の円で、この円上のすべての点が条件をみたす。
答 中心 $(0,\,9k)$、半径 $6k$ の円
(検算)線分 $\mathrm{AB}$ を $3:2$ に内分する点 $(0,\,3k)$ と外分する点 $(0,\,15k)$ は条件をみたし、この2点の中点が $(0,\,9k)$、距離の半分が $6k$ で一致する。
(2) 配点 28点
$C$ の方程式から $x^2=3y-\dfrac94$。これを (1) の円の方程式 $x^2+y^2-18ky+45k^2=0$ に代入すると
$$y^2+(3-18k)y+45k^2-\dfrac94=0\quad\cdots\cdots①$$
左辺を $f(y)$ とおく。
円と $C$ の共有点の $y$ 座標は①の実数解で、逆に①の実数解 $y$ に対して $x^2=3y-\dfrac94$ をみたす $x$ をとれば円と $C$ の共有点になる。 $x^2=3y-\dfrac94\geqq0$ なので
・$y>\dfrac34$ である解1つにつき、共有点は $\left(\pm\sqrt{3y-\dfrac94},\ y\right)$ の2個
・$y=\dfrac34$ である解には、共有点は $\left(0,\ \dfrac34\right)$ の1個
・$y<\dfrac34$ である解には、共有点はない
①は2次方程式なので、共有点がちょうど2個になるのは「 $y>\dfrac34$ の解がちょうど1つで、 $\dfrac34$ は解でない」とき、すなわち次の(i)(ii)のどちらかのときである。( $y>\dfrac34$ の解と $y=\dfrac34$ の解を1つずつもつと共有点は3個、 $\dfrac34$ が重解なら1個)
・(i) ①が $y>\dfrac34$ と $y<\dfrac34$ に1つずつ解をもつ
・(ii) ①が $y>\dfrac34$ に重解をもつ
(i) $f(y)$ のグラフは下に凸なので、(i) は $f\left(\dfrac34\right)<0$ と同値。
$$f\left(\dfrac34\right)=\dfrac{9}{16}+\dfrac34(3-18k)+45k^2-\dfrac94=45k^2-\dfrac{27}{2}k+\dfrac{9}{16}=\dfrac{9}{16}(80k^2-24k+1)=\dfrac{9}{16}(20k-1)(4k-1)$$
よって $f\left(\dfrac34\right)<0\iff\dfrac{1}{20}<k<\dfrac14$。
(ii) ①の判別式を $D$ とすると
$$D=(3-18k)^2-4\left(45k^2-\dfrac94\right)=144k^2-108k+18=18(2k-1)(4k-1)$$
$D=0$ より $k=\dfrac14,\ \dfrac12$。重解は $y=\dfrac{18k-3}{2}$ で、 $k=\dfrac14$ のとき $y=\dfrac34$(共有点は頂点の1個)、 $k=\dfrac12$ のとき $y=3>\dfrac34$。よって (ii) は $k=\dfrac12$。このとき円 $x^2+\left(y-\dfrac92\right)^2=9$ と $C$ は2点 $\left(\pm\dfrac{3\sqrt3}{2},\ 3\right)$ で接する。
(i)(ii) を合わせて
答 $\dfrac{1}{20}<k<\dfrac14$、 $k=\dfrac12$
(参考)すべての $k>0$ について共有点の個数をまとめると次のとおり。 $0<k<\dfrac{1}{20}$ で0個、 $k=\dfrac{1}{20}$ で1個(円の最も高い点が $C$ の頂点)、 $\dfrac{1}{20}<k<\dfrac14$ で2個、 $k=\dfrac14$ で1個、 $\dfrac14<k<\dfrac12$ で0個、 $k=\dfrac12$ で2個、 $k>\dfrac12$ で4個。
(注) $k=\dfrac14$ の円は半径 $\dfrac32$ で、頂点 $\left(0,\ \dfrac34\right)$ で $C$ に内側から接する(①が $y=\dfrac34$ を重解にもつ)。これは $C$ の頂点の近くに最もよく沿う円で、共有点は頂点の1個だけ。図では2点で交わっているように見えやすいので、図で判断せず式で数える
出題意図
(1) 距離の比の条件を $2\mathrm{PA}=3\mathrm{PB}$ と式にして、2乗して円の方程式に整理できるか(アポロニウスの円と見てもよい)
(2) 円と放物線の共有点の個数を、$x^2$ を消去した $y$ の2次方程式の解の個数と位置に言いかえられるか。方程式の解が交点の $y$ 座標を表すことを捉え、とくに「 $y>\dfrac34$ の解1つが共有点2個に対応する」ことを捉え、交わる場合と接する場合を漏らさず数えられるか。
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 20分 |
典型問題。
方程式の解が何を表しているのかをきちんと考える問題で、解を「共有点の個数」と捉えるとつまずき、「交点の $y$ 座標」と捉えれば迷わない。
医学科の受験生なら完答したい。
差がつく所・失点しやすい所
- 典型問題で、大きな差がつく問題ではない。注意するのは次の点だけ。
- (2) で「 $y$ の解1つが共有点何個に対応するか」を確かめられるか:方程式の解は共有点の個数ではなく、交点の $y$ 座標を表す。円も放物線も $y$ 軸について対称なので、 $y$ 座標が同じ交点が左右に2つある( $y$ 座標が一番下・一番上の点のときを除く)。①を立てたあと「異なる2つの実数解をもつ条件 $D>0$」と答える受験生が多いと思われる。 $y>\dfrac34$ の解1つで共有点は2個になるので、 $D>0$ のままでは共有点が4個の場合や0個の場合まで含んでしまう。
- (2) で接する場合 $k=\dfrac12$ を拾えるか:「交わる」場合だけを考えると $\dfrac{1}{20}<k<\dfrac14$ で終わってしまう。重解が $y>\dfrac34$ にあると、円と $C$ は左右対称な2点で接し、共有点はちょうど2個になる。答えに孤立した値 $k=\dfrac12$ が入ることに気づけるかで満点かどうかが決まる。
- (2) で $k=\dfrac14$ を答えに含める:判別式が0になる $k=\dfrac14$ では重解が $y=\dfrac34$ で、共有点は頂点の1個だけ。重解の位置まで確かめないと誤る。
- (1) で比を逆にする: $\mathrm{PA}:\mathrm{PB}=3:2$ は $2\mathrm{PA}=3\mathrm{PB}$。 $3\mathrm{PA}=2\mathrm{PB}$ とすると別の円になり、(2) もすべて崩れる。内分点 $(0,\,3k)$ が円上にあるかで検算できる。
2023年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択1) 解答・解説
第3問(選択1)は整数・数列・数と式の問題です。
テーマは「$\left(\dfrac{1+\sqrt5}{2}\right)^n=a_n+b_n\sqrt5$ の係数の整数性と偶奇」。
問題


問題文をテキストで読む
自然数 $n$ に対して、 $a_n$、 $b_n$ を
$$\left(\dfrac{1+\sqrt5}{2}\right)^n=a_n+b_n\sqrt5$$
を満たす有理数とする。ただし、4つの有理数 $a$、 $b$、 $c$、 $d$ が
$$a+b\sqrt5=c+d\sqrt5$$
を満たせば $a=c$ かつ $b=d$ が成り立つので、 $a_n$、 $b_n$ は各自然数 $n$ に対し1通りに定まることに注意する。
(1) $n$ が3の倍数であるとき、 $a_n$、 $b_n$ がともに整数となることを示せ。
(2) 自然数 $n$ が3の倍数であるとき、 $a_n$、 $b_n$ のどちらか一方が偶数で他方が奇数となることを示せ。
(3) $a_n$、 $b_n$ がともに整数となるのは $n$ が3の倍数のときに限ることを示せ。
解答の方針
【(1)の方針】
まず小さい $n$ で計算してみる。 $\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ の2乗は $\dfrac{3+\sqrt5}{2}$、3乗は $2+\sqrt5$ で、3乗で分母の2が消える。だから $n=3k$ のときは $\left(\dfrac{1+\sqrt5}{2}\right)^{3k}=(2+\sqrt5)^k$ となり、整数係数の式をくり返しかけるだけなので、係数はずっと整数のまま。これを $k$ についての数学的帰納法で書く。 $n=1$〜$9$ を並べると、3の倍数の列だけ整数になっていることが分かる。


- $\left(\dfrac{1+\sqrt5}{2}\right)^3=2+\sqrt5$ を計算し、 $a_3=2$、 $b_3=1$ を求める。
- $a_{3k+3}+b_{3k+3}\sqrt5=(a_{3k}+b_{3k}\sqrt5)(2+\sqrt5)$ を展開し、有理数・無理数の係数比較から $a_{3k+3}=2a_{3k}+5b_{3k}$、 $b_{3k+3}=a_{3k}+2b_{3k}$ を導く。
- $k$ についての数学的帰納法で、 $a_{3k}$、 $b_{3k}$ がともに整数であることを示す。
【(2)の方針】
「一方が偶数で他方が奇数」は、2つの整数については 「 $a_n+b_n$ が奇数」と同じこと。こう言いかえると、1つの式の偶奇を追うだけで済む。(1) で求めた漸化式から $a_{3k+3}+b_{3k+3}=3a_{3k}+7b_{3k}$ で、これと $a_{3k}+b_{3k}$ の差は $2a_{3k}+6b_{3k}$ という偶数。つまり $a_{3k}+b_{3k}$ の偶奇は $k$ が1つ増えても変わらない。 $a_3+b_3=3$ が奇数なので、ずっと奇数。
- 整数 $a$、 $b$ について「一方が偶数で他方が奇数」⟺「 $a+b$ が奇数」と言いかえる。
- (1) の漸化式から $(a_{3k+3}+b_{3k+3})-(a_{3k}+b_{3k})=2(a_{3k}+3b_{3k})$ が偶数であることを示す。
- $a_3+b_3=3$ が奇数であることから、数学的帰納法で $a_{3k}+b_{3k}$ が奇数であることを示す。
【(3)の方針】
3の倍数でない $n$ は $n=3k+1$、 $3k+2$ と表せる。 $\left(\dfrac{1+\sqrt5}{2}\right)^{3k}=a_{3k}+b_{3k}\sqrt5$ に、 $\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ または $\dfrac{3+\sqrt5}{2}$ をかけると、分母に2が出てくる。その分子が奇数であることを示せば、整数でないと言える。ここで (2) の「 $a_{3k}+b_{3k}$ が奇数」が使われる。 $k=0$( $n=1,\ 2$)は (1)(2) の対象外なので、直接確かめる。
- $n=1,\ 2$ のとき、 $a_1=b_1=\dfrac12$、 $a_2=\dfrac32$、 $b_2=\dfrac12$ で整数でないことを確かめる。
- $k\geqq1$、 $n=3k+1$ のとき、 $(a_{3k}+b_{3k}\sqrt5)\cdot\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ を展開して $b_n=\dfrac{a_{3k}+b_{3k}}{2}$ を求め、(2) より分子が奇数なので整数でないことを示す。
- $k\geqq1$、 $n=3k+2$ のとき、 $(a_{3k}+b_{3k}\sqrt5)\cdot\dfrac{3+\sqrt5}{2}$ を展開して $b_n=\dfrac{a_{3k}+3b_{3k}}{2}$ を求め、分子 $=(a_{3k}+b_{3k})+2b_{3k}$ が奇数なので整数でないことを示す。
- 以上から、3の倍数でない $n$ では $a_n$、 $b_n$ がともに整数にはならない、と結論する。
解答


