【解説・採点基準付き】2022年鹿児島大医学部・数学の解答・解説
2022年の鹿児島大学医学部・数学の、
解答・解説【完全版】です。
方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。
このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。
2022年鹿児島大学医学部数学
第1問 解答・解説
この記事の配点・採点基準は鹿児島大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。
第1問は図形と計量・整数の性質・場合の数と確率の問題です。
テーマは「小問集合(3辺が分かる三角形の垂線 $\mathrm{AH}$ の長さ/ $ab=4a-b$ をみたす正の整数の組/正 $2n$ 角形の頂点で作る三角形の個数と直角三角形になる確率)」。
問題


問題文をテキストで読む
次の各問いに答えよ。
(1) $\mathrm{AB}=5$、 $\mathrm{BC}=9$、 $\mathrm{CA}=6$ である三角形 $\mathrm{ABC}$ を考える。頂点 $\mathrm{A}$ から辺 $\mathrm{BC}$ に下ろした垂線 $\mathrm{AH}$ の長さを求めよ。
(2) $ab=4a-b$ を満たす正の整数 $a$、 $b$ の組をすべて求めよ。
(3) 正 $2n$ 角形 $\mathrm{A}_1\mathrm{A}_2\cdots\mathrm{A}_{2n-1}\mathrm{A}_{2n}$ の異なる3つの頂点を結んで三角形を作る。このような三角形の作り方は何通りあるか。なお、頂点が異なれば異なる三角形であるとする。またこのような三角形を任意に選ぶとき、それが直角三角形となる確率 $p$ を求めよ。ただし、 $n\geqq2$ とする。
解答の方針
【(1)の方針】
3辺の長さが分かっているので、余弦定理で $\cos B$ が求まる。直角三角形 $\mathrm{ABH}$ に注目すれば、斜辺が $\mathrm{AB}=5$ なので $\mathrm{AH}=\mathrm{AB}\sin B$。 $\cos B$ から $\sin B$ に直せば答えになる。 $\angle\mathrm{B}$ を選ぶのは、 $\mathrm{AH}$ をはさむ辺 $\mathrm{AB}$ の長さが分かっているからで、 $\angle\mathrm{C}$ を使って $\mathrm{AH}=\mathrm{CA}\sin C$ としてもよい。


- 余弦定理で $\cos B=\dfrac{5^2+9^2-6^2}{2\cdot5\cdot9}$ を求める。
- $\sin B=\sqrt{1-\cos^2B}$( $\sin B>0$ )を求める。
- 直角三角形 $\mathrm{ABH}$ で $\mathrm{AH}=\mathrm{AB}\sin B$ を計算する。
【(2)の方針】
2つの文字を含む整数の方程式は、積の形に変形すれば、約数の組を調べるだけで解が決まる。 $ab-4a+b=0$ は $a$ と $b$ の積を含むので、 $(a+1)(b-4)$ を展開した $ab-4a+b-4$ と比べて、両辺から4を引けば $(a+1)(b-4)=-4$ と積の形になる。 $a+1\geqq2$ なので $b-4$ は負で、調べる組は2つしかない。
- $ab-4a+b=0$ を $(a+1)(b-4)=-4$、すなわち $(a+1)(4-b)=4$ と変形する。
- $a+1\geqq2$ であり、 $4-b$ は正の整数で $4-b\leqq3$ であることを確かめる。
- 4の約数から $(a+1,\,4-b)=(2,\,2),\,(4,\,1)$ を求め、 $(a,\,b)$ に直す。
【(3)の方針】
前半は $2n$ 個の頂点から3個を選ぶ組合せ ${}_{2n}\mathrm{C}_3$。後半は、正 $2n$ 角形の頂点がすべて外接円の上にあることに注目する。円に内接する三角形が直角三角形になるのは、斜辺が外接円の直径のときに限る(直径に対する円周角は直角、逆に円周角が直角なら弦は直径)。頂点の個数 $2n$ が偶数なので、向かい合う2頂点 $\mathrm{A}_k$、 $\mathrm{A}_{k+n}$ を結ぶと直径になる。そこで「直径を1本選ぶ → 残りの頂点から3つ目の頂点を選ぶ」と数えれば、直角三角形の個数が求まる。1つの直角三角形の斜辺は1本だけなので、この数え方で重複は起こらない。


- 三角形の作り方 ${}_{2n}\mathrm{C}_3=\dfrac{2n(n-1)(2n-1)}{3}$ を求める。
- 頂点が外接円の上にあることから、直角三角形になるのは2つの頂点が直径の両端になるときに限ることを示す。
- 直径になる2頂点の組は $\mathrm{A}_k\mathrm{A}_{k+n}$( $k=1,\,2,\,\cdots,\,n$ )の $n$ 組。
- それぞれに対し、3つ目の頂点は残りの $2n-2$ 個から選べるので、直角三角形は $n(2n-2)$ 個。
- $p=\dfrac{n(2n-2)}{{}_{2n}\mathrm{C}_3}$ を計算する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 12点
$\triangle\mathrm{ABC}$ で余弦定理より
$$\cos B=\dfrac{\mathrm{AB}^2+\mathrm{BC}^2-\mathrm{CA}^2}{2\cdot\mathrm{AB}\cdot\mathrm{BC}}=\dfrac{25+81-36}{2\cdot5\cdot9}=\dfrac{70}{90}=\dfrac79$$
$0^\circ<B<180^\circ$ より $\sin B>0$ なので
$$\sin B=\sqrt{1-\left(\dfrac79\right)^2}=\sqrt{\dfrac{32}{81}}=\dfrac{4\sqrt2}{9}$$
$\triangle\mathrm{ABH}$ は $\angle\mathrm{AHB}=90^\circ$ の直角三角形なので
$$\mathrm{AH}=\mathrm{AB}\sin B=5\cdot\dfrac{4\sqrt2}{9}=\dfrac{20\sqrt2}{9}$$
答 $\mathrm{AH}=\dfrac{20\sqrt2}{9}$
( $\cos B>0$、 $\cos C=\dfrac{81+36-25}{2\cdot9\cdot6}=\dfrac{23}{27}>0$ なので $\mathrm{H}$ は辺 $\mathrm{BC}$ 上にある。 $\mathrm{AH}=\mathrm{AB}\sin B$ は $\mathrm{H}$ が辺の外にあっても成り立つので、答案では確かめなくてよい)
別解1(面積を経由する)
ヘロンの公式で、 $s=\dfrac{5+9+6}{2}=10$ として
$$\triangle\mathrm{ABC}=\sqrt{10\cdot(10-5)\cdot(10-9)\cdot(10-6)}=\sqrt{200}=10\sqrt2$$
$\triangle\mathrm{ABC}=\dfrac12\cdot\mathrm{BC}\cdot\mathrm{AH}$ より $\mathrm{AH}=\dfrac{2\cdot10\sqrt2}{9}=\dfrac{20\sqrt2}{9}$。根号の中が簡単な数になるときは、この方法も速い。
別解2( $\mathrm{BH}=x$ とおいて三平方の定理)
$\mathrm{BH}=x$ とおくと $\mathrm{HC}=9-x$。 $\mathrm{AH}^2$ を2通りに表して
$$25-x^2=36-(9-x)^2\qquad\therefore\ 18x=70,\ x=\dfrac{35}{9}$$
よって $\mathrm{AH}^2=25-\left(\dfrac{35}{9}\right)^2=\dfrac{800}{81}$、 $\mathrm{AH}=\dfrac{20\sqrt2}{9}$。三角比を使わずに求められるが、分数の2乗の計算が増える。
(2) 配点 12点
$ab=4a-b$ より $ab-4a+b=0$。両辺から4を引いて
$$ab-4a+b-4=-4\iff(a+1)(b-4)=-4\iff(a+1)(4-b)=4$$
$a$ は正の整数なので $a+1\geqq2$。よって $4-b=\dfrac{4}{a+1}$ は正で、さらに $b\geqq1$ なので $4-b\leqq3$。 $a+1$、 $4-b$ はともに正の整数で、積が4なので
$$(a+1,\,4-b)=(2,\,2),\ (4,\,1)$$
よって $(a,\,b)=(1,\,2),\ (3,\,3)$。どちらも $ab=4a-b$ を満たす( $1\cdot2=4-2$、 $3\cdot3=12-3$ )。
答 $(a,\,b)=(1,\,2),\ (3,\,3)$
別解( $b$ について解く)
$ab+b=4a$ より $b(a+1)=4a$、
$$b=\dfrac{4a}{a+1}=4-\dfrac{4}{a+1}$$
$b$ が整数なので $a+1$ は4の約数で、 $a+1\geqq2$ より $a+1=2,\,4$。 $a=1$ のとき $b=2$、 $a=3$ のとき $b=3$。 $b$ が $a$ の1次式の分数で表せるときは、分子の次数を下げる( $4-\dfrac{4}{a+1}$ の形にする)と約数の条件がすぐに見える。
(3) 配点 16点
$2n$ 個の頂点から異なる3個を選べば三角形が1つ決まるので、三角形の作り方は
$${}_{2n}\mathrm{C}_3=\dfrac{2n(2n-1)(2n-2)}{3\cdot2\cdot1}=\dfrac{2n(n-1)(2n-1)}{3}\ \text{通り}$$
答 $\dfrac{2n(n-1)(2n-1)}{3}$ 通り
正 $2n$ 角形の頂点はすべて外接円(中心 $\mathrm{O}$ )の上にある。3つの頂点で作る三角形が直角三角形になるのは、直角の頂点に対する辺が外接円の直径になるときで、そのときに限る(円周角の定理とその逆)。
直径の両端になる頂点の組は $\{\mathrm{A}_k,\,\mathrm{A}_{k+n}\}$( $k=1,\,2,\,\cdots,\,n$ )の $n$ 組。それぞれに対して、直角の頂点は残りの $2n-2$ 個の頂点のどれでもよい。1つの直角三角形の斜辺は1本だけなので重複はなく、直角三角形は
$$n(2n-2)=2n(n-1)\ \text{個}$$
どの三角形も同様に確からしく選ばれるので
$$p=\dfrac{2n(n-1)}{\dfrac{2n(n-1)(2n-1)}{3}}=\dfrac{3}{2n-1}$$
答 $p=\dfrac{3}{2n-1}$
(3) の別解(直径の片側の頂点を数えて $2n$ 倍する)
直径の一方の端を $\mathrm{A}_k$ に決めると( $2n$ 通り)、直角の頂点は直径で分けた片側の $n-1$ 個の頂点のどれか。たとえば $n=4$ で直径 $\mathrm{A}_1\mathrm{A}_5$ なら、片側の $\mathrm{A}_2$、 $\mathrm{A}_3$、 $\mathrm{A}_4$ の3個。直径の端の選び方と片側の頂点で、どの直角三角形もちょうど1回ずつ数えられるので、直角三角形は $2n(n-1)$ 個。最後に $2n$ 倍する形になり、数えやすい。
(検算: $n=2$ の正方形では、4つの三角形はすべて直角三角形で $p=1$。式も $\dfrac{3}{2\cdot2-1}=1$ で合う)
出題意図
(1) 3辺の長さが分かる三角形は、余弦定理で角の余弦を求めれば、正弦・面積・垂線の長さがすべて求まるという基本が理解できているか
(2) 2つの文字の整数の方程式は、積の形( $(\ \ )(\ \ )=$ 整数)に変形して約数の組を調べるという基本が理解できているか
(3) 正多角形の頂点はすべて外接円の上にあるので、直角三角形になるのは斜辺が外接円の直径のときに限ると捉えることができるか。そのうえで、直角三角形の個数を $n$ の式で数えることができるか。
講評
| 難易度 | 簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 15分 |
(1)(2) は確実に解ける問題で、(3) の確率まで求められるかが満点への壁。
とはいえ、場合の数と確率の演習をしっかり積んでいれば必ず見たことがある問題なので、確実に完答したい。
数学ⅠAの基本問題(教科書傍用の問題集の基本問題レベル)で、前半分野の基本を身につけているかが問われた。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で $\mathrm{AH}$ を直角三角形 $\mathrm{ABH}$ の辺とみて $\mathrm{AB}\sin B$ と表すという発想に行き着けるか:余弦定理は使えても、そこから垂線の長さにつなげられない受験生がいると思われる。面積を経由する方法(ヘロンの公式または $\dfrac12\cdot5\cdot9\sin B$ )でもよいので、3辺 → 角 → 面積・高さ、という流れを身につけておく。 $\sqrt{\dfrac{32}{81}}$ の計算ミスにも注意する。
- (2) で積の形に変形するという発想に行き着けるか: $a=1,\,2,\,3,\,\cdots$ と代入して $(1,\,2)$、 $(3,\,3)$ を見つけることはできても、ほかに解がないことを示せなければ減点される。 $(a+1)(b-4)=-4$ の形にすれば、調べる組が限られることが答案に書ける。
- (3) で直角三角形を外接円の直径と結びつけるという発想に行き着けるか:図形として直角を探そうとすると方針が立たない。正多角形の頂点は円周上にある、と気づけばすぐに数えられる。直径を $2n$ 本と数えてしまう( $\mathrm{A}_1\mathrm{A}_{n+1}$ と $\mathrm{A}_{n+1}\mathrm{A}_1$ を別に数える)と答えが2倍になる。 $n=2$(正方形)で $p=1$ になるかを確かめれば、この誤りに気づける。
2022年鹿児島大学医学部数学
第2問 解答・解説
第2問は指数関数と対数関数・2次関数の問題です。
テーマは「底の変換公式の証明と、対数でおきかえた2次関数の最大・最小」。
問題


