MENU

【解説・採点基準付き】2021年鹿児島大学医学部・数学の解答・解説

2021年の鹿児島大学医学部・数学の、
解答・解説【完全版】です。

方針の立て方・考え方はもちろん
オリジナルの採点基準付き。

このページで過去問演習が完結するので
赤本などは一切不要です。

目次

2021年鹿児島大学医学部数学
第1問 解答・解説

この記事の配点・採点基準は鹿児島大学が公表しているものではなく、竜文会が独自に作成したものです。

第1問は複素数と方程式・式と証明・図形と計量・三角関数の問題です。
テーマは「小問集合(解と係数の関係で $\dfrac{\alpha^4-\beta^4}{\alpha-\beta}$ を $p$、 $q$ で表す/斜辺が一定の直角三角形の面積が最大になるのは直角二等辺三角形であることの証明/ $\sin1$、 $\sin2$、 $\sin3$、 $\cos1$ の大小)」。

問題

2021年鹿児島大学医学部数学 第1問 問題
2021年鹿児島大学医学部数学 第1問 問題
問題文をテキストで読む

次の各問いに答えよ。

(1) $p$、 $q$ を実数とする。2次方程式 $x^2+px+q=0$ が異なる解 $\alpha$、 $\beta$ をもつとき、 $\dfrac{\alpha^4-\beta^4}{\alpha-\beta}$ を $p$、 $q$ を用いて表せ。

(2) 斜辺の長さが一定の直角三角形のうち、面積が最大のものは、直角二等辺三角形であることを示せ。

(3) $\sin1$、 $\sin2$、 $\sin3$、 $\cos1$ という4つの数値を小さい方から順に並べよ。ただし、1、2、3は、それぞれ1ラジアン、2ラジアン、3ラジアンを表す。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

分子の $\alpha^4-\beta^4$ は因数分解すると $(\alpha-\beta)(\alpha+\beta)(\alpha^2+\beta^2)$ になり、分母の $\alpha-\beta$ と約分できる。 $\alpha\neq\beta$ なので割ってよい。残る $(\alpha+\beta)(\alpha^2+\beta^2)$ は $\alpha$ と $\beta$ を入れかえても変わらない対称式なので、解と係数の関係の $\alpha+\beta=-p$、 $\alpha\beta=q$ だけで表せる。解を解の公式で具体的に求める必要はない(解が虚数でも同じ式で済む)。

  1. $\alpha^4-\beta^4=(\alpha-\beta)(\alpha+\beta)(\alpha^2+\beta^2)$ と因数分解し、 $\alpha\neq\beta$ から $\dfrac{\alpha^4-\beta^4}{\alpha-\beta}=(\alpha+\beta)(\alpha^2+\beta^2)$ とする。
  2. 解と係数の関係から $\alpha+\beta=-p$、 $\alpha\beta=q$。
  3. $\alpha^2+\beta^2=(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta=p^2-2q$ を代入して、 $-p(p^2-2q)$ を整理する。

【(2)の方針】

着眼点

斜辺を $c$(一定)、他の2辺を $a$、 $b$ とすると、三平方の定理から $a^2+b^2=c^2$ が一定で、面積は $\dfrac12ab$。2乗の和が一定のときの積の最大なので、相加平均・相乗平均の関係 $a^2+b^2\geqq2ab$ を使えば $ab$ の上限が $c$ だけで表せる。「最大のものは直角二等辺三角形」を示すには、上限の値が実際にとれること、それが $a=b$ のときに限ること(等号成立条件)の2つを書く。

  1. 斜辺を $c$、他の2辺を $a$、 $b$ とおき、 $a^2+b^2=c^2$、面積 $S=\dfrac12ab$ と表す。
  2. $(a-b)^2\geqq0$ から $ab\leqq\dfrac{a^2+b^2}{2}=\dfrac{c^2}{2}$、よって $S\leqq\dfrac{c^2}{4}$。
  3. 等号は $a=b$ のときに限り、そのとき $a=b=\dfrac{c}{\sqrt2}$ で実際に $S=\dfrac{c^2}{4}$ となる直角三角形が存在することを確かめる。
  4. 面積が最大になるのは $a=b$ の直角二等辺三角形のときに限る、と結論する。

【(3)の方針】

着眼点

$\sin\theta$ は単位円上の角 $\theta$ の点の $y$ 座標なので、角1、2、3の点を単位円の上にとると大小が見える。角2と角3は第2象限にあるので、 $\sin(\pi-\theta)=\sin\theta$ で第1象限の角にうつす。 $\cos1$ も $\cos1=\sin\left(\dfrac{\pi}{2}-1\right)$ と正弦に直せば、4つとも $0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ の範囲の $\sin\theta$ にそろう。この範囲で $\sin\theta$ は増加するので、角 $\pi-3$、 $\dfrac{\pi}{2}-1$、 $1$、 $\pi-2$ の大小を比べればよい。比べるときは $3<\pi<4$ を使う。

2021年鹿児島大学医学部数学 第1問 解答の方針の図
2021年鹿児島大学医学部数学 第1問 解答の方針の図
  1. $\sin2=\sin(\pi-2)$、 $\sin3=\sin(\pi-3)$、 $\cos1=\sin\left(\dfrac{\pi}{2}-1\right)$ と書き直す。
  2. $3<\pi<4$ から、4つの角 $\pi-3$、 $\dfrac{\pi}{2}-1$、 $1$、 $\pi-2$ がすべて $0$ と $\dfrac{\pi}{2}$ の間にあることを確かめる。
  3. $3<\pi<4$ から $\pi-3<\dfrac{\pi}{2}-1<1<\pi-2$ を示す。
  4. $0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ で $\sin\theta$ は増加するので、 $\sin3<\cos1<\sin1<\sin2$ と結論する。

解答

2021年鹿児島大学医学部数学 第1問 解答・解説
2021年鹿児島大学医学部数学 第1問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 12点

$\alpha^4-\beta^4=(\alpha^2-\beta^2)(\alpha^2+\beta^2)=(\alpha-\beta)(\alpha+\beta)(\alpha^2+\beta^2)$ で、 $\alpha\neq\beta$ なので

$$\dfrac{\alpha^4-\beta^4}{\alpha-\beta}=(\alpha+\beta)(\alpha^2+\beta^2)$$

解と係数の関係より $\alpha+\beta=-p$、 $\alpha\beta=q$。

よって

$$\alpha^2+\beta^2=(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta=p^2-2q$$

であり

$$\dfrac{\alpha^4-\beta^4}{\alpha-\beta}=-p(p^2-2q)=-p^3+2pq$$

答 $-p^3+2pq$

(検算: $x^2-3x+2=0$( $p=-3$、 $q=2$ )の解は $1$、 $2$ で、 $\dfrac{1-16}{1-2}=15$。式も $-(-27)+2\cdot(-3)\cdot2=27-12=15$ で合う)

(2) 配点 14点

斜辺の長さを $c$(一定)、他の2辺の長さを $a$、 $b$ とし、面積を $S$ とする。三平方の定理より

$$a^2+b^2=c^2,\qquad S=\dfrac12ab$$

$(a-b)^2\geqq0$ より $2ab\leqq a^2+b^2=c^2$ なので

$$S=\dfrac12ab\leqq\dfrac{c^2}{4}$$

等号は $a=b$ のときに限り成り立つ。このとき $a^2+b^2=c^2$ から $a=b=\dfrac{c}{\sqrt2}$ で、この2辺をもつ直角三角形は実際に存在し、 $S=\dfrac12\cdot\dfrac{c}{\sqrt2}\cdot\dfrac{c}{\sqrt2}=\dfrac{c^2}{4}$ となる。

よって $S$ の最大値は $\dfrac{c^2}{4}$ で、最大になるのは $a=b$、すなわち直角をはさむ2辺の長さが等しい直角二等辺三角形のときに限る。(証明終わり)

別解1(角を文字でおく)

直角でない1つの角を $\theta$( $0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ )とすると、2辺は $c\cos\theta$、 $c\sin\theta$ なので

$$S=\dfrac12c\cos\theta\cdot c\sin\theta=\dfrac{c^2}{4}\sin2\theta$$

$0<2\theta<\pi$ で $\sin2\theta\leqq1$、等号は $2\theta=\dfrac{\pi}{2}$、すなわち $\theta=\dfrac{\pi}{4}$ のときに限る。よって最大になるのは2つの鋭角がともに $\dfrac{\pi}{4}$ の直角二等辺三角形のときである。文字が1つになるので、等号成立条件を書き忘れにくい。

別解2(直径の上に立つ円周角)

斜辺 $\mathrm{AB}$ を固定すると、直角の頂点 $\mathrm{C}$ は $\mathrm{AB}$ を直径とする円の上にある(直径に対する円周角は直角)。 $\mathrm{AB}$ の中点を $\mathrm{O}$、 $\mathrm{C}$ から $\mathrm{AB}$ に下ろした垂線の足を $\mathrm{H}$ とすると、面積は $\dfrac12\cdot c\cdot\mathrm{CH}$ で、 $\mathrm{CH}\leqq\mathrm{OC}=\dfrac{c}{2}$。等号は $\mathrm{H}=\mathrm{O}$、すなわち $\mathrm{C}$ が図の $\mathrm{D}$ の位置にあるときに限り、このとき $\mathrm{CA}=\mathrm{CB}$ の直角二等辺三角形になる。計算がほとんどなく、図を見ればすぐに結論が分かる。

(3) 配点 14点

$\sin(\pi-\theta)=\sin\theta$、 $\cos\theta=\sin\left(\dfrac{\pi}{2}-\theta\right)$ より

$$\sin2=\sin(\pi-2),\qquad\sin3=\sin(\pi-3),\qquad\cos1=\sin\left(\dfrac{\pi}{2}-1\right)$$

$3<\pi<4$ を使うと

・$\pi-3>0$

・$\left(\dfrac{\pi}{2}-1\right)-(\pi-3)=2-\dfrac{\pi}{2}>0$ より $\pi-3<\dfrac{\pi}{2}-1$

・$1-\left(\dfrac{\pi}{2}-1\right)=2-\dfrac{\pi}{2}>0$ より $\dfrac{\pi}{2}-1<1$

・$(\pi-2)-1=\pi-3>0$ より $1<\pi-2$

・$\dfrac{\pi}{2}-(\pi-2)=2-\dfrac{\pi}{2}>0$ より $\pi-2<\dfrac{\pi}{2}$

よって

$$0<\pi-3<\dfrac{\pi}{2}-1<1<\pi-2<\dfrac{\pi}{2}$$

$0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ で $\sin\theta$ は増加するので

$$\sin(\pi-3)<\sin\left(\dfrac{\pi}{2}-1\right)<\sin1<\sin(\pi-2)$$

すなわち

答 $\sin3<\cos1<\sin1<\sin2$

(3) の別解(基準になる値と比べる)