解答をテキストで読む
以下、 $\alpha=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ とおく。 $\alpha^n=a_n+b_n\sqrt5$ である。
(1) 配点 12点
$$\alpha^2=\dfrac{1+2\sqrt5+5}{4}=\dfrac{3+\sqrt5}{2},\qquad\alpha^3=\dfrac{3+\sqrt5}{2}\cdot\dfrac{1+\sqrt5}{2}=\dfrac{3+3\sqrt5+\sqrt5+5}{4}=2+\sqrt5$$
よって $a_3=2$、 $b_3=1$。
自然数 $k$ に対して
$$a_{3k+3}+b_{3k+3}\sqrt5=\alpha^{3k}\cdot\alpha^3=(a_{3k}+b_{3k}\sqrt5)(2+\sqrt5)=(2a_{3k}+5b_{3k})+(a_{3k}+2b_{3k})\sqrt5$$
$a_{3k}$、 $b_{3k}$ は有理数なので、 $2a_{3k}+5b_{3k}$、 $a_{3k}+2b_{3k}$ も有理数。問題文の注意より
$$a_{3k+3}=2a_{3k}+5b_{3k},\qquad b_{3k+3}=a_{3k}+2b_{3k}\quad\cdots\cdots①$$
「 $a_{3k}$、 $b_{3k}$ がともに整数」であることを $k$ についての数学的帰納法で示す。
$k=1$ のとき、 $a_3=2$、 $b_3=1$ で成り立つ。
$k=m$ のとき成り立つと仮定すると、①より $a_{3m+3}=2a_{3m}+5b_{3m}$、 $b_{3m+3}=a_{3m}+2b_{3m}$ はともに整数なので、 $k=m+1$ のときも成り立つ。
よって、 $n$ が3の倍数のとき、 $a_n$、 $b_n$ はともに整数である。(終)
(2) 配点 12点
整数 $a$、 $b$ について、「一方が偶数で他方が奇数」であることは「 $a+b$ が奇数」であることと同じである。そこで、「 $a_{3k}+b_{3k}$ が奇数」であることを $k$ についての数学的帰納法で示す。
①より
$$a_{3k+3}+b_{3k+3}=3a_{3k}+7b_{3k}=(a_{3k}+b_{3k})+2(a_{3k}+3b_{3k})\quad\cdots\cdots②$$
(1) より $a_{3k}+3b_{3k}$ は整数なので、 $a_{3k+3}+b_{3k+3}$ と $a_{3k}+b_{3k}$ の偶奇は一致する。
$k=1$ のとき、 $a_3+b_3=3$ は奇数。
$k=m$ のとき $a_{3m}+b_{3m}$ が奇数と仮定すると、②より $a_{3m+3}+b_{3m+3}$ も奇数。
よって、すべての自然数 $k$ について $a_{3k}+b_{3k}$ は奇数であり、 $n$ が3の倍数のとき、 $a_n$、 $b_n$ のどちらか一方が偶数で他方が奇数である。(終)
(3) 配点 16点
$n$ が3の倍数でないとき、 $a_n$、 $b_n$ の少なくとも一方が整数でないことを示す。 $n$ は、 $k$ を0以上の整数として $n=3k+1$ または $n=3k+2$ と表せる。
$n=1,\ 2$ のとき $\alpha=\dfrac12+\dfrac12\sqrt5$、 $\alpha^2=\dfrac32+\dfrac12\sqrt5$ なので、 $a_1=b_1=\dfrac12$、 $a_2=\dfrac32$、 $b_2=\dfrac12$ で、整数でない。
以下 $k\geqq1$ とし、 $a=a_{3k}$、 $b=b_{3k}$ とおく。(1)(2) より $a$、 $b$ は整数で、 $a+b$ は奇数である。
$n=3k+1$ のとき
$$\alpha^{3k+1}=(a+b\sqrt5)\cdot\dfrac{1+\sqrt5}{2}=\dfrac{a+5b}{2}+\dfrac{a+b}{2}\sqrt5$$
$\dfrac{a+5b}{2}$、 $\dfrac{a+b}{2}$ は有理数なので、問題文の注意より $b_{3k+1}=\dfrac{a+b}{2}$。 $a+b$ は奇数なので、 $b_{3k+1}$ は整数でない。
$n=3k+2$ のとき
$$\alpha^{3k+2}=(a+b\sqrt5)\cdot\dfrac{3+\sqrt5}{2}=\dfrac{3a+5b}{2}+\dfrac{a+3b}{2}\sqrt5$$
同様に $b_{3k+2}=\dfrac{a+3b}{2}$。 $a+3b=(a+b)+2b$ は奇数なので、 $b_{3k+2}$ は整数でない。
以上より、3の倍数でない $n$ では $b_n$ が整数でなく、 $a_n$、 $b_n$ がともに整数となるのは $n$ が3の倍数のときに限る。(終)
( $n=1$〜$30$ で $a_n$、 $b_n$ を分数のまま計算し、ともに整数になるのは $n$ が3の倍数のときだけで、そのとき $a_n+b_n$ が奇数であることを確かめた)
(1) の別解(二項定理)
$\alpha^{3k}=(2+\sqrt5)^k=\displaystyle\sum_{j=0}^{k}{}_k\mathrm{C}_j\,2^{k-j}(\sqrt5)^j$ で、 $j$ が偶数の項は整数、 $j$ が奇数の項は(整数) $\times\sqrt5$ になる。それぞれ集めると $\alpha^{3k}=A+B\sqrt5$( $A$、 $B$ は整数)の形になり、問題文の注意より $a_{3k}=A$、 $b_{3k}=B$ は整数である。
((1) だけなら速いが、(2)(3) では①の漸化式を使うので、本解のように①を導いておく方が全体として速い)
出題意図
(1) $\left(\dfrac{1+\sqrt5}{2}\right)^3=2+\sqrt5$ に気づき、 $n=3k$ の係数を数学的帰納法で扱えるか
(2) 「一方が偶数で他方が奇数」を $a_n+b_n$ が奇数と言いかえ、帰納法で示すことができるか
(3) 3の倍数でない $n$ を $3k+1$、 $3k+2$ と表し、(2) の偶奇を使って分母の2が残ることを示せるか
講評
| 難易度 | やや難 |
| 目標得点 | 25点 |
| 目標時間 | 25分 |
有名問題だが、(1) から難しい。
3つ飛びの連立漸化式を使う必要があり、数列の処理がよほど得意でない限り、選択問題としては選ぶべきではない。
少し考えて方針が分からなければ、迷わず別の問題を選ぶ。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で3つ飛びの連立漸化式を作れるか:一番差がつく所。 $a_{n+3}$、 $b_{n+3}$ を $a_n$、 $b_n$ で表す連立漸化式を作れないと、(2)(3) にも進めない。(1) が解けない時点で、この問題は選ばないほうがよい。
- (2) で「一方が偶数で他方が奇数」を「 $a_n+b_n$ が奇数」と言いかえるという発想に行き着けるか:言いかえないと「 $a_{3k}$ が偶数で $b_{3k}$ が奇数の場合」「その逆の場合」と場合分けが必要になり、帰納法の記述が長くなる。言いかえれば②の1つの式で示せる。ここで記述の量に大きく差がつく。
- (3) で (2) の結果を使うという発想に行き着けるか:「 $n=3k+1$ のとき分母に2が残る」と書くだけでは、分子が偶数で約分される可能性を否定できていない。(2) の「 $a_{3k}+b_{3k}$ が奇数」を使って分子が奇数であることまで示す必要がある。
- (3) の $n=1,\ 2$ の抜け:(1)(2) は $n$ が3の倍数( $k\geqq1$)の話なので、 $k=0$ にあたる $n=1,\ 2$ は直接確かめる。ここが抜けると減点。
- 係数比較の根拠: $a_{3k+3}=2a_{3k}+5b_{3k}$ などを導くとき、係数が有理数であることと問題文の注意を使うことを書く。
2023年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択2) 解答・解説
第3問(選択2)は空間ベクトルの問題です。
テーマは「正三角形と2枚の正六角形でできる空間図形、辺 $\mathrm{PA}$ に垂直な単位ベクトル、2つの平面のなす角」。
問題