問題文をテキストで読む
次の各問いに答えよ。
(1) $a$、 $b$、 $c$ が1でない正の実数のとき、次の等式が成立することを証明せよ。
$$\log_a b=\dfrac{\log_c b}{\log_c a}$$
(2) $s=\log_{10}2$、 $t=\log_{10}3$ とするとき、 $\log_{30}600$ を $s$ と $t$ を用いて表せ。
(3) 次の関数の最大値と最小値を求めよ。またそのときの $x$ の値を求めよ。
$$y=2(\log_5 x)^2-\log_5 x^8+6\quad(1\leqq x\leqq125)$$
解答の方針
【(1)の方針】
対数の公式は、対数の定義に戻って指数の形に直せば証明できる。 $\log_ab=p$ とおくと $a^p=b$。この両辺の底 $c$ の対数をとれば、 $\log_cb$ と $\log_ca$ が同時に現れる。最後に $\log_ca$ で割るので、 $a\neq1$ から $\log_ca\neq0$ であることを必ず書く。
- $\log_ab=p$ とおき、対数の定義から $a^p=b$ と表す。
- 両辺は正なので、底 $c$ の対数をとって $p\log_ca=\log_cb$ にする。
- $a\neq1$ より $\log_ca\neq0$ であることを確かめ、両辺を $\log_ca$ で割って $p=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}$ を示す。
【(2)の方針】
$s$、 $t$ は底が10の対数なので、(1) の公式で底を10にそろえる。 $600=6\cdot10^2=2\cdot3\cdot10^2$、 $30=3\cdot10$ と、2・3・10の積に分けると、 $\log_{10}10=1$ を使ってすぐに $s$、 $t$ で表せる( $600=2^3\cdot3\cdot5^2$ と素因数分解すると $\log_{10}5=1-s$ の変形が1つ増える)。
- (1) の公式で $\log_{30}600=\dfrac{\log_{10}600}{\log_{10}30}$ とする。
- $600=2\cdot3\cdot10^2$ から $\log_{10}600=s+t+2$、 $30=3\cdot10$ から $\log_{10}30=t+1$ を求める。
- 2つを割り算の形に入れて答える。
【(3)の方針】
$\log_5x^8=8\log_5x$ なので、関数は $\log_5x$ だけで書ける。 $X=\log_5x$ とおくと $y$ は $X$ の2次関数になる。おきかえたら、$X$ の範囲を必ず求める。 $\log_5x$ は増加関数なので、 $1\leqq x\leqq125$ から $\log_51\leqq X\leqq\log_5125$、すなわち $0\leqq X\leqq3$。あとは平方完成して、軸 $X=2$ と範囲 $0\leqq X\leqq3$ の位置関係から最大・最小を読む。軸は範囲の中にあるので最小は頂点、最大は軸から遠い方の端 $X=0$。


- $x>0$ なので $\log_5x^8=8\log_5x$ と直し、 $X=\log_5x$ とおいて $y=2X^2-8X+6$ と表す。
- $\log_5x$ が増加関数であることから、 $1\leqq x\leqq125$ を $0\leqq X\leqq3$ に直す。
- 平方完成して $y=2(X-2)^2-2$ とし、軸 $X=2$ が範囲の中にあることから、最小値を $X=2$、最大値を両端 $X=0$、 $X=3$ の値を比べて求める。
- $X=\log_5x$ から、最大・最小をとる $x$ の値に戻す。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 12点
$\log_ab=p$ とおくと、対数の定義より $a^p=b$。
両辺は正なので、底 $c$ の対数をとると
$$\log_ca^p=\log_cb\iff p\log_ca=\log_cb$$
$a\neq1$ より $\log_ca\neq0$ なので、両辺を $\log_ca$ で割って
$$p=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}\qquad\text{すなわち}\qquad\log_ab=\dfrac{\log_cb}{\log_ca}$$
(2) 配点 12点
(1) の公式で底を10にすると
$$\log_{30}600=\dfrac{\log_{10}600}{\log_{10}30}$$
$600=2\cdot3\cdot10^2$ より $\log_{10}600=\log_{10}2+\log_{10}3+2\log_{10}10=s+t+2$。
$30=3\cdot10$ より $\log_{10}30=\log_{10}3+\log_{10}10=t+1$。
答 $\log_{30}600=\dfrac{s+t+2}{t+1}$
(3) 配点 16点
$x>0$ なので $\log_5x^8=8\log_5x$。 $X=\log_5x$ とおくと
$$y=2X^2-8X+6$$
底5は1より大きいので $\log_5x$ は増加関数であり、 $1\leqq x\leqq125$ より
$$\log_51\leqq X\leqq\log_5125\iff0\leqq X\leqq3$$
平方完成すると
$$y=2(X^2-4X)+6=2(X-2)^2-2\quad(0\leqq X\leqq3)$$
軸 $X=2$ は範囲 $0\leqq X\leqq3$ の中にあるので、最小値は $X=2$ のときの $-2$。
両端の値は $X=0$ のとき $y=6$、 $X=3$ のとき $y=0$ なので、最大値は $X=0$ のときの $6$。
$X=0$ のとき $\log_5x=0$ より $x=1$、 $X=2$ のとき $\log_5x=2$ より $x=25$。
答 $x=1$ のとき最大値 $6$、 $x=25$ のとき最小値 $-2$
出題意図
(1) 対数の定義( $\log_ab=p\iff a^p=b$)に戻って、教科書レベルの公式の証明が書けるか
(2) 底の変換公式で底を10にそろえ、真数を2・3・10の積に分けて $s$、 $t$ で表せるか
(3) $\log_5x$ をひとかたまりの文字におきかえ、その文字の範囲を正しく求めて、2次関数の最大・最小に帰着できるか
講評
| 難易度 | 簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 15分 |
(3) は明らかに2次関数の形になっているので、解き方が分からないことはない。
問われたのは、文字をおきかえたときに、その文字の範囲(定義域)を正しく求められるかどうか。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で対数の定義に戻るという発想に行き着けるか:公式を覚えているだけでは証明は書けない。 $\log_ab=p$ とおいて指数の形に直す、という書き出しが決め手。さらに、 $\log_ca$ で割るときに $\log_ca\neq0$ を書けるかで細かく点が引かれる。
- (3) でおきかえた文字の範囲を求めるという発想に行き着けるか: $X$ の範囲を書かずに平方完成すると、最小値 $-2$ は求まっても、最大値が決まらない(範囲がなければ最大値はない)。 $1\leqq x\leqq125$ を $0\leqq X\leqq3$ に直すのが、この小問のいちばん大事な所。
- (3) で $x$ の値に戻し忘れる:問題は「そのときの $x$ の値」を求めている。 $X=0$、 $X=2$ と答えて終わると失点する。
2022年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択1) 解答・解説
第3問(選択1)は数列の問題です。
テーマは「積の形の漸化式から、3項間の線形な漸化式を導く」。
問題


問題文をテキストで読む
各項が正となる数列 $\{a_n\}$ が
$$a_1=1,\qquad a_2=2,\qquad a_{n+1}a_{n-1}={a_n}^2+1\quad(n\geqq2)$$
を満たすとする。
(1) $a_3$、 $a_4$、 $a_5$ を求めよ。
(2) $c$ を実数とする。3以上のすべての自然数 $n$ に対して
$$(a_{n+1}+ca_n+a_{n-1})a_{n-1}=a_n(a_n+ca_{n-1}+a_{n-2})$$
が成り立つことを証明せよ。
(3) 3以上のすべての自然数 $n$ に対して
$$a_n-3a_{n-1}+a_{n-2}=0$$
が成り立つことを証明せよ。
解答の方針
【(1)の方針】
$a_{n-1}>0$ なので、漸化式は $a_{n+1}=\dfrac{{a_n}^2+1}{a_{n-1}}$ と書ける。前の2項から次の項が決まるので、 $n=2,\ 3,\ 4$ と順に代入すればよい。
- $n=2$ を代入して $a_3=\dfrac{{a_2}^2+1}{a_1}$ を求める。
- $n=3$ を代入して $a_4=\dfrac{{a_3}^2+1}{a_2}$ を求める。
- $n=4$ を代入して $a_5=\dfrac{{a_4}^2+1}{a_3}$ を求める。
【(2)の方針】
示す式を展開すると、両辺に $ca_na_{n-1}$ が1つずつあって打ち消し合う。残るのは
$$a_{n+1}a_{n-1}+{a_{n-1}}^2={a_n}^2+a_na_{n-2}\iff a_{n+1}a_{n-1}-{a_n}^2=a_na_{n-2}-{a_{n-1}}^2$$
左辺は与えられた漸化式から1、右辺は番号を1つずらした漸化式 $a_na_{n-2}={a_{n-1}}^2+1$( $n\geqq3$ なら使える)から1。つまり、2本の漸化式の差をとって定数1を消去するだけの問題。 $c$ は答えに関係しないが、(3) への誘導として入っている。
- $n\geqq3$ のとき、与えられた漸化式 $a_{n+1}a_{n-1}={a_n}^2+1$ と、番号を1つずらした式 $a_na_{n-2}={a_{n-1}}^2+1$ を並べる。
- 2つの式の差をとって $a_{n+1}a_{n-1}-{a_n}^2=a_na_{n-2}-{a_{n-1}}^2$ を導く。
- 移項して $a_{n+1}a_{n-1}+{a_{n-1}}^2={a_n}^2+a_na_{n-2}$ とし、両辺に $ca_na_{n-1}$ を加えて、左辺を $a_{n-1}$ で、右辺を $a_n$ でくくる。
【(3)の方針】
示したい式 $a_n-3a_{n-1}+a_{n-2}$ に合わせて、(2) で $c=-3$ とする。すると左辺の括弧は $a_{n+1}-3a_n+a_{n-1}$、右辺の括弧は $a_n-3a_{n-1}+a_{n-2}$ と、同じ形の式の番号違いになる。各項は正なので、両辺を $a_na_{n-1}$ で割れば
$$\dfrac{a_{n+1}-3a_n+a_{n-1}}{a_n}=\dfrac{a_n-3a_{n-1}+a_{n-2}}{a_{n-1}}$$
となり、この量は番号によらず一定(公比1の等比数列と見られる)。一番はじめの値は (1) から $\dfrac{a_3-3a_2+a_1}{a_2}=0$ なので、ずっと0になる。