直接比べにくい数どうしは、間に基準になる値をはさんで比べる。たとえば $\sin1$ と $\sin2$ は $\sin\dfrac{\pi}{3}=\dfrac{\sqrt3}{2}$ を基準にする。 $\pi>3$ より $0<1<\dfrac{\pi}{3}$ なので $\sin1<\dfrac{\sqrt3}{2}$、また $\dfrac{\pi}{3}<2<\dfrac{2}{3}\pi$ なので $\sin2>\dfrac{\sqrt3}{2}$。よって $\sin1<\sin2$。 $\cos1$ は $\sin\left(\dfrac{\pi}{2}-1\right)$ に直してから比べる。

(検算:電卓の値では $\sin3\fallingdotseq0.141$、 $\cos1\fallingdotseq0.540$、 $\sin1\fallingdotseq0.841$、 $\sin2\fallingdotseq0.909$ で、順番が合う)

出題意図

(1) 2次方程式の2つの解の対称式は、解と係数の関係から基本対称式 $\alpha+\beta$、 $\alpha\beta$ で表せるという基本が理解できているか

(2) 「2乗の和が一定のときの積の最大」は相加平均・相乗平均の関係(または $(a-b)^2\geqq0$ )で示し、等号成立条件から最大になる形を決めるという基本が理解できているか

(3) 単位円を使って、角を $0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2}$ の範囲の正弦にそろえ、正弦の増加から大小を決めることができるか。 $\pi$ の値の評価( $3<\pi<4$ )を論証に入れられるか。

講評

難易度やや簡単
目標得点40点
目標時間20分

(3) は4つの数を直接は比べられないので、何かと比べるしかない。
$\sin(\pi-\theta)=\sin\theta$ などで全部を第1象限の角に直して比べるのが大事。
$\cos$ は $\sin$ に直してから比べる。

差がつく所・失点しやすい所

  • (1) で解を求めずに対称式として扱うという発想に行き着けるか:解の公式で $\alpha$、 $\beta$ を具体的に求めて4乗すると、根号の計算が重くなり、さらに判別式の符号で実数解か虚数解かの場合分けまで気になってしまう。先に因数分解して約分すれば、解と係数の関係だけで計算が終わる。 $\alpha^2+\beta^2=p^2-2q$ の符号ミスに注意する。
  • (2) で等号成立条件まで書けるか: $S\leqq\dfrac{c^2}{4}$ だけで終えると、「最大のものが直角二等辺三角形である」ことを示したことにならない。不等式で上から押さえたあと、等号が $a=b$ のときに限り成り立つことを書いて初めて証明が完成する。証明問題に慣れていない受験生ほどここで減点されると思われる。
  • (3) で単位円の上で角をそろえるという発想に行き着けるか: $\sin2$ と $\sin1$ の大小は、2の方が角が大きいから $\sin2$ が大きい、と単純には言えない( $\sin3$ はいちばん小さい)。 $\sin(\pi-\theta)=\sin\theta$ と $\cos\theta=\sin\left(\dfrac{\pi}{2}-\theta\right)$ で第1象限の角にうつすことに気づけば、すぐに並べられる。答えだけ合っていても、 $3<\pi<4$ を使った角の大小の説明がないと減点される。

2021年鹿児島大学医学部数学
第2問 解答・解説

第2問は指数関数と対数関数・微分法(数学Ⅱ)の問題です。
テーマは「底が $\dfrac14$、 $\dfrac18$ の対数を文字 $b$ でおきかえた3次関数と、極大値の条件」。

問題

2021年鹿児島大学医学部数学 第2問 問題
2021年鹿児島大学医学部数学 第2問 問題
問題文をテキストで読む

$0<a<1$ とする。このとき、次の関数 $f(x)$ を考える。

$$f(x)=x^3+3\left(\log_{\frac{1}{4}}\sqrt{a}+\log_{\frac{1}{8}}4\right)x^2-4\left(\log_{\frac{1}{4}}a\right)x-4\left(\log_{\frac{1}{4}}\sqrt{a}\right)^3$$

(1) $b=\log_{\frac{1}{4}}a$ とおく。関数 $f(x)$ を、対数が現れない形で、 $b$ を用いて表せ。

(2) $f'(x)=0$ となる $x$ を求めよ。

(3) $f(x)$ の極大値が $\dfrac{9}{2}$ であるとする。このとき、 $a$ の値を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

$f(x)$ に現れる対数は $\log_{\frac14}\sqrt a$、 $\log_{\frac14}a$、 $\log_{\frac18}4$ の3種類。前の2つは底が $\dfrac14$ でそろっているので、 $\sqrt a=a^{\frac12}$ から $\log_{\frac14}\sqrt a=\dfrac12\log_{\frac14}a=\dfrac b2$ と $b$ で表せる。 $\log_{\frac18}4$ は $a$ を含まない定数なので、底の変換公式で底を2にそろえて値を求める( $4=2^2$、 $\dfrac18=2^{-3}$)。

  1. $\log_{\frac14}\sqrt a=\dfrac12\log_{\frac14}a=\dfrac b2$ と表す。
  2. 底の変換公式で $\log_{\frac18}4=\dfrac{\log_24}{\log_2\dfrac18}=-\dfrac23$ を求める。
  3. これらを $f(x)$ に代入して、係数を整理する。

【(2)の方針】

着眼点

$f'(x)=3x^2+(3b-4)x-4b$ は $b$ を含む2次式。定数項 $-4b$ と $x$ の係数 $3b-4$ を見ると、$3x$ と $-4$、 $x$ と $b$ の組で「たすきがけ」ができる。解の公式を使うより速く、答えもきれいな形になる。

  1. $f(x)$ を微分して $f'(x)=3x^2+(3b-4)x-4b$ を求める。
  2. $f'(x)=(3x-4)(x+b)$ と因数分解し、 $f'(x)=0$ となる $x$ を求める。

【(3)の方針】

着眼点

$x^3$ の係数が正の3次関数は、 $f'(x)=0$ の2つの解のうち小さい方で極大、大きい方で極小になる。そこで、 $-b$ と $\dfrac43$ の大小を決めたい。ここで効くのが問題文の $0<a<1$。底 $\dfrac14$ は1より小さいので $\log_{\frac14}x$ は減少関数で、 $a<1$ から $b=\log_{\frac14}a>\log_{\frac14}1=0$。したがって $-b<0<\dfrac43$ となり、極大になるのは $x=-b$ と決まる( $b$ の符号が決まっていなければ $-b$ と $\dfrac43$ の大小で場合分けが必要だったが、条件 $0<a<1$ がそれを不要にしている)。

2021年鹿児島大学医学部数学 第2問 解答の方針の図
2021年鹿児島大学医学部数学 第2問 解答の方針の図
  1. $0<a<1$ と底 $\dfrac14<1$ から $b>0$ を示す。
  2. $-b<0<\dfrac43$ から増減表を書き、 $x=-b$ で極大になることを確かめる。
  3. 極大値 $f(-b)=2b^2$ を求め、 $2b^2=\dfrac92$ と $b>0$ から $b=\dfrac32$ を求める。
  4. $\log_{\frac14}a=\dfrac32$ から $a=\left(\dfrac14\right)^{\frac32}$ を計算する。

解答

2021年鹿児島大学医学部数学 第2問 解答・解説
2021年鹿児島大学医学部数学 第2問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 14点

$\sqrt a=a^{\frac12}$ なので

$$\log_{\frac14}\sqrt a=\dfrac12\log_{\frac14}a=\dfrac b2$$

底の変換公式で底を2にすると

$$\log_{\frac18}4=\dfrac{\log_24}{\log_2\dfrac18}=\dfrac{2}{-3}=-\dfrac23$$

よって

$$f(x)=x^3+3\left(\dfrac b2-\dfrac23\right)x^2-4bx-4\left(\dfrac b2\right)^3$$

答 $f(x)=x^3+\left(\dfrac32b-2\right)x^2-4bx-\dfrac12b^3$

(2) 配点 10点

(1) より

$$f'(x)=3x^2+2\left(\dfrac32b-2\right)x-4b=3x^2+(3b-4)x-4b$$

$$f'(x)=(3x-4)(x+b)$$

答 $x=\dfrac43,\ -b$

(3) 配点 16点

底 $\dfrac14$ は1より小さいので、 $\log_{\frac14}x$ は減少関数である。 $0<a<1$ より

$$b=\log_{\frac14}a>\log_{\frac14}1=0$$

したがって $-b<0<\dfrac43$。

増減は次のようになる。

| $x$ | $\cdots$ | $-b$ | $\cdots$ | $\dfrac43$ | $\cdots$ |

|—|—|—|—|—|—|

| $f'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $0$ | $+$ |

| $f(x)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |

よって、 $f(x)$ は $x=-b$ で極大となる。

極大値は

$$f(-b)=-b^3+\left(\dfrac32b-2\right)b^2+4b^2-\dfrac12b^3=2b^2$$

$2b^2=\dfrac92$ より $b^2=\dfrac94$。 $b>0$ より $b=\dfrac32$。

$\log_{\frac14}a=\dfrac32$ より

$$a=\left(\dfrac14\right)^{\frac32}=\left\{\left(\dfrac12\right)^2\right\}^{\frac32}=\left(\dfrac12\right)^3=\dfrac18$$

これは $0<a<1$ をみたす。

答 $a=\dfrac18$

出題意図

(1) 対数の性質( $\log_ab^r=r\log_ab$)と底の変換公式を使って、底や真数が分数・根号の対数を正確に計算できるか

(2) 文字 $b$ を含む2次方程式 $f'(x)=0$ を、因数分解して解けるか

(3) $0<a<1$ から $b$ の符号を決め、2つの解 $x=-b$、 $x=\dfrac43$ の大小を判断して、どちらで極大になるかを正しく決められるか

講評

難易度やや簡単
目標得点40点
目標時間20分

対数の計算と3次関数の極値を組み合わせただけの基本問題。
医学科を目指すなら満点が前提で、ここを落とすようなら合格は厳しい。
差がつくのは、底 $\dfrac14$ の対数の符号を正しく判断できるかどうかだけ。