問題文をテキストで読む
空間に異なる4点 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{C}$ があり、次の条件が満たされているとする。
・三角形 $\mathrm{PAB}$ は1辺の長さが1の正三角形である。
・線分 $\mathrm{PA}$ と線分 $\mathrm{PC}$ は正六角形の隣り合う2辺である。この正六角形を $\alpha$ とおく。
・線分 $\mathrm{PB}$ と線分 $\mathrm{PC}$ は $\alpha$ とは異なる正六角形の隣り合う2辺である。この正六角形を $\beta$ とおく。
(1) 内積 $\overrightarrow{\mathrm{PA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PC}}$、および $\overrightarrow{\mathrm{PB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PC}}$ を求めよ。
さらに、次の条件を満たすような異なる3点 $\mathrm{H}$、 $\mathrm{Q}$、 $\mathrm{R}$ を考える。
・$\mathrm{H}$ は線分 $\mathrm{PA}$ 上にある。
・$\mathrm{Q}$ は3点 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$ によって定まる平面を直線 $\mathrm{PA}$ で2分割した領域の $\mathrm{B}$ を含む側にあり、線分 $\mathrm{HQ}$ は長さ1で $\mathrm{PA}$ に垂直である。
・$\mathrm{R}$ は正六角形 $\alpha$ の内部にあり、線分 $\mathrm{HR}$ は長さ1で $\mathrm{PA}$ に垂直である。
(2) $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ を $\overrightarrow{\mathrm{PA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC}}$ を用いてあらわせ。
(3) $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ のなす角を $\theta$ とするとき $\cos\theta$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$\overrightarrow{\mathrm{PA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC}}$ はどれも長さ1なので、内積は始点 $\mathrm{P}$ での角の $\cos$ そのもの。 $\angle\mathrm{APB}$ は正三角形の内角で $60^\circ$。 $\mathrm{PA}$、 $\mathrm{PC}$ は正六角形 $\alpha$ の隣り合う2辺なので $\angle\mathrm{APC}$ は正六角形の内角で $120^\circ$。 $\angle\mathrm{BPC}$ も同じく $120^\circ$。図は3枚の面が辺 $\mathrm{PA}$、 $\mathrm{PB}$、 $\mathrm{PC}$ でつながった立体になるが、(1) で使うのは $\mathrm{P}$ での角だけ。


(正三角形 $\mathrm{PAB}$ が床にあり、正六角形 $\alpha$、 $\beta$ が辺 $\mathrm{PC}$ を共有して立ち上がっている。 $\mathrm{Q}$ は平面 $\mathrm{PAB}$ 上だが三角形の外にある)
- $\left|\overrightarrow{\mathrm{PA}}\right|=\left|\overrightarrow{\mathrm{PB}}\right|=\left|\overrightarrow{\mathrm{PC}}\right|=1$ を確かめる(正六角形の辺の長さも $\mathrm{PA}=1$)。
- $\angle\mathrm{APB}=60^\circ$、 $\angle\mathrm{APC}=\angle\mathrm{BPC}=120^\circ$ から3つの内積を求める。
【(2)の方針】
$\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ は「平面 $\mathrm{PAB}$ 上で $\mathrm{PA}$ に垂直」「 $\mathrm{B}$ を含む側を向く」「長さ1」のベクトル。平面 $\mathrm{PAB}$ 上で $\mathrm{PA}$ に垂直な向きは1通りしかないので、$\mathrm{B}$ から $\mathrm{PA}$ に下ろした垂線 $\overrightarrow{\mathrm{MB}}$ を長さ1に縮めたものが $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ で、 $\mathrm{H}$ の位置によらない。正三角形なので垂線の足 $\mathrm{M}$ は $\mathrm{PA}$ の中点で、長さは高さの $\dfrac{\sqrt3}{2}$。 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ も同じで、$\mathrm{C}$ から直線 $\mathrm{PA}$ に下ろした垂線 $\overrightarrow{\mathrm{NC}}$ を長さ1に縮めたもの。 $\angle\mathrm{APC}=120^\circ$ なので、垂線の足 $\mathrm{N}$ は $\mathrm{P}$ から $\mathrm{A}$ と反対側へ $\dfrac12$ の所にあり、長さはやはり $\dfrac{\sqrt3}{2}$。正六角形 $\alpha$ は辺 $\mathrm{PA}$ に対して $\mathrm{C}$ と同じ側にまるごと入っているので、「 $\mathrm{R}$ が $\alpha$ の内部」は「 $\mathrm{C}$ の側を向く」ことと同じ。文字でおいて垂直・長さ・向きの条件を順に式にしても解けるが、垂線の足が図からすぐに求まるので、その計算は要らない(模範解答の別解)。


(左:平面 $\mathrm{PAB}$。右:正六角形 $\alpha$ の面。どちらも $\mathrm{PA}$ を横に置いた平面図)
- $\overrightarrow{\mathrm{PA}}=\vec{a}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PB}}=\vec{b}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC}}=\vec{c}$ とおく。
- $\mathrm{B}$ から $\mathrm{PA}$ に下ろした垂線の足 $\mathrm{M}$ が $\mathrm{PA}$ の中点であることから $\overrightarrow{\mathrm{MB}}=\vec{b}-\dfrac12\vec{a}$、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{MB}}\right|=\dfrac{\sqrt3}{2}$ を求める。
- $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{MB}}$ はどちらも平面 $\mathrm{PAB}$ 上で $\mathrm{PA}$ に垂直で、 $\mathrm{B}$ の側を向くので同じ向きであることを示し、 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}=\dfrac{2}{\sqrt3}\overrightarrow{\mathrm{MB}}$ とする。
- $\mathrm{C}$ から直線 $\mathrm{PA}$ に下ろした垂線の足 $\mathrm{N}$ が $\overrightarrow{\mathrm{PN}}=-\dfrac12\vec{a}$ であることから $\overrightarrow{\mathrm{NC}}=\vec{c}+\dfrac12\vec{a}$、 $\left|\overrightarrow{\mathrm{NC}}\right|=\dfrac{\sqrt3}{2}$ を求める。
- $\alpha$ が直線 $\mathrm{PA}$ に対して $\mathrm{C}$ の側にあることから $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{NC}}$ が同じ向きであることを示し、 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}=\dfrac{2}{\sqrt3}\overrightarrow{\mathrm{NC}}$ とする。
【(3)の方針】
$\left|\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\right|=\left|\overrightarrow{\mathrm{HR}}\right|=1$ なので、 $\cos\theta$ は内積 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ そのもの。展開すると (1) の3つの内積だけで計算できる。 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ はどちらも $\mathrm{PA}$ に垂直なので、$\mathrm{H}$ を通り $\mathrm{PA}$ に垂直な平面で切った切り口の上にあり、 $\theta$ は平面 $\mathrm{PAB}$ と正六角形 $\alpha$ のなす角になる( $\mathrm{PA}$ の向きから見た図)。