- (2) で $c=-3$ とし、両辺を $a_na_{n-1}$( $>0$ )で割る。
- $b_n=a_{n+1}-3a_n+a_{n-1}$( $n\geqq2$ )とおくと $\dfrac{b_n}{a_n}=\dfrac{b_{n-1}}{a_{n-1}}$( $n\geqq3$ )なので、 $\dfrac{b_n}{a_n}$ は一定で $\dfrac{b_2}{a_2}$ に等しいことを示す。
- (1) の値から $b_2=a_3-3a_2+a_1=0$ を求める。
- $a_{n+1}-3a_n+a_{n-1}=0$( $n\geqq2$ )とし、番号を1つずらして結論する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 9点
$a_{n-1}>0$ なので、漸化式より $a_{n+1}=\dfrac{{a_n}^2+1}{a_{n-1}}$( $n\geqq2$ )。
$$a_3=\dfrac{{a_2}^2+1}{a_1}=\dfrac{4+1}{1}=5$$
$$a_4=\dfrac{{a_3}^2+1}{a_2}=\dfrac{25+1}{2}=13$$
$$a_5=\dfrac{{a_4}^2+1}{a_3}=\dfrac{169+1}{5}=34$$
答 $a_3=5,\quad a_4=13,\quad a_5=34$
(2) 配点 13点
$n\geqq3$ とする。与えられた漸化式より
$$a_{n+1}a_{n-1}={a_n}^2+1\quad\cdots\cdots①$$
また、 $n-1\geqq2$ なので、漸化式で $n$ を $n-1$ にした式も成り立つ。
$$a_na_{n-2}={a_{n-1}}^2+1\quad\cdots\cdots②$$
①から②を辺々引くと
$$a_{n+1}a_{n-1}-a_na_{n-2}={a_n}^2-{a_{n-1}}^2$$
よって
$$a_{n+1}a_{n-1}+{a_{n-1}}^2={a_n}^2+a_na_{n-2}$$
両辺に $ca_na_{n-1}$ を加えると
$$a_{n+1}a_{n-1}+ca_na_{n-1}+{a_{n-1}}^2={a_n}^2+ca_na_{n-1}+a_na_{n-2}$$
左辺を $a_{n-1}$ で、右辺を $a_n$ でくくると
$$(a_{n+1}+ca_n+a_{n-1})a_{n-1}=a_n(a_n+ca_{n-1}+a_{n-2})$$
したがって、3以上のすべての自然数 $n$ に対して与えられた等式が成り立つ。(終)
(3) 配点 18点
(2) で $c=-3$ とすると、 $n\geqq3$ のとき
$$(a_{n+1}-3a_n+a_{n-1})a_{n-1}=a_n(a_n-3a_{n-1}+a_{n-2})$$
各項は正なので $a_na_{n-1}>0$。両辺を $a_na_{n-1}$ で割ると
$$\dfrac{a_{n+1}-3a_n+a_{n-1}}{a_n}=\dfrac{a_n-3a_{n-1}+a_{n-2}}{a_{n-1}}\quad(n\geqq3)$$
そこで $n\geqq2$ に対して $b_n=a_{n+1}-3a_n+a_{n-1}$ とおくと、 $\dfrac{b_n}{a_n}=\dfrac{b_{n-1}}{a_{n-1}}$( $n\geqq3$ )なので、 $\dfrac{b_n}{a_n}$ は $n\geqq2$ で一定である。(1) より $b_2=a_3-3a_2+a_1=5-6+1=0$ なので
$$\dfrac{b_n}{a_n}=\dfrac{b_2}{a_2}=0$$
よって $n\geqq2$ のとき $b_n=0$、すなわち $a_{n+1}-3a_n+a_{n-1}=0$。 $n\geqq3$ のとき $n-1\geqq2$ なので、この式で $n$ を $n-1$ にすると
$$a_n-3a_{n-1}+a_{n-2}=0$$
が、3以上のすべての自然数 $n$ に対して成り立つ。(終)
(確認: $a_5-3a_4+a_3=34-39+5=0$ )
(3) の別解( $c=0$ として比が一定と見る)
(2) で $c=0$ とし、両辺を $a_na_{n-1}$ で割ると $\dfrac{a_{n+1}+a_{n-1}}{a_n}=\dfrac{a_n+a_{n-2}}{a_{n-1}}$( $n\geqq3$ )。この比は $n\geqq2$ で一定で、(1) より $\dfrac{a_3+a_1}{a_2}=3$。よって $a_{n+1}+a_{n-1}=3a_n$ となり、同じ結論が得られる。
出題意図
(1) 漸化式を $a_{n+1}=\dfrac{{a_n}^2+1}{a_{n-1}}$ と読みかえて、定義どおりに項を順に求められるか
(2) 番号を1つずらした式 $a_na_{n-2}={a_{n-1}}^2+1$ との差をとって定数1を消去することに気づけるか
(3) (2) の等式を、番号が1つずれても変わらない量の式として読みかえ、示したい式がすべての番号で成り立つことを捉えることができるか
講評
| 難易度 | やや難 |
| 目標得点 | 20点 |
| 目標時間 | 20分 |
(2) は形が難しく見えるが、数列で定数を消すには番号を1つずらして引けばよい、と知っていれば発想は難しくない。
ただし (3) まで含めると重く、数列がよほど得意でない限り、選択問題としては選ばないほうが無難。
差がつく所・失点しやすい所
- (2) で「番号を1つずらした漸化式との差をとる」という発想に行き着けるか:与えられた漸化式1本だけで示そうとすると、右辺の $a_na_{n-2}$ が処理できずに方針が立たない受験生が多いと思われる。 $n\geqq3$ という条件は「 $n-1\geqq2$ なので1つずらした式が使える」という意味だと読めれば、差をとるだけで示せる。
- (3) で $c=-3$ を選び、(2) の等式を割って「一定の量」を見つけるという発想に行き着けるか:(2) を (3) とつなげられないと方針が立たない。形から $c=-3$ とおけばよいことは分かるので、そのあと $a_n$ を左辺の分母に、 $a_{n-1}$ を右辺の分母に回せるかどうか。この問題で大きく差がつくのはここ。
- (3) の論証の抜け:割る根拠として $a_na_{n-1}>0$(問題文の「各項が正」)を明記する。 $n=3,\ 4,\ 5$ の具体的な値で確かめただけでは証明にならない。
- 番号の範囲:一定なのは $n\geqq2$ で、結論は $n$ を1つずらして $n\geqq3$ の式にする。範囲がずれたまま書くと減点される。
2022年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択2) 解答・解説
第3問(選択2)は空間ベクトルの問題です。
テーマは「平行六面体の対角線 $\mathrm{OG}$ と三角形 $\mathrm{ABM}$ の交点、底面が共通な2つの四面体の体積比、2直線が平行になる条件」。
問題


問題文をテキストで読む
平行六面体 $\mathrm{OAFB}$-$\mathrm{CEGD}$ を考える。 $t$ を正の実数とし、辺 $\mathrm{OC}$ を $1:t$ に内分する点を $\mathrm{M}$ とする。また三角形 $\mathrm{ABM}$ と直線 $\mathrm{OG}$ の交点を $\mathrm{P}$ とする。さらに
$$\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec{a},\qquad\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec{b},\qquad\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec{c}$$
とする。
(1) $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ を $\vec{a}$、 $\vec{b}$、 $\vec{c}$、 $t$ を用いて表せ。
(2) 四面体 $\mathrm{OABE}$ の体積を $V_1$ とし、四面体 $\mathrm{OABP}$ の体積を $V_2$ とするとき、これらの比 $V_1:V_2$ を求めよ。
(3) 三角形 $\mathrm{OAB}$ の重心を $\mathrm{Q}$ とする。直線 $\mathrm{FC}$ と直線 $\mathrm{QP}$ が平行になるとき、 $t$ の値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
平行六面体の頂点の対応は、 $\mathrm{O}$ の上が $\mathrm{C}$、 $\mathrm{A}$ の上が $\mathrm{E}$、 $\mathrm{F}$ の上が $\mathrm{G}$、 $\mathrm{B}$ の上が $\mathrm{D}$。よって $\overrightarrow{\mathrm{OF}}=\vec{a}+\vec{b}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OE}}=\vec{a}+\vec{c}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OG}}=\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}$ で、 $\mathrm{OG}$ は対角線になる。 $\mathrm{P}$ は「直線 $\mathrm{OG}$ 上」と「平面 $\mathrm{ABM}$ 上」の2つの条件をみたす点なので、直線 $\mathrm{OG}$ 上の点として $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\overrightarrow{\mathrm{OG}}$ とおき、平面 $\mathrm{ABM}$ 上にある条件で $k$ を決める。平面 $\mathrm{ABM}$ 上にある条件は「 $\overrightarrow{\mathrm{OA}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ で表したときの係数の和が1」。そのために、 $\vec{c}$ を $\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ で書き直してから係数を足す。 $\vec{c}$ のまま係数を足すと誤った答えになる。


( $t=2$ の場合。三角形 $\mathrm{ABM}$ を対角線 $\mathrm{OG}$ がつらぬく点が $\mathrm{P}$)
切り口で見ると、さらにはっきりする。 $\mathrm{AB}$ の中点を $\mathrm{N}$ とすると、 $\mathrm{N}$ は平行四辺形 $\mathrm{OAFB}$ の対角線の交点なので $\mathrm{OF}$ の中点でもある。そこで $\mathrm{O}$、 $\mathrm{F}$、 $\mathrm{G}$、 $\mathrm{C}$ を通る平面で切ると、平面 $\mathrm{ABM}$ との交わりは直線 $\mathrm{NM}$ になり、 $\mathrm{P}$ は平行四辺形 $\mathrm{OFGC}$ の中で、対角線 $\mathrm{OG}$ と線分 $\mathrm{NM}$ の交点になる。