差がつく所・失点しやすい所

  • $0<a<1$ から $b>0$ を導くという発想に行き着けるか:底が $\dfrac14$ なので、真数が1より小さいと対数は正になる。「 $a<1$ だから $\log a<0$」と底が1より大きいときの感覚で $b<0$ としてしまうと、極大と極小を取り違えて $x=\dfrac43$ で極大値を計算することになり、(3) は全滅する。
  • $\log_{\frac18}4$ の符号:底が1より小さいので値は負( $-\dfrac23$)。ここで符号を誤ると (1) から全部ずれる。(1)(2)(3) すべてが (1) の計算に乗っているので、(1) の答えは $b$ に具体的な値を入れて元の式と比べるなどして、必ず確かめてから次へ進む。
  • $b$ の値から $a$ に戻す所: $b=\log_{\frac14}a=\dfrac32$ から $a=\left(\dfrac14\right)^{\frac32}=\dfrac18$。最後に $0<a<1$ をみたすことまで確かめる。

2021年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択1) 解答・解説

第3問(選択1)は数列の問題です。
テーマは「係数に $n$ を含む2項間漸化式を、置き換えと部分分数分解で解く(誘導つき)」。

問題

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択1) 問題
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択1) 問題
問題文をテキストで読む

次の条件によって定められる数列 $\{a_n\}$ がある。

$$a_1=2,\quad(n+1)a_{n+1}=(n+3)a_n+2\quad(n=1,\,2,\,3,\,\cdots)$$

(1) $b_n=\dfrac{a_n}{(n+2)(n+1)}$ とするとき、 $b_{n+1}-b_n$ を $n$ を用いて表せ。

(2) 次の等式が $k$ についての恒等式となるように、定数 $p$ の値を定めよ。

$$\dfrac{1}{(k+3)(k+2)(k+1)}=\dfrac{1}{p}\left\{\dfrac{1}{(k+2)(k+1)}-\dfrac{1}{(k+3)(k+2)}\right\}$$

(3) 数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

$b_{n+1}=\dfrac{a_{n+1}}{(n+3)(n+2)}$ なので、漸化式を $\dfrac{a_{n+1}}{(n+3)(n+2)}$ と $\dfrac{a_n}{(n+2)(n+1)}$ が現れる形にしたい。左辺の係数は $n+1$、右辺の係数は $n+3$ なので、両辺を $(n+3)(n+2)(n+1)$ で割ると、左辺は $(n+1)$ が約分されて $b_{n+1}$、右辺の第1項は $(n+3)$ が約分されて $b_n$ になる。

  1. 漸化式の両辺を $(n+3)(n+2)(n+1)$( $>0$ )で割る。
  2. 左辺を $b_{n+1}$、右辺の第1項を $b_n$ と書きかえ、 $b_{n+1}-b_n$ を $n$ の式で表す。

【(2)の方針】

着眼点

右辺の中かっこの2つの分数は、分母に $(k+2)$ が共通している。通分すると分母は $(k+3)(k+2)(k+1)$ で、分子は $(k+3)-(k+1)=2$ と定数になる。右辺を計算して左辺と比べれば $p$ が決まる。

  1. 右辺の中かっこの中を通分し、 $\dfrac{2}{(k+3)(k+2)(k+1)}$ になることを確かめる。
  2. 右辺 $=\dfrac{2}{p(k+3)(k+2)(k+1)}$ がすべての $k$ で左辺と等しくなる条件から $p$ を求める。

【(3)の方針】

着眼点

(1) の右辺 $\dfrac{2}{(n+3)(n+2)(n+1)}$ は、(2) を使うと

$$b_{n+1}-b_n=\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}-\dfrac{1}{(n+3)(n+2)}$$

と差の形になる。右辺の2つ目の分数を左辺に移すと

$$b_{n+1}+\dfrac{1}{(n+3)(n+2)}=b_n+\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}$$

で、左辺は右辺の $n$ を $n+1$ にしたものになっている。つまり $c_n=b_n+\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}$ とおくと $c_{n+1}=c_n$ で、 $\{c_n\}$ はすべての項が等しい数列。 $c_n=c_1$ からすぐに $b_n$ が求まり、階差数列の公式で和を計算する必要も、 $n\geqq2$ と $n=1$ を分ける必要もない。 $b_n$ が求まれば $a_n=(n+2)(n+1)b_n$。

実際に $n=1$ から5まで並べると、 $b_n+\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}$ はどの $n$ でも $\dfrac12$ になる。階差数列の公式で途中が消える和を計算しても同じ答えになる(別解)。

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択1) 解答の方針の図
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択1) 解答の方針の図
  1. (1)(2) より $b_{n+1}-b_n=\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}-\dfrac{1}{(n+3)(n+2)}$ と表す。
  2. 移項して $b_{n+1}+\dfrac{1}{(n+3)(n+2)}=b_n+\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}$ とし、 $c_n=b_n+\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}$ が $c_{n+1}=c_n$ をみたすことを示す。
  3. $b_1=\dfrac{a_1}{3\cdot2}$ から $c_1$ を求め、 $c_n=c_1$ から $b_n$ を求める。
  4. $a_n=(n+2)(n+1)b_n$ に代入して $a_n$ を求め、 $a_1=2$、 $a_2=5$ と一致することを確かめる。

解答

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択1) 解答・解説
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択1) 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 12点

漸化式 $(n+1)a_{n+1}=(n+3)a_n+2$ の両辺を $(n+3)(n+2)(n+1)$( $>0$ )で割ると

$$\dfrac{a_{n+1}}{(n+3)(n+2)}=\dfrac{a_n}{(n+2)(n+1)}+\dfrac{2}{(n+3)(n+2)(n+1)}$$

$b_{n+1}=\dfrac{a_{n+1}}{(n+3)(n+2)}$、 $b_n=\dfrac{a_n}{(n+2)(n+1)}$ なので

答 $b_{n+1}-b_n=\dfrac{2}{(n+3)(n+2)(n+1)}$

(2) 配点 8点

$$\dfrac{1}{(k+2)(k+1)}-\dfrac{1}{(k+3)(k+2)}=\dfrac{(k+3)-(k+1)}{(k+3)(k+2)(k+1)}=\dfrac{2}{(k+3)(k+2)(k+1)}$$

よって、与えられた等式の右辺は $\dfrac{2}{p(k+3)(k+2)(k+1)}$ である。これが左辺 $\dfrac{1}{(k+3)(k+2)(k+1)}$ とすべての $k$ で等しくなるのは $\dfrac{2}{p}=1$ のときである。

答 $p=2$

(3) 配点 20点

(1)(2) より

$$b_{n+1}-b_n=\dfrac{2}{(n+3)(n+2)(n+1)}=\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}-\dfrac{1}{(n+3)(n+2)}$$

右辺の2つ目の分数を左辺に移すと

$$b_{n+1}+\dfrac{1}{(n+3)(n+2)}=b_n+\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}$$

$c_n=b_n+\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}$ とおくと、左辺は $c_{n+1}$ なので、すべての自然数 $n$ で $c_{n+1}=c_n$ である。

$b_1=\dfrac{a_1}{3\cdot2}=\dfrac{1}{3}$ なので

$$c_n=c_1=\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{3\cdot2}=\dfrac{1}{2}$$

すなわち

$$b_n=\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}$$

よって

$$a_n=(n+2)(n+1)b_n=\dfrac{(n+2)(n+1)}{2}-1=\dfrac{n^2+3n}{2}$$

答 $a_n=\dfrac{n(n+3)}{2}$

(検算:漸化式で $n=1$ とすると $2a_2=4\cdot2+2=10$ より $a_2=5$。一般項でも $a_1=\dfrac{1\cdot4}{2}=2$、 $a_2=\dfrac{2\cdot5}{2}=5$、 $a_3=\dfrac{3\cdot6}{2}=9$ で一致する。次の図のとおり、 $c_n=b_n+\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}$ はどの $n$ でも $\dfrac{1}{2}$ である)

(3) の別解(階差数列の公式で和を計算する)

$b_1=\dfrac{1}{3}$ で、 $n\geqq2$ のとき

$$\begin{aligned}b_n&=b_1+\sum_{k=1}^{n-1}\left\{\dfrac{1}{(k+2)(k+1)}-\dfrac{1}{(k+3)(k+2)}\right\}\\&=\dfrac{1}{3}+\left\{\left(\dfrac{1}{3\cdot2}-\dfrac{1}{4\cdot3}\right)+\left(\dfrac{1}{4\cdot3}-\dfrac{1}{5\cdot4}\right)+\cdots+\left(\dfrac{1}{(n+1)n}-\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}\right)\right\}\\&=\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{6}-\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}\\&=\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{(n+2)(n+1)}\end{aligned}$$

$n=1$ のとき $\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{3\cdot2}=\dfrac{1}{3}=b_1$ なので、この式は $n=1$ でも成り立つ。あとは本解と同じ。

(和の計算と $n=1$ の確認が必要になるぶん、本解より長い。和の最後の項の取り違えも起きやすい)

出題意図

(1) 係数に $n$ を含む漸化式を、両辺を $(n+3)(n+2)(n+1)$ で割って $b_n$、 $b_{n+1}$ の形をつくることに気づけるか

(2) 分母が連続する整数の積になった分数を、差の形に分ける(部分分数分解)ことができるか

(3) (1)(2) を組み合わせて $b_{n+1}-b_n$ を差の形にし、一般項を求められるか

講評

難易度やや簡単
目標得点40点
目標時間20分

誘導がとても丁寧な問題。
ただ、(1) の割り方は誘導がなくても思いつけるようにしておきたい。
鹿児島大学医学部の数学は標準的な問題が中心なので、標準問題を丁寧に完璧にしておくことが合格への近道。

差がつく所・失点しやすい所

  • (1) で両辺を $(n+3)(n+2)(n+1)$ で割れるか:差がつくのはここだけ。左辺に $n+1$ 番目の項、右辺に $n$ 番目の項がくるように割る発想は、誘導がなくても自分で思いつけるようにしておきたい。ほかの小問は誘導がそろっているので、大きな差はつかない。

2021年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択2) 解答・解説

第3問(選択2)は平面ベクトル・図形と計量の問題です。
テーマは「角の二等分線と対辺の交点の位置ベクトル、2本の角の二等分線の交点(内心)の位置ベクトル」。

問題

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択2) 問題
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択2) 問題
問題文をテキストで読む