- (2) の結果から $\cos\theta=\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{HR}}=\dfrac13\left(-\vec{a}+2\vec{b}\right)\cdot\left(\vec{a}+2\vec{c}\right)$ とする。
- 展開して (1) の内積を代入し、 $\cos\theta=-\dfrac13$ を求める。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$\overrightarrow{\mathrm{PA}}=\vec{a}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PB}}=\vec{b}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC}}=\vec{c}$ とおく。三角形 $\mathrm{PAB}$ は1辺1の正三角形なので $\left|\vec{a}\right|=\left|\vec{b}\right|=1$。 $\mathrm{PA}$、 $\mathrm{PC}$ は正六角形 $\alpha$ の隣り合う2辺なので $\left|\vec{c}\right|=\mathrm{PA}=1$。
$\angle\mathrm{APB}=60^\circ$ なので
$$\vec{a}\cdot\vec{b}=1\cdot1\cdot\cos60^\circ=\dfrac12$$
正六角形の内角は $120^\circ$ で、 $\mathrm{PA}$、 $\mathrm{PC}$ は $\alpha$ の隣り合う2辺なので $\angle\mathrm{APC}=120^\circ$。同じく $\mathrm{PB}$、 $\mathrm{PC}$ は $\beta$ の隣り合う2辺なので $\angle\mathrm{BPC}=120^\circ$。よって
$$\vec{a}\cdot\vec{c}=\cos120^\circ=-\dfrac12,\qquad\vec{b}\cdot\vec{c}=\cos120^\circ=-\dfrac12$$
答 $\overrightarrow{\mathrm{PA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PB}}=\dfrac12$、 $\overrightarrow{\mathrm{PA}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PC}}=-\dfrac12$、 $\overrightarrow{\mathrm{PB}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{PC}}=-\dfrac12$
( $\mathrm{P}$ に集まる3つの角は $60^\circ$、 $120^\circ$、 $120^\circ$。この3つの内積がこのあとの計算のすべての材料になる)
(2) 配点 18点
三角形 $\mathrm{PAB}$ は正三角形なので、 $\mathrm{B}$ から $\mathrm{PA}$ に下ろした垂線の足 $\mathrm{M}$ は $\mathrm{PA}$ の中点で
$$\overrightarrow{\mathrm{MB}}=\vec{b}-\dfrac12\vec{a},\qquad\left|\overrightarrow{\mathrm{MB}}\right|=\dfrac{\sqrt3}{2}\quad(\text{1辺1の正三角形の高さ})$$
$\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{MB}}$ はどちらも平面 $\mathrm{PAB}$ 上にあって $\mathrm{PA}$ に垂直なので平行である。さらに、平面 $\mathrm{PAB}$ 上の点 $\mathrm{X}$ は、 $\overrightarrow{\mathrm{PX}}=s\vec{a}+t\vec{b}$ と表したとき、 $t>0$ なら直線 $\mathrm{PA}$ に対して $\mathrm{B}$ と同じ側、 $t<0$ なら反対側にある。 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}=k\overrightarrow{\mathrm{MB}}$ とおくと $\overrightarrow{\mathrm{PQ}}=\overrightarrow{\mathrm{PH}}+k\vec{b}-\dfrac{k}{2}\vec{a}$ で、 $\overrightarrow{\mathrm{PH}}$ は $\vec{a}$ の実数倍なので、 $\mathrm{Q}$ が $\mathrm{B}$ を含む側にあることから $k>0$。 $\left|\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\right|=1$ より $k=\dfrac{2}{\sqrt3}$ で
$$\overrightarrow{\mathrm{HQ}}=\dfrac{2}{\sqrt3}\left(\vec{b}-\dfrac12\vec{a}\right)=-\dfrac{\sqrt3}{3}\vec{a}+\dfrac{2\sqrt3}{3}\vec{b}$$
次に、正六角形 $\alpha$ の面( $\mathrm{P}$、 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{C}$ を含む平面)で考える。 $\angle\mathrm{APC}=120^\circ$ なので、 $\mathrm{C}$ から直線 $\mathrm{PA}$ に下ろした垂線の足 $\mathrm{N}$ は、 $\mathrm{P}$ から $\mathrm{A}$ と反対側へ $\mathrm{PC}\cos60^\circ=\dfrac12$ の所にある。よって $\overrightarrow{\mathrm{PN}}=-\dfrac12\vec{a}$ で
$$\overrightarrow{\mathrm{NC}}=\vec{c}+\dfrac12\vec{a},\qquad\left|\overrightarrow{\mathrm{NC}}\right|=\mathrm{PC}\sin60^\circ=\dfrac{\sqrt3}{2}$$
$\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{NC}}$ はどちらも $\alpha$ の面の上にあって $\mathrm{PA}$ に垂直なので平行である。正六角形 $\alpha$ は凸で、 $\mathrm{PA}$ はその1辺なので、 $\alpha$ はまるごと直線 $\mathrm{PA}$ に対して $\mathrm{C}$ と同じ側にある。 $\mathrm{R}$ は $\alpha$ の内部にあるので、( $\mathrm{Q}$ のときと同じく) $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ は $\overrightarrow{\mathrm{NC}}$ と同じ向きで、長さ1より
$$\overrightarrow{\mathrm{HR}}=\dfrac{2}{\sqrt3}\left(\vec{c}+\dfrac12\vec{a}\right)=\dfrac{\sqrt3}{3}\vec{a}+\dfrac{2\sqrt3}{3}\vec{c}$$
答 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}=-\dfrac{\sqrt3}{3}\overrightarrow{\mathrm{PA}}+\dfrac{2\sqrt3}{3}\overrightarrow{\mathrm{PB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}=\dfrac{\sqrt3}{3}\overrightarrow{\mathrm{PA}}+\dfrac{2\sqrt3}{3}\overrightarrow{\mathrm{PC}}$
(左: $\mathrm{B}$ から $\mathrm{PA}$ に下ろした垂線の足は中点 $\mathrm{M}$ で、 $\overrightarrow{\mathrm{MB}}=\vec{b}-\dfrac12\vec{a}$、長さ $\dfrac{\sqrt3}{2}$。 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ はこれを $\dfrac{2}{\sqrt3}$ 倍したもの。右: $\mathrm{C}$ から直線 $\mathrm{PA}$ に下ろした垂線の足 $\mathrm{N}$ は $\mathrm{P}$ から $\mathrm{A}$ と反対側へ $\dfrac12$ の所で、 $\overrightarrow{\mathrm{NC}}=\vec{c}+\dfrac12\vec{a}$、長さ $\dfrac{\sqrt3}{2}$。 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ はこれを $\dfrac{2}{\sqrt3}$ 倍したもの。正六角形の向かい合う辺の間は $\sqrt3>1$ なので、 $\mathrm{H}$ が線分 $\mathrm{PA}$ 上のどこにあっても $\mathrm{R}$ は $\alpha$ の内部に入る)
(2) の別解(係数を文字でおき、垂直・長さ・向きの順に決める)
$\mathrm{H}$ は線分 $\mathrm{PA}$ 上、 $\mathrm{Q}$ は平面 $\mathrm{PAB}$ 上の点なので、 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}=x\vec{a}+y\vec{b}$( $x$、 $y$ は実数)と表せる。 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\vec{a}=0$ より
$$x\left|\vec{a}\right|^2+y\,\vec{a}\cdot\vec{b}=x+\dfrac{y}{2}=0\qquad\text{よって}\quad\overrightarrow{\mathrm{HQ}}=y\left(\vec{b}-\dfrac12\vec{a}\right)$$
$\left|\vec{b}-\dfrac12\vec{a}\right|^2=1-\dfrac12+\dfrac14=\dfrac34$ と $\left|\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\right|=1$ から $y=\pm\dfrac{2}{\sqrt3}$。 $\mathrm{Q}$ は $\mathrm{B}$ を含む側にあるので $\vec{b}$ の係数 $y$ は正で、 $y=\dfrac{2}{\sqrt3}$。
同じように $\overrightarrow{\mathrm{HR}}=z\vec{a}+w\vec{c}$ とおくと、 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}\cdot\vec{a}=z-\dfrac{w}{2}=0$ より $\overrightarrow{\mathrm{HR}}=w\left(\vec{c}+\dfrac12\vec{a}\right)$。 $\left|\vec{c}+\dfrac12\vec{a}\right|^2=1-\dfrac12+\dfrac14=\dfrac34$ から $w=\pm\dfrac{2}{\sqrt3}$ で、 $\mathrm{R}$ は $\alpha$ の内部(直線 $\mathrm{PA}$ に対して $\mathrm{C}$ の側)にあるので $w=\dfrac{2}{\sqrt3}$。本解と同じ答えになる。
(垂線の足を図から求めない分、内積の計算と $\pm$ の場合分けが増える)
(3) 配点 12点
$\left|\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\right|=\left|\overrightarrow{\mathrm{HR}}\right|=1$ なので
$$\cos\theta=\dfrac{\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{HR}}}{\left|\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\right|\left|\overrightarrow{\mathrm{HR}}\right|}=\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{HR}}$$
(2) より
$$\overrightarrow{\mathrm{HQ}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{HR}}=\dfrac{\sqrt3}{3}\left(-\vec{a}+2\vec{b}\right)\cdot\dfrac{\sqrt3}{3}\left(\vec{a}+2\vec{c}\right)=\dfrac13\left(-\left|\vec{a}\right|^2-2\vec{a}\cdot\vec{c}+2\vec{a}\cdot\vec{b}+4\vec{b}\cdot\vec{c}\right)$$
(1) の結果を代入して
$$\cos\theta=\dfrac13\left\{-1-2\cdot\left(-\dfrac12\right)+2\cdot\dfrac12+4\cdot\left(-\dfrac12\right)\right\}=\dfrac13\left(-1+1+1-2\right)=-\dfrac13$$
答 $\cos\theta=-\dfrac13$
( $\mathrm{H}$ を通り $\mathrm{PA}$ に垂直な平面で切った切り口。 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ は平面 $\mathrm{PAB}$ に、 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ は正六角形 $\alpha$ に含まれるので、 $\theta$ は平面 $\mathrm{PAB}$ と $\alpha$ のなす角。 $\cos\theta=-\dfrac13$ なので、 $\mathrm{R}$ から直線 $\mathrm{HQ}$ に下ろした垂線の足は $\mathrm{H}$ から $\mathrm{Q}$ と反対側へ $\dfrac13$ の所にある)
別解(座標を置く) $\mathrm{P}(0,\,0,\,0)$、 $\mathrm{A}(1,\,0,\,0)$、 $\mathrm{B}\left(\dfrac12,\,\dfrac{\sqrt3}{2},\,0\right)$ とおく。 $\mathrm{C}(p,\,q,\,r)$( $r>0$)とすると、(1) の $\vec{a}\cdot\vec{c}=-\dfrac12$ から $p=-\dfrac12$、 $\vec{b}\cdot\vec{c}=-\dfrac12$ から $-\dfrac14+\dfrac{\sqrt3}{2}q=-\dfrac12$ なので $q=-\dfrac{\sqrt3}{6}$、 $\left|\vec{c}\right|=1$ から $r=\dfrac{\sqrt6}{3}$。 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ は $x$ 成分が0の単位ベクトルで平面 $z=0$ 上にあり、 $\mathrm{B}$ 側なので $(0,\,1,\,0)$。 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ は $\vec{c}+\dfrac12\vec{a}=\left(0,\,-\dfrac{\sqrt3}{6},\,\dfrac{\sqrt6}{3}\right)$ を長さ1にした $\left(0,\,-\dfrac13,\,\dfrac{2\sqrt2}{3}\right)$。よって $\cos\theta=-\dfrac13$。(座標の決め方に慣れていれば検算として使える。ただし (2) は $\overrightarrow{\mathrm{PA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC}}$ で答える必要があるので、本解のほうが問題の流れに合う)
出題意図
(1) 正三角形の内角 $60^\circ$ と正六角形の内角 $120^\circ$ から、始点を $\mathrm{P}$ にそろえた3つのベクトルの内積を求められるか
(2) 「平面 $\mathrm{PAB}$ 上で $\mathrm{PA}$ に垂直」「長さ1」「 $\mathrm{B}$ を含む側」の3つの条件から、ベクトルを1つに決めて $\overrightarrow{\mathrm{PA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{PC}}$ で表すことができるか
(3) (1) の内積と (2) の結果から $\cos\theta$ を計算し、それが平面 $\mathrm{PAB}$ と正六角形 $\alpha$ のなす角であることを捉えることができるか
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 25分 |
(1)(3) は難しくなく、(2) が解けるかどうかがポイント。
ただし (2) にはやや発想が要るので、選択問題としては選ぶべきではない。
選択3(確率)のほうが明らかに解きやすい。
差がつく所・失点しやすい所
- 問題文を読んで立体の様子をつかむ:条件が文章だけで図がないので、正六角形が2枚出てくる時点で読まずに飛ばした受験生が多いと思われる。ところが (1) で使うのは $\mathrm{P}$ での3つの角だけで、立体の全体を正確に書けなくても解ける。「始点をそろえたベクトルの大きさと内積が分かれば十分」という発想に行き着けるか。
- (1) で $\angle\mathrm{APC}=120^\circ$ に行き着けるか:隣り合う2辺のなす角は正六角形の内角。 $60^\circ$ と取り違えると (2)(3) が全部崩れる。
- (2) で $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ は $\mathrm{B}$、 $\mathrm{C}$ から $\mathrm{PA}$ に下ろした垂線を長さ1に縮めたもの、という発想に行き着けるか:この問題で一番のポイント。 $\overrightarrow{\mathrm{HQ}}$ に気づけば、 $\overrightarrow{\mathrm{HR}}$ も同じ処理で求まる。正三角形の垂線の足は中点、 $120^\circ$ の角なら垂線の足は辺の延長上の $\dfrac12$ の所、と図から求まれば、内積の式を立てずに答えが求まる。文字でおいて解く場合も、垂直の条件(1次式)を先に使って1文字に減らさないと、長さの式と合わせた連立方程式が2次になり計算が重くなる。
- (2) で向きを決める理由まで書けるか:答えは逆向きの候補を捨てるだけだが、「 $\mathrm{B}$ を含む側だから $\overrightarrow{\mathrm{PB}}$ の係数が正」「 $\alpha$ は直線 $\mathrm{PA}$ に対して $\mathrm{C}$ の側にあるから $\overrightarrow{\mathrm{PC}}$ の係数が正」と理由を書かないと減点される。
- (3) の計算:展開すると内積が4つ出てくる。 $\cos\theta$ は $-1$ 以上 $1$ 以下なので、それを外れたら計算ミス。座標を置いた別解でも同じ値になるかを確かめられる。
2023年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択3) 解答・解説
第3問(選択3)は確率・確率分布の問題です。
テーマは「取り出した玉の色を取り換えて戻す操作をくり返したときの、赤玉・白玉の数の確率分布・期待値・分散」。
問題