- $\overrightarrow{\mathrm{OF}}=\vec{a}+\vec{b}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OG}}=\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}$ を確かめる。
- $\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{OG}$ 上の点なので、実数 $k$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\left(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}\right)$ とおく。
- $\overrightarrow{\mathrm{OM}}=\dfrac{1}{1+t}\vec{c}$ より $\vec{c}=(1+t)\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ と書き直し、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\overrightarrow{\mathrm{OA}}+k\overrightarrow{\mathrm{OB}}+k(1+t)\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ と表す。
- $\mathrm{P}$ は平面 $\mathrm{ABM}$ 上にあるので、係数の和 $k+k+k(1+t)=1$ から $k=\dfrac{1}{t+3}$ を求める。
- 3つの係数がすべて正であることから、 $\mathrm{P}$ が三角形 $\mathrm{ABM}$ の内部にあることを確かめて答える。
【(2)の方針】
2つの四面体は底面 $\triangle\mathrm{OAB}$ が共通なので、体積比は平面 $\mathrm{OAB}$ からの高さの比になる。辺の長さや角が与えられていないので、体積そのものは求められないし、求める必要もない。高さを比べるには、 $\vec{c}$ の係数を見ればよい。 $\overrightarrow{\mathrm{OX}}=x\vec{a}+y\vec{b}+\lambda\vec{c}$ と表せる点 $\mathrm{X}$ は、平面 $\mathrm{OAB}$ 上の点から $\lambda\vec{c}$ だけ進んだ点なので、平面 $\mathrm{OAB}$ から $\mathrm{C}$ の高さの $\lambda$ 倍の所にある。 $\overrightarrow{\mathrm{OE}}=\vec{a}+\vec{c}$ なので $\mathrm{E}$ の高さは $\mathrm{C}$ と同じ、 $\mathrm{P}$ の高さは (1) の $\vec{c}$ の係数 $\dfrac{1}{t+3}$ 倍になる。


(底面 $\triangle\mathrm{OAB}$ が共通。破線が四面体 $\mathrm{OABE}$、太線が四面体 $\mathrm{OABP}$)
- 平行六面体の高さ(平面 $\mathrm{OAB}$ と $\mathrm{C}$ の距離)を $h$ とおく。
- $\overrightarrow{\mathrm{OE}}=\vec{a}+\vec{c}$ から、 $\mathrm{E}$ と平面 $\mathrm{OAB}$ の距離が $h$ であることを確かめる。
- (1) の $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac{1}{t+3}\left(\vec{a}+\vec{b}\right)+\dfrac{1}{t+3}\vec{c}$ から、 $\mathrm{P}$ と平面 $\mathrm{OAB}$ の距離が $\dfrac{h}{t+3}$ であることを確かめる。
- 底面 $\triangle\mathrm{OAB}$ が共通なので、体積比は高さの比 $h:\dfrac{h}{t+3}$ に等しいとして $V_1:V_2$ を求める。
【(3)の方針】
重心 $\mathrm{Q}$ は $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\dfrac13\left(\vec{a}+\vec{b}\right)=\dfrac13\overrightarrow{\mathrm{OF}}$ なので、線分 $\mathrm{OF}$ 上で $\mathrm{OQ}:\mathrm{OF}=1:3$ の点。 $\mathrm{P}$ も $\mathrm{OG}$ 上にあるので、$\mathrm{Q}$、 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{F}$、 $\mathrm{C}$ はすべて (1) の切り口の平面 $\mathrm{OFGC}$ 上にある。平行四辺形 $\mathrm{OFGC}$ の対角線の交点を $\mathrm{K}$ とすると、 $\mathrm{K}$ は直線 $\mathrm{FC}$ 上にあるので、「直線 $\mathrm{FC}$ と直線 $\mathrm{QP}$ が平行」は三角形 $\mathrm{OFK}$ の中で $\mathrm{QP}\parallel\mathrm{FK}$ となること、つまり平行線と線分の比 $\mathrm{OQ}:\mathrm{OF}=\mathrm{OP}:\mathrm{OK}$ の問題になる。式で処理するなら $\overrightarrow{\mathrm{QP}}=s\overrightarrow{\mathrm{FC}}$ とおき、 $\vec{a}$、 $\vec{b}$、 $\vec{c}$ が1次独立であることから係数を比べる(模範解答の別解)が、計算が増える。