平面上の三角形 $\mathrm{ABC}$ は $\angle\mathrm{BAC}=60^\circ$ の三角形で、 $\mathrm{AB}=5$、 $\mathrm{AC}=8$ とする。 $\angle\mathrm{BAC}$ の二等分線と辺 $\mathrm{BC}$ の交点を $\mathrm{D}$ とし、 $\angle\mathrm{ABC}$ の二等分線と辺 $\mathrm{AC}$ の交点を $\mathrm{E}$ とする。

(1) 辺 $\mathrm{BC}$ の長さを求めよ。

(2) $\overrightarrow{\mathrm{AD}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{BE}}$ を $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ を用いて表せ。

(3) 線分 $\mathrm{AD}$ と線分 $\mathrm{BE}$ の交点を $\mathrm{I}$ とするとき、 $\overrightarrow{\mathrm{AI}}$ を $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ を用いて表せ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

2辺 $\mathrm{AB}$、 $\mathrm{AC}$ とその間の角 $\angle\mathrm{BAC}$ が分かっているので、余弦定理で $\mathrm{BC}$ が決まる。

  1. 余弦定理 $\mathrm{BC}^2=\mathrm{AB}^2+\mathrm{AC}^2-2\cdot\mathrm{AB}\cdot\mathrm{AC}\cos60^\circ$ に値を代入する。
  2. $\mathrm{BC}>0$ から $\mathrm{BC}$ を求める。

【(2)の方針】

着眼点

$\mathrm{D}$、 $\mathrm{E}$ はどちらも角の二等分線と対辺の交点なので、角の二等分線の定理で対辺を分ける比が分かる。 $\mathrm{D}$ は $\mathrm{BC}$ を $\mathrm{AB}:\mathrm{AC}=5:8$ に、 $\mathrm{E}$ は $\mathrm{AC}$ を $\mathrm{BA}:\mathrm{BC}$ に内分する。 $\mathrm{E}$ の比には $\mathrm{BC}$ が必要で、ここで (1) の結果が使われる。比が分かれば、あとは内分点の位置ベクトルの公式で $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ を用いて表せる。

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択2) 解答の方針の図
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択2) 解答の方針の図

( $\mathrm{AD}$ は $\angle\mathrm{BAC}=60^\circ$ を $30^\circ$ ずつに、 $\mathrm{BE}$ は $\angle\mathrm{ABC}$ を2等分する。 $\mathrm{I}$ は2本の交点)

  1. 角の二等分線の定理から $\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=\mathrm{AB}:\mathrm{AC}=5:8$ を求める。
  2. 内分点の公式で $\overrightarrow{\mathrm{AD}}=\dfrac{8\overrightarrow{\mathrm{AB}}+5\overrightarrow{\mathrm{AC}}}{13}$ と表す。
  3. 角の二等分線の定理と (1) から $\mathrm{AE}:\mathrm{EC}=\mathrm{BA}:\mathrm{BC}=5:7$ を求め、 $\overrightarrow{\mathrm{AE}}=\dfrac{5}{12}\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ と表す。
  4. $\overrightarrow{\mathrm{BE}}=\overrightarrow{\mathrm{AE}}-\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ として、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ で表す。

【(3)の方針】

着眼点

$\mathrm{I}$ は2本の角の二等分線の交点なので、三角形 $\mathrm{ABC}$ の内心である。 $\mathrm{I}$ は線分 $\mathrm{AD}$ 上にあるので、比 $\mathrm{AI}:\mathrm{ID}$ が分かれば、 $\overrightarrow{\mathrm{AI}}$ は (2) の $\overrightarrow{\mathrm{AD}}$ の何倍かで決まる。三角形 $\mathrm{ABD}$ に注目すると、 $\mathrm{BI}$ は $\angle\mathrm{ABD}$( $=\angle\mathrm{ABC}$)の二等分線なので、角の二等分線の定理をもう一度使えば $\mathrm{AI}:\mathrm{ID}=\mathrm{BA}:\mathrm{BD}$ がすぐに求められる。 $\mathrm{BD}$ は (1) の $\mathrm{BC}=7$ と (2) の $\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=5:8$ から決まる。連立方程式を解く必要がない。

内心と気づかなくても、 $\mathrm{I}$ は「直線 $\mathrm{AD}$ 上」と「直線 $\mathrm{BE}$ 上」の2つの条件をみたす点なので、 $\overrightarrow{\mathrm{AI}}$ を2通りに表して係数を比べれば解ける(別解)

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択2) 解答の方針の図
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択2) 解答の方針の図

( $\mathrm{I}$ は内心。破線は内接円)

  1. $\mathrm{BC}=7$ と $\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=5:8$ から $\mathrm{BD}=\dfrac{35}{13}$ を求める。
  2. 三角形 $\mathrm{ABD}$ で $\mathrm{BI}$ は $\angle\mathrm{ABD}$ の二等分線なので、角の二等分線の定理から $\mathrm{AI}:\mathrm{ID}=\mathrm{BA}:\mathrm{BD}=13:7$ を求める。
  3. $\overrightarrow{\mathrm{AI}}=\dfrac{13}{20}\overrightarrow{\mathrm{AD}}$ に (2) の $\overrightarrow{\mathrm{AD}}$ を代入して答える。

解答

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択2) 解答・解説
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択2) 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 8点

余弦定理より

$$\mathrm{BC}^2=5^2+8^2-2\cdot5\cdot8\cos60^\circ=25+64-40=49$$

$\mathrm{BC}>0$ より

答 $\mathrm{BC}=7$

(2) 配点 16点

( $\mathrm{AB}=5$、 $\mathrm{AC}=8$、 $\angle\mathrm{BAC}=60^\circ$ の三角形を正しい比率で書いた図。 $\mathrm{D}$ は $\mathrm{BC}$ を $5:8$ に、 $\mathrm{E}$ は $\mathrm{AC}$ を $5:7$ に内分する)

$\mathrm{AD}$ は $\angle\mathrm{BAC}$ の二等分線なので、角の二等分線の定理より

$$\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=\mathrm{AB}:\mathrm{AC}=5:8$$

$\mathrm{D}$ は辺 $\mathrm{BC}$ を $5:8$ に内分する点なので

$$\overrightarrow{\mathrm{AD}}=\dfrac{8\overrightarrow{\mathrm{AB}}+5\overrightarrow{\mathrm{AC}}}{5+8}=\dfrac{8}{13}\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac{5}{13}\overrightarrow{\mathrm{AC}}$$

$\mathrm{BE}$ は $\angle\mathrm{ABC}$ の二等分線なので、角の二等分線の定理と (1) より

$$\mathrm{AE}:\mathrm{EC}=\mathrm{BA}:\mathrm{BC}=5:7$$

よって $\overrightarrow{\mathrm{AE}}=\dfrac{5}{12}\overrightarrow{\mathrm{AC}}$。

$$\overrightarrow{\mathrm{BE}}=\overrightarrow{\mathrm{AE}}-\overrightarrow{\mathrm{AB}}=-\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac{5}{12}\overrightarrow{\mathrm{AC}}$$

答 $\overrightarrow{\mathrm{AD}}=\dfrac{8}{13}\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac{5}{13}\overrightarrow{\mathrm{AC}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{BE}}=-\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac{5}{12}\overrightarrow{\mathrm{AC}}$

(3) 配点 16点

$\mathrm{BI}$ は $\angle\mathrm{ABC}$ の二等分線で、 $\mathrm{D}$ は辺 $\mathrm{BC}$ 上にあるので、 $\mathrm{BI}$ は三角形 $\mathrm{ABD}$ の $\angle\mathrm{ABD}$ の二等分線である。

(1)(2) より $\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=5:8$、 $\mathrm{BC}=7$ なので

$$\mathrm{BD}=7\cdot\dfrac{5}{13}=\dfrac{35}{13}$$

三角形 $\mathrm{ABD}$ で、角の二等分線の定理より

$$\mathrm{AI}:\mathrm{ID}=\mathrm{BA}:\mathrm{BD}=5:\dfrac{35}{13}=13:7$$

よって $\overrightarrow{\mathrm{AI}}=\dfrac{13}{20}\overrightarrow{\mathrm{AD}}$ で、(2) の $\overrightarrow{\mathrm{AD}}$ を代入すると

$$\overrightarrow{\mathrm{AI}}=\dfrac{13}{20}\left(\dfrac{8}{13}\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac{5}{13}\overrightarrow{\mathrm{AC}}\right)=\dfrac25\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac14\overrightarrow{\mathrm{AC}}$$

答 $\overrightarrow{\mathrm{AI}}=\dfrac25\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac14\overrightarrow{\mathrm{AC}}$

( $\mathrm{BD}=\dfrac{35}{13}$、 $\mathrm{DC}=\dfrac{56}{13}$、 $\mathrm{AE}=\dfrac{10}{3}$、 $\mathrm{EC}=\dfrac{14}{3}$。 $\mathrm{AI}:\mathrm{ID}=13:7$、 $\mathrm{BI}:\mathrm{IE}=3:2$。 $\mathrm{I}$ は三角形 $\mathrm{ABC}$ の内心。内心の位置ベクトルは、3辺の長さ $\mathrm{BC}=7$、 $\mathrm{CA}=8$、 $\mathrm{AB}=5$ を用いて $\overrightarrow{\mathrm{AI}}=\dfrac{8\overrightarrow{\mathrm{AB}}+5\overrightarrow{\mathrm{AC}}}{7+8+5}$ と表せることも、検算に使える)

(3) の別解( $\overrightarrow{\mathrm{AI}}$ を2通りに表して係数を比べる)

$\mathrm{I}$ は直線 $\mathrm{AD}$ 上の点なので、実数 $s$ を用いて

$$\overrightarrow{\mathrm{AI}}=s\overrightarrow{\mathrm{AD}}=\dfrac{8s}{13}\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac{5s}{13}\overrightarrow{\mathrm{AC}}\quad\cdots\cdots①$$

また $\mathrm{I}$ は直線 $\mathrm{BE}$ 上の点なので、実数 $t$ を用いて

$$\overrightarrow{\mathrm{AI}}=\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{BE}}=(1-t)\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac{5t}{12}\overrightarrow{\mathrm{AC}}\quad\cdots\cdots②$$

$\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ は $\vec{0}$ でなく、平行でもない(1次独立)ので、①と②の係数を比べて

$$\dfrac{8s}{13}=1-t,\qquad\dfrac{5s}{13}=\dfrac{5t}{12}$$

2つ目の式より $s=\dfrac{13}{12}t$。これを1つ目の式に代入すると $\dfrac{2}{3}t=1-t$ なので $t=\dfrac35$、 $s=\dfrac{13}{20}$。①に代入して $\overrightarrow{\mathrm{AI}}=\dfrac25\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\dfrac14\overrightarrow{\mathrm{AC}}$。