問題文をテキストで読む
袋に赤玉4個と白玉2個が入っている。無作為に玉を1個取り出して、それが赤玉であれば白玉と、白玉であれば赤玉と取り換えて袋に戻すという操作を考える。この操作を2回繰り返したあと袋にある赤玉の数を $X$ とし、一方、3回繰り返したあと袋にある白玉の数を $Y$ とする。
(1) 確率 $P(X=4)$ を求めよ。
(2) 確率変数 $X$ の期待値 $E(X)$ と分散 $V(X)$ を求めよ。
(3) 確率変数 $Y$ の期待値 $E(Y)$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
玉は全部で常に6個なので、袋の中身は赤玉の数 $r$ だけで決まる(白玉は $6-r$ 個)。赤玉が $r$ 個のとき、赤玉を取り出す確率は $\dfrac{r}{6}$ で赤玉は1個減り、白玉を取り出す確率は $\dfrac{6-r}{6}$ で赤玉は1個増える。赤玉の数は1回ごとに必ず1つ増えるか減るかするので、1回ごとの赤玉の数の移り変わりを図にすれば、起こり方がすべて見える。2回後に赤玉が4個になるのは「減って増える」「増えて減る」の2通り。


- 1回後の赤玉の数は3(確率 $\dfrac{2}{3}$)か5(確率 $\dfrac{1}{3}$)であることを求める。
- 赤玉3個から4個になる確率 $\dfrac{3}{6}$、赤玉5個から4個になる確率 $\dfrac{5}{6}$ を求める。
- 「4→3→4」「4→5→4」の2通りの確率を求めて足す。
【(2)の方針】
2回後の赤玉の数は $4\pm1\pm1$ なので、 $X$ がとる値は2、4、6の3つだけ。(1) の $X=4$ のほかに $X=2$(2回とも赤玉を取り出す)と $X=6$(2回とも白玉を取り出す)を求めれば確率分布がそろう。分散は $V(X)=E(X^2)-\{E(X)\}^2$ で計算すると、分数の2乗の計算が1回で済む。
- $P(X=2)$、 $P(X=6)$ を求め、(1) と合わせて確率分布の表を作る(確率の合計が1になることを確かめる)。
- $E(X)=2P(X=2)+4P(X=4)+6P(X=6)$ を計算する。
- $E(X^2)$ を計算し、 $V(X)=E(X^2)-\{E(X)\}^2$ で分散を求める。
【(3)の方針】
3回後の白玉の数 $Y$ は、3回後の赤玉の数を $Z$ とすると $Y=6-Z$。 $Z$ は (2) の $X$ の分布から、もう1回操作した結果として求められる(図の3列目)。 $Z$ がとる値は1、3、5。期待値だけ求めればよいので、 $E(Y)=6-E(Z)$ としてもよい。
- $X=2,4,6$ のそれぞれから3回目で赤玉の数がどう変わるかを調べ、 $Z=1,3,5$ の確率を求める(確率の合計が1になることを確かめる)。
- $Y=6-Z$ から $Y=5,3,1$ の確率分布を表にする。
- $E(Y)$ を計算する。
解答


解答をテキストで読む
袋の中の玉は常に6個なので、袋の中身は赤玉の数だけで決まる。赤玉が $r$ 個のとき、1回の操作で
・赤玉を取り出す(確率 $\dfrac{r}{6}$)と、赤玉は1個減って $r-1$ 個
・白玉を取り出す(確率 $\dfrac{6-r}{6}$)と、赤玉は1個増えて $r+1$ 個
になる。はじめ赤玉は4個なので、赤玉の数は次の図のように移り変わる(矢印の数字はその移り方の確率)。
(1) 配点 12点
1回後の赤玉の数は、赤玉を取り出せば3個(確率 $\dfrac{4}{6}=\dfrac{2}{3}$)、白玉を取り出せば5個(確率 $\dfrac{2}{6}=\dfrac{1}{3}$)である。
2回後に赤玉が4個になるのは、次の2通りである。
・4個→3個→4個 1回目に赤玉、2回目に白玉(白玉は3個)を取り出すので $\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{3}{6}=\dfrac{1}{3}$
・4個→5個→4個 1回目に白玉、2回目に赤玉(赤玉は5個)を取り出すので $\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{5}{6}=\dfrac{5}{18}$
これらは同時に起こらないので
$$P(X=4)=\dfrac{1}{3}+\dfrac{5}{18}=\dfrac{11}{18}$$
答 $P(X=4)=\dfrac{11}{18}$
(2) 配点 16点
赤玉の数は1回ごとに1つ増えるか減るかするので、 $X$ がとる値は2、4、6である。
・$X=2$(4個→3個→2個) 2回とも赤玉を取り出すので $\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{3}{6}=\dfrac{1}{3}$
・$X=6$(4個→5個→6個) 2回とも白玉を取り出すので $\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{6}=\dfrac{1}{18}$
(1) と合わせて、 $X$ の確率分布は次のようになる。
| $X$ | $2$ | $4$ | $6$ | 計 |
|—|—|—|—|—|
| $P$ | $\dfrac{6}{18}$ | $\dfrac{11}{18}$ | $\dfrac{1}{18}$ | $1$ |
よって
$$E(X)=2\cdot\dfrac{6}{18}+4\cdot\dfrac{11}{18}+6\cdot\dfrac{1}{18}=\dfrac{12+44+6}{18}=\dfrac{62}{18}=\dfrac{31}{9}$$
答 $E(X)=\dfrac{31}{9}$
また
$$E(X^2)=4\cdot\dfrac{6}{18}+16\cdot\dfrac{11}{18}+36\cdot\dfrac{1}{18}=\dfrac{24+176+36}{18}=\dfrac{236}{18}=\dfrac{118}{9}$$
したがって
$$V(X)=E(X^2)-\{E(X)\}^2=\dfrac{118}{9}-\left(\dfrac{31}{9}\right)^2=\dfrac{1062-961}{81}=\dfrac{101}{81}$$
答 $V(X)=\dfrac{101}{81}$
(検算:定義どおり $V(X)=\left(2-\dfrac{31}{9}\right)^2\cdot\dfrac{6}{18}+\left(4-\dfrac{31}{9}\right)^2\cdot\dfrac{11}{18}+\left(6-\dfrac{31}{9}\right)^2\cdot\dfrac{1}{18}=\dfrac{169\cdot6+25\cdot11+529}{81\cdot18}=\dfrac{1818}{1458}=\dfrac{101}{81}$ で一致する)
(3) 配点 12点
3回後の赤玉の数を $Z$ とすると、玉は全部で6個なので $Y=6-Z$ である。
3回目の操作で、赤玉の数は次のように変わる(図の3列目)。
・$X=2$ のとき 赤玉を取り出す(確率 $\dfrac{2}{6}=\dfrac{1}{3}$)と $Z=1$、白玉を取り出す(確率 $\dfrac{4}{6}=\dfrac{2}{3}$)と $Z=3$
・$X=4$ のとき 赤玉を取り出す(確率 $\dfrac{2}{3}$)と $Z=3$、白玉を取り出す(確率 $\dfrac{1}{3}$)と $Z=5$
・$X=6$ のとき 必ず赤玉を取り出すので $Z=5$
よって
$$P(Z=1)=\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{3}=\dfrac{1}{9}=\dfrac{6}{54}$$
$$P(Z=3)=\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{2}{3}+\dfrac{11}{18}\cdot\dfrac{2}{3}=\dfrac{12}{54}+\dfrac{22}{54}=\dfrac{34}{54}$$
$$P(Z=5)=\dfrac{11}{18}\cdot\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{18}\cdot1=\dfrac{11}{54}+\dfrac{3}{54}=\dfrac{14}{54}$$
(合計は $\dfrac{6+34+14}{54}=1$ で、もれがないことも確かめられる)
$Y=6-Z$ なので、 $Y$ の確率分布は次のようになる。
| $Y$ | $5$ | $3$ | $1$ | 計 |
|—|—|—|—|—|
| $P$ | $\dfrac{6}{54}$ | $\dfrac{34}{54}$ | $\dfrac{14}{54}$ | $1$ |
よって
$$E(Y)=5\cdot\dfrac{6}{54}+3\cdot\dfrac{34}{54}+1\cdot\dfrac{14}{54}=\dfrac{30+102+14}{54}=\dfrac{146}{54}=\dfrac{73}{27}$$
答 $E(Y)=\dfrac{73}{27}$
別解((3):(2) の $E(X)$ から期待値だけを求める)
2回後の赤玉の数が $k$ 個のとき、3回後の赤玉の数は確率 $\dfrac{k}{6}$ で $k-1$、確率 $\dfrac{6-k}{6}$ で $k+1$ なので、その平均は
$$(k-1)\cdot\dfrac{k}{6}+(k+1)\cdot\dfrac{6-k}{6}=\dfrac{4k+6}{6}=\dfrac{2}{3}k+1$$
これを $X=k$ となる確率 $P(X=k)$ をかけて $k=2,4,6$ で足すと
$$E(Z)=\sum_{k}\left(\dfrac{2}{3}k+1\right)P(X=k)=\dfrac{2}{3}E(X)+1=\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{31}{9}+1=\dfrac{89}{27}$$
よって $E(Y)=6-E(Z)=6-\dfrac{89}{27}=\dfrac{73}{27}$。
(同じ式で、 $n$ 回後の赤玉の数の期待値を $e_n$ とすると $e_{n+1}=\dfrac{2}{3}e_n+1$、 $e_0=4$ から $e_n=3+\left(\dfrac{2}{3}\right)^n$ となる。 $e_2=3+\dfrac{4}{9}=\dfrac{31}{9}$ で (2) の $E(X)$ とも一致する)
出題意図
(1) 袋の中身が1回ごとに変わる操作を、「赤玉の数」の移り変わりとして正しく追えるか。赤玉を取り出すと赤玉が1個減り、白玉を取り出すと赤玉が1個増える、と整理できるか。
(2) 確率分布を表にまとめ、期待値と分散を定義どおりに計算できるか
(3) 「3回後の白玉の数」を「3回後の赤玉の数」に言いかえ、(2) の分布の続きとして求められるか
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 20分 |
分散で戸惑う受験生も少なくないが、この年の選択問題は選択3が明らかに簡単。
選択2はやや発想が要り、選択1は数列の処理が得意でないと厳しい。
確率分布と統計まで含めてまんべんなく勉強しておき、この問題を選びたい。
差がつく所・失点しやすい所
- 袋の中身を「赤玉の数」1つで表すという発想に行き着けるか:赤玉と白玉を別々に追うと、場合が増えて混乱しやすい。合計が常に6なので赤玉の数だけ追えばよい、と気づけば図1枚で全体が見える。
- 2回目の確率を1回目のあとの袋の中身で計算する:1回目のあと、袋の赤玉は3個か5個に変わっている。はじめの「赤玉4個」のまま $\dfrac{4}{6}$ を使い続ける誤りに注意。
- (3) の $Y$ は白玉の数:問題文は $X$ が赤玉、 $Y$ が白玉と、数える色を変えている。3回後の赤玉の数の期待値 $\dfrac{89}{27}$ をそのまま答える誤りが起きやすい。最後に $Y=6-Z$ を確かめる。
- 分散の計算ミス:分母が18・81と大きくなるので、確率の分母をそろえたまま計算し、偏差の2乗で求めた値と一致するか確かめると安心できる。
2023年鹿児島大学医学部数学
第4問 解答・解説
第4問は微分法・積分法(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「対数関数の2乗の曲線の接線、 $x$ 切片の最大、接線と曲線と $x$ 軸で囲まれた部分の $x$ 軸まわりの回転体の体積」。
問題