( $t=3$ のときの平面 $\mathrm{OFGC}$。 $\mathrm{K}$ は対角線 $\mathrm{OG}$ と $\mathrm{FC}$ の交点)
- $\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\dfrac13\overrightarrow{\mathrm{OF}}$ から、 $\mathrm{Q}$ が線分 $\mathrm{OF}$ 上で $\mathrm{OQ}:\mathrm{OF}=1:3$ の点であることを示し、 $\mathrm{Q}$、 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{F}$、 $\mathrm{C}$ が平面 $\mathrm{OFGC}$ 上にあることを確かめる。
- 平行四辺形 $\mathrm{OFGC}$ の対角線の交点 $\mathrm{K}$ が $\mathrm{OG}$ の中点で直線 $\mathrm{FC}$ 上にあることと (1) から、 $\mathrm{OP}:\mathrm{OK}=2:(t+3)$ を求める。
- 三角形 $\mathrm{OFK}$ で、 $\mathrm{QP}\parallel\mathrm{FK}\iff\mathrm{OQ}:\mathrm{OF}=\mathrm{OP}:\mathrm{OK}$ から $\dfrac{2}{t+3}=\dfrac13$ とし、 $t$ を求めて $t>0$ をみたすことを確かめる。
- $\mathrm{Q}$ が直線 $\mathrm{FC}$ 上にない(2直線が一致しない)ことを確かめて答える。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 16点
平行六面体 $\mathrm{OAFB}$-$\mathrm{CEGD}$ では
$$\overrightarrow{\mathrm{OF}}=\vec{a}+\vec{b},\qquad\overrightarrow{\mathrm{OE}}=\vec{a}+\vec{c},\qquad\overrightarrow{\mathrm{OG}}=\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}$$
$\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{OG}$ 上の点なので、実数 $k$ を用いて
$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\left(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}\right)$$
と表せる。
$\mathrm{M}$ は辺 $\mathrm{OC}$ を $1:t$ に内分する点なので $\overrightarrow{\mathrm{OM}}=\dfrac{1}{1+t}\vec{c}$、すなわち $\vec{c}=(1+t)\overrightarrow{\mathrm{OM}}$。よって
$$\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\overrightarrow{\mathrm{OA}}+k\overrightarrow{\mathrm{OB}}+k(1+t)\overrightarrow{\mathrm{OM}}$$
4点 $\mathrm{O}$、 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{M}$ は同じ平面上にないので、この表し方はただ1通りである。 $\mathrm{P}$ は平面 $\mathrm{ABM}$ 上にあるので、係数の和は1。
$$k+k+k(1+t)=1\qquad\text{よって}\quad k(t+3)=1,\qquad k=\dfrac{1}{t+3}$$
このとき3つの係数 $\dfrac{1}{t+3}$、 $\dfrac{1}{t+3}$、 $\dfrac{1+t}{t+3}$ はすべて正なので、 $\mathrm{P}$ は三角形 $\mathrm{ABM}$ の内部にある。
答 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac{1}{t+3}\left(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}\right)$
(平面 $\mathrm{OFGC}$ での切り口。 $\mathrm{N}$ は $\mathrm{AB}$ の中点で $\mathrm{OF}$ の中点でもあるので、平面 $\mathrm{ABM}$ はこの平面と直線 $\mathrm{NM}$ で交わる。 $\mathrm{P}$ は $\mathrm{OG}$ と $\mathrm{NM}$ の交点で、 $\mathrm{OP}:\mathrm{PG}=1:(t+2)$)
別解(切り口の平面で考える) $\mathrm{AB}$ の中点を $\mathrm{N}$ とすると $\overrightarrow{\mathrm{ON}}=\dfrac12\left(\vec{a}+\vec{b}\right)$ で、 $\mathrm{P}$ は平面 $\mathrm{OFGC}$ 上で直線 $\mathrm{NM}$ と直線 $\mathrm{OG}$ の交点になる。 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=k\overrightarrow{\mathrm{OG}}=2k\overrightarrow{\mathrm{ON}}+k(1+t)\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ で、 $\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{NM}$ 上にあるので $2k+k(1+t)=1$、よって $k=\dfrac{1}{t+3}$。(本解と同じ計算だが、平面の問題として見えるので、図のイメージがつかみやすい)
(2) 配点 10点
平行六面体の高さ、すなわち平面 $\mathrm{OAB}$ と $\mathrm{C}$ の距離を $h$ とする。 $\overrightarrow{\mathrm{OX}}=x\vec{a}+y\vec{b}+\lambda\vec{c}$ と表される点 $\mathrm{X}$ は、平面 $\mathrm{OAB}$ 上の点 $x\vec{a}+y\vec{b}$ から $\lambda\vec{c}$ だけ進んだ点なので、平面 $\mathrm{OAB}$ との距離は $|\lambda|h$ である。
$\overrightarrow{\mathrm{OE}}=\vec{a}+\vec{c}$ なので、 $\mathrm{E}$ と平面 $\mathrm{OAB}$ の距離は $h$。(1) より $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac{1}{t+3}\vec{a}+\dfrac{1}{t+3}\vec{b}+\dfrac{1}{t+3}\vec{c}$ なので、 $\mathrm{P}$ と平面 $\mathrm{OAB}$ の距離は $\dfrac{h}{t+3}$。
四面体 $\mathrm{OABE}$ と四面体 $\mathrm{OABP}$ は底面 $\triangle\mathrm{OAB}$ が共通なので、体積の比は高さの比に等しい。 $\triangle\mathrm{OAB}$ の面積を $S$ とすると
$$V_1:V_2=\dfrac13Sh:\dfrac13S\cdot\dfrac{h}{t+3}=1:\dfrac{1}{t+3}=(t+3):1$$
答 $V_1:V_2=(t+3):1$
( $\mathrm{E}$ は $\mathrm{C}$ と同じ高さ $h$、 $\mathrm{P}$ は高さ $\dfrac{h}{t+3}$。図は $t=2$ で、 $\mathrm{P}$ の高さは $\mathrm{E}$ の $\dfrac15$)
(3) 配点 14点
$\mathrm{Q}$ は三角形 $\mathrm{OAB}$ の重心なので
$$\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\dfrac{\vec{0}+\vec{a}+\vec{b}}{3}=\dfrac13\left(\vec{a}+\vec{b}\right)=\dfrac13\overrightarrow{\mathrm{OF}}$$
よって $\mathrm{Q}$ は線分 $\mathrm{OF}$ 上の点で $\mathrm{OQ}:\mathrm{OF}=1:3$。 $\mathrm{P}$ は対角線 $\mathrm{OG}$ 上の点なので、 $\mathrm{Q}$、 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{F}$、 $\mathrm{C}$ はすべて平面 $\mathrm{OFGC}$ 上にある。
$\overrightarrow{\mathrm{CG}}=\overrightarrow{\mathrm{OF}}$ なので四角形 $\mathrm{OFGC}$ は平行四辺形であり、その対角線の交点を $\mathrm{K}$ とすると、 $\mathrm{K}$ は $\mathrm{OG}$ の中点で直線 $\mathrm{FC}$ 上にある。(1) より $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac{1}{t+3}\overrightarrow{\mathrm{OG}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{OK}}=\dfrac12\overrightarrow{\mathrm{OG}}$ で、 $t>0$ より $\dfrac{1}{t+3}<\dfrac12$ なので、 $\mathrm{P}$ は線分 $\mathrm{OK}$ 上にあり
$$\mathrm{OP}:\mathrm{OK}=\dfrac{1}{t+3}:\dfrac12=2:(t+3)$$
( $t=3$ のときの平面 $\mathrm{OFGC}$。 $\mathrm{OQ}:\mathrm{OF}=1:3$、 $\mathrm{OP}:\mathrm{OK}=1:3$ なので $\mathrm{QP}$ と $\mathrm{FK}$ が平行になる)
三角形 $\mathrm{OFK}$ で、 $\mathrm{Q}$ は辺 $\mathrm{OF}$ 上、 $\mathrm{P}$ は辺 $\mathrm{OK}$ 上にあるので、 $\mathrm{QP}\parallel\mathrm{FK}\iff\mathrm{OQ}:\mathrm{OF}=\mathrm{OP}:\mathrm{OK}$。直線 $\mathrm{FK}$ は直線 $\mathrm{FC}$ と同じなので、直線 $\mathrm{FC}$ と直線 $\mathrm{QP}$ が平行になる条件は
$$\dfrac{2}{t+3}=\dfrac13$$
よって $t+3=6$、 $t=3$。これは $t>0$ をみたす。また $\mathrm{Q}$ は $\mathrm{F}$ と異なる線分 $\mathrm{OF}$ 上の点で、直線 $\mathrm{OF}$ と直線 $\mathrm{FC}$ の共有点は $\mathrm{F}$ だけなので、 $\mathrm{Q}$ は直線 $\mathrm{FC}$ 上にない。よって2直線は一致せず、平行である。
答 $t=3$
( $t=3$ のとき $\mathrm{M}$ は $\mathrm{OC}$ を $1:3$ に内分し、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\dfrac16\overrightarrow{\mathrm{OG}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{QP}}=\dfrac16\overrightarrow{\mathrm{FC}}$)
(3) の別解(ベクトルの係数を比べる)
(1) より
$$\overrightarrow{\mathrm{QP}}=\overrightarrow{\mathrm{OP}}-\overrightarrow{\mathrm{OQ}}=\left(\dfrac{1}{t+3}-\dfrac13\right)\left(\vec{a}+\vec{b}\right)+\dfrac{1}{t+3}\vec{c},\qquad\overrightarrow{\mathrm{FC}}=\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\overrightarrow{\mathrm{OF}}=-\vec{a}-\vec{b}+\vec{c}$$
$\overrightarrow{\mathrm{QP}}$ の $\vec{c}$ の係数は0でないので $\overrightarrow{\mathrm{QP}}\neq\vec{0}$。直線 $\mathrm{FC}$ と直線 $\mathrm{QP}$ が平行になるのは、 $\overrightarrow{\mathrm{QP}}=s\overrightarrow{\mathrm{FC}}$ となる実数 $s$ があるときである。 $\vec{a}$、 $\vec{b}$、 $\vec{c}$ は同じ平面上にない(1次独立)ので、係数を比べて
$$\dfrac{1}{t+3}-\dfrac13=-s,\qquad\dfrac{1}{t+3}=s$$
$s$ を消すと $\dfrac{2}{t+3}=\dfrac13$ より $t=3$( $t>0$ をみたす)。このとき $\overrightarrow{\mathrm{QP}}=\dfrac16\overrightarrow{\mathrm{FC}}$。また直線 $\mathrm{FC}$ 上の点は $\overrightarrow{\mathrm{OF}}+u\overrightarrow{\mathrm{FC}}=(1-u)\left(\vec{a}+\vec{b}\right)+u\vec{c}$( $u$ は実数)と表され、 $\vec{c}$ の係数が0になるのは $\mathrm{F}$ だけなので、 $\mathrm{Q}$ は直線 $\mathrm{FC}$ 上にない。よって2直線は一致せず、平行である。(図を使わずに機械的に解けるが、ベクトルを3つ表して係数を比べる分だけ本解より長い)
出題意図
(1) 「直線 $\mathrm{OG}$ 上にある」を実数倍で、「平面 $\mathrm{ABM}$ 上にある」を係数の和が1という条件で表し、2つを組み合わせて交点の位置ベクトルを求められるか
(2) 底面 $\mathrm{OAB}$ が共通な2つの四面体の体積比を、高さの比に帰着できるか
(3) 4点 $\mathrm{Q}$、 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{F}$、 $\mathrm{C}$ が同じ平面上にあることを捉え、「2直線が平行」を平行線と線分の比(または方向ベクトルが実数倍)という条件に直して処理できるか
講評
| 難易度 | やや難 |
| 目標得点 | 25点 |
| 目標時間 | 30分 |
平行六面体のよくある問題で、(1) は確実に取れる。
ただし (2)(3) は難しく、とくに (3) の平行の条件は差がつく。
選んでもよいが、この年は選択3(確率分布)のほうが圧倒的に解きやすい。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で $\vec{c}$ を $(1+t)\overrightarrow{\mathrm{OM}}$ に書き直してから係数を足すという発想に行き着けるか:「係数の和が1」は、平面を決める3点 $\mathrm{A}$、 $\mathrm{B}$、 $\mathrm{M}$ の位置ベクトルで表したときだけ使える。 $\vec{a}$、 $\vec{b}$、 $\vec{c}$ の係数をそのまま足して $3k=1$ とすると $k=\dfrac13$ になり、(1)〜(3) が全部崩れる。答えが $t$ を含まなくなった時点で誤りに気づける。
- (2) で体積を求めずに高さの比に帰着するという発想に行き着けるか:辺の長さも角も与えられていないので、体積そのものは計算できない。底面が共通であることに気づき、高さを $\vec{c}$ の係数で比べれば、計算はほとんどいらない。
- (2) の比の向き:問題は $V_1:V_2$ なので $(t+3):1$。大きい方が $V_1$( $\mathrm{E}$ の方が高い)ことを図で確かめる。
- (3) で $\mathrm{Q}$、 $\mathrm{P}$、 $\mathrm{F}$、 $\mathrm{C}$ が同じ平面 $\mathrm{OFGC}$ 上にあるという発想に行き着けるか:重心 $\mathrm{Q}$ は $\mathrm{OF}$ を $1:2$ に内分する点、 $\mathrm{P}$ は $\mathrm{OG}$ 上の点なので、(1) の切り口の平面の中で平行線と線分の比を使うだけで終わる。気づかなくても $\overrightarrow{\mathrm{QP}}=s\overrightarrow{\mathrm{FC}}$ とおいて係数を比べれば解けるが、その場合は「 $\vec{a}$、 $\vec{b}$、 $\vec{c}$ は1次独立」の一言を書かずに係数を比べると減点される( $\vec{a}$ と $\vec{b}$ の係数はそろうので、式は実質2本だけ)。
2022年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択3) 解答・解説
第3問(選択3)は確率・確率分布の問題です。
テーマは「大小2個のサイコロで作る2桁の数 $X$、 $Y$ の確率・期待値・分散と、 $X-Y$ の標準偏差」。
問題


問題文をテキストで読む
大小2個のサイコロを同時に投げる。大きいサイコロの出る目を十の位、小さいサイコロの出る目を一の位としてできる2桁の数を $X$ とし、小さいサイコロの出る目を十の位、大きいサイコロの出る目を一の位としてできる2桁の数を $Y$ とする。
(1) 確率 $P(X-Y>0)$ を求めよ。
(2) 確率変数 $X$ の期待値 $E(X)$ と分散 $V(X)$ を求めよ。
(3) 確率変数 $X-Y$ の標準偏差 $\sigma(X-Y)$ を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
大きいサイコロの目を $a$、小さいサイコロの目を $b$ とおくと、 $X=10a+b$、 $Y=10b+a$ なので $X-Y=9(a-b)$。 $X-Y>0$ は $a>b$ と同じこと。36通りの表で $a>b$ のマスを数えればよい。 $a=b$ の6通りを除いた30通りは、 $a>b$ と $a<b$ が同じ数ずつある。


- $a$、 $b$ を用いて $X-Y=9(a-b)$ と表し、 $X-Y>0\iff a>b$ と言いかえる。
- $a=b$ となる6通りを除いた30通りの半分として、 $a>b$ となる15通りを求める。
- 36で割って確率を求める。
【(2)の方針】
$X$ の値は36通りあるので、確率分布の表を作るのは大変。 $X=10a+b$ と、独立な2つの確率変数 $a$、 $b$ の式で表せるので、1個のサイコロの目の期待値・分散を求めておけば、あとは公式で計算できる。期待値は $E(10a+b)=10E(a)+E(b)$ 、分散は $a$ と $b$ が独立なので $V(10a+b)=10^2V(a)+V(b)$。
- 1個のサイコロの目 $a$ について $E(a)=\dfrac{7}{2}$ と $E(a^2)=\dfrac{91}{6}$ を求め、 $V(a)=E(a^2)-\{E(a)\}^2$ から $V(a)$ を求める( $b$ も同じ)。
- $E(X)=10E(a)+E(b)$ を計算する。
- $a$ と $b$ が独立であることから $V(X)=100V(a)+V(b)$ を計算する。
【(3)の方針】
$X$ と $Y$ はどちらも同じ $a$、 $b$ から作るので独立ではない。そのため $V(X-Y)=V(X)+V(Y)$ は使えない。そこで (1) と同じく $X-Y=9(a-b)$ と直す。 $a$ と $b$ は独立なので、 $V(a-b)=V(a)+V(b)$ が使える。
- $X-Y=9(a-b)$ と表し、 $V(X-Y)=81V(a-b)$ とする。
- $a$ と $b$ が独立であることから $V(a-b)=V(a)+V(b)$ を、(2) で求めた $V(a)$ を使って計算する。
- $V(X-Y)$ を求め、その正の平方根として $\sigma(X-Y)$ を求める。
解答