(内心と気づかなくても解けるが、連立方程式を解くぶん本解より長い。 $s=\dfrac{13}{20}$ は本解の $\mathrm{AI}:\mathrm{ID}=13:7$ と一致し、 $t=\dfrac35$ から $\mathrm{BI}:\mathrm{IE}=3:2$ も分かる)

出題意図

(1) 2辺とその間の角から、余弦定理で残りの辺の長さを求められるか

(2) 角の二等分線の定理で対辺を分ける比を求め、内分点の位置ベクトルとして表せるか

(3) 2本の角の二等分線の交点(内心)の位置ベクトルを、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ と $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ で表せるか

講評

難易度簡単
目標得点40点
目標時間15分

この年の選択問題で一番解きやすい問題で、これを選べるかどうかがポイント。
鹿児島大学医学部の選択問題には、明らかに解きやすい問題が1題入っていることが多い。
ベクトルが解きやすい年が多いが、毎回同じ単元とは限らないので、3題すべてに目を通して考えられる時間の余裕を作っておく。

差がつく所・失点しやすい所

  • (2) で $\mathrm{E}$ の比に (1) の $\mathrm{BC}$ を使うという発想に行き着けるか: $\mathrm{E}$ は $\angle\mathrm{ABC}$ の二等分線なので、比は $\mathrm{BA}:\mathrm{BC}$。 $\mathrm{AB}:\mathrm{AC}$ と取り違えると (2)(3) が全部崩れる。
  • 内分点の公式の係数の向き: $\mathrm{BD}:\mathrm{DC}=5:8$ なら $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ の係数は $\dfrac{8}{13}$(遠い方の比がかかる)。逆にすると (3) まで誤る。図を正しい比率で書けば、 $\mathrm{D}$ が $\mathrm{B}$ に近いことから確かめられる。
  • (3) で $\mathrm{I}$ を内心と見て、三角形 $\mathrm{ABD}$ で角の二等分線の定理をもう一度使うという発想に行き着けるか: $\mathrm{AI}:\mathrm{ID}=13:7$ がすぐに求まり、連立方程式がいらない。係数を比べる方法でも解けるが時間がかかり、「 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$、 $\overrightarrow{\mathrm{AC}}$ は1次独立」の一言を書かずに係数を比べると減点される。
  • 3小問とも教科書レベルの内容なので、大きく差がつく所はない。失点するとすれば比の取り違えと計算ミスだけ。

2021年鹿児島大学医学部数学
第3問(選択3) 解答・解説

第3問(選択3)は確率・確率分布の問題です。
テーマは「6枚のカードから2枚取り出したときの大きい方 $X$ と小さい方 $Y$ の期待値・独立性と、 $E(XY)$」。

問題

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択3) 問題
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択3) 問題
問題文をテキストで読む

1、2、3、4、5、6の数字が1つずつ記入された6枚のカードを袋の中に入れる。この袋の中から2枚のカードを同時に抜き出し、それらのカードの数の大きい方を $X$、小さい方を $Y$ とする。

(1) 確率変数 $X$ の期待値 $E(X)$ を求めよ。

(2) 確率変数 $X$ と $Y$ は互いに独立であるか、独立でないか、答えよ。

(3) 確率変数 $XY$ の期待値 $E(XY)$ を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

2枚の取り出し方は ${}_6\mathrm{C}_2=15$ 通りで、すべて同様に確からしい。$X=k$ となるのは、小さい方が $1$ から $k-1$ のどれかのときなので $k-1$ 通り。表にすると、大きい方 $X$ の列ごとに塗ったマスの数が $1,2,3,4,5$ と増えていく。

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択3) 解答の方針の図
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択3) 解答の方針の図
  1. 2枚の取り出し方が15通りで、同様に確からしいことを確かめる。
  2. $X$ のとりうる値が $2,3,4,5,6$ であり、 $X=k$ となる取り出し方が $k-1$ 通りであることから $P(X=k)=\dfrac{k-1}{15}$ とする。
  3. $E(X)=\displaystyle\sum_{k=2}^{6}k\cdot\dfrac{k-1}{15}$ を計算する。

【(2)の方針】

着眼点

$X$ と $Y$ が独立であるとは、すべての $a$、 $b$ で $P(X=a,\,Y=b)=P(X=a)P(Y=b)$ が成り立つこと。独立でないと答えるには、等しくない組を1つ示せばよい。 $X>Y$ なので $X=Y$ は起こらない。たとえば $X=2$、 $Y=2$ は確率0なのに、 $X=2$ も $Y=2$ もそれぞれは起こりうる(表の枠のマス)。この組が反例になる。

  1. $X$ と $Y$ が独立であることの定義「すべての $a$、 $b$ について $P(X=a,\,Y=b)=P(X=a)P(Y=b)$」を確認する。
  2. $X>Y$ より $P(X=2,\,Y=2)=0$ であることを示す。
  3. $P(X=2)=\dfrac{1}{15}$、 $P(Y=2)=\dfrac{4}{15}$ を求め、積が0でないことから独立でないと答える。

【(3)の方針】

着眼点

(2) で $X$ と $Y$ は独立でないとわかったので、 $E(XY)=E(X)E(Y)$ は使えない。15通りが同様に確からしいので、$E(XY)$ は15通りの積 $XY$ の平均(表のマスの数字の平均)。マスの数字の和は、異なる2数の積の和 $\displaystyle\sum_{i<j}ij$ であり、 $(1+2+\cdots+6)^2$ を展開したときに2回ずつ現れる項なので、$(1+\cdots+6)^2$ から $1^2+\cdots+6^2$ を引いて2で割れば求められる。

  1. $X$ と $Y$ が独立でないので、15通りすべてについて $XY$ の値の和を求める方針に決める。
  2. $(1+2+\cdots+6)^2=\left(1^2+2^2+\cdots+6^2\right)+2\displaystyle\sum_{i<j}ij$ から、積の和 $\displaystyle\sum_{i<j}ij=175$ を求める。
  3. 15で割って $E(XY)$ を求める。

解答

2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択3) 解答・解説
2021年鹿児島大学医学部数学 第3問(選択3) 解答・解説
解答をテキストで読む

2枚のカードの取り出し方は ${}_6\mathrm{C}_2=15$ 通りあり、これらは同様に確からしい。取り出した2枚の数を $i$、 $j$( $i<j$)とすると $X=j$、 $Y=i$ である。15通りを表にすると次のようになる(塗ったマスが起こりうる15通り)。

(1) 配点 12点

$X$ のとりうる値は $2,3,4,5,6$ である。 $X=k$ となるのは、小さい方が $1,2,\cdots,k-1$ のどれかのときで $k-1$ 通りなので

$$P(X=k)=\dfrac{k-1}{15}\qquad(k=2,3,4,5,6)$$

| $X$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | 計 |

|—|—|—|—|—|—|—|

| $P$ | $\dfrac{1}{15}$ | $\dfrac{2}{15}$ | $\dfrac{3}{15}$ | $\dfrac{4}{15}$ | $\dfrac{5}{15}$ | $1$ |

よって

$$E(X)=\dfrac{2\cdot1+3\cdot2+4\cdot3+5\cdot4+6\cdot5}{15}=\dfrac{70}{15}=\dfrac{14}{3}$$

答 $E(X)=\dfrac{14}{3}$

(2) 配点 12点

$Y=k$ となるのは、大きい方が $k+1,\cdots,6$ のどれかのときで $6-k$ 通りなので

$$P(Y=k)=\dfrac{6-k}{15}\qquad(k=1,2,3,4,5)$$

である。とくに

$$P(X=2)=\dfrac{1}{15},\qquad P(Y=2)=\dfrac{4}{15}$$

一方、つねに $X>Y$ なので、 $X=2$ かつ $Y=2$ となることはなく

$$P(X=2,\,Y=2)=0$$

したがって

$$P(X=2,\,Y=2)=0\neq\dfrac{4}{225}=P(X=2)P(Y=2)$$

となり、 $P(X=a,\,Y=b)=P(X=a)P(Y=b)$ が成り立たない $a$、 $b$ がある。

答 $X$ と $Y$ は互いに独立でない

(3) 配点 16点

(2) より $X$ と $Y$ は独立でないので、 $E(XY)=E(X)E(Y)$ は使えない。15通りが同様に確からしいので、 $E(XY)$ は15通りの $XY$ の値(表のマスの数字)の平均である。

$$E(XY)=\dfrac{1}{15}\sum_{1\leqq i<j\leqq6}ij$$

ここで

$$(1+2+\cdots+6)^2=\left(1^2+2^2+\cdots+6^2\right)+2\sum_{1\leqq i<j\leqq6}ij$$

であり、 $1+2+\cdots+6=21$、 $1^2+2^2+\cdots+6^2=91$ なので

$$\sum_{1\leqq i<j\leqq6}ij=\dfrac{21^2-91}{2}=\dfrac{441-91}{2}=175$$

よって

$$E(XY)=\dfrac{175}{15}=\dfrac{35}{3}$$

答 $E(XY)=\dfrac{35}{3}$

別解((3):表のマスの数字を行ごとに足す)

表の行 $Y=i$ には $i(i+1)$、 $i(i+2)$、…、 $i\cdot6$ が並ぶので、行ごとの和は

・$Y=1$: $2+3+4+5+6=20$

・$Y=2$: $6+8+10+12=36$

・$Y=3$: $12+15+18=45$

・$Y=4$: $20+24=44$

・$Y=5$: $30$

合計は $20+36+45+44+30=175$ となり、本解と一致する。15通りなら書き出しても時間はかからないので、本番ではこちらで検算するとよい。

(参考: $E(Y)=\dfrac{1\cdot5+2\cdot4+3\cdot3+4\cdot2+5\cdot1}{15}=\dfrac{7}{3}$ なので $E(X)E(Y)=\dfrac{14}{3}\cdot\dfrac{7}{3}=\dfrac{98}{9}$ であり、 $E(XY)=\dfrac{35}{3}=\dfrac{105}{9}$ と一致しない。(2) で独立でないと確かめたので、 $E(X)E(Y)$ で求めてはいけない)