問題文をテキストで読む
$x>0$ で定義された曲線
$$C:\quad y=(\log x)^2$$
を考える。
(1) $a$ を正の実数とするとき、点 $\mathrm{P}(a,\,(\log a)^2)$ における曲線 $C$ の接線 $L$ の方程式を求めよ。
(2) $a>1$ のとき、接線 $L$ と $x$ 軸の交点の $x$ 座標が最大となる場合の $a$ の値 $a_0$ を求めよ。
(3) $a$ の値が(2)の $a_0$ に等しいとき、直線 $L$ の $y\geqq0$ の部分と曲線 $C$ と $x$ 軸で囲まれた部分を、 $x$ 軸の周りに1回転させてできる図形の体積を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$y=(\log x)^2$ は合成関数なので、 $y’=2\log x\cdot\dfrac{1}{x}=\dfrac{2\log x}{x}$。あとは接線の公式に当てはめるだけ。
- $y’=\dfrac{2\log x}{x}$ を求める。
- 接線の公式 $y=\dfrac{2\log a}{a}(x-a)+(\log a)^2$ に代入して整理する。
【(2)の方針】
$a>1$ のとき $\log a>0$ なので接線 $L$ の傾き $\dfrac{2\log a}{a}$ は0でなく、 $L$ は $x$ 軸と必ず1点で交わる。その交点の $x$ 座標は $a$ で決まるので、 $a$ の関数 $g(a)$ とみて、増減を調べればよい。 $g(a)=a-\dfrac{a\log a}{2}$ となり、 $g'(a)=\dfrac{1-\log a}{2}$ の符号は $a=e$ で正から負に変わる(下の図)。


- (1) の接線の方程式に $y=0$ を代入し、交点の $x$ 座標を $g(a)=a-\dfrac{a\log a}{2}$ と表す。
- $g'(a)=\dfrac{1-\log a}{2}$ を求め、 $a>1$ での増減表を書く。
- 増減表から、最大となる $a$ を答える。
【(3)の方針】
$a_0=e$ のとき、接線 $L$ は $y=\dfrac{2}{e}x-1$ で、 $x$ 軸とは $x=\dfrac{e}{2}$ で交わる。囲まれた部分を正しく決めるには、曲線 $C$ と接線 $L$ の上下が必要。 $y”=\dfrac{2(1-\log x)}{x^2}$ なので、 $0<x<e$ で $C$ は下に凸、点 $\mathrm{P}(e,\,1)$ は変曲点。下に凸の範囲では曲線は接線の上にあるので、 $1\leqq x\leqq e$ では $C$ が $L$ の上にある(図の色をつけた部分)。これを差の関数で確かめる。


回転体は、曲線 $C$ の $1\leqq x\leqq e$ の部分を回した立体から、接線 $L$ の $\dfrac{e}{2}\leqq x\leqq e$ の部分を回した円錐(底面の半径1、高さ $\dfrac{e}{2}$)をくりぬいた形になる。 $L$ を回した部分の体積は積分しなくても円錐の公式 $\dfrac{1}{3}\pi r^2h$ で求まる。


平面 $x=t$ で切ると、切り口は $1\leqq t\leqq\dfrac{e}{2}$ では半径 $(\log t)^2$ の円、 $\dfrac{e}{2}\leqq t\leqq e$ では外側の半径 $(\log t)^2$、内側の半径 $\dfrac{2}{e}t-1$ の円環になる。円環の面積 $\pi\{(\log t)^4-(\dfrac{2}{e}t-1)^2\}$ を積分しても同じ値になるが、円錐の公式を使った方が計算が短い。


残る計算は $\displaystyle\int_1^e(\log x)^4\,dx$。$I_n=\displaystyle\int_1^e(\log x)^n\,dx$ とおくと、部分積分で $I_n=e-nI_{n-1}$ となり、 $I_0=e-1$ から順に求まる。部分積分を4回くり返す計算を、漸化式1本にまとめられる。
- $a=e$ のときの接線 $L:\ y=\dfrac{2}{e}x-1$ と、 $x$ 軸との交点 $x=\dfrac{e}{2}$ を求める。
- $h(x)=(\log x)^2-\left(\dfrac{2}{e}x-1\right)$ とおき、 $h”(x)=\dfrac{2(1-\log x)}{x^2}$ から $0<x<e$ で $h'(x)$ が増加すること、 $h'(e)=0$ から $h'(x)<0$、 $h(e)=0$ から $h(x)>0$ を示す。これで $0<x<e$ で $C$ が $L$ の上にあることが分かる。
- 囲まれた部分は、 $1\leqq x\leqq\dfrac{e}{2}$ で $0\leqq y\leqq(\log x)^2$、 $\dfrac{e}{2}\leqq x\leqq e$ で $\dfrac{2}{e}x-1\leqq y\leqq(\log x)^2$ と表す。
- 体積を $V=\pi\displaystyle\int_1^e(\log x)^4\,dx-\dfrac{1}{3}\pi\cdot1^2\cdot\dfrac{e}{2}$ と表す。
- $I_n=e-nI_{n-1}$ を部分積分で示し、 $I_0=e-1$ から $I_4=9e-24$ を求めて代入する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 8点
$y=(\log x)^2$ より
$$y’=2\log x\cdot\dfrac{1}{x}=\dfrac{2\log x}{x}$$
よって、点 $\mathrm{P}(a,\,(\log a)^2)$ における接線 $L$ の方程式は
$$y=\dfrac{2\log a}{a}(x-a)+(\log a)^2$$
答 $y=\dfrac{2\log a}{a}x-2\log a+(\log a)^2$
(2) 配点 12点
$a>1$ のとき $\log a>0$ なので、 $L$ の傾き $\dfrac{2\log a}{a}$ は0でない。(1) の接線の方程式に $y=0$ を代入すると
$$\dfrac{2\log a}{a}(x-a)=-(\log a)^2\qquad\therefore\quad x=a-\dfrac{a\log a}{2}$$
これを $g(a)$ とおく。
$$g'(a)=1-\dfrac{1}{2}\left(\log a+a\cdot\dfrac{1}{a}\right)=\dfrac{1-\log a}{2}$$
$a>1$ での増減は次のようになる。
| $a$ | $1$ | $\cdots$ | $e$ | $\cdots$ |
|—|—|—|—|—|
| $g'(a)$ | | $+$ | $0$ | $-$ |
| $g(a)$ | $(1)$ | $\nearrow$ | $\dfrac{e}{2}$ | $\searrow$ |
よって $g(a)$ は $a=e$ で最大値 $\dfrac{e}{2}$ をとる。
答 $a_0=e$
(3) 配点 20点
$a=e$ のとき、(1) より接線 $L$ は
$$y=\dfrac{2}{e}x-2+1=\dfrac{2}{e}x-1$$
で、 $x$ 軸との交点の $x$ 座標は $\dfrac{e}{2}$。
$h(x)=(\log x)^2-\left(\dfrac{2}{e}x-1\right)$ とおくと
$$h'(x)=\dfrac{2\log x}{x}-\dfrac{2}{e},\qquad h”(x)=\dfrac{2\cdot\dfrac{1}{x}\cdot x-2\log x}{x^2}=\dfrac{2(1-\log x)}{x^2}$$
$0<x<e$ で $h”(x)>0$ なので、 $h'(x)$ は $0<x\leqq e$ で増加し、 $h'(e)=\dfrac{2}{e}-\dfrac{2}{e}=0$ より $0<x<e$ で $h'(x)<0$。よって $h(x)$ は $0<x\leqq e$ で減少し、 $h(e)=1-1=0$ より、 $0<x<e$ で $h(x)>0$。すなわち、 $0<x<e$ で曲線 $C$ は接線 $L$ の上にある。
また、 $C$ は $x$ 軸と $x=1$ で接し、 $e>2$ より $1<\dfrac{e}{2}$。したがって、囲まれた部分は
$$1\leqq x\leqq\dfrac{e}{2}\ \text{で}\ 0\leqq y\leqq(\log x)^2,\qquad\dfrac{e}{2}\leqq x\leqq e\ \text{で}\ \dfrac{2}{e}x-1\leqq y\leqq(\log x)^2$$
である(下の図の色をつけた部分)。
これを $x$ 軸の周りに1回転させた図形は、曲線 $C$ の $1\leqq x\leqq e$ の部分を回してできる立体から、直線 $L$ の $\dfrac{e}{2}\leqq x\leqq e$ の部分を回してできる円錐(底面の半径 $1$、高さ $e-\dfrac{e}{2}=\dfrac{e}{2}$)を除いたものである。
(平面 $x=t$ での切り口は、 $1\leqq t\leqq\dfrac{e}{2}$ では円、 $\dfrac{e}{2}\leqq t\leqq e$ では円環)
よって、求める体積を $V$ とすると
$$V=\pi\int_1^e(\log x)^4\,dx-\dfrac{1}{3}\pi\cdot1^2\cdot\dfrac{e}{2}=\pi\int_1^e(\log x)^4\,dx-\dfrac{e}{6}\pi$$
$I_n=\displaystyle\int_1^e(\log x)^n\,dx$( $n=0,1,2,\cdots$)とおく。 $n\geqq1$ のとき、部分積分により
$$I_n=\Bigl[x(\log x)^n\Bigr]_1^e-\int_1^ex\cdot n(\log x)^{n-1}\cdot\dfrac{1}{x}\,dx=e-nI_{n-1}$$
$I_0=\displaystyle\int_1^e dx=e-1$ なので
$$I_1=e-(e-1)=1,\quad I_2=e-2\cdot1=e-2,\quad I_3=e-3(e-2)=6-2e,\quad I_4=e-4(6-2e)=9e-24$$
したがって
$$V=\pi(9e-24)-\dfrac{e}{6}\pi=\dfrac{53e-144}{6}\pi$$
( $e=2.718\cdots$ より $53e=144.06\cdots>144$ なので、確かに $V>0$。 $V$ はおよそ $0.036$ と小さいが、これは図のとおり、囲まれた部分が細いためである)
答 $\dfrac{53e-144}{6}\pi$
(3) の別解( $\displaystyle\int_1^e(\log x)^4\,dx$ を置換で求める)
$x=e^s$ とおくと $dx=e^s\,ds$、 $x:1\to e$ のとき $s:0\to1$ なので
$$\int_1^e(\log x)^4\,dx=\int_0^1s^4e^s\,ds$$
部分積分を4回くり返すと $\displaystyle\int s^4e^s\,ds=e^s(s^4-4s^3+12s^2-24s+24)+C_0$( $C_0$ は積分定数)なので
$$\int_0^1s^4e^s\,ds=e(1-4+12-24+24)-24=9e-24$$
となり、同じ値になる。
出題意図
(1) 接線の公式 $y=f'(a)(x-a)+f(a)$ を、合成関数の微分を使って正しく立てられるか
(2) 接線と $x$ 軸の交点の $x$ 座標を $a$ の関数として表し、その最大値を微分で求めることができるか
(3) 曲線と接線の上下を凹凸から判断し、回転体の体積を「曲線を回した立体から円錐を引く」形で立式できるか。 $(\log x)^4$ の定積分を部分積分で正確に計算できるか。
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 |
接線・最大値・回転体の体積と、数Ⅲの微積分の標準問題が並んだ問題。
$(\log x)^2$ が下に凸であることは一見明らかだが、上下を決める根拠として調べておくことが大事。
$\log$ の累乗の積分は部分積分のくり返しで求められるようにしておくこと。
差がつく所・失点しやすい所
- 曲線 $C$ と接線 $L$ の上下を凹凸で判断するという発想に行き着けるか:図だけで「 $C$ が上」と決めると、根拠のない答案になる。 $y”=\dfrac{2(1-\log x)}{x^2}$ から $0<x<e$ で下に凸と分かれば、差の関数 $h(x)$ を2回微分して示せる。ここを書けるかで大きく差がつく。
- 回転体を「曲線を回した立体から円錐を引く」と捉えるという発想に行き着けるか:円環の面積 $\pi\{(\log x)^4-(\dfrac{2}{e}x-1)^2\}$ をそのまま積分しても答えは同じだが、計算量が増えてミスが起きやすい。
- $\displaystyle\int_1^e(\log x)^4\,dx$ の計算:部分積分を4回くり返すうちに符号や係数を間違えやすい。漸化式 $I_n=e-nI_{n-1}$ にまとめれば、代入をくり返すだけで済む。
- 答えの検算:答えの $\dfrac{53e-144}{6}\pi$ は約 $0.036$ と非常に小さい。 $9e-24$ や円錐の体積を1か所でも間違えると負の値になったり大きくずれたりするので、最後に $53e>144$ を確かめると計算ミスに気づける。
2023年鹿児島大学医学部数学
第5問 解答・解説
第5問は複素数平面の問題です。
テーマは「1次分数変換 $w=\dfrac{1+iz}{z+i}$ で、異なる $z$ が異なる $w$ に移ること・ $w$ に移る $z$ の存在・直線が円に移る条件」。
問題