解答をテキストで読む
大きいサイコロの目を $a$、小さいサイコロの目を $b$ とする。 $a$、 $b$ はそれぞれ1から6の値を確率 $\dfrac{1}{6}$ ずつとる確率変数で、互いに独立である。また
$$X=10a+b,\qquad Y=10b+a$$
と表せる。
(1) 配点 10点
$$X-Y=(10a+b)-(10b+a)=9(a-b)$$
なので、 $X-Y>0\iff a>b$ である。
目の出方36通り(下の表)のうち、 $a=b$ となるのは6通り。残りの30通りは、 $a$ と $b$ を入れかえると $a>b$ と $a<b$ が1対1に対応するので、 $a>b$ となるのは $\dfrac{30}{2}=15$ 通りである(表の塗った所)。
$$P(X-Y>0)=\dfrac{15}{36}=\dfrac{5}{12}$$
答 $P(X-Y>0)=\dfrac{5}{12}$
(2) 配点 16点
1個のサイコロの目 $a$ について
$$E(a)=\dfrac{1+2+3+4+5+6}{6}=\dfrac{7}{2},\qquad E(a^2)=\dfrac{1+4+9+16+25+36}{6}=\dfrac{91}{6}$$
$$V(a)=E(a^2)-\{E(a)\}^2=\dfrac{91}{6}-\dfrac{49}{4}=\dfrac{182-147}{12}=\dfrac{35}{12}$$
$b$ についても同じで、 $E(b)=\dfrac{7}{2}$、 $V(b)=\dfrac{35}{12}$。
よって
$$E(X)=E(10a+b)=10E(a)+E(b)=10\cdot\dfrac{7}{2}+\dfrac{7}{2}=\dfrac{77}{2}$$
答 $E(X)=\dfrac{77}{2}$
$a$ と $b$ は独立なので
$$V(X)=V(10a+b)=10^2V(a)+V(b)=101\cdot\dfrac{35}{12}=\dfrac{3535}{12}$$
答 $V(X)=\dfrac{3535}{12}$
(3) 配点 14点
$X$ と $Y$ はどちらも同じ $a$、 $b$ から作られるので、独立ではない。そこで (1) の $X-Y=9(a-b)$ を使う。
$$V(X-Y)=V(9(a-b))=81V(a-b)$$
$a$ と $b$ は独立なので
$$V(a-b)=V(a)+(-1)^2V(b)=\dfrac{35}{12}+\dfrac{35}{12}=\dfrac{35}{6}$$
よって
$$V(X-Y)=81\cdot\dfrac{35}{6}=\dfrac{945}{2}$$
$$\sigma(X-Y)=\sqrt{\dfrac{945}{2}}=\sqrt{\dfrac{1890}{4}}=\dfrac{\sqrt{9\cdot210}}{2}=\dfrac{3\sqrt{210}}{2}$$
答 $\sigma(X-Y)=\dfrac{3\sqrt{210}}{2}$
別解((3):表から $a-b$ の分布を読む)
(1) の表から、 $a-b$ の確率分布は次のようになる。
| $a-b$ | $-5$ | $-4$ | $-3$ | $-2$ | $-1$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | 計 |
|—|—|—|—|—|—|—|—|—|—|—|—|—|
| $P$ | $\dfrac{1}{36}$ | $\dfrac{2}{36}$ | $\dfrac{3}{36}$ | $\dfrac{4}{36}$ | $\dfrac{5}{36}$ | $\dfrac{6}{36}$ | $\dfrac{5}{36}$ | $\dfrac{4}{36}$ | $\dfrac{3}{36}$ | $\dfrac{2}{36}$ | $\dfrac{1}{36}$ | $1$ |
分布が0について対称なので $E(a-b)=0$。よって
$$V(a-b)=E\big((a-b)^2\big)=\dfrac{2(1^2\cdot5+2^2\cdot4+3^2\cdot3+4^2\cdot2+5^2\cdot1)}{36}=\dfrac{2\cdot105}{36}=\dfrac{35}{6}$$
となり、本解と一致する。あとは $V(X-Y)=81V(a-b)$ から同じように求められる。
(参考: $V(X)+V(Y)=\dfrac{3535}{6}$ は $V(X-Y)=\dfrac{945}{2}$ と一致しない。 $X$ と $Y$ が独立でないので、独立な確率変数の和の分散の公式は使えないことがわかる)
出題意図
(1) 2桁の数の大小を、サイコロの目の大小に言いかえられるか
(2) 2つのサイコロの目という独立な確率変数を使って、期待値・分散の公式を正しく使えるか
(3) $X$ と $Y$ が独立でないことに気づき、 $X-Y$ をサイコロの目の式に直してから分散を求められるか
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 20分(理想は15分) |
確率分布と統計が苦手な受験生には解けないが、きちんと勉強していれば解きやすい問題。
この年は選択1と選択2が難しく、この問題が圧倒的に解きやすい。
選択問題があった年は、確率分布と統計まで共通テスト向けだけでなく2次試験向けにも勉強しておき、この問題を選べるようにしておくことが大事。
差がつく所・失点しやすい所
- $X$ と $Y$ は独立でないと見抜き、 $X-Y$ をサイコロの目 $a$、 $b$ の式に直すという発想に行き着けるか:(2) で $V(X)$ を求めた流れのまま $V(X-Y)=V(X)+V(Y)=\dfrac{3535}{6}$ とすると、(3) はすべて失う。公式を使う前に「独立か」を確かめる習慣があるかで大きく差がつく。
- $V(10a+b)$ の係数の2乗:分散は $V(ka)=k^2V(a)$ なので、 $10V(a)$ ではなく $100V(a)$。 $V(a-b)$ も $V(a)-V(b)$ ではなく $V(a)+V(b)$。
- 確率分布の表を36通りすべて作ろうとする: $X$ の値を11から66まで並べて表を作ると時間がかかり、計算ミスも増える。 $X=10a+b$ と表せば、1個のサイコロの期待値・分散だけで済む。
- 確率分布を学習していない:旧課程では確率分布は数学Bの選択単元で、学校で扱わないこともある。期待値・分散の公式を知らなければ、この問題は選べない。
2022年鹿児島大学医学部数学
第4問 解答・解説
第4問は微分法・積分法(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「$\log\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)$ の導関数、被積分関数の大小による定積分の大小、定積分を使った $\dfrac{\pi}{4}$ と $\log(1+\sqrt2)$ の大小比較」。
問題


問題文をテキストで読む
次の各問いに答えよ。
(1) 次の関数の導関数を求めよ。
$$y=\log\left|x+\sqrt{x^2+1}\right|$$
(2) $a>0$ のとき、次の不等式が成立することを示せ。
$$\int_0^a\dfrac{1}{1+x^2}\,dx<\int_0^a\dfrac{1}{\sqrt{1+x^2}}\,dx$$
(3) 次の不等式が成立することを示せ。
$$\dfrac{\pi}{4}<\log\left(1+\sqrt2\right)$$
解答の方針
【(1)の方針】
$\log|u|$ の微分は $\dfrac{u’}{u}$ で、絶対値があってもなくても同じ形になる。さらに $\sqrt{x^2+1}>\sqrt{x^2}=|x|\geqq-x$ なので $x+\sqrt{x^2+1}>0$ がすべての $x$ で成り立ち、絶対値は外せる。 $u=x+\sqrt{x^2+1}$ を微分すると $1+\dfrac{x}{\sqrt{x^2+1}}=\dfrac{\sqrt{x^2+1}+x}{\sqrt{x^2+1}}$ となり、分子に $u$ そのものが現れて約分できる。この結果は「 $\dfrac{1}{\sqrt{x^2+1}}$ の不定積分は $\log\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)$ 」と読みかえることができ、(3) の積分で使う。
- $x+\sqrt{x^2+1}>0$ を確かめ、 $y=\log\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)$ とする。
- 合成関数の微分で $y’=\dfrac{\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)’}{x+\sqrt{x^2+1}}$ と表す。
- $\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)’=\dfrac{\sqrt{x^2+1}+x}{\sqrt{x^2+1}}$ を求め、約分して $y’=\dfrac{1}{\sqrt{x^2+1}}$ を求める。
【(2)の方針】
両辺とも積分区間は同じ $0\leqq x\leqq a$ なので、定積分の大小は被積分関数の大小で決まる。 $f(x)=\dfrac{1}{1+x^2}$、 $g(x)=\dfrac{1}{\sqrt{1+x^2}}$ とおくと、分母どうしを比べればよい。 $x>0$ では $\sqrt{1+x^2}>1$ なので、 $1+x^2=\sqrt{1+x^2}\cdot\sqrt{1+x^2}>\sqrt{1+x^2}$。分母が大きい $f(x)$ の方が小さい。
グラフでは、左辺は曲線 $y=f(x)$ と $x$ 軸の間の面積(薄い色の部分)、右辺は曲線 $y=g(x)$ と $x$ 軸の間の面積(薄い色と濃い色を合わせた部分)で、差は2つの曲線の間の濃い色の部分になる。


- $f(x)=\dfrac{1}{1+x^2}$、 $g(x)=\dfrac{1}{\sqrt{1+x^2}}$ とおく。
- $x>0$ のとき $\sqrt{1+x^2}>1$ から $1+x^2>\sqrt{1+x^2}$ を導き、 $f(x)<g(x)$ を示す。
- $f(x)$、 $g(x)$ はともに連続なので、辺々を $0$ から $a$ まで積分する。
【(3)の方針】
$\dfrac{\pi}{4}$ と $\log(1+\sqrt2)$ は種類の違う数なので、直接は比べられない。そこで (2) の両辺がそれぞれ $\pi$ と $\log$ になるような $a$ を探す。左辺の $\displaystyle\int_0^a\dfrac{dx}{1+x^2}$ は $x=\tan\theta$ と置換する積分で、 $a=1$ なら $\tan\theta=1$ より上端が $\theta=\dfrac{\pi}{4}$ になる。右辺は (1) から $\log\left(a+\sqrt{a^2+1}\right)$ で、 $a=1$ なら $\log(1+\sqrt2)$。(2) で $a=1$ とすれば、そのまま示す不等式になる。


- (2) の不等式で $a=1$ とする。
- 左辺は $x=\tan\theta$ とおき、 $x:0\to1$ に $\theta:0\to\dfrac{\pi}{4}$ を対応させて $\dfrac{\pi}{4}$ を求める。
- 右辺は (1) の結果から $\Bigl[\log\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)\Bigr]_0^1=\log(1+\sqrt2)$ を求める。
- 2つの値を (2) の不等式に入れて結論する。
解答