出題意図

(1) 取り出し方15通りがすべて同様に確からしいことを使って、 $X$ の確率分布を正しく作れるか

(2) 確率変数が独立であることの定義を理解し、反例を1つ示して「独立でない」と答えられるか

(3) $X$ と $Y$ が独立でないので $E(XY)=E(X)E(Y)$ が使えないことに気づき、同時分布から $E(XY)$ を求められるか

講評

難易度やや簡単
目標得点40点
目標時間20分

それぞれの確率を求めれば難しくない。
確率分布と統計をきちんと勉強しているかどうかがそのまま点数に出る問題。

差がつく所・失点しやすい所

  • $X$ と $Y$ は独立でないと見抜き、 $E(XY)$ を15通りから直接求めるという発想に行き着けるか:(1) で $E(X)$ を求め、(3) で $E(X)E(Y)=\dfrac{98}{9}$ と答えると、(3) はすべて失う。(2) で「独立でない」と答えたのに (3) で積の公式を使う答案は、自分の答えと矛盾している。
  • (2) の答え方:「 $X>Y$ だから独立でない」と書くだけでは説明が足りない。独立の定義の式が成り立たない組( $X=2$、 $Y=2$ など)を具体的な確率の値で示して、はじめて満点になる。
  • 「2枚を同時に抜き出し」の扱い:同時に取り出しているので、順番を区別せず15通り。順番を区別して30通りで考えても、同じ組が2回ずつ数えられるだけで確率は変わらない。 $X=Y$ を含む36通りで考えるのは誤り。
  • 確率分布を学習していない:旧課程では確率分布は数学Bの選択単元で、学校で扱わないこともある。独立の定義や期待値の公式を知らなければ、この問題は選べない。

2021年鹿児島大学医学部数学
第4問 解答・解説

第4問は微分法・積分法・極限(数学Ⅲ)の問題です。
テーマは「定積分を含む等式(積分方程式)をみたす関数の決定、増減・凹凸とグラフの概形、曲線と漸近線の間の面積とその極限」。

問題

2021年鹿児島大学医学部数学 第4問 問題
2021年鹿児島大学医学部数学 第4問 問題
問題文をテキストで読む

実数全体で微分可能な関数 $f(x)$ が

$$f(x)=e^{-x}\left(\dfrac{1}{2}x^2+\int_0^x e^tf(t)\,dt\right)$$

を満たすとする。ただし、 $e$ は自然対数の底とし、以下では、 $\displaystyle\lim_{x\to\infty}xe^{-x}=0$ を用いてよいものとする。

(1) $f(x)$ の導関数 $f'(x)$ を求めよ。また、 $f(x)$ を求めよ。

(2) $f(x)$ の増減、極値、グラフの凹凸および変曲点を調べて、グラフの概形をかけ。

(3) $a>0$ とする。曲線 $y=f(x)$ と直線 $y=1$、 $x=0$ および $x=a$ で囲まれた部分の面積 $S(a)$ を求めよ。また、 $\displaystyle\lim_{a\to\infty}S(a)$ を求めよ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

右辺は $e^{-x}$ と(定積分を含むかっこ)の積なので、このまま微分すると積の微分になり、式が長くなる。両辺に $e^x$ をかけて $e^xf(x)=\dfrac{1}{2}x^2+\displaystyle\int_0^xe^tf(t)\,dt$ とすると、定積分が単独で残るので、微分すれば $\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_0^xe^tf(t)\,dt=e^xf(x)$ がそのまま使える。両辺に現れる $e^xf(x)$ が打ち消し合い、 $f'(x)$ だけが残る。

ただし、微分すると定数の情報が消える。もとの等式に $x=0$ を代入すると定積分が0になり、 $f(0)=0$ が求まる。これを使って $f'(x)$ を $0$ から $x$ まで積分すれば $f(x)$ が決まる。

  1. 両辺に $e^x$ をかけて、 $e^xf(x)=\dfrac{1}{2}x^2+\displaystyle\int_0^xe^tf(t)\,dt$ とする。
  2. 両辺を $x$ で微分し、左辺は積の微分、右辺は $\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_0^xe^tf(t)\,dt=e^xf(x)$ を使って $f'(x)=xe^{-x}$ を求める。
  3. もとの等式に $x=0$ を代入して $f(0)=0$ を求める。
  4. $f(x)=f(0)+\displaystyle\int_0^xte^{-t}\,dt$ を部分積分で計算する。

【(2)の方針】

着眼点

$f'(x)=xe^{-x}$ は $e^{-x}>0$ なので符号は $x$ の符号と同じ。 $f”(x)=(1-x)e^{-x}$ も符号は $1-x$ で決まる。 $e^{-x}$ がかかった形は、正の因数 $e^{-x}$ を除いた部分だけで符号が決まるので、増減表がすぐに書ける。

グラフの両端は極限で決める。 $x\to\infty$ では $f(x)=1-xe^{-x}-e^{-x}$ と分けると、問題文の $\displaystyle\lim_{x\to\infty}xe^{-x}=0$ がそのまま使え、 $f(x)\to1$(漸近線 $y=1$)。 $x\to-\infty$ では $(x+1)e^{-x}$ は「 $-\infty$ と $\infty$ の積」で不定形ではないので、 $f(x)\to\infty$。

さらに $1-f(x)=(x+1)e^{-x}$ の符号を見ると、 $x>-1$ では曲線は直線 $y=1$ の下、 $x<-1$ では上にあり、点 $(-1,\,1)$ で交わる。これはグラフの概形にも (3) の面積にも使える。

  1. $f”(x)=(1-x)e^{-x}$ を求める。
  2. $f'(x)$、 $f”(x)$ の符号から増減表を書き、極小値 $f(0)=0$ と変曲点 $\left(1,\,1-\dfrac{2}{e}\right)$ を求める。
  3. $x\to\infty$、 $x\to-\infty$ の極限を調べ、漸近線 $y=1$ を求める。
  4. $1-f(x)=(x+1)e^{-x}$ の符号から、曲線と直線 $y=1$ の上下と交点 $(-1,\,1)$ を確かめ、グラフを書く。

【(3)の方針】

着眼点

面積は「上の関数 $-$ 下の関数」を積分する。(2) から $x>0$ では曲線が直線 $y=1$ の下にあるので、 $S(a)=\displaystyle\int_0^a\{1-f(x)\}\,dx$。ここで $1-f(x)=(x+1)e^{-x}=xe^{-x}+e^{-x}$ で、$xe^{-x}$ は (1) の $f'(x)$ そのもの。したがって $1-f(x)=f'(x)+e^{-x}$ で、 $f'(x)$ を $0$ から $a$ まで積分すると $f(a)-f(0)$ になるので、部分積分がいらない。 $xe^{-x}$ の部分積分は (1) で $f(x)$ を求めるときにすでにしているので、もう一度する必要はない。 $(x+1)e^{-x}$ をそのまま部分積分しても同じ答えになる(別解)。

極限は、 $S(a)$ に残る $(a+2)e^{-a}$ を $ae^{-a}+2e^{-a}$ と分ければ、問題文の $\displaystyle\lim_{x\to\infty}xe^{-x}=0$ がそのまま使える。

2021年鹿児島大学医学部数学 第4問 解答の方針の図
2021年鹿児島大学医学部数学 第4問 解答の方針の図
  1. $x>0$ で $1-f(x)=(x+1)e^{-x}>0$ を確かめ、 $S(a)=\displaystyle\int_0^a\{1-f(x)\}\,dx$ と表す。
  2. $1-f(x)=f'(x)+e^{-x}$ と表し、 $S(a)=\Bigl[f(x)-e^{-x}\Bigr]_0^a$ から $S(a)=2-(a+2)e^{-a}$ を求める。
  3. $(a+2)e^{-a}=ae^{-a}+2e^{-a}\to0$ から極限を求める。

解答

2021年鹿児島大学医学部数学 第4問 解答・解説
2021年鹿児島大学医学部数学 第4問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 14点

与えられた等式の両辺に $e^x$ をかけると

$$e^xf(x)=\dfrac{1}{2}x^2+\int_0^xe^tf(t)\,dt\quad\cdots\cdots①$$

$f(x)$ は微分可能なので連続であり、 $e^tf(t)$ も連続。よって①の両辺を $x$ で微分できて

$$e^xf(x)+e^xf'(x)=x+e^xf(x)$$

$e^xf(x)$ が打ち消し合い、 $e^xf'(x)=x$。

答 $f'(x)=xe^{-x}$

①に $x=0$ を代入すると、 $\displaystyle\int_0^0e^tf(t)\,dt=0$ なので $f(0)=0$。

よって

$$f(x)=f(0)+\int_0^xte^{-t}\,dt=\Bigl[-te^{-t}\Bigr]_0^x+\int_0^xe^{-t}\,dt=-xe^{-x}+\Bigl[-e^{-t}\Bigr]_0^x=-xe^{-x}-e^{-x}+1$$

答 $f(x)=1-(x+1)e^{-x}$

(確かめ: $e^xf(x)=e^x-x-1$ で、①の右辺を $x$ で微分した $x+e^xf(x)=e^x-1$ は左辺の導関数 $e^x-1$ に一致し、 $x=0$ でどちらも0)

(2) 配点 14点

$f'(x)=xe^{-x}$ より

$$f”(x)=e^{-x}-xe^{-x}=(1-x)e^{-x}$$

$e^{-x}>0$ なので、 $f'(x)$ の符号は $x$ の符号、 $f”(x)$ の符号は $1-x$ の符号と同じ。 $f(0)=0$、 $f(1)=1-\dfrac{2}{e}$ である。

| $x$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ |

|—|—|—|—|—|—|

| $f'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $+$ | $+$ |

| $f”(x)$ | $+$ | $+$ | $+$ | $0$ | $-$ |

| $f(x)$ | $\searrow$(下に凸) | $0$ | $\nearrow$(下に凸) | $1-\dfrac{2}{e}$ | $\nearrow$(上に凸) |

極限は

・$x\to\infty$ のとき、 $f(x)=1-xe^{-x}-e^{-x}$ で $xe^{-x}\to0$、 $e^{-x}\to0$ なので $f(x)\to1$

・$x\to-\infty$ のとき、 $x+1\to-\infty$、 $e^{-x}\to\infty$ なので $(x+1)e^{-x}\to-\infty$ となり $f(x)\to\infty$

よって直線 $y=1$ は漸近線である。

また $1-f(x)=(x+1)e^{-x}$ なので、 $x>-1$ では $f(x)<1$、 $x<-1$ では $f(x)>1$ で、曲線は点 $(-1,\,1)$ で直線 $y=1$ と交わる。