問題文をテキストで読む
次の問いに答えよ。ただし、 $i$ は虚数単位とする。
(1) $z_1$、 $z_2$ を異なる2つの複素数とするとき、 $\dfrac{1+iz_1}{z_1+i}\neq\dfrac{1+iz_2}{z_2+i}$ となることを示せ。ただし、 $z_1\neq-i$、 $z_2\neq-i$ とする。
(2) $w$ を $i$ 以外の複素数とするとき、 $\dfrac{1+iz}{z+i}=w$ かつ $z\neq-i$ を満たす複素数 $z$ が存在することを示せ。
(3) $-i$ 以外の複素数 $z$ について、 $z$ の虚部が $b$ となることと、 $w=\dfrac{1+iz}{z+i}$ が $\left|w-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac{1}{2}$ を満たすことが同値になるように実数 $b$ を定めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
「異なる $z$ なら異なる $w$」を直接示すのは書きにくい。対偶「 $w$ が等しければ $z$ も等しい」を示す方が、等式から始められて簡単。さらに、分子を分母で割ると $1+iz=i(z+i)+2$ より $\dfrac{1+iz}{z+i}=i+\dfrac{2}{z+i}$ と、 $z$ が1か所にしか現れない形になるので、 $w$ が等しければ $\dfrac{2}{z+i}$ が等しく、すぐに $z$ も等しいと分かる。この形からは $w-i=\dfrac{2}{z+i}\neq0$、つまり $w$ は $i$ にならないことも分かる。分母を払って展開しても示せる(模範解答の別解)。
- $1+iz=i(z+i)+2$ から $\dfrac{1+iz}{z+i}=i+\dfrac{2}{z+i}$ と変形する。
- 対偶「 $\dfrac{1+iz_1}{z_1+i}=\dfrac{1+iz_2}{z_2+i}$ ならば $z_1=z_2$」を示すと宣言する。
- $\dfrac{2}{z_1+i}=\dfrac{2}{z_2+i}$ から逆数をとって $z_1=z_2$ を導く。
【(2)の方針】
「存在することを示せ」は、実際にその $z$ を $w$ で表してみせればよい。(1) の形 $w-i=\dfrac{2}{z+i}$ を $z$ について解けば $z+i=\dfrac{2}{w-i}$ で、 $w\neq i$ なのでこの $z$ は定まる。右辺は0にならないので、 $z\neq-i$ も同時に分かる( $z\neq-i$ の確認を忘れると、分母が0になる $z$ を答えたことになる)。
- $w\neq i$ なので $z=-i+\dfrac{2}{w-i}$ とおく。
- $\dfrac{2}{w-i}\neq0$ より $z\neq-i$ を確かめる。
- $\dfrac{2}{z+i}=w-i$ と (1) の変形から $\dfrac{1+iz}{z+i}=w$ を確かめて結論する。
【(3)の方針】
「同値」なので、「虚部が $b$ ⇒ 円の上」と「円の上 ⇒ 虚部が $b$」の両向きが要る。そこで、$w$ の条件 $\left|w-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac12$ に $w=\dfrac{1+iz}{z+i}$ を代入し、⇔ でつないで $z$ の条件に直す。こうすれば両向きが一度に示せる。分数のままだと扱いにくいので、両辺を2倍して $|2w-i|=1$ とし、 $|z+i|$ をかけて分母を払う。すると $|z-3i|=|z+i|$ となり、これは 2点 $3i$、 $-i$ から等距離の点の集まり=垂直二等分線、すなわち虚部が1の直線である。


図で見ると、直線 $\mathrm{Im}\,z=1$ が円 $\left|w-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac12$ に移る。 $z=i$ は $w=0$ に移り、 $z$ が直線上を左右に遠ざかると $w$ は $i$ に近づくが、 $w=i$ にはならない((2) で $w=i$ を除いているのはこのため)