解答をテキストで読む
(1) 配点 12点
すべての実数 $x$ で $\sqrt{x^2+1}>\sqrt{x^2}=|x|\geqq-x$ なので、 $x+\sqrt{x^2+1}>0$。よって
$$y=\log\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)$$
合成関数の微分により
$$y’=\dfrac{\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)’}{x+\sqrt{x^2+1}}$$
ここで
$$\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)’=1+\dfrac{2x}{2\sqrt{x^2+1}}=\dfrac{\sqrt{x^2+1}+x}{\sqrt{x^2+1}}$$
したがって
$$y’=\dfrac{\sqrt{x^2+1}+x}{\sqrt{x^2+1}}\cdot\dfrac{1}{x+\sqrt{x^2+1}}=\dfrac{1}{\sqrt{x^2+1}}$$
答 $y’=\dfrac{1}{\sqrt{x^2+1}}$
(2) 配点 12点
$f(x)=\dfrac{1}{1+x^2}$、 $g(x)=\dfrac{1}{\sqrt{1+x^2}}$ とおく。
$x>0$ のとき $1+x^2>1$ より $\sqrt{1+x^2}>1$ なので
$$1+x^2=\sqrt{1+x^2}\cdot\sqrt{1+x^2}>\sqrt{1+x^2}>0$$
よって $x>0$ のとき $\dfrac{1}{1+x^2}<\dfrac{1}{\sqrt{1+x^2}}$、すなわち $f(x)<g(x)$。また $f(0)=g(0)=1$。
$f(x)$、 $g(x)$ はともに連続なので、辺々を $0$ から $a$ まで積分して
$$\int_0^a\dfrac{1}{1+x^2}\,dx<\int_0^a\dfrac{1}{\sqrt{1+x^2}}\,dx$$
が成り立つ。(終)
(左辺は薄い色の部分の面積、右辺は薄い色と濃い色を合わせた部分の面積。2つの曲線は点 $(0,\,1)$ でだけ重なり、 $0<x\leqq a$ では曲線 $y=g(x)$ が曲線 $y=f(x)$ の上にある)
(3) 配点 16点
(2) で $a=1$ とすると
$$\int_0^1\dfrac{1}{1+x^2}\,dx<\int_0^1\dfrac{1}{\sqrt{1+x^2}}\,dx\quad\cdots\cdots①$$
①の左辺で $x=\tan\theta$ とおくと、 $dx=\dfrac{d\theta}{\cos^2\theta}$ で、 $x:0\to1$ に $\theta:0\to\dfrac{\pi}{4}$ が対応する。 $\dfrac{1}{1+\tan^2\theta}=\cos^2\theta$ なので
$$\int_0^1\dfrac{1}{1+x^2}\,dx=\int_0^{\frac{\pi}{4}}\cos^2\theta\cdot\dfrac{1}{\cos^2\theta}\,d\theta=\int_0^{\frac{\pi}{4}}d\theta=\dfrac{\pi}{4}$$
①の右辺は、(1) より $\log\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)$ が $\dfrac{1}{\sqrt{x^2+1}}$ の不定積分の1つなので
$$\int_0^1\dfrac{1}{\sqrt{1+x^2}}\,dx=\Bigl[\log\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)\Bigr]_0^1=\log(1+\sqrt2)-\log1=\log(1+\sqrt2)$$
これらを①に代入して
$$\dfrac{\pi}{4}<\log(1+\sqrt2)$$
が成り立つ。(終)
( $a=1$ のとき、薄い色の部分の面積が $\dfrac{\pi}{4}$、薄い色と濃い色を合わせた部分の面積が $\log(1+\sqrt2)$。濃い色の部分の面積が差 $\log(1+\sqrt2)-\dfrac{\pi}{4}$ で、正である)
(参考:数値では $\dfrac{\pi}{4}=0.785\cdots$、 $\log(1+\sqrt2)=0.881\cdots$)
出題意図
(1) $\log$ の中に $\sqrt{\ }$ を含む関数を、合成関数の微分で正確に計算できるか。結果が $\dfrac{1}{\sqrt{x^2+1}}$ と簡単な形になることを確かめられるか。
(2) 定積分の大小を、被積分関数の大小に帰着できるか。さらに、等号が成り立たない理由まで示すことができるか。
(3) $\pi$ と $\log$ という種類の違う数の大小を、(1)(2) の結果を使って定積分の大小として捉えることができるか
講評
| 難易度 | 標準 |
| 目標得点 | 25点 |
| 目標時間 | 25分 |
(1)(2) は簡単。
勝負は (3) で、「 $\dfrac{\pi}{4}$ はどこから来るのか」という発想だけ。
$\dfrac{1}{1+x^2}$ を $0$ から $1$ まで積分すると $\dfrac{\pi}{4}$ になると知っていれば、(2) をどう使うかがすぐに分かる。
第4問と第5問のどちらかは満点を取りたい。
差がつく所・失点しやすい所
- (3) で「(2) に $a=1$ を代入する」という発想に行き着けるか:(3) を (1)(2) と切り離して考えると、「 $\pi$ と $\log$ をどう比べるのか」で方針が立たない。 $\tan\dfrac{\pi}{4}=1$ であることと、(1) の $\log\left(x+\sqrt{x^2+1}\right)$ に $x=1$ を入れると $\log(1+\sqrt2)$ になることから、「 $a=1$ で問題文の2つの数がそろう」と気づけるかで大きく差がつく。
- (1) の導関数を不定積分として読みかえるという発想に行き着けるか:(1) を「ただの微分の計算」で終えると、(3) の右辺 $\displaystyle\int_0^1\dfrac{dx}{\sqrt{1+x^2}}$ が計算できない。
- (1) の計算ミス: $\left(\sqrt{x^2+1}\right)’=\dfrac{x}{\sqrt{x^2+1}}$ の $2$ の約分や、通分のあとの約分を落とすミス。分子に $x+\sqrt{x^2+1}$ が現れることを知っていれば、計算の途中で検算できる。
2022年鹿児島大学医学部数学
第5問 解答・解説
第5問は微分法(数学Ⅲ)・図形と方程式の問題です。
テーマは「媒介変数表示の曲線の接線、原点を中心とし接線に接する円の半径とその最大値」。
問題


問題文をテキストで読む
曲線 $C$ の媒介変数表示が
$$x=\cos^3t,\qquad y=3\sin^3t\qquad\left(0<t<\dfrac{\pi}{2}\right)$$
で与えられているとする。また曲線 $C$ 上の点 $\mathrm{P}(\cos^3t,\,3\sin^3t)$ における接線を $\ell$ とする。さらに原点を中心とする半径 $r$ の円が直線 $\ell$ と接しているとする。
(1) 直線 $\ell$ の方程式は
$$y=-3(\tan t)x+3\sin t$$
と表されることを示せ。
(2) $a=\cos^2t$ とするとき、 $r^2$ は
$$r^2=\dfrac{9a(a-1)}{8a-9}$$
と表されることを示せ。
(3) $0<t<\dfrac{\pi}{2}$ における $r$ の最大値を求めよ。またそのときの $t$ の値を求めよ。
解答の方針
【(1)の方針】
媒介変数表示の曲線の接線の傾きは、 $\dfrac{dx}{dt}$、 $\dfrac{dy}{dt}$ を求めて $\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\ \dfrac{dy}{dt}\ }{\dfrac{dx}{dt}}$ で求める。答えの式が与えられているので、点 $\mathrm{P}$ を通る傾き $-3\tan t$ の直線の式を整理して、切片が $3\sin t$ になることを確かめればよい。切片の整理では $\tan t=\dfrac{\sin t}{\cos t}$ と $\cos^2t+\sin^2t=1$ を使う。
- $\dfrac{dx}{dt}=-3\cos^2t\sin t$、 $\dfrac{dy}{dt}=9\sin^2t\cos t$ を求める。
- $0<t<\dfrac{\pi}{2}$ で $\dfrac{dx}{dt}\neq0$ を確かめ、 $\dfrac{dy}{dx}=-3\tan t$ を求める。
- 接線を $y-3\sin^3t=-3\tan t\,(x-\cos^3t)$ と表し、切片 $3\tan t\cos^3t+3\sin^3t=3\sin t\,(\cos^2t+\sin^2t)=3\sin t$ と整理する。
【(2)の方針】
原点を中心とする円が直線 $\ell$ に接するので、半径 $r$ は原点と直線 $\ell$ の距離に等しい。点と直線の距離の公式を使えばすぐに $r$ が求まる。
図で見ると、 $\ell$ は $x$ 軸と点 $(\cos t,\,0)$、 $y$ 軸と点 $(0,\,3\sin t)$ で交わる。 $r$ は、2辺が $\cos t$、 $3\sin t$ の直角三角形で、原点から斜辺に下ろした垂線 $\mathrm{OH}$ の長さである。


距離の公式で求めた $r^2=\dfrac{9\sin^2t}{9\tan^2t+1}$ を $a=\cos^2t$ の式にするには、分母の $\tan^2t$ を消せばよい。分母・分子に $\cos^2t$ をかければ $\sin^2t$ と $\cos^2t$ だけの式になり、 $\sin^2t=1-a$ を代入できる。
- 直線 $\ell$ の方程式を $3(\tan t)x+y-3\sin t=0$ と表す。
- 点と直線の距離の公式で $r=\dfrac{|-3\sin t|}{\sqrt{9\tan^2t+1}}$ とし、 $r^2=\dfrac{9\sin^2t}{9\tan^2t+1}$ を求める。
- 分母・分子に $\cos^2t$ をかけて $r^2=\dfrac{9\sin^2t\cos^2t}{9\sin^2t+\cos^2t}$ とし、 $\cos^2t=a$、 $\sin^2t=1-a$ を代入して整理する。
【(3)の方針】
$r>0$ なので、 $r$ が最大になるのは $r^2$ が最大になるとき。根号のついた $r$ を直接微分せず、(2) の $r^2$ を $a$ の関数として微分する。 $t$ が $0<t<\dfrac{\pi}{2}$ を動くとき、 $a=\cos^2t$ は $0<a<1$ のすべての値を1回ずつとるので、 $a$ の範囲 $0<a<1$ で最大値を調べればよい。
点 $\mathrm{P}$ が曲線 $C$ の両端(点 $(1,\,0)$ と点 $(0,\,3)$)に近づくと、接線は原点の近くを通るようになり、円は小さくなる。途中に $r$ が最大になる所があると見当がつく。


- $g(a)=\dfrac{9a(a-1)}{8a-9}$ $(0<a<1)$ とおく。
- 商の微分で $g'(a)=\dfrac{9(2a-3)(4a-3)}{(8a-9)^2}$ を求める。
- $0<a<1$ で $2a-3<0$ なので、 $g'(a)$ の符号は $4a-3$ の符号と逆になる。増減表を書き、 $a=\dfrac{3}{4}$ で最大値 $g\left(\dfrac{3}{4}\right)=\dfrac{9}{16}$ をとることを示す。
- $r=\sqrt{\dfrac{9}{16}}=\dfrac{3}{4}$。 $\cos^2t=\dfrac{3}{4}$ と $0<t<\dfrac{\pi}{2}$ から $t$ を求める。
解答