答 $x\leqq0$ で減少、 $x\geqq0$ で増加。極小値 $f(0)=0$(極大値はない)。 $x<1$ で下に凸、 $x>1$ で上に凸。変曲点 $\left(1,\,1-\dfrac{2}{e}\right)$。漸近線 $y=1$。グラフは下の図

(3) 配点 12点

(2) より $x>0$ では $1-f(x)=(x+1)e^{-x}>0$ なので、曲線 $y=f(x)$ は直線 $y=1$ の下にある。よって

$$S(a)=\int_0^a\{1-f(x)\}\,dx$$

$1-f(x)=(x+1)e^{-x}=xe^{-x}+e^{-x}$ で、(1) より $xe^{-x}=f'(x)$ なので

$$\begin{aligned}S(a)&=\int_0^a\{f'(x)+e^{-x}\}\,dx=\Bigl[f(x)-e^{-x}\Bigr]_0^a\\&=\{f(a)-e^{-a}\}-\{f(0)-1\}\\&=1-(a+1)e^{-a}-e^{-a}+1\end{aligned}$$

答 $S(a)=2-(a+2)e^{-a}$

$(a+2)e^{-a}=ae^{-a}+2e^{-a}$ で、 $a\to\infty$ のとき $ae^{-a}\to0$、 $e^{-a}\to0$ なので $(a+2)e^{-a}\to0$。

答 $\displaystyle\lim_{a\to\infty}S(a)=2$

(3) の別解(部分積分)

$S(a)=\displaystyle\int_0^a(x+1)e^{-x}\,dx$ を部分積分で計算すると

$$\begin{aligned}S(a)&=\Bigl[-(x+1)e^{-x}\Bigr]_0^a+\int_0^ae^{-x}\,dx\\&=-(a+1)e^{-a}+1+\Bigl[-e^{-x}\Bigr]_0^a\\&=-(a+1)e^{-a}+1-e^{-a}+1=2-(a+2)e^{-a}\end{aligned}$$

となり、同じ答えになる。(1) で求めた $f(x)$ を使わないぶん計算が長いが、本番での検算に使える。

出題意図

(1) 上端が $x$ の定積分を含む等式は、両辺を微分して $f'(x)$ の式に直し、 $x=0$ を代入して $f(0)$ を求めるという積分方程式の基本が身についているか

(2) 第1次導関数・第2次導関数の符号と $x\to\pm\infty$ の極限から、増減・凹凸・漸近線までそろったグラフを正確に書くことができるか

(3) 曲線と直線 $y=1$ の上下を判断して面積を定積分で表して計算したうえで、与えられた極限 $\displaystyle\lim_{x\to\infty}xe^{-x}=0$ を使って極限を求めることができるか

講評

難易度やや簡単
目標得点40点
目標時間20分

減点される要素の少ない基本問題。
積分と微分の計算を正確にできるまで練習しておくこと。

差がつく所・失点しやすい所

  • 両辺に $e^x$ をかけてから微分するという発想に行き着けるか:そのまま積の微分をしても $f'(x)=xe^{-x}$ は求まるが、式が長くなり、符号のミスが起きやすい。定積分を単独にしてから微分すれば、計算が短く確実になる。
  • $x=0$ を代入して $f(0)=0$ を求めるという発想に行き着けるか:微分した式だけでは $f(x)$ は積分定数の分だけ決まらない。ここを忘れて $f(x)=-(x+1)e^{-x}$ と答えると、(2)(3) がすべてずれる。最後に $f(0)=0$ をみたすかを確かめる習慣をつけておく。
  • (2) の $x\to-\infty$ の極限: $(x+1)e^{-x}$ は「 $-\infty$ と $\infty$ の積」で不定形ではない。また、漸近線 $y=1$ に近づくのは $x\to\infty$ の側だけで、 $x<-1$ では曲線は $y=1$ より上にある。グラフの左側まで $y=1$ に近づくように書くと減点される。
  • (3) で $1-f(x)=f'(x)+e^{-x}$ と見るという発想に行き着けるか:(1) の $f'(x)=xe^{-x}$ に気づけば部分積分がいらず、計算が短い。 $(x+1)e^{-x}$ をそのまま部分積分しても解けるが、 $\Bigl[-(x+1)e^{-x}\Bigr]_0^a$ で $x=0$ の値 $-1$ を引くときに符号を誤りやすい。

2021年鹿児島大学医学部数学
第5問 解答・解説

第5問は複素数平面の問題です。
テーマは「方程式 $|z|^2+\overline{\alpha}z+\alpha\overline{z}+A=0$ が表す円の中心と半径・ $z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2=0$ と3点が同一直線上にあること・3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ を通る円の $A$ と $\alpha$」。

問題

2021年鹿児島大学医学部数学 第5問 問題
2021年鹿児島大学医学部数学 第5問 問題
問題文をテキストで読む

$\alpha$ は複素数、 $A$ は実数で $|\alpha|^2-A>0$ を満たすものとする。複素数 $z$ に関する方程式

$$|z|^2+\overline{\alpha}z+\alpha\overline{z}+A=0$$

を(★)とする。ただし、 $\overline{\alpha}$、 $\overline{z}$ はそれぞれ $\alpha$、 $z$ の共役複素数とする。

(1) (★)は円を表す方程式であることを示せ。また、この円の中心および半径を $\alpha$ と $A$ を用いて表せ。

(2) 複素数平面上の0でない異なる2点 $z_1$、 $z_2$ が $z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2=0$ を満たすならば、3点0、 $z_1$、 $z_2$ は同一直線上にあることを示せ。ただし、 $\overline{z_1}$、 $\overline{z_2}$ はそれぞれ $z_1$、 $z_2$ の共役複素数とする。

(3) 複素数平面上の異なる3点0、 $z_1$、 $z_2$ は同一直線上にないものとする。3点0、 $z_1$、 $z_2$ を通る円が(★)で表されるとき、 $A$ の値を求め、さらに $\alpha$ を $z_1$ と $z_2$ を用いて表せ。

解答の方針

【(1)の方針】

着眼点

複素数平面の円は $|z-\beta|=r$ の形で表される。 $|z|^2=z\overline{z}$ と書くと、(★)の左辺の $z\overline{z}+\overline{\alpha}z+\alpha\overline{z}$ は $(z+\alpha)(\overline{z}+\overline{\alpha})$ を展開した式から $\alpha\overline{\alpha}$ を除いたものになっている。そこで $(z+\alpha)(\overline{z}+\overline{\alpha})=|z+\alpha|^2$ にまとめる。実数の円の方程式で $x^2+y^2+2ax+2by+c=0$ を平方完成するのと同じ操作である。 $|\alpha|^2-A>0$ という条件は、半径の2乗が正であることを保証している。

2021年鹿児島大学医学部数学 第5問 解答の方針の図
2021年鹿児島大学医学部数学 第5問 解答の方針の図
  1. $|z|^2=z\overline{z}$ と書き、(★)の左辺に $|\alpha|^2=\alpha\overline{\alpha}$ を足して引き、 $(z+\alpha)(\overline{z}+\overline{\alpha})=|\alpha|^2-A$ と変形する。
  2. $\overline{z}+\overline{\alpha}=\overline{z+\alpha}$ より、(★)は $|z+\alpha|^2=|\alpha|^2-A$ と同値。
  3. $|\alpha|^2-A>0$ より、 $|z+\alpha|=\sqrt{|\alpha|^2-A}$ と同値で、これは中心 $-\alpha$、半径 $\sqrt{|\alpha|^2-A}$ の円を表す。

【(2)の方針】

着眼点

$0$ でない2点 $z_1$、 $z_2$ について、3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ が同一直線上にある条件は $\dfrac{z_1}{z_2}$ が実数であること( $z_1=kz_2$ となる実数 $k$ がある)。一方、条件の式は $z_1\overline{z_2}=\overline{z_1}z_2=\overline{z_1\overline{z_2}}$ と書けるので、「 $z_1\overline{z_2}$ は自分の共役と等しい=実数」と読める。 $\dfrac{z_1}{z_2}$ の分母・分子に $\overline{z_2}$ をかければ $\dfrac{z_1\overline{z_2}}{|z_2|^2}$ となり、2つがつながる。

  1. 条件の式を $z_1\overline{z_2}=\overline{z_1\overline{z_2}}$ と書き、 $z_1\overline{z_2}$ が実数であることを示す。
  2. $z_2\neq0$ より $\dfrac{z_1}{z_2}=\dfrac{z_1\overline{z_2}}{|z_2|^2}$ と表し、 $\dfrac{z_1}{z_2}$ が実数 $k$ であることを示す。
  3. $z_1=kz_2$( $k$ は実数)なので、点 $z_1$ は原点と点 $z_2$ を通る直線上にあり、3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ は同一直線上にあると結論する。

【(3)の方針】

着眼点

まず、円が点 $0$ を通るので $z=0$ を(★)に代入して $A$ が決まる。次に、点 $z_1$、 $z_2$ を通る条件は $\alpha$ と $\overline{\alpha}$ の1次式になる。 $\alpha$ と $\overline{\alpha}$ を2つの未知数とみて、連立1次方程式として $\overline{\alpha}$ を消去すれば $\alpha$ が求まる。 $\alpha$ の係数は $\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2}$ になり、これで割ってよいか(0でないか)が問題になる。ここで (2) の対偶「3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ が同一直線上にないならば $z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2\neq0$」が使われる。図で見ると、円の中心 $-\alpha$ は3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ から等距離の点、つまり3点を頂点とする三角形の外心である。

2021年鹿児島大学医学部数学 第5問 解答の方針の図
2021年鹿児島大学医学部数学 第5問 解答の方針の図
  1. 点 $0$ が(★)をみたすことから $A=0$ を求める。
  2. 点 $z_1$、 $z_2$ が(★)をみたす条件を $\overline{\alpha}z_1+\alpha\overline{z_1}=-|z_1|^2$、 $\overline{\alpha}z_2+\alpha\overline{z_2}=-|z_2|^2$ と表す。
  3. 1つ目の式に $z_2$、2つ目の式に $z_1$ をかけて引き、 $\overline{\alpha}$ を消去して $(\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2})\alpha=|z_2|^2z_1-|z_1|^2z_2$ とする。
  4. 3点が同一直線上にないので、(2) の対偶から $z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2\neq0$。両辺を割って $\alpha$ を求め、 $|z_1|^2=z_1\overline{z_1}$、 $|z_2|^2=z_2\overline{z_2}$ を使って整理する。
  5. 求めた $\alpha$ と $A=0$ で(★)が3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ を通る円を表すこと( $|\alpha|^2-A>0$ を含む)を確かめる。