- $z\neq-i$ のもとで、 $\left|w-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac12\iff|2w-i|=1\iff|2(1+iz)-i(z+i)|=|z+i|\iff|iz+3|=|z+i|$ と変形する。
- $|iz+3|=|i(z-3i)|=|z-3i|$ より、条件は $|z-3i|=|z+i|$ と同値。
- $z=x+yi$( $x$、 $y$ は実数)とおいて2乗し、 $y=1$ と同値であることを示す。
- よって $b=1$ のとき同値になる。逆に同値になるなら、 $z=i$( $w=0$ で円の上)を考えて $b=1$ に限ることを示す。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 10点
$z\neq-i$ のとき $z+i\neq0$ で、 $1+iz=i(z+i)+2$ なので
$$\dfrac{1+iz}{z+i}=i+\dfrac{2}{z+i}\quad\cdots\cdots①$$
対偶「 $\dfrac{1+iz_1}{z_1+i}=\dfrac{1+iz_2}{z_2+i}$ ならば $z_1=z_2$」を示す。①より
$$i+\dfrac{2}{z_1+i}=i+\dfrac{2}{z_2+i}\qquad\text{すなわち}\qquad\dfrac{2}{z_1+i}=\dfrac{2}{z_2+i}$$
逆数をとって $z_1+i=z_2+i$ より $z_1=z_2$。対偶が示されたので、 $z_1\neq z_2$ ならば $\dfrac{1+iz_1}{z_1+i}\neq\dfrac{1+iz_2}{z_2+i}$ である。(証明終わり)
(①からは $w-i=\dfrac{2}{z+i}\neq0$、つまり $w$ は $i$ にならないことも分かる。(2) で $w\neq i$ としている理由である)
(1) の別解(分母を払って展開する)
両辺に $(z_1+i)(z_2+i)$( $\neq0$)をかけると $(1+iz_1)(z_2+i)=(1+iz_2)(z_1+i)$。展開すると
$$z_2+i+iz_1z_2-z_1=z_1+i+iz_1z_2-z_2$$
で、 $iz_1z_2$ と $i$ が消えて $2(z_2-z_1)=0$ より $z_1=z_2$。
(2) 配点 12点
$w\neq i$ なので
$$z=-i+\dfrac{2}{w-i}$$
とおくことができる。
$\dfrac{2}{w-i}\neq0$ なので $z+i\neq0$、すなわち $z\neq-i$。
また $z+i=\dfrac{2}{w-i}$ より $\dfrac{2}{z+i}=w-i$ なので、①より
$$\dfrac{1+iz}{z+i}=i+\dfrac{2}{z+i}=i+(w-i)=w$$
よって条件をみたす複素数 $z$ が存在する。(証明終わり)
(この $z$ は通分すると $z=\dfrac{1-iw}{w-i}$ である)
(2) の別解(分母を払って $z$ について解く)
$z\neq-i$ のとき
$$\dfrac{1+iz}{z+i}=w\iff1+iz=w(z+i)\iff(w-i)z=1-iw$$
$w\neq i$ なので $z=\dfrac{1-iw}{w-i}$。この $z$ が $-i$ だとすると、 $1-iw=-i(w-i)=-iw-1$ より $1=-1$ となり矛盾するので $z\neq-i$。よって最初の同値変形から $\dfrac{1+iz}{z+i}=w$ をみたす。( $z\neq-i$ の確認に背理法が1つ要るぶん、本解より長い)
(3) 配点 18点
$z\neq-i$ とし、 $w=\dfrac{1+iz}{z+i}$ とする。 $|z+i|>0$ なので
$$\left|w-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac12\iff|2w-i|=1\iff\left|\dfrac{2(1+iz)-i(z+i)}{z+i}\right|=1\iff|iz+3|=|z+i|$$
( $2(1+iz)-i(z+i)=2+2iz-iz+1=iz+3$)
$iz+3=i(z-3i)$ で $|i|=1$ なので、 $|iz+3|=|z-3i|$。よって
$$\left|w-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac12\iff|z-3i|=|z+i|$$
$|z-3i|=|z+i|$ は、点 $z$ が2点 $3i$、 $-i$ から等しい距離にあること、すなわち 2点 $3i$、 $-i$ を結ぶ線分の垂直二等分線の上にあることを表す。この線分は虚軸上にあり、中点は $i$ なので、垂直二等分線は点 $i$ を通り実軸に平行な直線、つまり虚部が1の直線 $\mathrm{Im}\,z=1$ である。
( $z=x+yi$ とおいて $x^2+(y-3)^2=x^2+(y+1)^2$ を整理しても $y=1$ となる)
以上から、 $-i$ 以外のすべての複素数 $z$ について
$$\left|w-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac12\iff z\text{ の虚部が }1$$
が成り立つ。
したがって $b=1$ のとき、問題の2つの条件は同値になる。
逆に、ある実数 $b$ で同値になるとする。 $z=i$( $\neq-i$)のとき $w=\dfrac{1+i\cdot i}{i+i}=0$ で、 $\left|0-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac12$ をみたす。同値なので $z=i$ の虚部は $b$ であり、 $b=1$。
答 $b=1$
( $z=-2+i$、 $i$、 $2+i$ はそれぞれ $w=\dfrac{-1+i}{2}$、 $0$、 $\dfrac{1+i}{2}$ に移る。直線 $\mathrm{Im}\,z=1$ は円 $\left|w-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac12$ から点 $i$ を除いたものに移る)
(3) の別解((2) の式で $z$ を $w$ で表す)
(1)(2) より、 $-i$ 以外の $z$ と $i$ 以外の $w$ は $w=\dfrac{1+iz}{z+i}$ で1対1に対応し、 $z=\dfrac{1-iw}{w-i}$、すなわち $z+i=\dfrac{2}{w-i}$ である。 $w=u+vi$( $u$、 $v$ は実数、 $w\neq i$)とおくと
$$\dfrac{2}{w-i}=\dfrac{2\{u-(v-1)i\}}{u^2+(v-1)^2}$$
なので、 $z$ の虚部が $b$ ⇔ $z+i$ の虚部が $b+1$ ⇔
$$-\dfrac{2(v-1)}{u^2+(v-1)^2}=b+1\iff(b+1)\{u^2+(v-1)^2\}+2(v-1)=0\quad\cdots\cdots②$$
一方、円の条件は $u^2+\left(v-\dfrac12\right)^2=\dfrac14\iff u^2+v^2-v=0\iff\{u^2+(v-1)^2\}+(v-1)=0\quad\cdots\cdots③$
$w=0$( $u=v=0$ で $u^2+(v-1)^2=1$、 $v-1=-1$)は③をみたすので、同値なら②もみたし、 $(b+1)\cdot1+2\cdot(-1)=0$ より $b=1$。 $b=1$ のとき②は③の両辺を2倍した式で、確かに同値。よって $b=1$。
( $b\neq-1$ なら②は中心 $\dfrac{b}{b+1}i$、半径 $\dfrac{1}{|b+1|}$ の円から点 $i$ を除いたもの。虚部が $b$ の直線は、どれも点 $i$ を通る円に移る。その中で中心 $\dfrac{i}{2}$、半径 $\dfrac12$ になるのが $b=1$)
出題意図
(1)(2) 1次分数変換で $z$ と $w$ が1対1に対応することを、式変形で示せるか
(3) $w$ の条件 $\left|w-\dfrac{i}{2}\right|=\dfrac12$ を $z$ の条件に同値変形し、図形として読み取ることができるか
講評
| 難易度 | やや難 |
| 目標得点 | 30点 |
| 目標時間 | 25分 |
問われ方が難しく、全体として差がついた問題。
(1) は落としてもよいが、(2) の「 $z$ について解く」と (3) の「垂直二等分線と見る」で30点は取りたい。
差がつく所・失点しやすい所
- 全体として差がついた問題:そもそも問われ方が難しく、(2)(3) も何をすればよいのか分からない受験生が多いと思われる。何を示せばよいのかを読みとれるかどうかで、問題全体の点数が分かれる。
- (1) で対偶をとるという発想に行き着けるか:「異なる $z$ なら異なる $w$」を直接示すのは難しい。「 $w$ が等しければ $z$ も等しい」という対偶にすれば等式から始められる。(1) は落としてもよい。
- (2) で $z$ について解くという発想に行き着けるか:1次分数変換は $z$ について解けば $w$ で表せる。そのうえで $z\neq-i$ の確認まで書く。
- (3) で $|z-3i|=|z+i|$ に直し、図形的に処理できるか:ここまで変形できれば、2点 $3i$、 $-i$ を結ぶ線分の垂直二等分線として、虚部が1の直線とすぐに分かる。
2023年鹿児島大学医学部・数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 目標点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 40点 |
| 第2問 | 標準 | 40点 |
| 第3問(選択1) | やや難 | 25点 |
| 第3問(選択2) | 標準 | 40点 |
| 第3問(選択3) | やや簡単 | 40点 |
| 第4問 | 標準 | 30点 |
| 第5問 | やや難 | 30点 |
合計の目標点は160点です(200点満点)。第3問は、選択3を選べるかどうかが分かれ目なので、合計では20点として数えています(選択3を選べれば40点取れます)。
この年の選択問題は選択3(確率)が明らかに簡単。
選択2はやや発想が要り、選択1は数列の処理が得意でないと厳しい。
確率分布と統計まで含めてまんべんなく勉強しておき、選択3を選びたい。
第1問は全範囲から典型問題が出る小問集合。
まんべんなく演習しておけば確実に満点が取れる。
第5問は問われ方が難しく、全体として差がついた問題。
(1) は落としてもよいが、(2)(3) で30点は取りたい。
解く流れ
- 第1問 → 第2問 → 第3問(選択) → 第4問 → 第5問
- 目標時間:第1問 15分・第2問 20分・第3問(選択3)20分・第4問 25分・第5問 25分。合計105分で、試験時間120分のうち15分を見直しに使える。
- 第1問・第2問の典型問題はすぐに解き、選択問題をどれにするか吟味する時間を作る。
- 第4問は (1)(2) を確実に取り、(3) は体積まで求める。第5問はやや難なので最後に回し、(2)(3) で30点を取りに行く。
選択問題はどれを選ぶべきか
- 選び方:3題の難易度を比べ、発想がいらず一番解きやすいものを選ぶ。
- おすすめは選択3(確率)。明らかに一番簡単(やや簡単)。選択2は標準でやや発想が要り、選択1はやや難で数列の処理が得意でないと厳しい。
- 理由1:計算が一番単純。袋の中身を「赤玉の数」1つで表し、移り変わりの図を3回後まで書けば、あとは分数のかけ算と足し算だけ。
- 理由2:検算しやすい。確率分布の合計が1になること、分散は2通りの計算が一致することで確かめられる。
- 選択1(整数の論証)はやや難。(1) から3つ飛びの連立漸化式が要り、(1) が解けない時点で選ばないほうがよい。
- 選択2(空間ベクトル)は標準。(2) で「垂線を長さ1に縮める」発想が要り、選ぶべきではない。
2023年鹿児島大学医学部・数学に
関するよくある質問
2023年の鹿児島大学医学部・数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2023年の鹿児島大学医学部・数学は難しかった?
-
2023年の鹿児島大学医学部・数学は、全体として「やや難」の年でした。
第1問は典型問題の小問集合、第2問・第4問は標準ですが、第5問は問われ方が難しく、全体として差がつきました。 - 2023年の鹿児島大学医学部・数学は何点取れば合格できる?
-
目標点は160点です(200点満点)。
- 2023年の鹿児島大学医学部・数学はどこで差がつく?
-
特に差がついたのは、次の3つです。
- 選択問題:3題の中で明らかに一番簡単な選択3(確率)を選べるか。
- 第5問:(1) は落としても、(2)(3) で30点を取れるか。
- 第4問(3):体積まで求めて、第4問で30点を取れるか。
- 2023年の鹿児島大学医学部・数学は何が出題された?
-
大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:図形と計量・数と式・確率
- 第2問:図形と方程式・2次関数
- 第3問(選択1):整数・数列・数と式
- 第3問(選択2):空間ベクトル
- 第3問(選択3):確率・確率分布
- 第4問:微分法・積分法(数学Ⅲ)
- 第5問:複素数平面