解答をテキストで読む
(1) 配点 12点
$$\dfrac{dx}{dt}=3\cos^2t\cdot(-\sin t)=-3\cos^2t\sin t,\qquad\dfrac{dy}{dt}=9\sin^2t\cos t$$
$0<t<\dfrac{\pi}{2}$ では $\sin t>0$、 $\cos t>0$ なので $\dfrac{dx}{dt}\neq0$ であり
$$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\ \dfrac{dy}{dt}\ }{\dfrac{dx}{dt}}=\dfrac{9\sin^2t\cos t}{-3\cos^2t\sin t}=-\dfrac{3\sin t}{\cos t}=-3\tan t$$
よって、点 $\mathrm{P}(\cos^3t,\,3\sin^3t)$ における接線 $\ell$ の方程式は
$$y-3\sin^3t=-3\tan t\,(x-\cos^3t)$$
$$y=-3(\tan t)x+3\cdot\dfrac{\sin t}{\cos t}\cdot\cos^3t+3\sin^3t=-3(\tan t)x+3\sin t\,(\cos^2t+\sin^2t)$$
$\cos^2t+\sin^2t=1$ より
$$y=-3(\tan t)x+3\sin t$$
である。(終)
(2) 配点 12点
直線 $\ell$ の方程式は $3(\tan t)x+y-3\sin t=0$。原点を中心とする半径 $r$ の円が $\ell$ に接するので、 $r$ は原点と $\ell$ の距離に等しい。点と直線の距離の公式より
$$r=\dfrac{|-3\sin t|}{\sqrt{(3\tan t)^2+1^2}}=\dfrac{3\sin t}{\sqrt{9\tan^2t+1}}$$
( $\ell$ は $x$ 軸と点 $(\cos t,\,0)$、 $y$ 軸と点 $(0,\,3\sin t)$ で交わる。 $r$ は原点から $\ell$ に下ろした垂線 $\mathrm{OH}$ の長さ)
よって
$$r^2=\dfrac{9\sin^2t}{9\tan^2t+1}$$
分母・分子に $\cos^2t$ をかけると
$$r^2=\dfrac{9\sin^2t\cos^2t}{9\sin^2t+\cos^2t}$$
$\cos^2t=a$、 $\sin^2t=1-a$ を代入すると
$$r^2=\dfrac{9(1-a)a}{9(1-a)+a}=\dfrac{9a(1-a)}{9-8a}=\dfrac{9a(a-1)}{8a-9}$$
である。(終)
(2) の別解(直角三角形の面積)
(1) より $\ell$ は $x$ 軸と点 $\mathrm{A}(\cos t,\,0)$、 $y$ 軸と点 $\mathrm{B}(0,\,3\sin t)$ で交わる。原点から $\ell$ に下ろした垂線を $\mathrm{OH}$ とすると $r=\mathrm{OH}$ で、直角三角形 $\mathrm{OAB}$ の面積を2通りに表すと $\dfrac{1}{2}\cdot\mathrm{AB}\cdot r=\dfrac{1}{2}\cdot\cos t\cdot3\sin t$。 $\mathrm{AB}^2=\cos^2t+9\sin^2t$ なので
$$r^2=\dfrac{9\sin^2t\cos^2t}{\cos^2t+9\sin^2t}$$
となり、同じ式になる。分母の $\tan^2t$ を払う手間がない。
(3) 配点 16点
$r>0$ なので、 $r$ が最大になるのは $r^2$ が最大になるときである。 $t$ が $0<t<\dfrac{\pi}{2}$ を動くとき、 $a=\cos^2t$ は $0<a<1$ のすべての値をとる。そこで
$$g(a)=\dfrac{9a(a-1)}{8a-9}=\dfrac{9(a^2-a)}{8a-9}\quad(0<a<1)$$
とおく。
$$g'(a)=\dfrac{9\{(2a-1)(8a-9)-8(a^2-a)\}}{(8a-9)^2}=\dfrac{9(8a^2-18a+9)}{(8a-9)^2}=\dfrac{9(2a-3)(4a-3)}{(8a-9)^2}$$
$0<a<1$ では $2a-3<0$ なので、 $g(a)$ の増減は次のようになる。
| $a$ | $0$ | $\cdots$ | $\dfrac{3}{4}$ | $\cdots$ | $1$ |
|—|—|—|—|—|—|
| $g'(a)$ | | $+$ | $0$ | $-$ | |
| $g(a)$ | | $\nearrow$ | $\dfrac{9}{16}$ | $\searrow$ | |
$$g\left(\dfrac{3}{4}\right)=\dfrac{9\cdot\dfrac{3}{4}\cdot\left(-\dfrac{1}{4}\right)}{6-9}=\dfrac{-\dfrac{27}{16}}{-3}=\dfrac{9}{16}$$
よって $r^2$ は $a=\dfrac{3}{4}$ のとき最大値 $\dfrac{9}{16}$ をとり、 $r$ の最大値は $\dfrac{3}{4}$。
このとき $\cos^2t=\dfrac{3}{4}$ で、 $0<t<\dfrac{\pi}{2}$ より $\cos t>0$ なので $\cos t=\dfrac{\sqrt3}{2}$。よって $t=\dfrac{\pi}{6}$。
答 $r$ の最大値 $\dfrac{3}{4}$( $t=\dfrac{\pi}{6}$ のとき)
( $t=\dfrac{\pi}{6}$ のとき $\ell:\ y=-\sqrt3x+\dfrac{3}{2}$。点 $\mathrm{P}\left(\dfrac{3\sqrt3}{8},\,\dfrac{3}{8}\right)$ で $\mathrm{OP}=\sqrt{\dfrac{27}{64}+\dfrac{9}{64}}=\dfrac{3}{4}$ となり、原点から $\ell$ に下ろした垂線の足が点 $\mathrm{P}$ と一致する。円は点 $\mathrm{P}$ で $\ell$ にも曲線 $C$ にも接している)
(3) の別解(相加平均と相乗平均の関係)
$u=9-8a$ とおくと、 $0<a<1$ より $1<u<9$ で、 $a=\dfrac{9-u}{8}$、 $1-a=\dfrac{u-1}{8}$。よって
$$r^2=\dfrac{9a(1-a)}{9-8a}=\dfrac{9(9-u)(u-1)}{64u}=\dfrac{9}{64}\left\{10-\left(u+\dfrac{9}{u}\right)\right\}$$
$u>0$ なので、相加平均と相乗平均の関係より $u+\dfrac{9}{u}\geqq2\sqrt{u\cdot\dfrac{9}{u}}=6$ で、等号は $u=3$( $1<u<9$ をみたす)のとき成り立つ。よって
$$r^2\leqq\dfrac{9}{64}(10-6)=\dfrac{9}{16}$$
等号は $u=3$、すなわち $a=\dfrac{3}{4}$ のとき。微分を使わずに求まるが、 $u=9-8a$ とおいて $u+\dfrac{9}{u}$ の形を作る発想が要る。
出題意図
(1) 媒介変数表示された曲線の接線の傾きを $\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\ \dfrac{dy}{dt}\ }{\dfrac{dx}{dt}}$ で求め、接線の方程式を整理できるか
(2) 「円が直線に接する」を「円の中心と直線の距離が半径に等しい」と言いかえられるか
(3) $r^2$ を $a$ の分数関数と見て、微分して増減を調べ、最大値を求めることができるか
講評
| 難易度 | やや簡単 |
| 目標得点 | 40点 |
| 目標時間 | 25分 |
勝負は (2) の計算。
図を書いて考える (2) の別解は発想が鮮やかで、図が書けるならこちらで解きたい。
第4問と第5問のどちらかは満点を取りたい。
差がつく所・失点しやすい所
- (1) で切片を $\cos^2t+\sin^2t=1$ で整理するという発想に行き着けるか:答えの式が与えられているので、整理の方針さえ立てば失点しない。 $3\tan t\cos^3t$ を $3\sin t\cos^2t$ に直せないと、与えられた式と一致することを示せない。
- (2) で分母・分子に $\cos^2t$ をかけるという発想に行き着けるか: $\tan^2t=\dfrac{1}{\cos^2t}-1$ に直す方法もあるが、分母・分子に $\cos^2t$ をかける方が計算が短い。
- (3) で $r^2$ を $a$ の関数として微分するという発想に行き着けるか:ここで大きく差がつく。 $r$ を $t$ の関数のまま微分すると、根号と三角関数がまざって計算が重くなる。(2) で $a$ の式を示させている意味を読み取れるか。
- (3) の最後で $t$ を取り違える: $\cos^2t=\dfrac{3}{4}$ から $\cos t=\dfrac{\sqrt3}{2}$ で $t=\dfrac{\pi}{6}$。 $\sin t=\dfrac{\sqrt3}{2}$ と混同して $t=\dfrac{\pi}{3}$ とするミスに注意する。 $a=\cos^2t$ は $t$ が増えると減るので、 $a$ の増減表をそのまま $t$ の増減と読まないこと。
2022年鹿児島大学医学部・数学の
講評とまとめ
5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。
| 大問 | 難易度 | 目標点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 簡単 | 40点 |
| 第2問 | 簡単 | 40点 |
| 第3問(選択1) | やや難 | 20点 |
| 第3問(選択2) | やや難 | 25点 |
| 第3問(選択3) | やや簡単 | 40点 |
| 第4問 | 標準 | 25点 |
| 第5問 | やや簡単 | 40点 |
合計の目標点は165点です(200点満点)。第3問は、選択3を選べるかどうかが分かれ目なので、合計では20点として数えています(選択3を選べれば40点取れます)。
第1問・第2問は数学ⅠⅡの基本問題。
教科書傍用の問題集の基本問題レベルで、前半分野の基本を身につけているかが問われた。
15分ずつで満点を取りたい。
選択問題は選択1・選択2が難しく、選択3(確率分布と統計)が圧倒的に解きやすい年。
確率分布と統計まできちんと勉強して、選択3を選べるようにしておくことが大事。
第4問(3) は「 $\dfrac{\pi}{4}$ はどこから来るのか」という発想だけ。
第4問と第5問のどちらかは満点を取りたい。
解く流れ
- 第1問 → 第2問 → 第3問(選択) → 第4問 → 第5問
- 目標時間:第1問 15分・第2問 15分・第3問(選択3)20分(理想は15分)・第4問 25分・第5問 25分。合計100分で、試験時間120分なら20分を見直しに使える。
- 第1問・第2問の基本問題はすぐに解き、選択問題をどれにするか吟味する時間を作る。
選択問題はどれを選ぶべきか
- 選び方:3題の難易度を比べ、発想がいらず一番解きやすいものを選ぶ。
- おすすめは選択3(確率分布と統計)。3題の中で唯一のやや簡単で、圧倒的に解きやすい。(1) は同じ目を除けば対称性で数えられ、(2)(3) は期待値・分散・標準偏差を計算するだけ。
- 選択1(数列)はやや難。(3) まで含めると重く、数列がよほど得意でない限り選ばないほうが無難。
- 選択2(空間ベクトル)もやや難。(1) は確実に取れるが、(2)(3) が難しい。
- 確率分布と統計が苦手だと選択3を選べない。共通テスト向けだけでなく2次試験向けにも勉強しておく。
2022年鹿児島大学医学部・数学に
関するよくある質問
2022年の鹿児島大学医学部・数学について、よく聞かれる質問にお答えします。
- 2022年の鹿児島大学医学部・数学は難しかった?
-
2022年の鹿児島大学医学部・数学は、全体として「標準」の年でした。
必答の4題は誘導が丁寧で、第1問・第2問は数学ⅠⅡの基本問題ですが、選択問題は選択1・選択2がやや難で、選択3を選べるかどうかで差がつきました。 - 2022年の鹿児島大学医学部・数学は何点取れば合格できる?
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目標点は165点です(200点満点)。
- 2022年の鹿児島大学医学部・数学はどこで差がつく?
-
特に差がついたのは、次の3つです。
- 選択問題:圧倒的に解きやすい選択3(確率分布と統計)を選べるか。
- 第4問(3):$\dfrac{\pi}{4}$ がどこから来るのかに気づけるか。
- 第4問・第5問:どちらかで満点を取れるか。
- 2022年の鹿児島大学医学部・数学は何が出題された?
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大問ごとの単元は、次のとおりです。
- 第1問:図形と計量・整数の性質・場合の数と確率
- 第2問:指数関数と対数関数・2次関数
- 第3問(選択1):数列
- 第3問(選択2):空間ベクトル
- 第3問(選択3):確率・確率分布
- 第4問:微分法・積分法(数学Ⅲ)
- 第5問:微分法(数学Ⅲ)・図形と方程式