解答

2021年鹿児島大学医学部数学 第5問 解答・解説
2021年鹿児島大学医学部数学 第5問 解答・解説
解答をテキストで読む

(1) 配点 12点

$|z|^2=z\overline{z}$、 $|\alpha|^2=\alpha\overline{\alpha}$ なので

$$z\overline{z}+\overline{\alpha}z+\alpha\overline{z}+\alpha\overline{\alpha}=(z+\alpha)(\overline{z}+\overline{\alpha})=(z+\alpha)\overline{(z+\alpha)}=|z+\alpha|^2$$

よって(★)は

$$|z+\alpha|^2=|\alpha|^2-A$$

と同値である。

$|\alpha|^2-A>0$ なので、両辺の正の平方根をとって

$$|z+\alpha|=\sqrt{|\alpha|^2-A}$$

と同値。これは点 $z$ と点 $-\alpha$ の距離が一定の正の値 $\sqrt{|\alpha|^2-A}$ であることを表すので、(★)は円を表す。

答 中心 $-\alpha$、半径 $\sqrt{|\alpha|^2-A}$

(2) 配点 10点

$z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2=0$ より $z_1\overline{z_2}=\overline{z_1}z_2$。 $z_2\neq0$ なので両辺を $z_2\overline{z_2}$( $=|z_2|^2\neq0$ )で割ると

$$\dfrac{z_1}{z_2}=\dfrac{\overline{z_1}}{\overline{z_2}}=\overline{\left(\dfrac{z_1}{z_2}\right)}$$

共役複素数と等しいので、 $\dfrac{z_1}{z_2}$ は実数である。これを $k$ とおくと $z_1=kz_2$。

$k$ は実数なので、点 $z_1$ は原点 $\mathrm{O}$ と点 $z_2$ を通る直線上にある。よって3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ は同一直線上にある。(証明終わり)

(3) 配点 18点

円(★)は点 $0$ を通るので、 $z=0$ を代入して $A=0$。

答 $A=0$

点 $z_1$、 $z_2$ も(★)の上にあるので

$$\overline{\alpha}z_1+\alpha\overline{z_1}=-|z_1|^2\quad\cdots\cdots①$$

$$\overline{\alpha}z_2+\alpha\overline{z_2}=-|z_2|^2\quad\cdots\cdots②$$

①の両辺に $z_2$、②の両辺に $z_1$ をかけて辺々引くと、 $\overline{\alpha}z_1z_2$ が消えて

$$(\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2})\alpha=-|z_1|^2z_2+|z_2|^2z_1$$

3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ は異なり同一直線上にないので、 $z_1\neq0$、 $z_2\neq0$、 $z_1\neq z_2$ である。(2) の対偶より $z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2\neq0$ なので、両辺を $\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2}$ で割れて

$$\alpha=\dfrac{|z_2|^2z_1-|z_1|^2z_2}{\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2}}=\dfrac{z_1z_2\overline{z_2}-z_1\overline{z_1}z_2}{\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2}}=\dfrac{z_1z_2(\overline{z_2}-\overline{z_1})}{\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2}}$$

逆に、この $\alpha$ が①②をみたすことを確かめる。分母の共役は $\overline{\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2}}=z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2$ なので

$$\overline{\alpha}=\dfrac{\overline{z_1}\,\overline{z_2}(z_2-z_1)}{z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2}$$

よって

$$\overline{\alpha}z_1+\alpha\overline{z_1}=\dfrac{z_1\overline{z_1}\,\overline{z_2}(z_2-z_1)-z_1\overline{z_1}z_2(\overline{z_2}-\overline{z_1})}{z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2}=\dfrac{|z_1|^2(\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2})}{z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2}=-|z_1|^2$$

で①をみたす。 $\alpha$ の式は $z_1$ と $z_2$ を入れかえても変わらないので、②も同じようにみたす。また、 $z_1\neq0$、 $z_2\neq0$、 $z_1\neq z_2$ より $\alpha\neq0$ なので $|\alpha|^2-A=|\alpha|^2>0$ もみたす。よって $A=0$ とこの $\alpha$ で、(★)は3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ を通る円を表す。

(円の中心 $-\alpha$ は3点 $0$、 $z_1$、 $z_2$ から等距離にある点、すなわち三角形の外心。たとえば $z_1=4$、 $z_2=1+3i$ のとき $\alpha=-2-i$ で、中心 $2+i$、半径 $\sqrt5$)

答 $A=0$、 $\alpha=\dfrac{z_1z_2(\overline{z_1}-\overline{z_2})}{z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2}$

( $\alpha=\dfrac{|z_2|^2z_1-|z_1|^2z_2}{\overline{z_1}z_2-z_1\overline{z_2}}$ と書いても同じ)

出題意図

(1) 共役複素数を含む方程式を $|z-\beta|=r$ の形に変形し、円として読み取ることができるか

(2) $z_1\overline{z_2}-\overline{z_1}z_2=0$ を 「 $z_1\overline{z_2}$ が実数」と読みかえ、3点が同一直線上にある条件 「 $\dfrac{z_1}{z_2}$ が実数」に結びつけられるか

(3) 3点を通る条件を $\alpha$、 $\overline{\alpha}$ の連立方程式にし、(2) を使って分母が0でないことを示しながら $\alpha$ を求めることができるか

講評

難易度やや難
目標得点20点
目標時間25分

この年で一番解きにくい問題で、合否を分けた1問。
鹿児島大学は複素数平面の問題がやや難しめなので、複素数平面の対策はしっかりしておきたい。

差がつく所・失点しやすい所

  • (3) で条件式を導く所:まず点0を通ることから $A=0$。そのあと、円が $z_1$、 $z_2$ を通ることから $\alpha$ の条件式を2つ作る発想が難しい。やること自体は連立方程式を解くだけだが、ここで大きく差がつく。
  • (2) が取れるか:抽象的な問題なので、引っかかる受験生は引っかかる。示したい形 $z_1=kz_2$( $k$ は実数)から逆算し、 $\dfrac{z_1}{z_2}$ が実数であることを示しに行く。
  • (1) の形:(★) は因数分解すると円の方程式になる。この形を見ただけで円だと分かるまで練習しておきたい。

2021年鹿児島大学医学部・数学の
講評とまとめ

5問の難易度と目標得点をまとめると、次のとおりです。

大問難易度目標点
第1問やや簡単40点
第2問やや簡単40点
第3問(選択1)やや簡単40点
第3問(選択2)簡単40点
第3問(選択3)やや簡単40点
第4問やや簡単40点
第5問やや難20点

合計の目標点は170点です(200点満点)。第3問は、選択2を選べれば40点取れますが、選べるかどうかの分を見こんで、合計では30点として数えています。

鹿児島大学医学部の数学は標準的な問題が中心。
1対1対応の演習レベルの標準問題を丁寧に完璧にしておけば、合格ラインの8割は取れる。
選択問題は選択2を選べるかどうかがポイント。
鹿児島大学医学部の選択問題には、明らかに解きやすい問題が1題入っていることが多い。
ベクトルが解きやすい年が多いが、毎回同じ単元とは限らないので、3題すべてに目を通して考えられる時間の余裕を作っておく。
合否を分けたのは第5問の複素数平面。
鹿児島大学は複素数平面がやや難しめなので、しっかり対策しておきたい。

解く流れ

  • 第1問 → 第2問 → 第3問(選択) → 第4問 → 第5問
  • 目標時間:第1問 20分・第2問 20分・第3問(選択2)15分・第4問 20分・第5問 25分。合計100分で、試験時間120分なら20分を見直しに使える。
  • やや難の第5問は最後に回し、(2) までを確実に取る。

選択問題はどれを選ぶべきか

  • 選び方:3題の難易度を比べ、発想がいらず一番解きやすいものを選ぶ。
  • おすすめは選択2(平面ベクトル)。3題の中で唯一の簡単で、残りの2題はやや簡単。これを選べるかどうかがポイント。
  • 理由1:余弦定理・角の二等分線の定理・内分点の公式という教科書の例題がそのまま並んでいて、発想がいらない。3題の中で最も短い時間で完答できる。
  • 理由2:(3) は内心と見て角の二等分線の定理をもう一度使う方法と、係数を比べる方法の2通りで解けるので、答えを確かめやすい。内心と気づかなくても、係数を比べれば解ける。
  • 選択1(数列)も誘導どおりに進めば15分で完答できる。数列が得意なら選択1でもよい。
  • 選択3(確率分布)は表を書けば迷わないが、旧課程の数学Bの選択単元で、学校で習っていない受験生もいる。(3) で $E(X)E(Y)$ としないこと。

2021年鹿児島大学医学部・数学に
関するよくある質問

2021年の鹿児島大学医学部・数学について、よく聞かれる質問にお答えします。

2021年の鹿児島大学医学部・数学は難しかった?

2021年の鹿児島大学医学部・数学は、全体として「やや簡単」の年でした。
どの大問も誘導が丁寧で、第5問(やや難)以外は易しいセットです。

2021年の鹿児島大学医学部・数学は何点取れば合格できる?

目標点は170点です(200点満点)。

2021年の鹿児島大学医学部・数学はどこで差がつく?

特に差がついたのは、次の3つです。

  • 選択問題:3題の中で唯一の簡単な選択2(平面ベクトル)を選べるか。
  • 第5問(2)(3):複素数平面の抽象的な設問と、(3) の発想に行き着けるか。
  • 第1問〜第4問:標準問題を取りこぼさず、満点で仕上げられるか。
2021年の鹿児島大学医学部・数学は何が出題された?

大問ごとの単元は、次のとおりです。

  • 第1問:複素数と方程式・式と証明・図形と計量・三角関数
  • 第2問:指数関数と対数関数・微分法(数学Ⅱ)
  • 第3問(選択1):数列
  • 第3問(選択2):平面ベクトル・図形と計量
  • 第3問(選択3):確率・確率分布
  • 第4問:微分法・積分法・極限(数学Ⅲ)
  • 第5問:複素数平面

鹿児島大学医学部の数学の過去問を年度別に見る

この記事を書いた人

ラ・サール高校から九州大学医学部医学科へ現役合格。医師国家資格所持するも、多くの受験生を難関大学に合格させるべく教育業界を選択。この度、自分の理想とする教育を生徒に少しでも提供するべく、個人で塾の開校に至る。
現役合格を目指し、熱い想いで指導に携わる。

目次